熱帯アジア原産で暑さに強く、夏が旬の「つるむらさき」。英名では「インドホウレンソウ」と呼ばれています。
味はホウレンソウに似ているとも言われ、モロヘイヤのようなヌルヌルとした独特な粘りがあり、お浸しや天ぷら、炒め物など様々な調理法で食べることができます。
インドホウレンソウとも呼ばれるつるむらさきは、栄養価はホウレンソウよりも高く、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルも豊富で栄養価がとても高い緑黄色野菜なので、近年注目されている食材のひとつとなっています。
今回はそんなつるむらさきの栽培方法や育て方のコツなどを詳しく紹介していきます。
つるむらさきの基本情報
つるむらさきは熱帯アジア原産のつる性の植物で食用や観賞用として育てられています。
つるむらさきの生育適温は20~30度で、温度を必要とします。
夏に旬を迎える野菜なので、高温を好み霜などには弱いため耐寒性はありません。ここではつるむらさきの栽培スケジュールを紹介します。
- 種まき 5~6月
- 収穫 6月下旬~10月上旬
上記の栽培スケジュールは中間地向けなので、寒冷地では少し遅めに、暖地では早めにずらして種まきを行うことができます。
つるむらさきの発芽適温は25度~30度のため、住んでいる地域の気候などに合わせて種まきを行うようにしましょう。
つるむらさきの種類
つるむらさきには葉と葉柄が紫色になる赤茎種と、葉も茎も緑色の青茎種があります。
赤茎種は紫色の花、青茎種は白色の花でどちらも綺麗ですが、観賞用としては赤茎種、食用にするなら青茎種が向いています。
つるむらさきの栽培方法
つるむらさきの栽培方法の手順を詳しく解説していきたいと思います。
土づくり・肥料
つるむらさきは酸性土を嫌うので、石灰などでアルカリ性の土壌にしておきましょう。元肥は種まきをする2週間前までに、苦土石灰、堆肥、化成肥料を畑に施しましょう。
つるむらさきは肥料を吸う力が強く、比較的痩せた土地でも良く育つ野菜なので、元肥が多すぎると初期の生育不良に繋がります。肥料は控えめにしておきましょう。
つるむらさきはプランターでも栽培することができるので、プランターの場合は野菜用の培養土を使用することをおすすめします。
つるむらさきに必要な株間
つるむらさきは気温が高くなってくると生育が旺盛になり、葉が繁るので少なくとも30cm~40cmの株間をあけるようにしましょう。
プランターの選び方
つるむらさきを育てるプランターは、野菜用の物で深めで大きいものを選ぶようにしましょう。
おすすめのサイズは幅60cm深さ30cm以上の物で、このサイズのプランターだと2株育てることができます。
種まき
つるむらさきは畑に直まきするか、ポットに種をまき育苗してから植え付ける方法があります。
つるむらさきの種は皮が硬く発芽しにくいので、種を一晩水に浸し柔らかくしてから種まきをしましょう。
直まきの場合
土づくりをした畑で50~60cm幅の畝を作り、30cm以上の株間で3粒ほど種をまきましょう。つるむらさきの種は嫌光性のため、しっかり覆土をし水をたっぷりとあげましょう。
ポットにまく場合
必要な分だけポットを用意し土を八分目まで入れ、指で1cmの深さの穴をあけてひとつのポットに3粒ほどの種をまきましょう。覆土、水やりなどは直まきと同様です。
プランターで育てる場合、ポットで育苗したものを植え付けることをおすすめします。
日当たり
つるむらさきは日当たりと風通しの良い場所で育てましょう。
間引き
発芽し、本葉が2~3枚になったころ、元気な株を1本残して間引きをしましょう。
ポットまきの場合も間引きは同様で、間引き後本葉4~5枚になるまでポットで育苗し、畑やプランターに植え付けましょう。
水やり
つるむらさきの水やりは、根付くまでの最初のうちは乾燥させないようこまめに水やりをするようにし、根付いた後は土の表面が乾いたときにたっぷりとあげるようにしましょう。
つるむらさきは高温には強いですが、乾燥に弱いため夏の生育期は乾燥しすぎないよう、注意が必要です。
黒マルチや敷きワラなどで乾燥を防ぐのもおすすめです。
追肥
基本的につるむらさきは比較的痩せた土地でも育つため追肥の必要はないですが、元気がなく生育に不安がある時や、プランターで育てる場合には追肥することをおすすめします。
畑の場合株間に一掴み程度の化成肥料を、プランターの場合収穫が始まり次第2週間に1回水やりと追肥を兼ねて、液肥を与えましょう。
