私達日本人に古くから馴染みのあるしょうがは、食べると元気になれるパワーフードですね。
キッチンに常備している方も多いと思いますが、家庭菜園で作れたら味わいもまた格別でしょう。
しょうがは収穫時期によって楽しみ方も違います。時に葉生姜として、じっくり育てて新生姜として収穫するのも家庭菜園ならではの喜びです。
この記事では家庭菜園で作るしょうがの栽培方法を詳しくご紹介します。ポイントは栽培環境とお手入れ。
早速おいしいしょうがを作ってましょう。
しょうがの栽培時期
しょうがは春から秋にかけて栽培をします。収穫するタイミングによって葉や若い芽が食べられますから栽培期間も短く感じられるでしょう。
暖かい季節に生育しますから、気温が落ち着く4月以降に栽培をスタートさせ、霜が降りるまでには収穫を終えます。気温が10℃を下回るようになると、根や茎が腐ってしまいます。
葉生姜
葉生姜は小ぶりの品種を若採りしたものです。一般的なしょうがと比べ辛みも少なく、生のままでも食べられますよ。
4~5月に植えつけをすれば7~8月頃には葉生姜として収穫できます。
新生姜
夏を越して秋になると、栄養分が詰まった根は肥大して新生姜(根生姜)として収穫を迎えます。
スーパーなどで手に入るしょうがは、新生姜をしばらく貯蔵したものですから、旬が楽しめるのも家庭菜園ならではかもしれませんね。
しょうがの栽培方法
しょうがの栽培は品種選びから始まります。サイズは大中小と3種類に分類され、小さいものほど辛みが強いと言われています。
プランターで栽培するなら中生姜か小生姜が良いでしょう。庭の菜園なら大生姜も十分生育できます。
プランターと地植えの栽培方法を詳しくご紹介しましょう。
プランター栽培
地中で養分を蓄え、根を大きく育てるしょうがはある程度スペースに余裕をもって育てます。プランターで栽培するなら小ぶりの品種を選びましょう。
プランターのサイズは幅60cm深さ30cm以上を目安にしてください。中生姜なら十分に育てられます。
金時しょうが・三州しょうが・谷中しょうが
大生姜は地植えで育てよう
辛みが少なく食べやすい大生姜は小ぶりのしょうがと比べても収穫のしがいがあるでしょう。
プランターでも栽培できますが、数を植えることができませんから、庭の菜園で栽培するのがおすすめです。
八郎・お多福・印度(大身)
しょうがの栽培環境
しょうがは高温を好みますが強い日差しは苦手です。また乾燥にも弱いので水やりが栽培のポイントになるでしょう。
生育場所は水はけが良く適度に日陰になる場所が理想です。プランターの場合は調節可能ですが、地植えの場合は環境をしっかり整えてから植えつけましょう。
土壌
しょうがは酸性の土壌を嫌います。雨が多い日本の土は酸性質ですから、植えつけ前に石灰をまきアルカリ性に傾ける必要があります。
地植えの場合は植えつける2週間前に苦度石灰(くどせっかい)をまき良く耕します。その1週間後、植えつけ前の準備として深さ15cmのまき溝を作り、
そこに元肥となる堆肥や有機肥料を施します。
しょうがは肥料に直接触れると弱ってしまいますから、植えつけ前に必ず間土(まつち)を敷きましょう。プランターで栽培する場合は野菜用の培養土で問題ありません。
間土とは?
肥料によって種や苗を傷めないために間に入れる土のことです。肥料は化成肥料・有機肥料に関わらず土中のバクテリアよって分解される時、発酵し熱を放出します。肥料の強い成分と発酵熱による害が植物に及ぶのを防ぎます。
日当たり
日光は好みますが、真夏の強い日差しは苦手です。半日陰でも十分育ちますから、長時間直射日光が当たらない場所を選びましょう。
しょうがの生育温度は25~30℃です。土の温度が15℃を下回らないように栽培時期を見極めましょう。
しょうがの育て方
良いしょうがを作るには日頃のお手入れも大切ですが、種生姜選びも重要です。ひと手間でも芽出しをしてから植えると発芽までにかかる時間が短縮できますよ。
初心者でも簡単に収穫まで育てられるコツを手順に沿ってご紹介しましょう。
種生姜の選び方
しょうがは親として使う種生姜か、発芽済みの苗をホームセンターや園芸店などで購入します。種生姜を選ぶ時は品種だけでなく、状態もしっかりチェックしましょう。
ポイントは3つあります。
- 鮮やかな黄色で艶があるもの
- 表皮が瑞々しく病痕の無いもの
- しっかりとした芽(白っぽいツノ状のもの)が付いているもの
見分けが難しい場合は店員さんに相談しても良いでしょう。
芽出し
種しょうがをそのまま土に植えても良いですが、発芽まで1ヶ月ほどかかります。初心者は芽出しをしてから植えるのがおすすめです。
湿らせた新聞紙やキッチンペーパーで種生姜を1個ずつ包み、暖かい日中は戸外に、気温差がある地域は室内の日当たりの良い場所に置き発芽を待ちます。
