家庭菜園・野菜の栽培

【初心者】アボカドの栽培・育て方のコツ(割れたり、虫がつかない対処法も)

「森のバター」として人気のアボカドは栄養満点で美容にも良いと言われています。食事として食べることが多いですが、分類は野菜ではなくフルーツになります。

その美しい葉は観葉植物としても注目されていますから、家庭菜園にはうってつけの植物でしょう。成長過程でグリーンに癒され、実を結べば美味しくいただけます。

暖かい地方でしか育たないイメージがありますが、寒さにも強く日本の気候でもしっかり根付きます。この記事では初心者でも挑戦しやすいアボカドの栽培方法を詳しくご紹介します。

種から発芽させる方法、管理の仕方・人工授粉・トラブル対処法など是非参考にしてみてください。

日本の家庭菜園でも育つ!アボカド栽培

スーパーなどで販売されているアボカドのほとんどは輸入品です。メキシコやアメリカ、ニュージーランドなど温暖な環境で栽培されています。

アボカドは順応性が高く、寒さにも強いですから日本の庭でも立派に育ちます。ただその生命力の強さから地植えすると思いのほか育ちすぎて最終的には持て余してしまうことも。

広い場所で大きく育てるのはもちろん、剪定や肥料の調整で樹形を整えれば観葉植物として楽しむこともできますよ。

食べた後の種から育てる方法

栽培用のアボカドの入手方法はとても簡単です。料理で使ったアボカドの種から芽出しをすればそのまま育てられます。

実から種を取り出すのに、包丁で傷をつけてしまうことも多いと思いますが、傷がついていても問題ありません。種に付いている実をよく洗い流してから栽培を始めましょう。

果肉には発芽を抑制する成分が含まれていますから、きれいにして発芽率を上げます。水や土の腐敗を防ぐためにもしっかり洗い流しておきましょう。

アボカドの発芽は気温20℃以上で、5~8月の暖かい季節が最適です。

水栽培で発芽させよう

アボカドの種は先が尖っている方が上になります。丸く膨らんでいる方から根を張りますから水に浸ける向きを間違えないようにしましょう。

種に爪楊枝を3~4本程度刺して固定し1/3ほど水に浸けます。水は出来るだけ毎日替えるようにして日当たりの良い窓辺で育てます。

3週間ほどで根が生えてきますから、容器が根でいっぱいになる頃に土に植えましょう。

土で栽培する方法

種の状態から土で栽培しても問題ありません。

雑菌が少ない市販の培養土とゆとりのある鉢を用意します。植え付け前に種の薄皮も剥がしておくと発芽しやすくなりますよ。

種の上下を確認して半分ほど土に埋めます。土が乾かないように水やりをしましょう。

およそ1か月ほどで発芽します。

アボカドの栽培環境

アボカドは地植えでも鉢植えでも育てられます。ただある程度の大きさに育つまでは気温の安定した室内で育てた方が安心です。

観葉植物としての魅力も持つアボカドが伸び伸び育つ環境をまとめてみましょう。

日当たり(直射日光は?)

アボカドは直射日光を好みます。乾燥や寒風には弱いですから日当たりが良く北風が直に当たらない場所がおすすめです。

室内なら明るい窓辺を確保しましょう。エアコンの風が当たらにように注意が必要です。

アボカドは水はけの良い酸性の土壌を好みます。鉢植えなら園芸用の培養土で十分生育しますよ。

自分で作る場合は赤玉土7:腐葉土3の割合で混ぜ合わせましょう。

置き場所

アボカドは常緑高木ですから放っておけば20~25mにもなります。地植えする場合はある程度大きくなることを見越して場所を決めましょう。

鉢植えでも1~2mまで育ちます。長さを抑えて栽培するなら上方向に伸びる枝を剪定すれば調整できますよ。

大きく育てるなら地植え、コンパクトに育てるなら鉢植えがおすすめです。

耐寒性はありますが幼木はまだ寒さに対抗できません。冬の戸外に出すのは最低でも1m程度まで成長してからにしましょう。

アボカドの育て方

アボカドは暖かい時期に大きく生育します。発芽して土に植え替えればグングン成長してくれますよ。

育て方の手順に沿って、詳しい工程をご紹介します。

水やり

水は土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。生育が盛んになる3~9月は水切れをしやすいので注意しましょう。

