主にジャガイモが感染してしまう病気のひとつ「そうか病」。家庭菜園やガーデニングの楽しい雰囲気を壊してしまう厄介な病気です。
そうか病にならないようにするには、普段からの予防や、病気にならないような環境作りが何よりも大事になってきます。
この記事では、そうか病についてご紹介していきます。基本的な情報や感染しやすい植物、予防策について詳しくご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
そうか病の基本情報
まずは、そうか病の基本情報についてご紹介します。病原が何でどんな特徴があるのかを把握することで防除策を講じやすくなります。
子嚢菌や細菌が原因で発症する
そうか病は、じゃがいもやみかんなどの柑橘類などに起こる病気のひとつで、子嚢菌や細菌が原因で発症します。
子嚢菌や細菌はアルカリ性の土壌で活性化することが分かっています。
数年、化成肥料の使用を続けることで土壌はアルカリ性に変質します。その影響もあってか発生が増加している病害です。
そうか病にかかってしまう原因について
子嚢菌や細菌は植物の傷口から侵入し、そうか病を発生させてしまいます。そのため、植物に傷をつけるような行為は避けるようにしましょう。
具体的には植物の葉っぱをかじるような虫をこまめに駆除する、傷口が乾きやすいように植物を切る日を天気の良い乾燥した日にするなどが挙げられます。
そうか病にかかりやすい植物について
そうか病はじゃがいもや柑橘類などによく発生する病気です。じゃがいもと柑橘類とで原因となる菌が異なり、対処法や防除策も異なるので注意しましょう。
そうか病が発生しやすい時期や条件について
そうか病の原因となる菌は、発生する植物によって異なります。じゃがいもは「放線菌」、柑橘類は「糸状菌」が原因です。
じゃがいものそうか病が発生する条件について
じゃがいものそうか病は植え付けた時に感染します。原因である放線菌は、特にアルカリ性の土で活性化しますので、植え付ける時に土壌がアルカリ性になっていないかどうかチェックしておきましょう。
柑橘類のそうか病が発生しやすい時期について
柑橘類にできるそうか病の原因の糸状菌は、湿気が多く日照時間の短い梅雨時期で活性化します。
また、4月中旬ごろまでに雨の量が多く、かつ日照時間が短くて低温が続くと、梅雨に入るよりも早く発症する傾向にあります。
じゃがいものそうか病について
じゃがいもでそうか病が発症すると、表面にかさぶたのような病状が現れます。症状がひどくなると表面を覆いつくすほどとなり、そうなれば本来ある皮は原型を留めません。
じゃがいものそうか病は「隆起型」と「陥没型」の2つに分かれます。
隆起型とは、そうか病が発生したところがほかの組織よりも盛り上がっているものを指し、陥没型とは、そうか病が発生したところがほかの組織よりも凹んでいるものを指します。
病状が似たものに「粉状そうか病」があります。病原菌や発生条件、対策方法が違うので注意しましょう。
じゃがいものそうか病を防ぐ対策について
じゃがいものそうか病が起きる原因は下記の通りです。
- 茎を形成するときの土の温度が20℃以上
- 乾燥
- 土壌がpH5.2以上のアルカリ性
- 根菜類の連作や過作、短期で輪作すること
- 粗大有機物の使用
- 無病種イモ以外の使用
上に挙げられた要因を、いかに避けるかということが大切です。この項目では、要因のいくつかについて具体的にご説明します。
じゃがいものそうか病には「硫安」を使用する
通常、土壌は酸性になっていることがほとんどですが、石灰の撒き過ぎなどでアルカリ性になっていることがあります。
土壌がアルカリ性ですと、じゃがいものそうか病の原因菌が活発になりますので、注意が必要です。
土壌がアルカリ性になっている場合、「硫安」を散布することでpH値をコントロールし、そうか病の発症を抑える効果が期待できます。
じゃがいものそうか病には「フロンサイド」を使用する
