ごまは古くから栽培されており、「不老長寿の薬」と呼ばれるほど栄養価の高い植物です。プチプチとした食感で香ばしく、料理の彩りにも大活躍します。
今回は、ごまの栽培方法や育て方のコツ、収穫の方法や病害虫などについてご紹介していきます。
ごまについて
ごまはインド原産の植物で、日本では約5000年以上昔の縄文時代から栽培されてきました。種が食用として扱われ、白ゴマ・黒ゴマ・金ゴマなどの品種があります。
ごまはセサミンやリノール酸、オレイン酸が豊富に含まれています。その他にも、タンパク質やビタミンE・B、カルシウムや鉄など、非常に多くの栄養素を含んでいます。
トッピングとして使用するのは勿論、ゴマ油やドレッシングや和えもの、お団子やクッキーなど、お菓子作りにも幅広く利用できます。
ごまの栄養を吸収するには、しっかりとすって、すりごまとしていただきましょう。ごまの栽培はほとんど手がかからないため、家庭菜園初心者の人にもおすすめです。
プランターもOK!栽培時期と栽培方法
ごまは種をまいて育てます。日当たりが良く、水はけの良い場所を選んでください。種まき時期は5月中旬~6月中旬です。収穫時期は8月中旬~9月下旬になります。
家庭菜園での露地栽培も、ベランダなどでのプランター栽培も可能です。作物が伸びた高さ、つまり草丈(くさたけ)が1m~1.5mにもなるので、支柱を立てて栽培しましょう。
ごまの土作りと準備物
プランター栽培の場合、25L以上・深さ30cmほどの大型サイズを利用しましょう。プランターの底には鉢底ネットを敷き、水はけがよくなるよう鉢底石を敷き詰めておきます。
プランター栽培の土は、市販の培養土を利用すると便利です。露地栽培の場合は、種まきの2週間前に菜園に苦土石灰と堆肥(有機物を微生物の力で分解した肥料)をまいて、しっかりかき混ぜておきます。
種まきの1週間前には化成肥料(窒素・リン酸・カリウムを含んだ複合肥料)を混ぜ込んで、混ぜておきましょう。その後、幅60~70cm・高さ10~15cmの、かまぼこ型の畝(うね)を立てておきます。
株間はどのくらい?種まきについて
種まきは気温が十分上がった、よく晴れた日を選びます。プランター栽培の場合、ポリポット(育苗ポット)を押し込んで穴をあけ、1ヶ所に5~6粒ずつ種をまいていきます。
数株育てたい場合は、株間を15~20cmあけてください。種をまいたら上から土をかぶせて、手の平で押さえつけ、たっぷりと水を与えましょう。
露地栽培の場合、支柱などを利用して畝に深さ1cmのまき溝を作ります。まき溝に1cmの間隔をあけて種をまき、土をかけて手のひらで押さえ、たっぷり水やりをしましょう。
間引きについて
ごまの間引きは合計3回行います。1回目は双葉が開いた時で、3~4cmの株間があくように間引きます。2回目は草丈が10~15cmの時に、株間を10cm間隔になるようにします。
3回目の間引きは草丈が20~30cmの時で、株間を20cmとりましょう。株元の土がぐらついていないか確認し、土を手で優しく押さえてあげると良いですね。
追肥(肥料)について
3回目の間引き(草丈20~30cmの時)が終わったら、1ヶ月に1度、市販の化成肥料(短期間で土に栄養分を補う肥料)を株の周りに追肥します。プランター栽培の場合は、プランター全体に化成肥料を追肥をしましょう。
プランター栽培も露地栽培も、追肥をしたら株の周りに土寄せを行うこと・たっぷりと水を与えることも忘れないでくださいね。また追肥をすると雑草が生えやすくなるため、こまめに抜き取っておきましょう。
水やりについて
プランター栽培・露地栽培共に、苗が発芽するまではしっかりと水やりを行いましょう。苗が発芽してからは、土の表面が乾いたら水をあげてください。また、追肥をして土寄せを行った後も、水やりを忘れないようにしてくださいね。
