家庭菜園・野菜の栽培

【初心者】玉ねぎの栽培・育て方のコツ!(追肥や収穫手順など)

玉ねぎはどんな料理にも適しており、1年を通して食卓には欠かせない野菜の一つです。栄養も豊富で、様々な病気の改善に役立ちます。

玉ねぎはご家庭で手軽に育てることが可能ですし、長期保存もできるので、ぜひ作っておきたいですね。

今回は、玉ねぎ栽培のコツや手順について、詳しくご紹介していきますよ!

玉ねぎの特徴

玉ねぎはユリ科の野菜です。生で食べると辛みや独特の香りがありますが、熱を加えると甘みが出るのが大きな特徴ですね。

玉ねぎには、ビタミンB・C、リンアシン、カリウム、糖質、鉄、ミネラル、食物繊維、ケルセチンなどなど…数えきれないほどの、豊富な栄養素が含まれています。

玉ねぎを摂取すると、体の中の酸化ストレスを軽減したり、血糖値を下げる働きがあります。血液もサラサラになるほか、成人疾患の予防にも効果が期待できますよ。

玉ねぎには、東ヨーロッパタイプの刺激成分が多い辛玉ねぎと、南ヨーロッパタイプの甘玉ねぎがあります。表面の色も、黄色・赤色・白色とさまざまです。

玉ねぎの栽培時期と苗の選び方

玉ねぎは、冷たく涼しい気候を好む、暑さに弱い野菜です。気温の高い時期になると休眠します。

玉ねぎの品種には、早生(わせ)・中生(ちゅうせい)・晩生(ばんせい)と3種類あります。種類によって、おおよその植え時期が決っています。

植え時期については以下の通りです。

  • 早生系…11月上旬~中旬
  • 中・晩生系…11月中旬~下旬

種まきせず、苗から植えようと考えている場合は、苗の根元の白い部分を見て植えます。

白い部分が5mm~8mm
×白い部分が10mm以上

太さが10mm以上になってしまうと、春先にトウ立ちが多発します。トウ立ちとは、球の中心部分から硬い蕾が伸びてきて、花が咲いてしまうことです。

トウ立ちしてしまうと、球はそれ以上太らず、栽培は失敗ということになります。苗の根元部分をしっかりとチェックすることが重要です。

苗を育てる作業を省きたい方や、初心者の方は、苗植え時期にホームセンターや園芸ショップにて苗が販売されますので、そちらを購入すると良いですね。

玉ねぎ栽培の手順


ここからは、玉ねぎを栽培する手順をお伝えしていきます。玉ねぎの種類によって種まきの時期が異なるので、種袋の裏に記述してある詳細をよく確認しましょう。

苗床作り

まずは、種をまいて育てるための苗床(なえどこ)を作りましょう。種をまく3週間以上前に、空気をいれるような感じで肥料を混ぜ込み土の表面を平らにしておきます。

混ぜ込む肥料はボカシ肥(米ぬか・油粕・魚粉をブレンド発酵させたもの)や、園芸店で手に入るバランスの取れた配合肥料がおススメです。

小さな菜園の場合、育苗箱やプランターに培養土を入れて苗を作ると簡単ですよ。

種まきと育成

菜園に深さ2cmほどの、まき溝(種をまく溝)を引いておきます。もし菜園に玉ねぎを2列作る余裕がある場合、列の間は玉ねぎの成長を考えて20cmの間隔をとってください。

まき溝は土の表面より低くし、溝の土を少しスコップで押し込むような感じにするのがポイントです。

そうしておくことで、まいた種が分かりやすくなり、作業中に困ることもありません。まき溝が引けたら、さっそく種まきです。種の間隔が2~3cmになるように、まき溝に沿って、種をまいていきます。

種がまけたら、厚さ1cmで、まき溝の左右の土を寄せてかけていきます。表面をスコップの裏で強めに押し付け、土と種をよく密着させましょう。

その後、ジョーロのハス口を上にし、優しく水やりをしてください。土が乾燥してしまうと発芽率が悪くなってしまうので、発芽するまでは不繊布などを掛けておきましょう。

早ければ4~5日で発芽してくるので、日差しが弱い日を見計らって不繊布をとりましょう。葉が3本ほど揃ったら、株の間が6cm間隔になるよう、間に生えている苗を抜き取りましょう。

