爽やかな香りと独特の苦味がクセになるパセリは、料理の付け合せや彩りとしてよく使われています。主菜になりにくい野菜ですが、栄養価も高くご家庭でも簡単に育てられますよ。
狭い場所でも十分育ち長い間収穫できるので、一鉢植えておくとすぐに料理に使えて便利ですね。初めての方には室内で気軽に育てられる、水耕栽培や栽培キットの利用もおすすめです。
ここではパセリの栽培方法から育て方のコツ、水耕栽培の詳しいやり方など紹介します。
一年中楽しめる!パセリの栽培暦
パセリの種まきは春まきが一般的ですが、暖かい地域であれば秋まきも可能です。種まきを2回に分けて行えば、一年中新鮮なパセリを収穫できます。
追肥時期:4~10月
開花時期:6~7月
収穫時期:主に春~秋
パセリは2年草のため、こまめに手入れしていても2年経つと枯れてしまいます。花を咲かせた後は自然と枯れてしまうことが多いのですが、これは寿命によるものです。
2年草とは発芽から開花し枯れるという生育サイクルが、1年以内では終わらず2年目にわたる植物のこと
パセリに適した栽培環境
土
プランターや植木鉢で育てる場合は、市販の野菜用培養土を利用しましょう。ご自分で土をブレンドされる場合は、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で使います。
地植えの場合は植え付けの2週間前に苦土石灰を施しよく耕します。パセリは酸性土壌に弱い性質のため、栽培前にしっかりと土を中和させておきましょう。
日当たり
パセリは日当たりの良い場所を好みますが、日の当たり方で葉の柔らかさが変化します。日当たりの良いところに置くと、葉の緑色が濃くなり食感が固くなります。
一方半日陰だと淡い緑色になり食感も柔らかくなります。日当たりの加減で育てる場所を変えてみて、好みの食感を探してみるのもおもしろいですね。
気温・温度
パセリの生育適温は15~20℃で、冷涼な気候を好みます。夏の暑さが苦手なので、強い日差しが直接当たらないよう涼しい場所で育てます。
反対に耐寒性には強く、軒下や室内へ移動して育てれば冬越しできます。
プランターの選び方
パセリは草丈が20~30cmとコンパクトに育ち、家庭での消費量もそれほど多くないため大きな容器は必要はありません。
ただし真下に向かって根を伸ばし生長するので、やや深めのプランターや植木鉢が良いでしょう。
プランターであれば標準的な60cmタイプがおすすめです。株間は20cmほど取ることを考慮すると、2~3株植えることができます。
植木鉢の場合は5号鉢(直径15cm)~6号鉢(直径18cm)程度で十分です。
パセリの育て方
種まき
1箇所につき3粒ずつ種をまき、種が隠れるか隠れないか程度に薄く土を被せます。パセリは光がないと芽や出ないので、土の被せ方に注意してください。
種まきから約10~15日程度で発芽するので、それまでは乾燥させないよう水やりを続けます。勢いよく水を与えてしまうと種が流れ出てしまうため、ジョウロのシャワー口や霧吹きを使ってで優しく行いましょう。
パセリの種は芽が出るまで時間がかかり、発芽率も悪いので苦戦するかもしれません。初心者には難しいので、苗から育てることをおすすめします。
間引き
本葉が出てきたころ、生育の良い苗を1本残して他は間引きます。害虫被害を受けているものやひょろひょろと徒長しているものを間引きますが、見分けが付かないときは株間を意識して抜いていきましょう。
せっかく芽が出たのにもったいない気もしますが、間引きしたパセリも美味しく食べられますよ。葉が柔らかく小さいながらもしっかりと風味を楽しめます。
苗から育てる
パセリは育苗が難しいので、初心者の方は苗から育てると失敗が少なくすみます。購入の際は本葉が5~6枚で、葉色が鮮やかな元気の良い苗を選びましょう。
苗は春ごろになると園芸店やホームセンターでも店頭に並びますが、近くで見つからない場合はネットでも購入できます。
植え付け
パセリの植え付けは本葉が5~6枚程度に育ったころを目安に行います。
ポットをさかさまにし、やさしく苗を取り出します。苗と同じ大きさの植え穴をつくり、たっぷりと水を注ぎましょう。
