病気

白絹病ってどんな病気?症状や対策について

植物がかかる病気のなかには、一度感染してしまうと治すことができないものもあります。今回ご紹介する白絹病も治せない病気のひとつです。

白絹病はカビなどが原因の伝染病の一種で、菌から出る糸が網のように張り、植物を立ち枯れさせてしまう病害です。根に現れ、掘り返すと根全体が白くなります。

この記事では、そんな白絹病についてご紹介していきます。基本的な情報や、かかりやすい植物、予防策について詳しく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

白絹病の基本情報

白絹病は糸状菌などのカビや、スクレロチウム、ロルフシといった病原菌などが原因で感染してしまう病気です。特にナス科やウリ科の植物がかかりやすいと言われています。

発症すると根や根元が白っぽく変色し、これを放置してしまうと株や茎が腐り、葉は黄色く変色します。植物を枯らした後の病原菌は土のなかで越冬し、春になると土から別の植物に感染して繁殖します。

白絹病の読み方は?何と読む?

白絹病は「しらきぬびょう」と読みます。白絹病に感染し、根元が白くなった時の形状が絹の形に似ていることから、この名前が付けられています。

白絹病にかかりやすい植物について

白絹病はナス科やウリ科の植物をはじめ、160種類以上の植物が感染する病気です。そのなかでも特に感染しやすいものが下記のとおりです。

野菜

  • キュウリ
  • ナス
  • タマネギ
  • カボチャ
  • トマト
  • ニンジン
  • ネギ
  • ピーマン
  • 落花生
  • すいか
  • いちご
  • ネギ

  • フジバカマ
  • キク
  • アルストロメリア
  • ハンゲショウ
  • 沈丁花

白絹病が発生しやすい時期について

発病時期は25℃前後で、30℃を超えると活動が活発になり、菌が増殖しやすくなります。そのため、6~10月の暑い時期は特に注意が必要です。

また、風通しの悪い場所や湿度の高い場所を好む性質を持っています。

白絹病に有効な予防方法について

白絹病の特徴や基本情報が分かったところで、この項目では、白絹病に有効な対策方法についてご紹介します。さまざまな方法があるのでチェックしておきましょう。

石灰を混ぜて土の環境を改善する

石灰には酸性になった土壌を中和する作用があります。酸性から中性に変化し、pH値が下がると白絹病は繫殖しにくくなるので、石灰は非常に有効です。

種を撒いたり苗を植えたりする数か月前にあらかじめ土に石灰を混ぜておき、土の環境を改善しておきましょう。石灰はホームセンターや通販で購入できます。

熱湯をかける

白絹病の病原菌は、49℃以上の環境下に10分以上さらすことで死滅させられます。そのため、白絹病を早期に発見できれば、熱湯を感染箇所にかけることで、それ以上の被害拡大を防ぐことが可能です。

ただし、白絹病は感染力や繁殖力が高い病害ですので、ある程度広がってしまうと熱湯で完全に白絹病を断ち切るのは難しくなってしまいます。

そのため、植物をよく観察することや、上記のようにあらかじめ土に石灰を混ぜておくなど、予防することが何よりも大事です。

ベンレート水和剤などの治療殺菌剤をローテーションさせる

白絹病に感染する前に、あらかじめベンレート水和剤などの治療殺菌剤を散布しておくことで、感染や被害の拡大を防げます。

しかし、同じ治癒殺菌剤を繰り返し何回も使用すると、その治癒殺菌剤に耐性を持つ白絹病が生まれてしまうので、ベニカXやSTサプロール乳剤などとローテーションさせながら散布しましょう。

