狭いお庭やマンションのベランダでも、お好きな野菜を植えて育てれば気軽に家庭菜園を楽しむことができます。
今回は、初心者にもできる!簡単家庭菜園の方法や、野菜作りのコツや必要な準備物についてご紹介していきます。
何を育てるか考える
どの部分を食べる?
栽培を始める前に、食べる部位のグループ分けや育ち方などを調べておきましょう。グループは大きく分けて3つあります。
果実を食べる果菜類
- 未熟な果実を食べる…きゅうり・ナス・ピーマンなど
- 完熟した果実を食べる…いちご・トマト・カボチャなど
茎葉を食べる葉菜類
- 茎を食べる…アスパラガスなど
- 葉を食べる…小松菜・ほうれん草・長ネギなど
- 花やつぼみを食べる…ブロッコリー・カリフラワーなど
- 鱗形(りんけい)を食べる…玉ねぎ・ニンニク・らっきょうなど
根を食べる根菜類
- 根を食べる…にんじん・大根・ゴボウなど
- 地下茎を食べる…ジャガイモなど
サイクルは?
野菜には、種まき(植え付け)から1年以内に収穫できるものもありますが、中には収穫までに数年かかるというものもあります。
範囲が限られている場合、同じ場所を何年も占領してしまうため、植える野菜や植え付け場所は慎重に選んでください。
何から育成する?
野菜には種・苗・種イモなど、それぞれの野菜に合った育成方法があります。植え替え不可の根菜類や、栽培期間が短い葉菜類は種から栽培するのが基本です。
一方、大きくなるまでに時間がかかる果菜類は、園芸店などで苗を購入して栽培しましょう。
地下茎を食べるジャガイモは種イモ(発芽させるための芋)を利用し、サツマイモは挿し穂(ツル)を利用します。
春夏秋冬・菜園計画を練ろう
育てる野菜を決めたら、栽培時期や栽培難易度、栽培スペースはどのくらいいるのかをチェックします。
育成適期をきちんと守り、質の良い野菜を収穫しましょう。野菜には、大きく分けて4つの栽培サイクルがあります。
- 春~夏型…トマト・ナス・ピーマン・きゅうり・スイカなど
- 秋~冬型…にんじん・大根・ほうれん草・ブロッコリーなど
- 晩秋~翌春型(冬越し野菜)…いちご・玉ねぎ・ニンニクなど
- 春~秋型…落花生・さつまいも・里芋など
北海道や寒冷地で家庭菜園をする場合
北海道・東北地方、新潟県や富山県、石川県などの寒冷地にお住いの場合、植え付け時期が標準時期より約1ヶ月遅くなります。
暖地(四国・九州南部など)や、中間地(関東甲信・中国地方など)の植え付け適期に植え付けを行ってしまうと、その後の育成がうまくいきません。
野菜には、それぞれ植え付けに適した時期や気候があるため、お住まいの気候条件に合わせて栽培を楽しみましょう。
道具を揃えよう
家庭菜園をするにあたり、様々な道具が必要になります。作業の効率も変わりますので準備しておくと良いですね。
- シャベルやスコップ
- クワ
- くまで
- ハス口付きのジョウロ
- ハサミ
- メジャー
- 支柱
- 紐類
土作りについて
美味しい野菜は良質な土によって育ちます。種まき前に必要な資材(堆肥など)や、育成途中に施す肥料を準備しましょう。
プランター栽培の土
プランター栽培の場合、栽培土は市販の野菜用培養土を利用すると簡単です。あらかじめ必要な成分がブレンドされているため、わざわざ1から土作りを行う必要がありません。
野菜用培養土を利用すれば、果菜類・葉菜類・根菜類など、どんな野菜でも育てることができますよ。
露地栽培の土
野菜を栽培する前にアルカリ成分の多い石灰を土壌にまいて、しっかりかき混ぜておきます。
石灰には、マグネシウムも補える苦土石灰や、即効性のある消石灰(しょうせっかい)などがあります。
また、微生物の働きを活発にし、土壌をフカフカの土に改良してくれる堆肥も混ぜておきましょう。
- 腐葉土…葉を微生物などによって腐熟させた植物性堆肥
- バーク堆肥…樹皮を細かく砕いて発酵させた植物性堆肥
- 完熟牛糞堆肥…牛糞をワラなどと混ぜて発酵させた動物性堆肥
野菜の栽培には動物性堆肥が向いています。土壌を改良するためだけに施す堆肥には、効果が長持ちする植物性堆肥がおすすめです。
また堆肥は完熟の物を使いましょう。未熟な堆肥を利用すると、悪臭や病害虫発生の原因となり、根が傷んでしまう可能性があります。
肥料(追肥)について
肥料には無機物を原料とする化学肥料と、有機質由来の有機質肥料があります。化学肥料は、その名の通り科学的な方法で粒状に加工された肥料です。土壌にまくと、すぐに吸収されます。
家庭菜園では、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)がバランスよく配合されたものが、手軽で使いやすくおすすめです。
有機質肥料は、鶏フンや油粕(ナタネなどの油を絞った粕)や、魚粕(魚を乾燥させ粉末にしたもの)など、有機質が主体の肥料です。
土壌にまくと土の中にいる微生物により分解され、無機質の状態に変化してから吸収されます。
