アーモンドは、栄養価が高くクセがなくて食べやすい果実です。チョコレートやクッキーをはじめとするお菓子の材料やトッピング、和え物などの料理にも使われています。
おつまみや小腹がすいた時のおやつにぴったりなアーモンドは、乾燥した温暖な気候を好みます。環境が適していれば、自宅で栽培することができますよ。
そこで今回はアーモンドの育て方を詳しくご紹介していきます。
アーモンドの基本情報
アーモンドはバラ科サクラ属の落葉高木です。樹高は5~6mほどになり、モモやアンズ、ウメと同じ仲間となります。
果樹としてはクルミやクリなどと同じ「堅果類」で、種の中に入った「仁」という部分を食べます。
和名は「扁桃(へんとう)」といい、原産地はアジア西南部。現在は主にアメリカやオーストラリアで栽培されています。
ちなみにアーモンドにはスイートとビターがあり、食用できるのはスイートの方です。ビターアーモンドはアーモンドエッセンスなどに加工されて流通しています。
ビターアーモンドには「アミグダリン」という一定量以上摂取すると有毒とされる成分が含まれているので、日本では食用としての種の輸入が禁止されています。
栽培カレンダー
アーモンドは地植えと鉢植えのどちらも可能で、種から育てる方法と苗から育てる方法があります。
種まき:3~4月
植え付け:2~3月
収穫:8~9月
種を複数個植えても全てが発芽するわけではないので、失敗したくない方は苗を鉢に植えて大きくなってから地植えするのがおすすめです。
プランターで複数のアーモンドが発芽した場合は、2~3月頃に1本づつ地植え、もしくは鉢に植え替えをしててください。
アーモンドの育て方
アーモンドはアメリカやオーストラリアが主な産地というだけあって、乾燥する温暖な気候を好みます。
そのため、梅雨がある日本で収穫までをスムーズに行える地域は限られますが、瀬戸内海沿岸地域はアーモンドの栽培に適しているとも言われています。
その他の地域で育てる場合は、風通しの良い場所に植栽し、必要に応じて防寒対策を行います。地植えもできますが、置き場の移動ができる鉢植えの方が初心者の方には管理がしやすいです。
栽培する環境を整えると、北海道南部から九州・沖縄で栽培ができますよ。
土づくり・肥料
アーモンドは水はけの良い土を好みます。地植えをする場合は腐葉土を混ぜて盛り土をしてください。
鉢の場合は底に軽石を敷き、赤玉7:鹿沼土3で水はけの良い土作りをしましょう。
アーモンドは化学肥料だと肥料まけを起こす可能性が高いので、有機肥料をおすすめします。直接肥料が根に触れないように入れて植え込むか、発芽後にまいてください。
種まき
アーモンドの種まきは3月~4月に行います。避けたいのは5月以降~梅雨の時期です。特に梅雨の時期には水分過多になり、種が腐ってしまうことがあるので避けた方が良いでしょう。
種を植える場合は、発芽率を上げるためにも前日に一晩水に浸けておくことをおすすめします。翌日、3~4cmほどの深さに種を植えて、たっぷりと水を与えてください。
栽培する環境や気温などにもよりますが、発芽の目安は1ヶ月半~2ヶ月ほどです。その間、土が乾いたら水やりをします。
種は販売されているの?
アーモンドの種はネットショップで購入できます。ホームセンターや園芸店では取り扱いがないことが多いですが、店員さんに尋ねてみると良いでしょう。
アーモンドを栽培している方におすそ分けをしてもらうという方も多いようです。
苗選び
葉の色が濃く、いきいきとした苗を選びます。間延びすることなく上から下までバランスよく葉がついているかチェックしましょう。
アーモンドは両性花ですが自家受粉しにくいので、異なる品種を2本以上育てるか自家受粉しやすい品種を選ぶ必要があります。綿棒などで人工的に受粉させても良いです。
苗の植え付け
接木苗から育てると、種から育てるよりも実がつくまでが順調にすすみやすい傾向があります。
苗を植え付ける場合は、今後の生長を考えて植え穴を準備します。およそ50cmの深さを掘り、完熟堆肥や腐葉土を混ぜ込みましょう。
深植えは避け、接ぎ木部分は地上に出るように高植えしましょう。その後たっぷりと水を与えてください。
苗は「ダベイ種」がおすすめ
日本でアーモンドを育てるにはアーモンドが好む生育環境作りが必要ですが、品種選びで育てやすさにも差が出ます。
「ダベイ種」という苗は日本で知名度が高く、高温多湿な環境に適応する力が強いとされています。できるだけスムーズに育てたい場合はダベイ種を探してみてくださいね。
アーモンドは挿し木でも栽培できる
