家庭菜園・野菜の栽培

【初心者】ひょうたんの栽培・育て方のコツ(棚づくり・摘芯・病害虫対策など)

ひょうたんは水筒やお酒の容器、工芸品など古くから人々の生活に関わってきた植物です。

最近では縁起物やグリーンカーテンとして、ご自宅でひょうたんを育てる方も増えてきています。栽培スペースが無くても、小型のひょうたんを選べばプランターでも育てられますよ。

今回はひょうたんの栽培や育て方のコツについて、詳しく紹介していきます。

ひょうたんの基本情報

科名属名:ウリ科ユウガオ属
生育適温:20~30℃
草丈:2~5m
栽培環境:日当たりと風通しの良い場所で育てる
栽培難易度:★★☆☆☆
連作障害:あり
種まき時期:4月~5月
植え付け時期:4月~5月
開花時期:7月~9月
収穫時期:8月~10月

ひょうたんはかんぴょうと同じ仲間の植物ですが、果実は苦味があり食用には向いていません。食べると食中毒の原因にもなりますので、観賞用として楽しみましょう。

真夏の暑さでも元気よく生長する一方、寒さには弱く冬を越す前に枯れてしまいます。連作障害が出やすいため、過去にきゅうりなどウリ科植物を育てたことのない土で栽培しましょう。

北海道でも栽培できる?

北海道などの寒冷地でも栽培は可能ですが、温暖地や暖地に比べ低い気温と夏の短さがネックとなります。

植え付け時期を早め、ビニールキャップを被せるなど保温対策をしながら育てましょう。着果から収穫までの期間が短いミニサイズでの栽培がおすすめですよ。

ひょうたんの種類


ひょうたんにはお馴染みのくびれた形から、長細いものや丸いものまで様々な形があります。

公式な品種はありませんが、それぞれの特徴によって名称が用いられています。ここでは大きさ別に代表的なひょうたんについて紹介します。

ミニひょうたん(代表:千成ひょうたん)

果実の長さは10cm未満と小型なので、プランターや鉢でも育てられます。ひょうたんの中で最も栽培しやすく、鈴なりに実るので家庭菜園でも人気の種類です。

大ひょうたん(代表:大ひょうたん)

果実の長さは30cmほどにも育つ大型のひょうたんです。完熟するまでの期間が長いため、ミニひょうたんに比べやや難易度は高くなります。

特大ひょうたん(代表:天下一)

果実の長さは最大で50cm以上にもなり、上手に育てるためには1株1果が目安となります。果実は生長するにつれ重さを増すので、折れないようネットや台で支えます。

植木鉢・プランター栽培での注意点


ひょうたんは生育旺盛で、根を広く伸ばして生長するので大型のプランターや植木鉢で育てます。一年草なので植え替えの必要はありません。

鉢の大きさは10号鉢(直径30cmほど)に1株が目安となります。横長のプランターは根をうまく伸ばせず、水切れや肥料切れを起こしやすくなるので避けましょう。

仕立て方(棚作り・支柱立て)


ひょうたんは地這いでも育ちますが果実が地面にあたり傷んでしまうので、棚や支柱、ネットにつるを這わせて育てていきましょう。

棚づくり

大型のひょうたんを育てる場合は、重さや風に耐えられるよう棚づくりでの栽培がおすすめです。

竹や鉄パイプなどで柱を立て、上部にもつるが這わせやすいよう約30cm間隔の格子状に組み立てます。ネットを使う場合は、ところどころ支柱で補強しておくと安心です。

支柱・ネット

支柱やネットであれば、100円均一でも手に入りますので揃えやすいですね。プランターで小型種を栽培する方には、あんどん仕立てが使いやすいですよ。

グリーンカーテンにする場合は、ネットを垂直にではなくやや傾斜をつけて張ると全体の日当たりが良くなります。

ひょうたんの育て方

土づくり

地植えの場合は土を30~50cmほどの深さまで堀り、植えつける2週間前に苦土石灰を散布し馴染ませておきます。その後1週間前に腐葉土と堆肥を混ぜてよく耕し、水はけの良い土にします。

