家庭菜園・野菜の栽培

【初心者】あしたば(明日葉)の栽培・育て方のコツ(植え付け、冬越し、収穫など)

あしたば(明日葉)は、房総半島から紀伊半島、伊豆諸島、小笠原諸島に分布する多年草です。

収穫した翌日にまた葉が出ることが「明日葉」という名前の由来で、丈夫で長く収穫を楽しめる野菜です。

自然界では生命力が強いあしたばですが、種や苗から育てる場合は暑さ対策や冬越しなどの管理が必要となります。

この記事では、あしたばの栽培方法の基本やプランターの選び方、病虫害対策などを詳しく紹介していきます。

あしたば(明日葉)の基本情報と栽培カレンダー

セリ科シシウド属のあしたばは、強い香りと独特の苦みがある栄養豊富な野菜です。お浸しや天ぷらで食べるのはもちろん、青汁をはじめとする健康食品に用いられます。

あしたばの茎を切ると、黄色い汁が出ます。この黄色い汁は「カルコン」というポリフェノールの一種で、美容や健康維持に役立つ成分です。

北海道はOK?適地と栽培カレンダー


『あなたの住んでいる地域は冷涼地?中間地?暖地?』

あしたばは北海道や東北などの冷涼地でも栽培することができますが、もともとは温暖な地域に自生する植物ですので、暖地の方が栽培に向いています。

種まき:暖地は10月~11月下旬・寒冷地は4月~5月

植え付け:4月~6月(暖地は10~11月も可能)

収穫:数年にわたり収穫可能

あしたばは、種から育てる方法と苗から育てる方法があります。地植えはもちろんプランターや鉢でも栽培可能。スーパーでなかなか見かけない野菜だからこそ、家庭で栽培できるのは嬉しいですね。

あしたばの栽培環境

温度(発芽温度・育成温度)

あしたばの発芽適温は15~20℃です。気温が5℃以下になったり、気温が25℃以上になると、育成が不活発になります。生育適温も15~20℃となっています。

日当たり(日照条件)

あしたばは反日陰を好みます。地植えの場合はできれば日当たりが良すぎる場所よりも、1日に一度日が当たる場所で育てましょう。

夏は遮光ネットなどで日よけをして強い日差しを和らげます。直射日光が当たる場合は株もとにわらを敷いて乾燥を防ぎましょう。プランターの場合は、軒下などの涼しい場所に移動してください。

冬は日当たりの良い場所で育てるのが好ましいです。気温が5℃よりも下がると生育が停滞するので、プランターであれば室内に移動し、地植えであれば株の上に盛り土をして防寒対策をしましょう。

適地(耐寒性・耐暑性)

あしたばは暖かい地域での栽培に向いていますが、耐暑性にはやや弱い植物です。耐寒性もやや弱いため、冬越しができれば収穫を長く楽しめます。

プランターの用意と土づくり(Ph・肥料)

プランターで育てるメリットは、天候や気温に合わせて場所の移動ができるところです。夏の極端な暑さや冬の冷え込みも、必要に応じて移動しながら温度調整ができます。

あしたばの栽培に適したプランターは幅70cm×奥行き30cm×深さ30cmの容量35~45Lのものがおすすめです。

根がしっかり張れるように底が深いプランターを用意しましょう。鉢の場合は8号~10号サイズで、30cm以上の深さがあるものを選びましょう。

  • 8号鉢には1株
  • 70cm×30cm×30cmのプランターに30cmの間隔をあけて3株
  • 地植えであれば40cmほど間隔をあける

あしたばの土壌酸度はPh6.0~6.5です。栽培には野菜の培養土を使います。培養土にはすでに肥料をバランス良く混ぜ込んであるので、初心者の方におすすめです。

自分で配合する場合は、「赤玉土(小粒)7:川砂2:腐葉土1」の割合がおすすめです。地植えをする場合は、植え付ける2週間前までに30cmほど土を耕しておきます。

あしたばは排水性の良い弱アルカリ性の土壌を好み、酸性土壌に弱いです。酸性に傾く場合は有機石灰を混ぜ込んで調整し、水はけが良くない場合は川砂を加えましょう。

あしたばの栽培方法(プランター・鉢植えOK!)

