家庭菜園・果物の栽培

【初心者】キウイフルーツの栽培・育て方のコツ(ツルの誘引や人工授粉など)

キウイフルーツは、ビタミンCなどの栄養素が豊富な果物です。爽やかな酸味が特徴的で、栽培が難しそうに感じられますが、実は一般家庭でも育てやすい果樹なんですよ。

今回は、初心者でもできるキウイフルーツの栽培方法や育て方のコツ、ツルの誘引や人工授粉などについてご紹介していきます。

キウイフルーツについて

キウイフルーツは中国南部原産の、マタタビ科に属するツル性の落葉果樹です。皮は薄茶色で、表面にまんべんなく産毛が生えています。

キウイにはビタミンCやカリウム、食物繊維が豊富で、アクチニジンというタンパク質分解酵素(肉を柔らかくする成分)も含まれています。

キウイは皮をむかず半分にカットしてスプーンですくって食べたり、皮をむいて生食でいただきます。ミキサーにかけてスムージーにしたり、加熱してジャムにすることもできます。

キウイの種類

一般的なヘイワード(グリーンキウイ)の他に、現在では様々な品種のキウイが生産されています。

ヘイワード(グリーンキウイ)

スーパーなどでよく見かけるグリーンキウイの多くがこの品種です。重さは100g前後、熟すと果肉が美しい緑色になります。育てやすく、甘みや酸味のバランスが良いのが特徴です。

ゼスプリゴールド

ゼスプリ社が日本人の味覚に合わせて開発した品種です。重さは100g前後で、やや細長い形をしています。果肉が黄色で甘みが強く、皮の産毛がほぼないのが特徴的です。

香緑(こうりょく)

ヘイワードの自然交雑から誕生した酸味の少ない品種です。重さは100g前後で、形はやや細長い円筒状。果肉は濃いエメラルドグリーンで、皮には産毛が多く生えています。

紅妃(こうひ)

中心部が苺のように紅く熟し、とても甘い少し小ぶりなキウイです。開花・成熟・結実までの育成機期間が短い品種です。

スーパーエメラルド

育てやすく初心者にもおすすめの品種です。重さ100g前後で、果肉は美しいエメラルドグリーン。甘くジューシーで、この木1本で果実が付きます。

ベビーキウイ

長さ2~3cmとサイズが小さい品種です。皮は緑色、産毛がないのでそのまま食べることができます。

ベランダ栽培や北海道での栽培もOK!キウイの育て方

キウイは特別な栽培方法はなく、薬剤の散布もないので、一般家庭・初心者でも育てやすい果樹です。

日光を好むため、日当たりの良い場所にて育てましょう。菜園や庭に植えるスペースがなくても、鉢植えにしベランダなどで栽培することができますよ。

暑さ・寒さにも強いので、日本中どこでも栽培が可能です。キウイは雌雄異株(しゆういしゅ)と言って、雄花だけが咲く木と、雌花だけが咲く木に分かれます。

果実を実らせるには、雄木と雌木の2本を共に育てる必要があります。栽培スペースがない場合、 市販の受粉用花粉を利用しましょう。

1本で結実するスーパーエメラルドの育成も手軽ですよ。キウイは苗の植え付けから約4~5年で果実を収穫できるようになります。

関東よりも西の地域は10~12月頃、東北などの気温が低い地域では2~3月頃が苗植えの適期となります。

土作りと準備物

鉢植え栽培の場合は、10号鉢以上の大きなものを用意します。土は市販の果樹用土を利用すると簡単です。

用土を利用しない場合は、赤玉土と腐葉土を6:4の割合で混ぜたものを使用しましょう。鉢の底に敷く、鉢底ネットと鉢底石も準備しておきます。

露地栽培の場合は、雄株と雌株が植えられるスペースが確保できる、日当たりと水はけの良い場所を選んでください。

株間は約3m以上とることが理想的です。キウイは丈夫で育成が旺盛なため、近くに民家がなく、他の植物も植えられていない場所が良いですね。

露地栽培の場合、植え付けの4週間前から土作りを開始します。植え付ける位置をシャベルなどで約30~40cm掘り起こし、掘り上げた土に苦土石灰をまいて、よくかき混ぜておきます。

