家庭菜園・果物の栽培

【初心者】シャインマスカットも栽培・育て方(鉢植えや剪定について)

シャインマスカットは果粒が楕円形で、黄緑色の葡萄です。皮ごと食べることが出来るうえ、糖度が20度以上と非常に甘く美味しいため、とても人気の品種です。

今回はシャインマスカットの栽培方法や育て方、鉢植えでの栽培方法や剪定などについて、ご紹介します。

シャインマスカットについて

マスカット(葡萄)は、ブドウ科ブドウ属のツル性落葉低木です。中近東地方が原産地だと言われています。日本では2006年に安芸津21号と白南を交配し、品種登録されました。

ヨーロッパ葡萄の香りや食感、果皮ごと食べられることを兼ね備えた、白色系大粒品種です。軽く洗って皮ごと食べたり、ジュースやワインにして楽しむことができます。

栽培難易度は?栽培マニュアル

マスカットは、園芸店などで苗木を購入して植え付けます。植え付けは春か秋の休眠期がおすすめです。

土壌適応幅が広く乾燥に強いため、粘土質の土や荒れた土壌でも十分育ちます。また、新しく伸びた枝=新梢(しんしょう)を剪定時にカットしてしまっても、花が付きやすい性質を持っています。

しかし、マスカットは病気に弱く薬剤の散布と雨よけが必要なため、栽培初心者には少々難易度が高いでしょう。

花の満開時と満開後の2回、植物ホルモンの1つである“ジベレリン”の成長調整剤を施すと種なしの果実が収穫できます。

マスカットは1本で結実するため、受粉樹は不要です。露地栽培や鉢植え栽培、プランター栽培も可能です。

露地栽培の場合はぶどう棚を、鉢植え栽培の場合は支柱を立てて巻きひげ(ツル)を誘引してあげましょう。

土と準備物

植え付け時に枝を剪定するため、雨水や雑菌の侵入を防ぐトップジンMペーストも準備しておくと良いですね。

鉢植え・プランター栽培

鉢植えの場合、10号以上の植木鉢を使用します。プランター栽培の場合は、60cm以上のプランターを用いてください。

初心者には、管理が楽で用土が乾きにくいプラスチック製の鉢やプランターがおすすめです。

土は、特に決まったものはありませんが、庭をお持ちでしたら庭土でも構いませんし、市販の草花用培養土を利用しても良いですよ。鉢底ネットや、鉢底石も準備しておきましょう。

露地栽培

マスカットは加湿を嫌うため、なるべく日当たりと風通しの良い場所を選んでください。植え付けの2週間前にスコップなどで植え穴を掘って石灰をまき、40~50cmの深さまで、しっかりとかき混ぜておきます。

苗木を植え付ける

鉢植え・プランター栽培

容器の底に、鉢底ネットと鉢底石を敷いておきます。ポリポットから慎重に苗木を抜き取ったら、根を手でほぐし、水を入れたバケツの中にしばらく浸けておきましょう。

その間に、容器の中に土を半分ほど入れます。バケツから苗木を取り出し、根を少し広げて、そっと土の上に置きます。

苗木を手で支えながら、株の周りに用土を足していきます。接ぎ木部分(茶色く、細い切り株のような部分の先端)が、用土に埋まらないように注意しましょう。

容器の8分目まで土を入れたら、手で土をしっかりと押さえてあげます。あんどん型(朝顔栽培に多い)に支柱をさしたら、苗木の芽を3~5つ残して枝をハサミでカットしましょう。

切り口に、トップジンMペーストを塗っておくと育成が良好になります。植え付け後は土と根を馴染ませるため、鉢底から水が流れ出るくらいまで水を与えましょう。

露地栽培

木を大きく育てたい場合は、直径1.5m×深さ40~50cmの植え付け穴を掘ります。マスカットの枝は、根が広がっている範囲に伸びていきます。

そのため、木を大きくしたくないという場合は、直径を半分にしましょう。穴に用土を半分戻したらポリポットから苗木を取り出し、根っこを四方に広げて植え付けます。

接ぎ木部分が土に埋まらないように浅く植え付けてくださいね。苗木の周りには土を軽く寄せておいてください。

その後は、芽を3~5つ残して枝をハサミでカットしておきます。切り口にトップジンMペーストを塗りましょう。

仕上げに、株元の土が泥状になるまでたっぷりと水を与えてください。株元にワラを敷いておくと、乾燥を防ぐことができます。市販の果物棚やアーチに巻きひげを絡ませて育てましょう。