摘心について
ごまは摘心を行わなくても収穫はできますが、摘心をすることで、花ではなく実ができるサヤに栄養を運ぶことができます。
摘心をするタイミングは、収穫の約2週間前です。草丈の一番上から約20cmの部分を、清潔なハサミでカットしましょう。
ごまを収穫しよう
ごまは花が咲いた後にサヤができ、茎の下から上に向かって実が熟していきます。下部のサヤが黄色や褐色(栗のような色)に変化し、サヤが2~3個割れ始めたら株元を切りとります。
株元をカットする前に、株から全ての葉を取り除いておくと後の選別作業が楽になりますよ。
株が完全に枯れてしまうと、サヤから実(ごま)がポロポロと落ちてしまうので、取り遅れないよう注意してくださいね。
収穫後の作業
株元から刈り取った株を、4~5株まとめてビニールひもなどで束ねておきます。10~15日ほど、雨が当たらない風通しの良い場所で穂先を上にした状態で乾燥させましょう。
十分に乾燥したら、清潔なレジャーシートやビニールシートを敷いて、株を振ったり棒で叩いたりして種を落としてください。落ちた種を集めたらザルなどの中に入れて、ゴミや未熟な種などの異物を取り除きます。
ホコリなどは軽く息を吹きかけて飛ばしてもOKです。収穫したごまはトレイなどに広げ、日に当てて更に乾燥させます。
その後は、乾燥材を入れた密閉容器に入れて冷蔵庫にて保存します。料理に使用する際は、弱火で空煎りしてから使用してくださいね。
ごまの病害虫
ごまにはアブラムシやカメムシ、スズメガの幼虫などがつくことがあります。こまめに観察し、幼虫や成虫を見つけたらすぐに駆除しておきましょう。
アブラムシは綿棒でなぞって退治したり、テントウムシを連れて来ても良いですよ。また、ごまは立ち枯れ病を発症することがあります。
立ち枯れ病はカビの一種で、地面と接する部分が褐色に変色して腐り、細くくびれる病気です。
連作障害から立ち枯れ病を引き起こす可能性がありますので、連作(同じ土壌に続けて同じ作物をつくること)はやめましょう。2~3年は連作を避けてください。
素朴な疑問Q&A
株が倒れそうで心配です
草丈が伸びて風の強い日が続いたりすると、株が倒れてしまうことがあります。ごまの草丈は1.5~1.8mにもなるので、支柱とひもで押さえて倒れないようにしてあげましょう。株の脇に支柱を立てたら、ひもで囲んであげましょう。
ゴマの収穫後に適した洗い方はありますか
収穫したごまはゴミを取り除くだけでも構いませんが、どうしても気になる場合は水洗いをしても構いません。
小さなゴミや浮き上がったごまを取り除き、しっかりと乾かしてから乾燥材を入れた缶やビンにて保存しましょう。
収穫量はだいたいどのくらいですか
ごまは育成期間が約4ヶ月と短くても、約300坪あたりにすると約80~100㎏の収量が得られると言われてます。
ゴマの炒り方を教えてください
フライパンを弱火にかけて、温かくなったらごまを投入します。この時、たくさん入れすぎると焦げついてしまうので注意しましょう。
ヘラなどでゆっくりとかき混ぜながら火を強めて、遠火にしながら炒ります。プチプチとごまがはじける音がしたら、火を止めてフライパンから出しましょう。
ごまの栽培まとめ
ごまの栽培方法や育て方のコツ、収穫の方法や病害虫などについてご紹介しましたが、皆さんいかがでしたか。
ごまは、家庭菜園でも簡単に栽培できること。株が完全に枯れてしまう前に、収穫を行うことがポイントでしたね。
栄養が豊富で、白ゴマ・黒ゴマ・金ゴマなど、ごまの品種はどれも育て方は一緒です。ぜひ、お好みのごまを選んで栽培してみてくださいね。