これらの治癒殺菌剤はホームセンターや通販で購入が可能です。

水稲との輪作にする

白絹病の病原菌は水に漬けたままにしておくことで死滅させられます。そのため、土壌を冠水させて菌を死滅させるために、水稲との輪作にするのは効果的です。

例えば、1年目にナス、2年目は米、3年目はトマトといった具合です。

天地返しをおこなう

天地返しとは、土壌を深いところまで掘り起こし、深いところにあった土を表面に、浅い部分の土地を深いところに入れ込むことを指します。

白絹病は土の浅い部分で繁殖する性質がありますが、深いところでは繫殖できずに死滅します。そのため、天地返しも有効なひとつの手段と言えます。

また、気温の低い時期におこない、寒気に当てるとよりよい耕土になるほか、数年に1度おこなうことで土中の窒素量が増え、作物ができやすくなるなどの効果も期待できます。

土を掘り起こす作業ですので重労働になることがデメリットですが、メリットの方が大きいので、チャレンジしてみましょう。

土壌を黒いビニールシートで覆う

上記の熱湯の項目でもご紹介しましたが、白絹病の病原菌は49℃以上では死滅します。そのため、太陽の光を利用して、土壌の表面を高温にするのもひとつの手です。

方法は、土壌を黒いビニールシートで覆っておくだけです。黒は熱や光を吸収しやすいので、太陽光のエネルギーを効率よく集められます。

白絹病にかかったものは焼却処分する

白絹病に感染したものを放置しておくと、それがたとえ枯れてしまったものでも感染源になってしまいます。白絹病に感染したものは焼き払ってしまいましょう。

もし、焼却するのが難しい場合は、隔離するだけでも効果があります。

白絹病の個別の対策方法について

ここまで、白絹病の特徴や予防策についてご紹介しました。続いて、家庭でよく栽培される植物を3つピックアップし、個別の対策方法について見ていきます。

ネギにおける白絹病について

ネギは、高温多湿な日が続くことや連作などで白絹病に感染してしまいます。ネギが白絹病にかかると葉鞘が淡い褐色に変化し、地面に絹のような白い糸で覆われます。

症状が進行すると、感染した部分が完全に褐色へと変化して腐敗します。そのほか、葉っぱが黄色に変化したり、特にひどいとネギ自体が倒れてしまったりします。

対策としては水稲との輪作にする、水はけを良くする、連作を避ける土壌微生物相を豊かにするなどが挙げられます。

エバーフレッシュ(観葉植物)における白絹病について

白絹病はエバーフレッシュやオリーブといった、マメ科の観葉植物が感染しやすい病気でもあります。

感染すると葉鞘の表面に白い糸のような組織を形成します。症状が進むと組織が密生し、褐色の種子のようなものを形成します。ひどい場合には色が褐色から黒色へと変色し、株自体が立ち枯れしてしまいます。

薬剤で土を消毒する、水はけを良くする、風通しを良くする、病気に感染したことのある土を使用しないなどの対策方法があります。

クラピアにおける白絹病について

クラピアとは、芝生のように地面を覆う「グランドカバー・プランツ」の一種です。成長が早く、丈夫で育てやすいことから、近年注目されている植物です。

クラピアは植えることで地面がキレイに見えるようになることはもちろん、雑草の繁殖を抑える、土壌の流出を防ぐなどの効果も期待できます。

そんなクラピアの天敵が白絹病です。白絹病に感染してしまうと茶色に変色して腐敗し、5~20㎝ほどの円形に広がります。また、掘り返すと根が白く変色しています。

対策としては、植える前にあらかじめ殺菌剤を散布しておくことや、白絹病に感染した箇所をスコップで掘り起こして処分することです。

この時、使用したスコップで他の植物に触れると感染してしまうので、スコップは必ず洗うようにしましょう。

白絹病のまとめ

いかがでしょうか。

白絹病は160種類以上の植物に感染する病気で、一度発症すると完治させることが難しく、土の中で越冬するので、非常に厄介な病害です。

しかし、白絹病の病原菌は熱に弱いため、発症してしまうまえにあらかじめ予防策を講じておけば、そこまで怖い病気ではありません。

この記事を参考に、白絹病の予防や対策をおこないましょう。

この記事のおさらいポイント
  • 白絹病はカビやロルフシといった菌が原因で発症する病気
  • 白絹病を発症してしまうと、完治させることが難しい
  • 白絹病は160種類以上の植物に感染する
  • 6~10月などの暑い時期には特に注意が必要
  • 病原菌は熱に弱く、対策をしっかりしていれば怖くない