「フロンサイド」とは、じゃがいものそうか病や粉状そうか病などの病害に有効な土壌殺菌剤です。アルカリ性を酸性にするなど土壌に働きかけるものではなく、菌そのものに作用します。
取り扱いに専門的な資格や許可は必要なく、ホームセンターやAmazonなどのネットショッピングでも購入可能です。有効期限は3~5年で、石灰と混ぜることでより効果が期待できます。
じゃがいものそうか病対策として米ぬかを土壌に混ぜる
じゃがいものそうか病対策として、播種直前に米ぬかを土壌に混ぜるという方法があります。播種とは種を蒔くことであり、じゃがいもでは、春におこなう植え付けのことを指します。
種直前に米ぬかを土壌に混ぜることで、そうか病の原因菌に対抗できる菌群を増加させられます。他の菌が増えることで、原因菌の密度が薄くなるというのが利点です。
注意点としては、黒ボク土壌で効果が見られたものの、他の土壌で同様の効果が期待できるか分からないことです。黒ボク土壌とは主に鹿児島県で見られる、火山灰由来のリン酸吸収係数が高い土壌のことを指します。
そうか病にかかったじゃがいもは食べられるのか
結論から記載しますと、そうか病にかかってしまったじゃがいもであっても食べることは可能です。
そうか病はじゃがいもの表面にできる病ですので、そうか病になってしまった箇所を削り取れば問題なく食べられます。
ただし削り取ってしまった分、食べられる部分が減ってしまう点には留意が必要です。
そうか病にかかった箇所を食べてもすぐに体調に変化が出る訳ではありませんが、そうか病が発病している所の皮は厚く削り取りましょう。
みかんなど、柑橘類のそうか病について
柑橘類のそうか病は主に葉や果実、枝に発症します。柑橘類のそうか病ではじゃがいものように表面が出っ張ったり凹んだりせず、ざらざらとしたかさぶた状の病斑が現れます。
果実では、葉に比べて潜伏期間が少し長く、古くなると発症しなくなります。発生時期は主に梅雨ですが、気温が低く湿度が高い日が続くなど一定の条件が揃えば秋にも感染することがあるので注意が必要です。
柑橘類のそうか病を防ぐ対策について
防除方法としては、下記のような方法が挙げられます。
- 苗木から10年の間は発病しやすいので、特に防除を徹底する
- 新植する際は発病のないものにする
- 症状のある枝はできるだけ切り取る
- 窒素肥料をやりすぎないよう注意する
- 水はけや通気性を良くする
そうか病にかかった柑橘類は食べられるのか
柑橘類もじゃがいもと同様、そうか病にかかってしまっても食べることができます。
しかし、皮が厚くなってしまったり、味が落ちてしまったりするため、もし食べるのであればよく考えた方が良いでしょう。
粉状そうか病とは
粉状そうか病とは、じゃがいもの地面に埋まった所のみにできるそうか病です。
じゃがいものそうか病の原因が放射菌に対し、粉状そうか病の原因は原生生物ですので、じゃがいものそうか病と対策方法が違う点に注意が必要です。
粉状そうか病を防ぐ対策について
対策として無病種いもを使用する、水はけの悪い土壌で作物を作らない、オラクルやガスタードといった農薬を散布するなどの方法があります。これらの農薬はホームセンターやAmazonなどで購入可能です。
また、病原菌となる原生生物は酸や熱に強いので、粉状そうか病になったじゃがいもを堆肥にしたり、家畜のエサにしたりする際には十分注意しましょう。
そうか病のまとめ
そうか病について理解できたでしょうか。そうか病にかかると表面にかさぶたのような病斑ができるため、ほかの病気と比べて簡単に発見できます。
そうか病はじゃがいもにできるものと柑橘類にできるものの2つに分けられますが、対策法を押さえておけば、どちらのそうか病も問題なく対処可能です。
そうか病にかかってしまったじゃがいもや柑橘類は食べても大丈夫ですが、可食部が少なくなる、味が落ちるといったデメリットがありますので、食べる場合は良く考えましょう!