ほのかに土の香りがし、しっかりした歯ごたえが特徴的なごぼう。ごぼうは豊富な食物繊維を含んでおり、日本人の食事には欠かせない野菜です。
今回は、ごぼうの栽培方法や収穫の仕方について。また、初心者にも育てやすい品種や間引きのコツなどについてご紹介していきます。
ごぼうについて
ごぼうは、平安時代に薬草として渡来してきたキク科の根菜類です。ユーラシア大陸北部が原産地で、煮物やサラダ、揚げ物など様々なメニューが楽しめます。
しかし、ごぼうを料理に使用する国は日本くらいで、あとは韓国や台湾の一部の地域だけだそうです。
ごぼうには不溶性食物繊維やポリフェノールのほか、カルシウムやビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
家庭菜園におすすめのごぼうは?品種について
ごぼうは土の付いた根の部分を食用します。根の長さにより、長根種と短根種に分けることができます。
長根種は菜園の土を深く耕す必要があるため、栽培難易度が高くなり、菜園初心者には向いていません。
初心者にはプランターでも育成可能なミニごぼうやサラダごぼう、葉ごぼうがおすすめです。
ミニごぼう
根の長さが35~45cmほどなので、家庭菜園に向いている。プランターなど限られたスペースしかとれない場合、育成が気軽にできる。
サラダごぼう(てがるごぼう)
ミニごぼうと同じく、根の長さが35~45cm程度。アクが少ないうえ香りも優れており、根の色が白いのが特徴。種まき後、約100日で収穫が可能なので家庭菜園におすすめ。
葉ごぼう
茎と葉、小さな根を食べる葉ごぼう。シャキシャキとした食感で、香りも良い。炒め物や天ぷら、お浸しなどどんな料理にも利用できる。
滝野川ごぼう
江戸時代から東京都滝野川地域で栽培されていた、長根種の代表的なごぼう。長さは約1m、太さは2.5~3cmほどで、香りが高く根の中に空洞ができにくい。
山ごぼう(菊ごぼう)
長さ30~40cm、太さ2cmの山ごぼうは、味噌漬けとして多く利用されている。柔らかく、シャキッと歯切れが良い。
ごぼうの栽培方法
ごぼうは暑さや寒さに強く、移植を嫌う性質を持っています。苗を移植したりせず、土に直接種をまいて育てましょう。
種まきは3~4月の春まきと、10月の秋まきがあります。栽培初心者には、育てやすい春まきがおすすめです。春まきにすると収穫時期は8~12月、秋まきにすると収穫は6~8月までとなります。
プランターや土嚢袋もOK!準備物と土作り
プランターで短根種(ミニごぼう・サラダごぼうetc)を育てる場合、深型サイズ30cm以上のプランターを準備します。
長根種(滝野川ごぼうetc)をプランターで育てる場合は、深型サイズ50cm以上のプランターが望ましいです。
しかし、ここまで大きなものは園芸店でも取り扱いがほぼありません。土砂を詰めるための大型の土嚢袋(どのうぶくろ)や用土袋を代用してみましょう。
プランターの土は、培養土を活用すると便利です。露地栽培でごぼうを育てる場合は、種まきの2週間前に苦土石灰をまきましょう。
長根型を育てる場合は約70cmほどシャベルで深く穴を掘り、育成の妨げとなる小石を取り除いておきます。土の塊も細かく砕いておくと良いですね。
種まきの1週間前に完熟堆肥(素材の有機物がしっかり発酵分解された肥料)をまぜておきましょう。完熟堆肥を使用しないと、ごぼうの根が二股や三ツ股に分かれる原因となります。
ごぼうの種まき
ごぼうの種には発芽抑制物質が含まれています。そのため、小さな布袋に種を入れ、一晩水の入ったコップの中に浸して発芽を促す必要があります。
プランターに種をまく際は、小枝などで深さ1cmほどのまき溝を作ります。そのまき溝に1cmの間隔をあけて種をまいていきましょう。
大型プランターで数列栽培する場合は、20~30cm以上の間隔をとるようにします。菜園に種まきをする場合は、60~70cmの平らな畝(うね)をつくります。
通常、畝はかまぼこのような形をしていますが、ごぼうの場合は平畝ですので、かまぼこ板のみのような状態と考えてください。
この平畝の中央部分に株間10~20cmほどのまき穴をスコップなどで掘り、1ヶ所に3粒ほど種をまいていきます。