アーモンドは挿し木で栽培を始めることもできます。ただし、成功率はあまり高くなく、根が出て新芽が出るまで2~3か月ほどかかります。
挿し木からの栽培は、早くアーモンドの花や実を楽しみたい方よりも趣味として挿し木から育ててみたい方におすすめです。
日当たり
アーモンドは基本的に年間を通して屋外で育てます。日光を好みますが、発芽して間もない時期は夏の強い直射日光が長時間当たるのは避けた方が良いです。
その理由は、日焼けを起こしやすく、葉が茶色になってしまうためです。鉢植えの場合は必要に応じて軒下へ移動しましょう。
水やり
アーモンドは過湿に弱く乾燥に強いので、地植えの場合は基本的に水やりをしなくても良いです。鉢植えやプランターの場合は土の表面が乾いたら水を与えてください。
水やりの時は受け皿を外し、余分な水は鉢の底から流れ出るようにしましょう。また、梅雨の時期や雨が続く場合は根腐れを起こす可能性が高いので、軒下に移動してください。
寒い時期の水やりは、できれば夕方を避けて午前中に済ませるのが望ましいです。日中の光を当てておきましょう。
追肥
アーモンドの追肥は4月中旬~5月前半と、12月頃の2回行います。化学肥料は肥料まけを起こしやすいので、有機肥料を与えてください。
剪定
12月頃に主幹の先端を30cmほど切ります。花芽のついていない横枝もバランスを見ながら剪定していきます。
そうすることで新芽が伸びることよりも、花芽が多くつくように仕立てることができます。中心部分までまんべんなく日光が届き、風通しが良くなるように切り落としていきます。
もし、花芽の判断が難しい場合は3~4月にバランスを整える剪定を行いましょう。
アーモンドの花
アーモンドは3~4月頃に桃の花に似た可愛らしい花を咲かせます。日本の環境ではアーモンドの実をたくさん収穫するには難しい部分が多いですが、花の観賞を目的に栽培する方もいます。
ただし、種から育てる場合は花がつくまで時間がかかるので、接木で育てる方がスムーズです。
栽培のお楽しみ「収穫」
アーモンドは5~6月頃に実が膨らみ出し、8~9頃が収穫時期となります。日当たりの良い部分から成熟していき、8月頃に果肉が割れて中の殻が見えてきます。
アーモンドの実は自然に落下することがないので、本場ではツリーシェイカーという機械で実を落とすほどです。
家庭で育てる場合は果肉部分が割れたら、すぐに収穫することを心掛けてください。中に水が入るとカビが生えたり、虫が入って食べられなくなるので注意が必要です。
種まき用にしたい場合は、秋に収穫した種を風通しの良い日陰で干してしっかりと乾かします。袋に入れて冷蔵庫で保管しておけば、種まきに使えます。
アーモンドの実の取り出し方
アーモンドは、緑の果実が割れてから収穫します。
周囲の果肉を取り除き、殻つきのまま4日~1週間程度陰干しで乾燥させます。 乾燥後は殻を除くと中の実を食べることができます。
殻割りは、殻割り機(クルミ割りなど)もしくはペンチなどで固定し、小型のハンマーで叩いて割ります。
クルミに比べると殻の硬さはおさえめですが、ケガに注意して行いましょう。
冬越し~耐寒性が弱い~
暖かい気候を好むアーモンドは、1~3年目までは特に寒さに弱いです。そのため、冷え込みが強い時期は屋内外の寒さを遮断できる場所に置きます。
また、寒い時期の水の与え過ぎにも注意が必要です。土が乾いた時の水やりは必要ですが、暖かい時期よりも間隔が開くことを意識してください。
アーモンドの病気・害虫の対策
アーモンドはアブラムシやコスカシバ、ウメケムシ、オビカレハ蛾などの害虫が発生しやすいです。春先や梅雨の時期は花芽や葉に害虫が付きやすいので、見つけたら駆除します。
害虫対策をしておきたいのであれば、3月初旬頃に石灰硫黄合剤やスプレータイプの殺虫剤を散布しておくと良いでしょう。収穫後の防除も有効です。
ただし、効果が高い薬を使うと、逆に弱らせてしまう原因になるので注意してください。
また、黒星病や縮葉病といった病気にかかることがあります。発見したら傷んだ葉を全て取り除き、殺菌剤で対処しましょう。
アーモンド栽培のまとめ
アーモンドの栽培方法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?アーモンドは収穫までの過程を楽しめるのはもちろん、可愛らしい花を咲かせてくれるのでお庭を華やかにしてくれます。
アーモンドが好む「乾燥・暖かい」生育環境をできる範囲でつくってあげることが上手に育てるコツです。ぜひご家庭でアーモンドを育ててみてください。