水が引いたのを確認してから、根鉢を崩さず植え付けます。パセリは基本的に移植が苦手なので、根をほぐすと枯れてしまうので注意してください。
あまり深く植えすぎると生長点まで埋まり大きく育たないので、株元と同じ高さで土を平らにならします。最後にたっぷりと水やりをすれば植え付けは完了です。
水やり
パセリはやや乾燥に弱く、土の表面が乾いたら水をたっぷりと与えてください。春~秋にかけて生育旺盛な時期は土が湿っている状態を保ちましょう。
夏場の水やりは朝や夕方の涼しい時間帯に行い、冬は生育が鈍るので水やりの回数を控えます。季節にあわせて水やりの量や頻度を調節することが大切です。
追肥
パセリは生育期には次々と葉を茂らせるので、肥料切れを起こさないよう追肥しましょう。多く与える必要はないので、水で薄めた液体肥料を10日1回ほど施せば十分です。
収穫
パセリの収穫目安として、本葉が12~13房になったら外側の下葉から摘み取ります。葉だけを摘みとっても茎から新しい葉は出てきませんので、茎元からカットしてください。
パセリを長期間収穫するコツは、葉を摘み取りすぎないことです。一度に収穫すると光合成ができなくなり株を弱らせてしまう原因になるので、本葉が8~10枚程度ある状態を維持して育ててましょう。
とう立ち
花を咲かせる茎が伸びてきた状態を「とう立ち」といいます。とう立ちすると花を咲かせ種をつけることに養分を使うようになるため、株が疲れ枯れやすくなります。
野菜の場合は食味が落ちるといわれており、パセリも花が咲くと葉が固くなり食用には向かなくなります。花芽はすぐに摘み取ってしまいましょう。
挿し木?株分け?パセリの増やし方
パセリは挿し木では発根しませんので、種で増やします。花が咲いた後に種を採取し、春か秋に種をまくとどんどん増やしていけますよ。
種から育てるのは少し難しいのですが、苗を購入するのに比べ安価でたくさんのパセリを栽培できますね。
簡単!パセリを室内で育てよう
パセリを育ててみたいけど土を触るのに抵抗がある、虫が苦手という方には室内での栽培がおすすめです。明るい窓辺に置いて育てれば、葉は柔らかく苦味も少なくなりますよ。
室内で育てるのであれば、初めての方には水耕栽培がおすすめです。水と液体肥料だけで育つので、衛生的で手間もかかりません。
最近は栽培キットも増えてきているので、気軽にはじめたい方にうってつけですね。
水耕栽培の方法
水耕栽培となると専用設備が必要と思いがちですが、実はお金をかけなくてもご家庭にあるものではじめられます。容器は、飲んだあとのビンやペットボトルでも問題ありません。
栽培手順
- 苗をポットから取り出し、根についている土を水で綺麗に洗い流します。
- 水耕栽培に使う容器の口まわりよりも、やや大きめにキッチンスポンジをカットします。
- キッチンスポンジの中心に切り込みをいれ、パセリの根を挟み込みます。
- 根を全体の1/3程度切り落とし、水と液体肥料を入れた容器に苗を入れます。
- 2~3日に1回程度水を入れ替え、液体肥料は2週間に1回を目安に与えます。
水耕栽培では水を継ぎ足すのではなく、入れ替えることが重要です。水が汚れてくると細菌が増え病気の原因になりますので、定期的に新鮮な空気と水を与えましょう。
手軽さが魅力の栽培キット
あれこれ道具を揃えるのが面倒な方には、栽培キットからはじめてみるのはいかがでしょうか。種や容器など栽培するのに必要なものが全て揃っているので、すぐに栽培開始できます。
室内でも育つ!イタリアンパセリの育て方
パセリは大きく分けて2種類あり、葉が縮れたタイプの「カーリーパセリ」と、葉が平たいタイプの「イタリアンパセリ」があります。イタリアンパセリは、苦味が少なく食べやすさが人気です。
プランターで栽培できるのはもちろんのこと、発芽しやすく苗も丈夫なので水耕栽培にも適しています。キッチンや窓際などちょっとしたスペースで育てられるのが嬉しいですね。
育て方はパセリと変らないので、気軽にチャレンジしてみてください。
パセリ栽培のまとめ
育てやすく長期間収穫できるパセリは、初心者にこそおすすめしたい野菜です。栽培方法もいろいろあり、室内で育てれば観賞用のグリーンとしても楽しめますね。
ぜひみなさんも栄養豊富なパセリを育ててみてください。