大根は地中海沿岸が原産の根菜で、日本では生産量・消費量ともに世界のトップであるほど親しまれています。スーパーマーケットでも必ずおいてある、定番野菜です。
地中海原産ですから難しい感じがするかもしれませんが、日本の気候でも問題なく栽培ができる野菜なのです。
大根は一般的に冷涼な気候を好む暑さには弱い野菜になるのですが、種類を選べば日本ではほぼ一年中栽培ができます。
また、大根を栽培すると間引き菜や、大根葉を食べることができるので、普段では味わえない大根の魅力を再発見できるのです。
初心者でも失敗しない大根の栽培方法を紹介していきます。成功する方法とコツを分かりやすく伝えますので、是非チャレンジしてみてください。
大根の栽培方法
畑づくり
種まき2週間前に石灰100~150g/㎡、一週間前に堆肥2kg/㎡、化成肥料100g/㎡、を散布します。
この際、石やゴミを取り除いて40cmほどの深さによく耕し、やわらかい畑を作ります。種をまく直前に幅60cm、高さ10センチの畝を作り表面を整えましょう。
種まきの時期は8月末~9月上旬がおすすめ
主な種類は青首大根で、おすすめの8月末~9月上旬にまく秋まきでは次の3つの種類が適しています。
- 耐病総太り
- YRくらま
- 献夏37号
春まきは3月末~4月下旬、秋まきは8月末~9月下旬です。最初は、秋まきで始めるのがおすすめです。
なぜ秋まきが良いかというと、大根は暑さが苦手という点にあります。また寒い時期が収穫になるので、煮物などおいしい料理の幅も広いです。
種まき
種は畝に株間30cmでくぼみをつけておき、1か所に5粒程度の点まきをしていきます。種まき後は、土をかぶせて軽くおさえておきましょう。
種まき後の空袋は、収穫時期を知るためにとっておくと便利です。おおよその収穫時期が書いてあるので、だいたいの時期が分かります。種をまいた日付を記入しておくと良いでしょう。
水やりの量とタイミング
種まき直後から発芽するまでは、たっぷりと水をやります。土が乾燥しないように水やりをするのがコツです。
発芽してからは、土が乾いてきたらたっぷり水をあげましょう。水が不足すると大根が辛くなってしまいます。トマトなどと違って水を控えれば甘くなることはありません。
間引き・土寄せ(1回目)~苗を3本に厳選する~
種まきから約7日で発芽して本葉が1~2枚になると、最初の間引きをします。なるべく元気な苗を3本残し、残りは引いてしまうのです。
間引いた後は、指で軽く土を寄せておきます。(倒れにくくしておきます)
間引きとは強い苗を残して、葉が小さかったり変色しているなど育ちの悪い苗を抜いてしまうことをいいます。
間引き・追肥・土寄せ(2回目)~苗を2本に厳選する~
種まき後、17日~20日くらいで本葉が3~4枚になると、2回目の間引きをします。1回目と同様に元気な苗を2本残しておきます。
間引き後に、化成肥料30g/㎡を株間にまき、株元にしっかりと土を寄せておきます。
間引き・追肥・土寄せ(3回目)~苗を1本にする~
本葉が6~7枚になったら、元気の良い株を1本残して間引きします。間引き後は、化成肥料30g/㎡を株間にまきます。根も育ってくるのでしっかり土寄せしておきましょう。
かなり苗も大きくなりました、この苗は根も葉も間引き菜として食べられます。お浸しやお味噌汁に入れると大変おいしいです。見た目も可愛い大根になっていますよ。
収穫(早生種55~60日後)(晩生種90~100日後)
青首大根であれば、根の直系が6~7cmくらいに育てば収穫できます。収穫の目安は、早生種で55~60日、晩生種で90~100日です。
収穫が遅れると「す」が入ってしまいますので、適期収穫をしましょう。
「す」とは、大根の中に穴があくことです。食べられるのですが、味が落ちるとされており、美味しく食べるには適した収穫時期をしっかり見極めましょう。