植えつけ
発芽が確認できたら植えつけます。種生姜が大きい場合は手で割り分けましょう。
1片に2~3芽、大きさは40~50gを目安にします。土に10cmほどの植穴を掘り芽を上にして横向きに植えます。
株の間は20~30cm程度あけるのが基本ですが、葉生姜をたくさん収穫したい場合は10cm間隔にして夏に間引き(収穫)をしましょう。5~6cmほど覆土をして、表面が少し盛り上がるくらいにしておきます。
植えつけ後は水をたっぷり与えましょう。
水やり
水は土の状態を確認しながら与えます。乾燥しきらない半乾きの状態で水やりをしましょう。
特にプランター栽培の場合は乾燥しやすいですから注意が必要です。水やりをする時は鉢底から水が流れるまでたっぷり与えましょう。
地植えの場合は土に湿気が残っているかがポイントです。雨なども考慮してタイミングを決めましょう。
追肥と土寄せ
本葉が2~3枚生え揃ったら化成肥料を追肥をします。1回目は株元に25gほどまき土を3~4cmほど寄せます。
2回目は草丈が30cmになる頃に35g、3回目は同量を2回目から1ヶ月後を目安にまきます。日に当たりしょうがが緑色になるのを防ぐためにも追肥の度に土寄せをします。
8月中旬までに3回まき終わるようにしましょう。
日除けとマルチング
日差しが強くなる夏は日除けを施します。プランターなら半日陰に移動もできますが、地植えの場合は放っておくと葉焼けしてしまい、根に十分な栄養を届けられなくなってしまいます。
寒冷紗を張るなど対策をしましょう。近くにトウモロコシやキュウリなど背が高くなる野菜を植えておくと影になりますよ。
またしょうがは乾燥を嫌うため植えつけ後に敷き藁でマルチングをします。ビニール素材のフィルムマルチを使っても良いですが、藁の方が通気性と吸湿性がありますから扱いやすいでしょう。
マルチングとは?
畑など土の表面を覆うことです。保温・保湿・虫よけの効果が期待でき、雨の跳ね返りが作物につくのも防げますから病気予防にもなります。
収穫
葉生姜の収穫は植えつけから約3ヶ月を過ぎた7~8月頃、葉と一緒に新しく育った根ごと種株からかき採ります。株を深掘りせずに新しく膨らんだ部分だけを収穫します。
続けて新生姜を育てるなら、収穫時に種生姜を傷つけないようにしましょう。葉しょうがをある程度残し栽培を続けます。
9月になると徐々に葉先が黄色に変わっていきます。この葉の変色が収穫時期の合図です。
株元付近は手で掘り全形が確認できたら引き抜きましょう。種生姜も薬味やハーブとして食べられますよ。
しょうがの保存方法
収穫したしょうがは鮮度をキープしたまま上手に保管すれば、長期保存ができます。
農家では土に埋めて保管する方法が取られていますが、家庭菜園で収穫する量なら新聞紙と発泡スチロールの箱が代用できます。
まず適当な大きさの発泡スチロールの箱に新聞紙を敷き詰めます。しょうがを1個ずつ新聞紙にくるみ水で湿らせましょう。
箱に並べたら蓋をしてテープで密閉します。箱は13~15℃が保てる場所に保管しましょう。これよりも低いと傷み、高いと発芽してしまいますから温度管理が重要です。
徐々にしょうがの繊維が形成され、収穫直後よりも辛みのある生姜になりますよ。
しょうがの病気と害虫
しょうがは病害虫には強いですが、油断をするとカビが原因の病気や害虫によって葉や根を荒らされてしまいます。注意しておきたい病気と害虫をご紹介します。
しょうが栽培で注意したい病気
いもち病・・・糸状菌が原因の病気で白や茶色の斑点が現れます。
白星病・・・乾燥や肥料切れにより葉に灰白色の斑点が現れます。
根茎腐敗病・・・葉が黄色く変色し悪臭がします。種生姜が感染していた場合も。
病気は発見したらすぐに対処が必要です。病気の葉や侵食が激しい株は取り除きましょう。
根茎腐敗病にかかった場合は土壌感染の恐れがあります。3年は同じ土地でのしょうが栽培を控えましょう。
しょうがに発生する害虫
コガネムシ(幼虫)・・・地中で成長した根を食べます。
アブラムシ・・・葉や茎について養分を吸い取ります。
センチュウ類・・・土の中で生息し根や葉を枯らせます。
害虫をみつけたらすぐに駆除しましょう。
連作していると土の中に虫が潜んでいる可能性が高まります。地中では防虫剤も効きにくいですから、予防策として虫が嫌がるマリーゴールドを近くに植えると効果がありますよ。
しょうがの栽培・育て方のまとめ
しょうがは暖かい時期に育てますから、天候状況により生育も変わってきます。強い日差しや乾燥には十分注意しましょう。
収穫を終えたしょうがは翌年種生姜として使えます。立派に育ったものはまたたくさん株を増やしてくれますよ。
収穫のタイミングによって違うしょうがの味を是非楽しんでみてください。