そのため、効果が出るまでには少々時間がかかります。にんじんや玉ねぎなど、収穫するまでに日数のかかる野菜の栽培に向いています。
ベランダでもOK!プランターで野菜を育ててみよう
マンションやアパートで暮らしていて菜園がない場合は、ベランダでプランターを利用して野菜を育ててみましょう。日当たりの良い場所ならば、ほとんどの野菜は栽培することができます。
- プランター(栽培したい野菜に合わせて)
- 野菜用培養土
- 鉢底ネット
- 鉢底石
プランター栽培におすすめの野菜
家庭菜園初心者の方におすすめ!栽培難易度の低い野菜は以下の通りです。
- ミニトマト
- ナス
- ピーマン(パプリカ)
- ニンニク
- じゃがいも
- おくら
- シソ
- 小松菜
- 水菜
- レタス
プランターの準備方法
まずはプランターの底に鉢底ネットを敷き、その上に鉢底石を敷き詰めます。鉢底石はあらかじめネットなどに入れておくと、野菜栽培後に培養土と分別しやすいので便利ですよ。
鉢底石を敷き詰めたら、プランターの8分目まで野菜用培養土を入れます。プランターの両サイドを手で持ち、軽くゆすって培養土を落ち着かせたら、表面を手の平で軽く平らにならしておきましょう。
家庭菜園での育て方!野菜別の一覧
各種野菜の育て方はこちらをご覧ください。
冬季でも収穫可能!簡単室内栽培の方法
室内で野菜を育てると、料理の最中にカットして盛り付けることもできるので便利ですね。もやしや、葉物・薬味野菜は、キッチンで簡単に栽培することができますよ。
ビンを使ってのもやし栽培
もやしは1週間ほどで収穫できます。栽培適期は温度が高すぎない時期のため、冬でも栽培が楽しめます。
- もやしの種(必ず、もやし用に販売されている種を使用すること)
- 清潔なビン(広口の物がおすすめ)
- ボウル
- 茶こし
- 輪ゴム
- ガーゼ
- アルミ箔
- ボウルの中に水と種を入れ、軽く洗います。浮いたゴミは取り除きましょう。
- 茶こしに種をあけてしっかりと水気を切り、ビンの中に入れます。目安は底一層分程度にします。
- 種の厚さの5~6倍の高さまで水道水を注ぎます。
- 瓶の口をガーゼで覆ったら輪ゴムで留めておきましょう。室内で一晩おき、種に吸水させます。
- 翌日、ガーゼを付けたままビンの中の水を捨てます。ガーゼを付けたまま水道水をビンの中に注いで、軽くビンを振って水を捨てます。これを3回ほど繰り返します。
- アルミ箔を準備します。1つはビンの周囲をぐるりと巻ける長さのもの、もう1つは30cmの長さに切ったものを準備します。
- 長さ30cmのアルミ箔でビン口を覆い、もう一つのアルミ箔でビンの周囲を隙間ができないようにぐるりとまきましょう。最後に下部で閉じておきます。
- 育成中はなるべく暗く涼しい場所に置きましょう。
- 朝と晩の1日2回、アルミ箔を外してビンの中に水道水を注いで洗浄し、しっかりと水を切って管理してください。
- 7~10日間経過し、胚軸(茎になる部分)の長さが約6cmになったら食べることができますよ。
ペットボトル容器を使っての水耕栽培
ペットボトルを半分にカットし、上部分を逆さにして下部分にセットするだけで、ペットボトル植木鉢が完成します。小松菜やレタス、三つ葉などお好みの野菜を育ててみてください。
- お好みの種
- 500mlペットボトル
- 台所用のスポンジ
- カッター
- 100円均一などで販売しているカゴ付きタッパー
- 水耕栽培用液肥
- 台所用スポンジを用意し、1.5~3cm角の立方体にカットします。
- 立方体の中心にカッターで十字の切込みを入れます。
- カゴ付きタッパーを重ね、カゴの中に水を染み込ませたスポンジを並べます。
- スポンジに入れておいた十字の切込みに、お好みの野菜の種を2~3粒入れましょう。
- タッパーに水を入れたら蓋をして、発芽するまで水替えしながら明るい日陰にて管理します。
- 本葉が2~3枚になったら、育成の悪い苗を間引いておきます。
- 本葉が4~5枚になったら、ペットボトル容器に移しましょう。ペットボトルの上部をひっくり返した飲み口部分にスポンジを入れます。
- ペットボトルの下部分の容器に水を入れます。根を上部の口から出して、下の容器の水に浸かるようにしてください。
- 水耕栽培用の液肥を入れ、その後も根が水に浸かるよう管理しましょう。
- 草丈が伸びて野菜が成長したら(各種種袋をご覧ください)収穫してください。
簡単!家庭菜園のまとめ
初心者にもできる!簡単家庭菜園の方法や野菜作りのコツ、必要な準備物についてご紹介しましたが、皆さんいかがでしたか?
何を作るか?どこで育てるか?どのくらいの期間栽培するかを調べ、栽培に適した土作りを行うことが重要なポイントでした。
ベランダや室内で栽培可能な野菜もあるので、気軽に育成を楽しみましょう。慣れてきたら果物栽培に挑戦してみても良いですね!