成功する方法と失敗しないコツ
おでん大根を栽培して成功させよう
大根の種類で面白い名前のものがあります。おでん大根という名前の通り、おでん用の種類なのです。
秋まきで初心者向けな上、収穫時期におでんの具材として楽しめるので面白いと思います。おいしく食べるところまでいって成功といえるのです。
栽培のしやすさはもちろん、使用する料理で種類を選んでみるのもモチベーションが上がって楽しくなってしまいます。
栽培記録をつける
大根の栽培は決して難しくはないのですが、手順がいくつかあります。畑作りから種まき、そして間引きや追肥から収穫まであるのです。
一つ一つの手順を記した日付を栽培記録として書いておくと、失敗はまずありません。次にどの手順がくるのか計画も立てやすい上、忘れることもなくなります。
春大根に挑戦する場合の注意点
春まきに適した種類の種として有名なのは、次の3つの種類になります。
- おはる
- おしん
- 天宝
同じ大根の種のような気がしますが秋まきの種を残しておいて使うよりも、その時期に合った種をまくと育てやすいです。
秋まきの残りの種を使用する事が向かない理由として、「とう立ち」してうまく育たなくなってしまいます。
きちんと春まきに適した種をまくと上手に育てられるのでしっかり選んでみましょう。
「とう立ち」とは花が咲いてしまい種子を作る方へ栄養が回ってしまい、うまく成長しなくなることをいいます。
大根の病害虫対策
大根は、害虫被害の多い野菜です。今回おすすめしている秋まきでは初心者でも大丈夫ですが、夏場は根を食べるキスジノミハムシやアブラムシの発生が多く注意が必要になります。
キスジノミハムシ、アブラムシにはDDVP乳剤1,000倍を散布します。また、アオムシ、コナガ、ヨトウムシにはBT材を散布すると良いでしょう。
農薬を散布するのに抵抗がある場合は、防虫ネットを使用すると防げます。
春まきでは、害虫被害があるということもしっかりと認識しておく必要があります。こういった点でも秋まきをおすすめしているのです。
大根栽培の連作障害について
大根にも他の野菜のような連作障害の影響は少ないとされています。家庭菜園の場合は、とくに気にする必要もありません。
何か栽培するごとにしっかり土を耕しながらかきまぜてあげれば良いでしょう。
ミニ大根のプランター栽培に挑戦してみよう
ミニ大根であれば、プランターで栽培することも可能です。お家に畑がなかったり、広い庭がなくてもプランターを使ったミニ大根の家庭菜園が楽しめます。
使用するプランターはできるだけ深めの物を用意してください。深さが40cmあればミニ大根を栽培することができます。
このとき畑で栽培するような大きな種類は難しいので、しっかりと小さな種類の種を選ぶようにしてください。
次に、小さなミニ大根でプランター栽培に適した種類を紹介します。
ビタミン大根
ビタミン大根は、あまり根っこが下へ伸びないタイプのミニ大根になります。あまり地中へ伸びず太陽に当たる部分が多いため、見た感じが緑色っぽい大根です。
その緑色の見た目と豊富な栄養からビタミン大根という名前になりました。育て方は、他の大根と同じで初心者でも簡単です。
大根栽培のまとめ
大根の栽培は、種をまく時期を選べば初心者でも簡単にできることを紹介していきましたが、少し注意をすれば春まきでも難しくありません。
今回の内容で栽培をしてもらえれば、初心者でも美味しい大根が栽培できます。なにより一人でも多くの方に家庭菜園を楽しんでもらえたらと思います。
なかでもプランター栽培が一見不可能に見える大根ですが、ミニ大根で挑戦してみると簡単に栽培できます。普段見る事ができないので見て楽しく、食べておいしいのでおすすめです。