栽培管理の仕方

追肥

新梢の伸びが悪い・葉の色が薄い場合は、6~9月にかけて即効性の高い化成肥料を追肥します。鉢植え栽培の場合、適期中に数回ほど土の表面全体に散布しましょう。

露地栽培の場合は、株を中心に円を描くように化成肥料をまき、シャベルで軽く土と混ぜて、最後に地面を平らにしておきます。収穫後はお礼肥もしておきましょう。

水やり

鉢植え栽培の場合は、鉢底から流れ出るくらいの水を与えます。年中土の乾燥具合を見て、水をやるようにしてください。

露地栽培の場合、新梢が伸びる時期の水不足を怠ると、その後の育成に悪影響を及ぼします。

露地栽培は基本的に水やりの必要はありませんが、天気が良い日が続いた際は、朝夕の涼しい時間帯に水やりをしましょう。

株元にワラを敷いておくと、乾燥を防ぐことができるためおすすめです。11月~4月の寒い時期には、水やりの必要はありません。

芽かき

マスカットは4~5月頃に、計2回の芽かき(脇芽の摘み取り)を行います。1回目は、1つの芽から2芽以上生えている時で、大きい芽だけを残して他は全て摘み取ってください。

2回目は新梢の数を減らす際に行います。芽が枝に左右交互についているので、片側だけに芽が偏らないよう、ジグザグ間隔に葉の付け根を摘心してください。

ベジレリン処理について

マスカットの育成には、ベジレリン処理が欠かせません。ベジレリンはもともと自然界にある植物ホルモンで、植物の体内にあり、成長に関わる働きをしています。

処理をすると植物ホルモンの働きを強め、果物を肥大させたり、種なしにする効果があります。処理の適期は5~6月中旬頃です。

房が花咲く満開の2週間前と、満開約2週間後に行います。満開2週間前は、つぼみの塊が少しばらけて房に隙間が見えた頃。

満開から2週間後は、果粒がマッチ棒の先端(火薬部分)の大きさに変化した頃です。処理の方法は以下の通りですので、参考にしてください。

薬剤使用手順
  1. ペットボトル容器の上部にキャップをしたものをコップ代わりにし、ベジレリン溶液を入れます
  1. 花房の全体を薬剤液に浸して、すぐに引き上げます
  1. 色粉を使い、花房についた処理液の具合を確認しましょう(処理液に浸かっていない部分があると、そこだけ種アリになり、成熟時期も遅れます)

摘粒について

房に粒が隙間なくついていると、内側にある果粒が押しつぶされてしまうため、房の内部に隙間を作るよう摘粒(てきりゅう)します。

摘粒の適期は6~7月の満開2週間後~果実育成初期頃です。房の果粒がくっつき合っていたら、房の外側についている粒をハサミなどで切りとりましょう。

その際、形の悪い粒や傷んでいる粒、実がなっていない軸も取り除いておきます。房の中にハサミを差し込んで小さい果粒もカットし、隙間を作ってあげます。房の軸を曲げられるようになれば完了です。

袋かけについて

摘粒後に袋かけを行います。袋掛けを行うことで、病害虫被害や鳥害、雨や日焼けから果粒を守ることができます。

袋は一般的に紙製の物を使用しますが、代わりに、傘(日よけ効果がある紙製の傘)をかけても良いですよ。

袋の口には隙間ができないよう、しっかりと折りたたみ、針金などを巻き付けておきましょう。

収穫しよう

8~10月頃に果実が成熟します。収穫適期は果皮の色をチェックしてください。果皮が黄色くなったら食べごろです。

黄色くなればいつ収穫しても大丈夫ですが、より黄色になるにつれ、糖度が増していきます。

剪定について

収穫後に落葉すると、枝が休眠に入ります。来年の育成のため、12月~3月頃に枝の剪定を行いましょう。剪定ばさみで、主枝の先端から1m程の長さをカットします。

節と節の間でカットしてもOKですが、寒冷地では枝の枯れ込みを防ぐため、残す芽の1つ先の芽の部分でカットしてください。

素朴な疑問Q&A

病害虫はつきますか

病気は、葉の表裏にカビが発生するべと病や、白い粉状のカビが出るうどんこ病、黒い斑点が発生する黒とう病などがあります。

べと病は見つけ次第、被害部位を取り除いてください。病原菌は雨で広がるため、雨よけ対策も忘れずに。

うどんこ病の場合も被害部位は取り除き、庭の外で処分してください。散水によって被害を防ぐことができますよ。

黒とう病も、発見次第すみやかに被害部分を取り除きます。巻きひげも極力処分するようにしてください。

被害が深刻な場合は、イデクリーン水和剤などの薬剤を散布します。害虫は、スカシバ類やコウモリガ、ブドウトラカミキリやコガネムシ類などがつきます。

スカシバ類の幼虫が侵入した部分は枝が膨らんでいます。虫ふんやヤニを噴出した部分の中にいる幼虫を探し、捕殺してください。コウモリガは枝や幹に食入するため、幹に開いている穴に針金を入れて刺殺します。

ブドウカミキリは新梢や母枝を食害するため、幼虫のいる枝はすぐに剪定し、庭の外で処分してください。コガネムシ類は葉を食い荒らしますので、見つけ次第捕殺しましょう。

シャインマスカット栽培のまとめ

シャインマスカットは、芽かきやベジレリン処理、摘粒や袋掛けなど、様々な手入れが必要だと分かりました。

明るく風通しの良い場所で支柱などを立てて栽培し、ご家庭で美味しいシャインマスカットを収穫しましょう。