ごぼうは光がないと発芽しない好光性(こうこうせい)の性質を持っているため、種の上からごく薄めに土をかけてあげましょう。ふるいを使用すると便利ですよ。
その後、手のひらで土を押さえ付け、ハス口を上に向けたジョーロで優しくたっぷりと水を与えましょう。
雨が降ると種が流れてしまう可能性があるため、移動ができない菜園での露地栽培には、寒冷紗(平織りに荒く織り込まれてある布)をかけておくと安心です。
間引きについて
ごぼうは2回間引きをします。1回目は本葉が1枚になった時、2回目は本葉が3枚になった時に行います。育成の良い苗を残して、以下のような苗は間引きます。
- 葉の色が濃すぎる
- 葉数が多い
- 育成が遅れている
- 葉が垂れている
隣り合う株の根っこが絡んでいる場合があるため、勢いよく間引いてしまうと残したい株まで一緒に抜けてしまいます。
株の根元を押さえてからそっと引き抜いたり、ハサミを使って間引くと良いですよ。間引いた株は水にさらしてアク抜きをした後、炒め物や天ぷらに利用できます。
水やりについて
ごぼうの苗が発芽するまでは、しっかりと水をやりましょう。高い位置から水やりをすると、水圧によって種が土の中から流れてしまいます。
水やりは必ず低い位置から、ジョーロのハス口を上に向けて優しく行ってください。ごぼうの苗がある程度大きくなったら、土の表面が乾いた時に水をやるようにします。
追肥について
2回目の間引きを行った後に追肥をします。即効性の高い化成肥料(窒素・リン酸・カリウムのうち2種以上を配合した肥料)を株の周辺にまき、軽く土寄せしましょう。
ごぼうを収穫しよう
家庭菜園におすすめの短根種を植えた際は、種まきから約70~100日ほどで収穫が可能です。プランター栽培の場合、葉と茎の間にある葉柄(ようへい)をつかんで引き抜きましょう。
菜園栽培の場合は、ごぼうの根に沿ってスコップで穴を掘り、掘った穴に倒すように優しくゆっくりと引き抜きます。
短根種は根の直径が1~1.5cmで収穫するのがベストですが、早採りする方が根が柔らかく香りも良いですよ。
長根種ですと、種まきから約100~130日で収穫できます。こちらもプランター(土嚢袋)収穫の場合は葉柄をつかんで引き抜きます。菜園栽培は鎌を使用して、まずは葉を株元から切り落とします。
葉を切り落としてから地中にあるごぼうの根に沿ってシャベルで穴を掘り進め、穴に根を倒しながら優しく丁寧に引き抜きましょう。乱暴に引っ張ってしまうと、根が折れてしまいますので気を付けてくださいね。
ごぼうの病害虫
ごぼうには、ゴボウヒゲナガアブラムシが発生することがあります。発見したら、飲み終わった牛乳パックに水を入れたものをかけて駆除してください。
規定量に薄めた木酢液(炭を焼いた際に発生した煙を冷やして液体にしたもの)をかけてもOKです。
またごぼうにはうどん粉をまぶしたような、うどんこ病が発生することがあります。うどんこ病は、土壌の乾燥・土壌の窒素分が多い時に現れます。
土壌の乾燥は水やりに関係しますが、窒素分が多いことに関しては連作障害が考えられます。
連作をすると、前に育成した野菜の病害虫や悪い分泌成分が土壌に残るため、一生懸命育ててもうまく育成ができません。
ごぼうは2年間は連作ができませんので、連作期間や肥料の量を守って育成することが重要です。
普段から、野菜の育成に適した環境が保てているか、しっかりと観察しておきましょう。
素朴な疑問Q&A
ごぼうの保存方法を教えてください
沢山収穫できた時は、茎と葉を切り落として土の中で保存しましょう。茎と葉の方を下にして、斜めに埋めるのがポイントです。
ごぼうの先が枝分かれしました
これにはいくつかの原因が考えられます。一つは、土作りの際に土の中にある土の塊を砕き損ねたり、小石を取り除けなかったことです。
また、土作りに完熟追肥を使用しなかった場合や、連作障害の可能性も考えられます。土作りの章をぜひ参考にしてみてくださいね。
ごぼう栽培のまとめ
今回は、ごぼうの栽培方法や収穫の仕方についてや、育てやすい品種、間引きのコツなどについてご紹介しました。
栽培初心者にはミニごぼうやサラダごぼうが育てやすく、春まきがおすすめです。食物繊維がたっぷりのごぼうを、ぜひ皆さんもご家庭で栽培してみてくださいね。