種まき・育苗

あしたばの発芽適温は15~20度なので、種まきは暖地だと「10月~11月」、寒冷地は「4月~5月」の暖かくなった時期が適しています

あしたばの種は比較的発芽しにくいので、種をまく前に一晩水に浸けましょう。発芽率をアップさせたいのであれば取った種をすぐにまく「取りまき」がおすすめです。

種が準備できたら、育苗箱に5cm間隔でばらまきます。育苗箱ではなく、育苗ポットやプランターを利用しても良いですよ。

あしたばは好光性種子なので、種が隠れる程度に覆土してください。光が足りないと発芽不良につながるので注意してくださいね。

発芽までは乾燥しないように霧吹きで適宜水やりをします。本葉が2枚になったら3号ポットに移植しましょう。本葉が4~5枚になるのを待って地植えする方法もあります。

植え付け

種から育てるのはハードルが高く感じる方や、初心者の方には苗から育てる方法がおすすめです。あしたばの苗は4~5月の暖かくなる時期に植え付けていきます。暖かい地域であれば10~11月でも良いです。

ホームセンターなどで苗を購入する場合は、葉の色が濃い緑のものを選んでください。徐々に葉の色が落ちてくるので、葉が黄色いものは避けましょう。

種から苗を育てた場合は、本葉が4~5枚育ったら畑やプランターなどに植え付けていきます。株間は30cmほどの間隔を取り、植え付け後はたっぷりと水を与えましょう。

間引き

種から育てる場合は、5cmほどに生長した頃に間引きを行います。30cm四方の間隔をあけると、隣の株と程良い距離感で育てることができますよ。

水やり

あしたばの水やりは、土が乾いた時に行うのが基本です。プランターや鉢の底から水が出てくるまで与えてください。

ただし、あしたばは根腐れを起こしやすいので、水の与えすぎにも注意が必要です。土が湿っている時は乾くまで待ち、メリハリをつけるようにしましょう。

地植えの場合は、水やりをしなくても大丈夫です。梅雨の時期など雨が続くときには、モミ殻やワラで対策をして過度な雨水から守ります。プランターであれば軒下に移動させましょう。

追肥

あしたばは化学肥料に弱いので、鳥糞や油粕などの有機肥料を与えます。1~2ヶ月に一度を目安とし、生育を見ながら行いましょう。

また、肥料の与えすぎは株を弱らせたり、根腐れの原因となるので注意が必要です。

摘花

あしたばは花を咲かせると、次の年に芽を出さないので注意が必要です。株を長生きさせるためにも花が咲く前に葉を摘み取る必要があります。

花からは種を採取でき、次の年にまた種から育てることができます。

収穫

あしたばは草丈が約30~50cm、開きかけている若い葉を収穫できます。株の付け根からハサミでカットしましょう。

2年目以降も収穫が可能ですので、草丈が約30cm、茎が指の太さくらいになった頃に収穫しましょう。

春は生長が活発ですが、夏は暑さで生長が停滞するので収穫のペースもおさえてください。収穫する時は常に2~3本残しておき、若い葉を茎ごと収穫しましょう。

冬越し

あしたばを数年にわたって栽培するには、冬越しをする必要があります。

あしたばは寒さに弱いので、寒冷地ではワラやモミ殻を厚く覆って寒さ対策をします。プランターは室内など寒さをしのげる場所に移動させましょう。

あしたばにつきやすい病害虫と対策

あしたばは病害虫が比較的発生しにくいですが、アブラムシやアオムシ、ヨウトウムシ、ウドノメイガなどの害虫がつくことがあります。

葉や茎を食べてしまうので、見つけた場合は「食べられた葉ごと」駆除をしましょう。

また、市販の木酢液を薄めて散布することで予防ができるので、害虫対策を考えている方は取り入れてみてください。

あしたばの水耕栽培

あしたばは、露地植えやプランター、鉢での栽培が主流ですが、水耕栽培も可能です。

準備するもの

  • あしたばの種
  • 清潔な食品トレーやタッパーなどの容器
  • スポンジ

あしたばは発芽率が低いです。また、まいた種の全てが発芽するわけではなく、発芽するまでに1か月ほどかかります。

水耕栽培の手順

  1. スポンジを小さく切り、十字に切り込みを入れる
  2. スポンジに水を浸し、中央に種を置く
  3. 容器に水を入れて、日の当たる場所へ置く
  4. 水のチェックを毎日行う
  5. 発芽して葉が大きくなったら、好きな容器へ移して育てる

あしたばの水耕栽培は、どちらかというと上級者向きの方法です。初心者の方は、まず苗から育ててみて、慣れた頃に挑戦してみてください。

あしたば栽培のまとめ

あしたばの栽培方法をご紹介しましたが、いかがでしたか?あしたばは、夏の強い日差しや冬の寒さ対策ができれば、安定的な収穫が見込める栄養豊富な野菜です。

また、水や肥料を与えすぎないことや、花が咲く前に葉を摘み取るといったちょっとしたポイントを守ることでスムーズに栽培できます。

プランターで育てることもできるので、初心者の方でも挑戦しやすいでしょう。ぜひご家庭でもチャレンジしてみてくださいね。