えごまは健康野菜の1つとして注目されており、病害虫に強く栽培も簡単なため、家庭菜園初心者の人にもおすすめです。
今回は、えごまの栽培方法や栽培のコツ、収穫の仕方や水耕栽培の方法について、ご紹介していきます。
えごまとは
ゴマの一種と思われるかもしれませんが、えごまはシソ科の植物で見た目もシソにそっくりで独特の香りがあります。
日本では古くから、えごま油をとるために栽培されてきました。えごまは油だけでなく、実や種や葉なども食べることができます。
えごまにはβカロテンやビタミンC・E、カリウムや鉄分など、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいます。またロズマリン酸やa-リノレイン酸を含んでいると注目を集めています。
えごま栽培で収入を得ている人も
えごまは小さな畑でも栽培可能で、初心者の方にも比較的簡単に育てることができます。
週末だけ手入れをするという形でも大丈夫ですので、他に仕事を持っている方もお小遣い程度の収入を得ることができます。
えごまの栽培環境と栽培カレンダー
栽培環境(日光・適温・耐暑性・水はけ)
えごまの発芽温度は23~25℃、栽培適温は15~25℃です。えごまは寒さや暑さに加えて西日も苦手なので、日向~半日陰の風通しの良い場所で育てましょう。
水はけの良い土壌を好むため、プランター栽培の場合は鉢底石を利用しましょう。露地栽培の場合は畝(うね)を作り、両脇に水が流れるようにしておくと良いですね。
栽培適地と難易度
えごまの栽培難易度を5段階で評価するとしたら☆1つです。初心者におすすめの野菜と言えます。
全国どこでも栽培が可能ですが、耐寒性や耐暑性がやや弱いため、お住まいの地域によって植え付け時期や収穫時期を守りましょう。
栽培カレンダー
居住地・別栽培カレンダーは以下の通りです。えごまは寒さに弱いため、寒冷地にお住いの場合は5月に入ってからの種まきをおすすめします。
栽培方法
えごまは簡単に栽培できますが、いくらシソに似ているからといって、えごまの近くにシソは植えないようにしてください。
同じシソ科に属するえごまとシソは、隣同士で育てると簡単に雑種化し、香りのないものができてしまうため注意しましょう。
えごま栽培の土や準備物
えごまはプランター栽培や露地栽培も可能です。日当たりと排水性に優れた場所を選びましょう。
プランターの場合
プランターで育てる場合、土は市販の培養土を利用すると簡単です。プランターのサイズは大型サイズの(60cm以上)深底タイプ(20cm以上)を使用してください。
1つのプランターに2~3株(株間は約30cm)植えることができます。プランターの底部分には市販の鉢底石を並べましょう。
こうすることで水はけが良くなりますよ。鉢底石の上から培養土をプランターの8分目まで入れてください。
菜園(露地栽培)の場合
種まきの2週間前に菜園に苦土石灰をまいて、種まきの1週間前には市販の化成肥料(窒素・リン酸・カリをバランスよく含んだ肥料)をまいて、スコップでよく混ぜこんでおきましょう。
土をよく混ぜたら水はけが良くなるように、カマボコ型の小山(畝…うね)を作っておきましょう。
えごまの種をまく
種まきの適期は5~6月です。発芽率を上げるため、種をまる1日水につけて給水させておきます。
プランターも露地栽培も、種をまく際は“点まき”にしましょう。一か所に種を5~6粒ほどまいてください。
いくつか育てる場合は間隔を30cmとるようにします。えごまは日光を好む性質なので、種をまいたら約5㎜程度の土をふるいにかけながら薄くかぶせます。
手のひらで土を軽く押さえ、ジョーロで優しくたっぷりと水をあげましょう。プランターで栽培する際は土が乾燥しやすいため、発芽するまで湿らせた新聞紙をかぶせておくと発芽率が上がります。
間引き
種が発芽して本葉が2~3枚になったら、育成の悪い苗を間引きます。本葉が4枚揃ったら再び育成の悪いものを抜き取り1ヶ所1本にします。
販売されているえごまの苗を植える
園芸店などでえごまの苗を購入した場合は、本葉が4~6枚揃ったらプランターや菜園に植えましょう。
植え付けの適期は6~7月です。プランターや菜園の畝に、えごまの苗が入っていたポリポットと同じくらいの穴をスコップで掘ります。
ポットを逆さにして苗を取り出し、根鉢を崩さないように注意しながら掘っておいた穴の中に入れ込みましょう。
その後、えごまの苗を安定させるために両手で苗の周りの土を軽く押さえつけます。優しくたっぷりと水やりをしたら植え付けは完了です。
えごまの世話について
水やり
えごま栽培は、水やりを欠かさずに行うことが重要です。種が発芽するまでの間や、苗を植えて根が土に定着するまでの期間は特に気をつけましょう。