玉ねぎを種から育てていると、芽の成長と同じように、たくさんの雑草が生えてきます。ここで、雑草対策におすすめなのが、もみ殻です。

玉ねぎの芽の周りに、もみ殻を敷き詰めておくと、雑草が生えにくくなるほか、土の乾燥防止にもなります。

苗を収穫する

葉の高さが20~25cm、茎の太さが5mmほどになったら苗を収穫します。ここでポイントですが、茎の太さを10㎜以上の大苗にすることは止めましょう

太い苗だから丈夫に育つということはありません。それどころか、春先にネギ坊主が出やすくなり、品質を損ないます。

植え付け

園芸店などで苗を購入した方は、ここから読んでください。

さっそく、玉ねぎの苗を植え付ける準備をします。苗を植え付ける3週間前に菜園に肥料を追加し、2週間前に石灰を入れて、よく耕します。

植え付けの1週間前に元肥を投入し、条間が20cmの畝(うね)を立てましょう。畝とは、土を盛り上げた細長い小山のことです。

想像しやすいよう、イメージ画像を貼っておきますね。

苗を置く

少し太い苗・細い苗を、2つのグループに分けて並べましょう。株間は、約15cmにします。

土寄せ

菜園に人差し指で約5~6cmの穴をあけて、そこに玉ねぎの根を植え込みます。ここでポイントが2つあります。

1つは、根の白い部分が少し地上に出るようにし、根元が隠れる程度に土を寄せることです。あまり土を寄せすぎてしまうと、玉ねぎが縦長形状になってしまうので注意しましょう。

2つ目は、土寄せを行った後、スコップで表面の土を押さえつけることです。ここでしっかりと株元を押さえつけておかないと、霜で苗が持ち上げられてしまいます。

玉ねぎ専用のポリマルチを活用すると、成長が良くなりますよ。

水やり

玉ねぎの苗を植えた後は水やりはしません。植え付け時は温度が低い時期になるため、水をやると地面の温度も下がり、成長によくありません。

冬の時期は雨水で十分ですが、土の乾燥が見られるようでしたら水やりをしましょう。

3月以降は茎や葉が成長する時期ですので、土が乾いていたら、たっぷりと水やりをしましょう。しかし、水のやりすぎは病害虫が発生する原因になるので、気を付けましょう。

肥料(追肥)

1回目の追肥は、苗植え1ヶ月後の12月中旬から下旬ごろです。菜園の土の状態を見て、作物が育ちにくい・栄養が不足している場合は、2月下旬に2回目の追肥を行いましょう。

肥料はボカシ肥や配合肥料がおすすめです。2月以降の追肥は、病気の原因になりますので控えましょう。

収穫前のよくあるトラブル

玉ねぎが大きくならない理由

    • 株間が狭い

玉ねぎの大きさは株間(株と株の間隔)によって決まってきます。株間は、約15cmは必要です。15cm以下の株間になってしまうと、玉ねぎが成長中にぶつかり合ってしまい、大きく育つことができません。

もし株間が混みあっている場合は、玉ねぎが肥大しだす5月頃に思い切って間隔を見ながら玉ねぎを抜き取ります。抜き取った玉ねぎは葉玉ねぎとして食べましょう。

葉玉ねぎは、玉ねぎの部分も、肉厚の葉の部分も甘くて柔らかいので、ネギが苦手という人でも食べられます。鍋や炒め物に活用すると、とろけるような食感で絶品です。

    • 苗の大きさに問題がある

玉ねぎの苗は、直径が20~25cm、茎の太さが5mmくらいのものが適切です。それ以上、細い苗・太い苗は良くありません。

細い苗を植えてしまうと弱いので大きくならず、冬の間に枯れることもあります。太い苗を植えてしまうとトウ立ちし、玉ねぎが大きく育ちません。

玉ねぎについては、苗選びが栽培の重要なカギとなります。

    • 品種が菜園に合っていない

玉ねぎは、品種によって適した気温や日長時間(日の出から日没)があります。居住地に適した品種を選ばないと、大きくはなりません。

種から栽培する場合は、種袋の裏の詳細をよく確認しましょう。初心者の方は、園芸ショップの店員さんに聞いてみる事をお勧めします。

    • 植え付けの時期が遅い

玉ねぎの植え付け時期は、品種によって多少は異なりますが、だいたい11月中に行います。植え付けの時期を遅らせてしまうと、玉ねぎの葉が育つ前に霜が降ってしまい、葉が成長できなくなります。