鉢植えやプランター植えの場合は、赤玉(小粒)5:腐葉土5の割合で混ぜ合わせた土を使います。排水性を高めるため、鉢底石を敷いてから土を入れましょう。

種まき

9cmの育苗ポットに種を3~4粒ほどまき、薄く土を被せます。発芽するまでは乾燥させないよう、しっかりと水を与えてください。

発芽適温は25~30℃ですので、家庭菜園用のビニール温室や保温マットなどで適温を確保してください。

苗から育てる

発芽までの温度管理が難しい場合は、ホームセンターやネットで苗を購入して育てましょう。

丈夫な苗の選び方
  • 茎が太く、節と節の間が狭い
  • 葉の緑色が濃く、病気や虫の被害がない
  • 本葉が4~6枚で、しっかりと広がっている

植え付け方

苗の本葉が4~6枚になり、寒の戻りが無くなった頃が植え付けに適した時期です。

ポットから苗をそっと取り出し、根を傷めないようほぐしてから植え付けます。軽く根元を押さえ根づきを良くした後は、たっぷりと水を与えてください。

水やり

土の表面が乾きはじめたら水やりをしましょう。ひょうたんは葉が大きく水分の蒸発が早いので、葉が生い茂る時期は水切れを起こさないよう注意してください。

特に乾燥しやすい夏場は1日に2回、朝と夕方に水やりをします。ただし与えすぎは根腐れの原因になりますので、土の状態を良く確認してから与えましょう。

追肥

生育旺盛な春から夏にかけては、1週間に1度を目安に液肥を水やり代わりに与えます。もしくは1ヶ月に1度緩効性肥料を施しても良いでしょう。

追肥でよくある失敗は、株元に肥料を与えてしまうことです。根に直接肥料が触れると、肥料焼けを起こし根を傷めてしまいます。

地植えの場合は根が広範囲に伸びるので、株元から30~50cmほど離れたところに施しましょう。

摘芯

ひょうたんは孫づる、子づる、親づるの順で花がつきやすいため、たくさん実らせるためには摘芯が欠かせません。摘芯とは生長点である先端の芽を摘み取ることをいい、わき芽の生長を促進させる効果があります。

親づるの先端が伸びていくうちはわき芽をかき取りながら育て、棚の頂上やネットまでたどり着いたら摘芯しましょう。子づるも6節ほどまで伸びたら摘芯し、孫づるを伸ばしていきます。

伸ばしていったつるや茎は、支柱にそって麻ひもなどで留めて誘引しておきましょう。株全体の日当たりや風通し、養分の行き渡りが良くなります。

人工受粉


虫の飛来が少ない都市部やマンションでは、受粉を確実にするため人工受粉をしましょう。

夕方から早朝にかけて白い花を咲かせるので、雄花の葯(雄しべの先の花粉が入った袋)をちぎり、雌花の柱頭が黄色くなるくらい花粉をつけていきましょう。

雄花と雌花の見分け方ですが、花の根元が膨らんでいるのが雌花雄花には膨らみがありません。ひょうたんの花をはじめて見る方でも分かりやすいですよ。

収穫

葉やつるが枯れはじめ、果実を軽く弾いたときに軽い音がすれば収穫していきましょう。収穫が遅れる分には問題ありませんが、未熟すぎると皮が薄く加工が難しいので注意してください。

収穫後は口の部分に穴をあけて種を取り出し、水に10日ほどつけて中身を腐らせます。よく洗って乾燥させれば、器やインテリアとして楽しめます。

ひょうたんの注意したい病害虫


ひょうたんは病気や害虫の心配があまりないのですが、生育環境によっては被害を受けることもあります。

日々のこまめな観察で早期発見を心がけ、被害が大きくなる前に対処しましょう。

病気

うどんこ病
梅雨明け後に発生しやすく、葉の表面に白いカビの斑点が現われ、全面に広がると光合成ができず枯れてしまいます。きちんとつるを誘引し風通しを良くすることで防げますが、発病した葉は見つけ次第摘み取りましょう。

つる割病
気温が高くなると葉やつるが萎れ、進行すると茎の地際部からヤニや白カビが発生します。ウリ科植物の連作を避け、土壌を中性~弱アルカリ性に保つことが予防となります。

つる枯病
葉が淡い黄褐色へ変色し、やがて黒い粒状の斑点が現われ枯れてしまいます。梅雨時期や秋雨時期など多湿条件で発生しやすく、水や泥はねからも感染するので水やり時は注意しましょう。

害虫

ウリハムシ
体長7~8mmほどの茶色の甲虫で、葉や果実を食害します。特に幼苗期のうちに葉が食べられてしまうと、生育が抑制され丈夫に育たなくなります。見つけたらすぐに捕殺してください。

アブラムシ
茎や新芽につきやすく、養分を吸収して株を弱らせます。あっという間に増えるので、歯ブラシをつかってこすり落としましょう。牛乳や木酢液を霧吹きに入れて直接吹き付ける方法も効果的です。

ひょうたん栽培のまとめ


ひょうたんは病害虫にも強く、栽培初心者の方にもおすすめの植物です。日当たりと風通しの良い場所に植えることが上手に育てるポイントですよ。

縁起物でもあるひょうたんを育てれば、ご自宅に良い運気を呼び込んでくれるかもしれませんね。ぜひみなさんもひょうたん栽培にチャレンジしてみてください。