葉が全て下を向いて萎えている状態が水切れのサインです。鉢植えなら鉢底から流れ出るほどたっぷりと水を与え、葉の隅々まで水分が行き渡るようにしましょう。

また気温が下がる冬場は乾燥気味にします。水のやりすぎは根腐れを引き起こしますから、季節や気温によって調整しましょう。

地植えの場合は鉢植えほど神経質に水やりをする必要はありません。雨まかせでも十分生育しますが、夏場の水切れだけは注意が必要です。

肥料

アボカドの肥料は生育期の前後3月と9月に1回ずつ施します。緩効性の化成肥料でリン酸を多く含むものが良いでしょう。

花の開花気時期はより多くの栄養を必要としますから、併せて液体肥料を与えるのがおすすめです。

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植え替え

アボカドは数年おきに植え替えをします。鉢植えの場合は鉢底から根がはみ出て見えるようになったら、一回り大きい鉢に植え替えましょう。

植え替え時期は5~6月頃、暖かく気温が安定しているタイミングで作業をします。根部分はとてもデリケートですから出来るだけ傷をつけないように注意しましょう。

根についた古い土も無理に落とさず、ある程度残したまま新しい鉢に移します。

剪定

予定外に大きく伸びた箇所は剪定をして整えます。時期としては新芽が伸びる3~5月頃が良いでしょう。

程よくカットすると風通しが良くなり、病害虫の予防になります。

アボカドの実をつけるには?

アボカドの実を収穫したい場合は開花後に受粉させる必要があります。アボカドは雌雄異熟花(しゆういじゅくか)で開花習性も独特です。

詳しくご紹介しましょう。

雌雄異熟花とは?

ひとつの花の中に雄しべと雌しべが揃っているにも関わらず、時間帯によって成熟するタイミングが違います。同じ株で結実しようとせず違う株と受粉することで多くの遺伝子を残そうとする植物の生態のひとつです。

雄花と雌花の開花習性

アボカドは雄花と雌花で開花時間に差があります。

雄花が開花してもその時間帯に雌花は閉じていますから、自然な状態で結実させるのは難しいですね。

開花タイプが違う別の株を育てて結実させるのもひとつ方法ですが、同じ株でも先に咲いた花の花粉を採取しておけば受粉させることができますよ。

受粉

受粉は人工受粉で行います。まず雄花が咲いたら半分ほどを丁寧に摘み取ります。

花がしぼまないように冷蔵庫で保管し、雌花が咲いたら小筆や綿棒を使って花粉をつけましょう。

収穫

アボカドの品種によって収穫時期に多少違いはありますが、多くは11~3月頃に収穫期を迎えます。熟したら自然に落下するものもありますが、いつまでも木に生っているものもあります。

ある程度の大きさになっていれば収穫して問題ありません。常温で1~2週間ほど追熟して美味しくいただきましょう。

アボカド栽培のトラブルと対処法

アボカド栽培ならではのトラブルもご紹介しましょう。事前に予習をしておけば早い対応で被害も少なく済みますよ。

対処法と合わせて是非参考にしてください。

種が割れた

アボカドは発根が先で、根が伸びると種は徐々に割れ始めます。時間差で芽が出れば自然に半分に割れるでしょう。

成長過程で割れるなら喜ばしいですが、しっかり根が伸びる前の段階で衝撃を与えると簡単に2つに割れてしまいます。

根の数がまばらで発芽もまだのようなら、その後の生育は難しいでしょう。水替えの際には種の扱いに十分注意しましょう。

葉が枯れる

ある程度の大きさまで育ったアボカドの葉が枯れ始めたとしたら、気温や風通しの悪さが影響しているのかもしれません。特に冬場は気温も下がり、室内の換気も滞りがちです。

エアコンによる乾燥も悪影響ですから、あまり気温差のない暖かい窓辺で栽培しましょう。

発芽したばかりの幼木が枯れ始める場合は、種の洗浄が足りなかった可能性があります。残った果肉は土や水、種自体を腐食していまいますから、栽培前の準備も大切ですね。

茎だけが伸びる

葉があまりつかず、茎だけが長く伸びてしまう場合は日照不足が考えられます。出来るだけ日当たりの良い環境に置きましょう。

鉢植えなら日中は戸外で直射日光に当てても良いですね。

アボカドの病害虫

生命力の強いアボカドも病気や害虫被害により株が弱ってしまいます。注意したい病気と害虫をご紹介しましょう。

注意したい病気

  • 炭そ病

カビが原因で葉や茎に黒褐色の斑点が現れます。放っておくと斑点は広がり、株を枯らせてしまいますから見つけたらすぐに取り除きましょう。

注意したい害虫

  • カイガラムシ
  • ハダニ

葉や茎について養分を吸い取ったり食べ荒らします。アボカド以外にも様々な野菜や植物につきますから地植えの場合はより注意が必要です。

幼虫なら薬剤で駆除できますが、成虫になると効果はありません。歯ブラシなどで擦り落としましょう。

アボカドの栽培・育て方のまとめ

アボカドは観葉植物として楽しめ、受粉させれば実まで収穫できます。ただ地植えの場合は剪定をしなければかなりの大きさまで成長してしまいますから、意識して樹形を整えたいですね。

栽培のポイントは生育期(3~9月)の水やりと日当たりの確保。剪定や植え替えを繰り返せば長く栽培できますよ。

食べた後の種から育てられる分、手軽で試しやすく室内のインテリア感覚で楽しむ人も増えています。植物が発根し芽吹く様子が観察しやすいですから、お子様と一緒に楽しめますね。