葉が十分に成長していないと、春になってから光合成ができなくなり、玉ねぎの肥大が難しくなります。

    • 菜園の土壌成分が合わない

玉ねぎは、酸性の土壌を嫌います。土壌が酸性のまま、玉ねぎの苗を植えてしまうと発育が悪くなります。

玉ねぎを植える際には、石灰を利用しましょう。

その他のありがちな失敗

    • 玉ねぎがトウ立ちしてしまった

玉ねぎ栽培で最も多い失敗がトウ立ちです。トウ立ちとはネギ坊主が出てくることで、玉ねぎの中心に硬い芯ができてしまい、球はそれ以上大きくなりません。

ネギ坊主が生えてきたら、すぐに摘み取りましょう。肥料不足がトウ立ちの原因にもなりますので、ネギ坊主が多く見られるようでしたら肥料の追加を行ってください。

    • 雑草をそのままにしていた

玉ねぎの周辺に生えている雑草をそのままにしておくと、玉ねぎが雑草に負けてしまい、成長が悪くなってしまいます。さらに、病害虫の早期発見もできません。

雑草はこまめに抜きましょう。土の乾燥防止・雑草が生えるのを制御するのに、もみ殻を活用するのも良いですよ。

玉ねぎを収穫しよう


収穫は、春先5月下旬~6月上旬です。玉ねぎの玉が肥大して、株全体を見まわした際に、葉が株の根元から自然に折れ曲がる様子になっていたら収穫のサインです。

葉が折れ曲がるのは、光合成によって作り出された養分が、球の全体に十分蓄えられたという合図になります。葉が枯れるまで玉ねぎの肥大は続きますので、倒れた葉が完全に枯れる前に収穫しましょう。

収穫をするときは株の根元をつかみ、真上に引き抜きます。引き抜いたら、菜園にそのまま並べておきましょう。「雨が降ったらどうしよう…」と考えるかもしれませんが、心配はいりません。玉ねぎの根が土から離れた状態ならば、すぐに乾きます。

雨が降っているからと収穫時期を遅らせると、貯蔵中に腐りやすくなってしまいます。少々の雨は気にせずに収穫しましょう。

玉ねぎの保存方法について


2~3日ほど雨の当たらない場所で根元を乾燥させたら、葉の茎を10cmほど残して切り取ります。

玉ねぎは茎を付けたまま保存しますので、同じ大きさの物を5~10個単位にして株の根元を結び、乾燥させるために風通しの良い場所につるしておきましょう。

ここでポイントですが、結び目は緩く結びましょう。強く結びすぎると結び目が腐り、玉ねぎが落ちてしまいます。

また、乾燥が不十分のまま茎を切ると、乳液上の汁が出て、玉ねぎを腐らせる原因になります。しっかり乾燥させて、保存作業をすることも大切です。

玉ねぎは、風通しの良い場所で直射日光を避け、日陰に干しておきましょう。ポリフェノールの1つであるケルセチンが増えたり、保存性も良くなります。

玉ねぎ栽培のまとめ


玉ねぎ栽培のコツ、手順や追肥についてご紹介していきましたが、皆さんいかがでしたか?

畑作りや苗作り、追肥のタイミングなど、難しい項目もあったかもしれません。しかし、実際に育ててみると「思っていたより簡単だった!」と思うでしょう。

もし「初心者なので、自信がない…」という方は、ホーム玉ねぎが栽培しやすいので、ぜひチャレンジしてみてください。

健康に良く、長期保存も可能な玉ねぎ!自分が育てたものとなると、美味しさもひとしおです。ご家庭で玉ねぎ栽培を、ぜひ楽しんでみてくださいね!