摘芯
つるむらさきはわき芽を収穫する野菜なので本葉が6枚ほどになり草丈30cm以上になったら主枝を摘芯しましょう。
摘芯の仕方は先端から10cmほどの所をハサミなどで切ればおしまいです。
主枝を摘芯することで、わき芽の成長を促進させることができ収量アップにつながるので、必ず行うようにしましょう。
収穫
つるむらさきはわき芽が15㎝ほどになったころが収穫適期です。主枝から出たわき芽の葉を2枚ほど残したところで収穫します。
つるむらさきは若い葉や茎を食用にするため、あまり大きくさせると葉や茎が硬くなりアクも強くなるため、早めに収穫するようにしましょう。
夏場は生育が旺盛で葉が繁り日当たりや風通しが悪くなりがちなので、こまめな収穫を心がけると長く楽しめます。
つるむらさきの冬越し
つるむらさきは暑さを必要とするので、路地では無理ですが室内で越冬させることも出来ます。
- 栽培時期が終わる10月頃に収穫したつるむらさきを水を入れた花瓶に挿し越冬させます。
- 暖かくなり遅霜の心配がなくなったらつるむらさきが発根していることを確認し、畑やプランターに植え付けましょう。
この方法なら毎年種まきをする必要がなく、簡単につるむらさきを楽しむことができます。
つるむらさきを挿し木してみる
つるむらさきは挿し木で増やすことも可能です。種が手に入らない時や発芽時期を逃してしまった場合におすすめの方法なので、チャレンジしてみてください。
- つるむらさきの下葉を取り斜めに切る
- コップなどの容器に水を入れ斜めに切ったつるむらさきを挿し2週間ほど待つと発根
- 発根したつるむらさきをプランターなどに植える
生命力が凄まじいので、スーパーなどで買ったつるむらさきで挿し木をすることも出来ます。
病気・害虫の対策
比較的育てやすつるむらさきでも病気や害虫が発生することがあります。ここではつるむらさきに発生しやすい病害虫をご紹介します。
紫斑病
つるむらさきがかかりやすい病気は斑点病、紫紋羽病などいくつかありますが、代表的な病気と言えば紫斑病です。
症状としては葉や茎に外側が紫色で中心部が白色の斑点が出来るのが特徴で、被害が少ない場合は症状が出ている部分だけ取り除きましょう。
一見虫による食害にも見えるため、注意してよく観察しましょう。正しい判断ができれば病気の蔓延を防ぐことができます。
病気が広範囲に広がってしまった場合には紫斑病に効く農薬があるので、散布してみるのもおすすめです。
ヨトウムシ
つるむらさきにつきやすい害虫は、アブラムシやハダニなどがりますが、特に気を付けたいのはヨトウムシです。
ヨトウムシは昼間は株元などに潜み夜間に活動しはじめるのが特徴で、葉や茎などを穴だらけになるまで食害します。
ヨトウムシによる食害を疑う場合、作物をよく観察し近くにヨトウムシがいるか観察し、見付け次第駆除するようにしましょう。
食害が酷く、駆除だけで追いつかない場合は、ヨトウムシに効果のある農薬を使用することをおすすめします。
連作障害
つるむらさきは連作障害が出にくい野菜ではありますが、畑に余裕のある方は前年につるむらさきを植えた場所は避けて植えると安心です。
つるむらさきのグリーンカーテン(緑のカーテン)
つるむらさきは名前の通りつる性の植物なので、グリーンカーテンにぴったりな野菜でもあります。
ここではつるむらさきでグリーンカーテンを作るために必要なものと、グリーンカーテンの作り方を説明していきたいと思います。
必要な物
- つるむらさきの苗
- 2mの支柱2本
- ネット
グリーンカーテンの作り方
- グリーンカーテンを作りたい場所につるむらさきの苗を植える(プランターでも可)
- つるむらさきの苗の両端に支柱をしっかり挿す
- 支柱にネットをかける
- つるむらさきのつるがネットに行くようにテープなどで誘引してあげる
つるむらさきの苗はグリーンカーテンを作る場所の幅に合わせて数を用意してください。
つるむらさきは摘芯をせずに伸ばせば2m近くにもなるので、グリーンカーテンにとても適しています。日除けだけでなく、収穫して食用としても楽しめるので是非チャレンジしていただきたいです。
花も美しい!つるむらさき栽培のまとめ
お浸しや天ぷらなど食用として味わうのはもちろん、赤茎種の花はとても綺麗で観賞用としても楽しめちゃいます。
グリーンカーテンにもなり、夏に収穫できる貴重な葉物野菜を自分で育ててみませんか?
つるむらさきの栽培をする際には是非この記事を参考にしてみてください。