そら豆ほど、見た目にインパクトがある野菜はありません。非常に大きな粒が特徴的ですよね。もしかして、大きなそら豆の栽培が家庭菜園では難しいと考えていませんか。
お店に売ってるような立派な豆なんてできないと思われる方がほとんどだと思います。それがもしも、家庭菜園初心者にも簡単に栽培できる野菜だとしたらどうでしょうか。
収穫したてのそら豆を塩ゆでにすると、ホクホクした食感に何ともいえない甘みが口の中いっぱいに広がります。こんな立派なそら豆を簡単に栽培できる方法があるのです。
「初心者でも失敗しない」そら豆の育て方をご紹介します。要所には失敗せずに成功するコツを記載していますので、参考にしてください。
そら豆の育て方
畑づくり
種まきの時期が10月中旬~11月中旬頃になるのでそれまでに畑づくりに取り掛かりましょう。
まず重要なポイントとして、マメ科の植物には※連作障害があります。過去にマメ科を栽培したことがあれば、その最後に収穫した時から4~5年はあけて畑を選んでください。
またそら豆は酸性の土壌を嫌いますから、しっかり土壌の調整をしていきます。(石灰をまくことで調整できます)
畝幅60~70cmくらいとして、種まきの1~2週間前に石灰150g/㎡を散布してよく耕しておきます。次に堆肥2kg/㎡、化成肥料50g/㎡を施しよく耕します。
連作障害とは、同じ種類の植物を栽培することで次の障害が発生することです。
- 生育が遅れる
- 収穫量が見込めない
- 味が悪い、病害虫の発生が多くなる
種まき
そら豆の生育適温は16℃~20℃と冷涼な気候を好むことから、10月中旬~11月中旬にはまきましょう。
次に初心者が栽培しやすい、おすすめの種類を紹介します。
- 河内一寸
- 打越一寸
- 仁徳一寸
この3種類が大粒で立派な実を付け、栽培し易いとされています。
株間30~40cmで一か所に2粒ずつの点まきにします。その際には、※お歯黒を下にして植え付けないとうまく発芽しないので注意してください。
お歯黒とは
そら豆の種には、黒い筋が入っている部分があります。その部分を土に刺すような形で植え付けてください。ちょうど、土へ押し込む形になります。
※そらまめの育て方の題のすぐ下にある画像で黒い筋が入ってる部分です。
間引き
発芽したら育ちの良い苗を残して1本に※間引きします。本葉3~4枚の頃に元気な方を残して片方は抜いてしまってください。
間引きとは
種まきしても全てが元気に成長してくれはしません。強く元気に成長してくれる方を残すと病気や虫にも負けないそら豆に育ってくれるのです。
植え付け・防寒
12月下旬から2月にかけて、霜や北風から株を守るために畝の北側に笹竹を立てます。なければ、株元に敷きワラでもかまいません。(その他代用できそうな物でも大丈夫です。)
要は、霜や冷たい北風から小さな苗を守ってあげられたら良いのです。ただ、そんなに神経質にならなくても幼苗は寒さには強いので厳しい冬でも乗り越えてくれます。
2月頃になり、笹竹が枯れたら取り外します。敷きワラであればそのまま朽ちるまで置いても良いでしょう。収穫が終わったてから土にしっかり混ぜ込めば堆肥にもなります。
整枝・追肥
3月中旬~4月中旬頃の草丈が40~50cmになってきた頃に、育ちの良い芽を残して1株あたり6~7本に枝を※整枝します。(親つるを株元から切り取ってしまいましょう。)
整枝後、化成肥料40~50g/㎡程度を株の周りに追肥します。追肥後は、株が安定して根をしっかりと張れるように枝分かれしている株の根本が隠れるくらいの土をいれます。
整枝とは
親つるのそばから小づるが5~6本くらい出てかなり大きくなってきた頃に行います。一見もったいない感じもしますが、親つるは大きくなっても花の付きが悪く実が付きにくいので切ってしまいましょう。また、全体的にすっきりして太陽光が当たりやすくなり結果的に元気になります。初心者が、不安になりやすいポイントですがしっかり実行しましょう。