石灰をまいて2週間が経過したら、土に腐葉土(葉が腐敗してできた土)を混ぜ、更に2週間ほど土を寝かせておきましょう。

苗木の植え方

苗木の植え付けは10月~3月に行います。お住まいの環境に合わせて植え付けを行ってくださいね。

鉢植え

鉢底に鉢底ネットを敷き、その上から鉢底石を敷き詰めます。野菜用土、または赤玉土と腐葉土を鉢の3分の1程度まで入れます。

キウイの苗を取り出して鉢の中心に置き、土を入れていきます。植え付けたら水をたっぷりと与えましょう。その後は土の表面が乾いたら水をあげるようにします。

地植え

株間3m以上あけて、キウイの雄株と雌株を植え付けます。植え穴に土を戻す際に、乾燥鶏糞かバーク堆積(樹皮を発酵させた有機質肥料)を少量混ぜ込むと良いでしょう。

栽培棚とツルの誘引について

露地栽培の場合は、植え付け後に支柱と支柱の天井をつないで栽培棚を作り、キウイのツルを絡ませながら育成します。棚は市販の果物用棚セットを使用すると簡単です。

ツルの誘引方法は2種類あります。どちらもツルを40~50cm間隔で育成させましょう。

誘引方法
  • Tバー仕立て…成長が早くしっかりとした2本の枝を、互いに反対横方向へ伸ばして成長させる方法
  • 棚仕立て…しっかりした1本の枝だけを選び、成長させる方法

苗木には約2mの支柱を立て、まっすぐに誘引させます。苗を植えてから2~3年はツルをしっかり成長させましょう。そうすると、しっかりとした果実を実らせることができますよ。

追肥について

キウイは年に2~3回追肥します。鉢植えの場合は6月と9月に。露地栽培の場合は7月と9月です。

有機質肥料(油粕・魚粕など)か、粒状堆肥(効果が持続する土壌改善剤)をキウイの株元にまきます。

人工授粉について

キウイは人工受粉をした方が確実に実が付きます。初心者は両性花が咲くスーパーエメラルドの育成がおすすめです。(実付きをよくするトムリを隣に置くとなお良い)

それ以外の品種を育てたい方は、10m以内の範囲で雄雌両方の苗を一緒に育てることをおすすめします。黄色系メス×黄色系オス、緑色系メス×緑色系オスなど、同じ色の雄雌を掛け合わせましょう。

ヘイワードや香緑などのグリーン系雌木を育てる場合は、トムリの雄木を選ぶと開花時期が重なります。

紅妃やゴールデンキング、ジャンボイエローなどの黄色系雌木には、早雄(そうゆう)がおすすめです。

受粉の仕方
  1. 開花直前~当日開花の雄花(葯と花糸のみある花)を、早朝に摘み取る
  2. 摘み取った雄花の葯(やく…花粉が入った袋)をハサミで切りとる
  3. 新聞紙などに広げて常温で一晩置いておく(一晩置くと葯が開いて花粉が放出される)
  4. 花粉が放出された葯をふるいにかける
  5. 花粉を採取し、清潔な筆を使って、花が開いた雌花の柱頭にまんべんなく付ける

剪定について

剪定適期は1月~2月です。果実が付いたツルに3~5つの芽を残して、その先をカットします。

枝の充実具合を見て長さを調整しましょう。太い枝は長めに、細い枝は短めにカットすると剪定がしやすいです。

剪定後は風による枝折れを防ぐため、市販のテープナーで棚に枝を固定すると良いでしょう。

収穫しよう

苗植えから約4~5年で収穫できますが、キウイは追熟させて食べるため、果実が硬い状態で収穫します。

果実を片手で包み、親指で葉から果実までの枝部分を押すと簡単に実が外れます。収穫したものは常温で2週間保存し、柔らかくなったら食べ頃です。

素朴な疑問Q&A

病害虫はつきますか

キウイは、かいよう病にかかることがあります。細菌性の病気で、傷口から侵入し、キウイの発芽直前の3月~4月に発生します。

枝に傷をつけないよう注意し、剪定した枝の切り口には市販の殺菌剤を塗っておくと良いでしょう。

カメムシやコガネムシがつくこともあるので、大量発生した際は専用の薬剤を散布してみてください。また害虫ではないのですが、キウイはマタタビ属の植物なので、猫が寄ってくることがあります。

幼木に猫がじゃれつくと木が転倒したり傷がついてしまうことがあるので、木の近くに猫除けグッズなどを置いておくと良いでしょう。

挿し木の仕方を教えてください

キウイは挿し木よって増やすことができます。前年に伸びた枝を2~3節にカットして3月頃植える方法と、今年伸びて固まった枝を2~3節にカットして6月頃植える方法があります。

キウイフルーツ栽培のまとめ

キウイフルーツの栽培方法や育て方のコツ、ツルの誘引や人工授粉などについてご紹介しましたが、皆さんいかがでしたか?

キウイは日当たりと水はけが良い場所で、雄雌両方の木を一緒に育てることがポイントでした。皆さんも、ぜひご家庭でキウイを栽培を楽しんでくださいね。