毎日優しくたっぷりと水を与え、土の表面が乾きやすいプランター栽培は特にしっかり水をやるようにします。
追肥
えごまは生命力の強い植物なので、追肥は必要ありません。肥料は植えるときのみで大丈夫というのも、えごま栽培の魅力です。
しかしもし育成が悪いように感じられたら、水やりを兼ねて規定量の液肥を与えてみると良いでしょう。株の周りの土にかけることがポイントです。
摘心
苗の高さが15~20cmになったところで、茎の先端にある頂芽(ちょうが)を摘み取る摘心をします。ハサミを使うと柔らかい茎が傷ついてしまうため、必ず手作業で摘心しましょう。
摘心すると、わき目に栄養が行き届くようになるため収穫量が期待できます。苗が大きくなると摘心=収穫になります。
えごまの病害虫
病気
えごまには、葉の裏がオレンジ色になるサビ病が発生することがあります。株間の風通しを良くし、太陽にしっかりと当ててあげることで病気の発生を防げます。
害虫
えごまには、ガの幼虫であるベニフキノメイガやアブラムシ、ハダニなどがつきます。ベニフキノメイガは葉の裏に生息し、発見が遅くなると葉を全て食い荒らされます。葉の裏をこまめに確認し、見つけ次第退治しましょう。
ベニフキノメイガは特に柔らかい葉を好むため、苗が発芽した時点で不織布(繊維を織らずに絡み合わせたシート状のもの)をベタがけしておくと良いですね。
アブラムシは発見したら綿棒で退治します。ハダニは雨の少ない時期に発生するため、高温乾燥を防ぐワラを株の周りに敷いておくことで被害を軽減できます。
えごまの収穫
えごまの収穫時期は7~10月です。株の丈が30cm、本葉10枚以上になったら収穫が可能です。
葉は切りとって収穫し、果実は穂先が黄色くなったら収穫できます。えごまは収穫できる部分が多く、葉・芽・花穂・種とこれら全てを食べることができます。
葉は焼肉を巻いたり、漬物やあえ物、天ぷらにしても美味しくいただけます。芽や花穂は、お刺身のツマや素麺の薬味に。種はゴマの代わりに使用できます。種を直接食べると、質の良い油を摂取できますよ。
えごまを水耕栽培しよう
えごまは、室内でも簡単に栽培することが可能です。暑さ寒さを気にせずに育成できますし、そのままお料理に使えてとても便利ですね。
- 台所用スポンジ
- 500mlぺットボトル
- 容器(豆腐や果物が入っていた容器、100均の物など何でもOK)
- カッターナイフ
- 水耕栽培用液肥
ペットボトル鉢の作り方
苗が育った後は、ペットボトル容器にて育成を行います。ペットボトル容器は外側から水の確認ができるし便利ですよ。
容器は事前に工作し、準備しておきましょう。ペットボトルの上から3分の1の部分をカッターナイフでカットします。怪我をしないように気を付けてくださいね。
カットした上の部分(飲み口が付いている方)を逆さにひっくり返して、ペットボトルの底部分にかぶせると鉢の完成です。
エゴマ水耕栽培の手順
ペットボトル容器の上部(飲み口が付いた部分を逆さにしたもの)をA。下の部分(コップのような物とイメージしてください)をBとしています。
間引いた苗はベビーリーフや薬味としてお料理に使用できますので、捨てずに美味しくいただきましょう。
- 台所用スポンジを用意し、カッターナイフで1.5~3cm角の立方体にカットする
- 立方体の中心に、カッターナイフで十字の切込みを入れておく
- スポンジに水を染みこませる
- 容器を準備し、その中にカットしておいたスポンジを並べる
- スポンジの十字の切込みに、種を2~3粒入れる
- 容器に水を入れる
- 水を変えながら、発芽するまで明るい日陰にて育成する(1週間ほどで発芽)
- 種まきから約20日たったら、元気の良い苗をペットボトル鉢に移動させる
- Bに水と液肥を入れ、えごまの根をAの飲み口部分からBに通し水に浸かるようにする
- その後も根がBの水(液肥入り)に浸かっているか確認しながら育成する
- えごまは成長が早く、約50日もすると収穫ができる(使う分だけ葉をちぎる)
苗をいきなり日当たりの良い場所で育てると、葉が茶色くなり葉焼けを起こしてしまいます。できるだけ、室内の同じ環境にて育成しましょう。
素朴な疑問Q&A
連作障害はありますか
えごまには連作障害がありますので、1~2年の期間をあけて栽培してください。
種の取り方を教えてください
えごまの開花後1か月後に実がなり始めます。実が8割型黄色く色づいてきたら、枝を切って綺麗に洗い乾燥させます。乾燥したら手作業で実から種を採りましょう。
えごま栽培のまとめ
えごまの栽培方法や栽培のコツ、収穫の仕方や水耕栽培の方法についてご紹介していきましたがいかがでしたか?
えごまは栽培法も簡単で、葉・芽・花穂・種など、全て食べられる健康野菜だということが分かりましたね。ぜひ皆さんも栽培を楽しんでみてくださいね。