支柱建て
草丈がある程度大きくなってきたら、畝の周りに支柱を立てていきましょう。20cm間隔くらいで何段かに分けてひもを張り、生育に合わせて株が倒れないようにするのです。
20cm間隔くらいで何段かに分けてひもを張った理由は、草丈が高くなるのに合わせて徐々に上の方へ誘引していけるからです。
摘心
マメ科の植物は放っておくとつるがどんどん伸びていきます。実は、放っておくとよくありません。芽の頂芽(一番先にある伸びようとする芽)を摘み取る必要があります。
摘心とは
上へ伸びようとする力を抑え横へ横へと広がるようにする作業です。整枝と同じ考え方で、太陽光がまんべんなく当たることになり、実が大きく成長することになります。そら豆栽培では、枝をすっきりさせることが大事なのです。
収穫(200日~210日後)
さやがふくらみ、下に垂れてきたら収穫に適した時期になります。鮮度が落ちやすいので取り遅れに注意しましょう。
マメが大きくなってきた頃は、頻繁に様子を見てあげて食べごろの豆から順に収穫して楽しんでください。
失敗せずに成功するコツ
アブラムシ対策
そら豆はアブラムシが媒介するウイルス病に注意が必要になります。秋から付き始めますが、特に気温が高くなる3月以降の株が大きくなる頃にアブラムシが発生しやすいです。
こまめにチェックをしながら、見つけ次第に捕まえて駆除してしまいながら、マラソン乳剤1,000倍を散布して防除すると良いでしょう。
プランター栽培
深さ30cm以上あるプランターであれば、そら豆を栽培することができます。畑でやると連作障害がありますので少し難しいと思われた方は、こちらがおすすめです。
収穫の後は、気にせずに普通のお花を植えることが可能なので初心者の方におすすめ。また、そら豆は綺麗な花を咲かせますので是非、鑑賞してみてください。
庭先でのプランター栽培であれば、アブラムシ駆除から防寒対策などのお手入れがし易いので、始めての方はこちらで練習してみても良いかもしれません。
少しの手間で上手に栽培する方法
実は、そら豆は種まき以外にもポットまきする方法があるのです。今回は簡単なじかまきを紹介しましたが、ポットまきをする方がしっかり発芽してくれます。
よくお花を買った時についている黒いナイロン製のぺらぺらしたポットをみかけませんか?あれを捨てずに置いておくと買わずに済みます。
ポットまきをすると鳥に取られないように保護することも容易ですし、生育適温に近づけることも簡単です。
こういうポットまきもありますので、お花を買った際にはできるだけポットも捨てずに置いておきましょう。他の野菜でも応用が利きます。
家庭にあるものを工夫して使ってみましょう
例えば、支柱建ての作業では支柱やひもが必要になります。先ほどのポットでもそうですが、意外と代用できるものが家庭には存在します。
ひもなどは、新聞紙や雑誌をくくるナイロンの物を使用すれば大丈夫です。ハサミに関しても必要なくなったハサミで代用してみてください。
何も高価な道具を揃える必要はありません。最初は楽しみながら栽培していき、徐々に欲しいなと思った道具を揃えるようにするくらいで十分なのです。
そら豆栽培のまとめ
そら豆の栽培で気を付ける点と言えば連作障害くらいなので、初めて家庭菜園に挑戦される方でしたらどの場所に植えられても大丈夫です。
ただし、来年以降4~5年は違うマメ科以外の野菜を植えると覚えておいてください。その他の注意点とすれば、思い切りよく整枝や摘心をするということです。
慣れるまではそら豆が痛みそうで心配に感じるかもしれませんが、それが成長の手助けになると思ってお世話してあげる事がコツになります。