三つ葉は全国に自生しており、日本料理に欠かす事のできない香辛野菜の一つです。通年栽培が可能なので一家に一鉢育てておくと、お料理にサッと使えて便利ですよ。
今回は、初心者でもできる三つ葉栽培のコツやキッチン栽培の方法について、ご紹介していきます。
三つ葉の特徴
日本原産でセリ科の三つ葉は、全国各地の山野にも多く自生しています。茶碗蒸しやカツ丼のトッピングとしてもお馴染みの香辛野菜で、独特の爽やかな香りが特徴です。
シャキシャキと歯触りが良く、アクが少ない淡白な味のため、お吸い物や酢の物、天ぷらなどにもおすすめですよ。三つ葉にはビタミンCやカルシウム、ミネラルや鉄分など、栄養が豊富に含まれています。
三つ葉の種類
三つ葉には3つの種類があります。三つ葉は同じ種から栽培したものでも、栽培方法や収穫時期で呼び名が変わります。
短期間で育成し何度も収穫が可能なため、家庭菜園での栽培は青三つ葉がおすすめです。
青三つ葉(糸三つ葉)
茎を青くした三つ葉で、香りと味には定評があります。水耕栽培のため特に旬はなく、スーパーなどでも年中販売されています。
根三つ葉
青三つ葉と違って茎が白く、長期で育成されているため、茎や根が太くしっかりとしています。栽培に少々手間がかかるため、生産者が減りつつあるようです。
切り三つ葉
根元を切られ、茎から上の部分のみ出荷されている三つ葉です。茎がやや太めで一見“葉セロリ”に似ているのが特徴です。関東を中心に販売されています。
室内でも可能?三つ葉の栽培適地と収穫時期
栽培適地(耐寒性・耐暑性)
三つ葉は耐寒性にはやや強いですが、耐暑性には弱い植物です。暖地でも栽培することはできますが、冷涼地~中間地の方が栽培しやすいでしょう。
植え付けと収穫時期(栽培カレンダー)
三つ葉には、春まきと秋まきがあります。種まきはお住まいの地域によって異なりますが、春まきの場合は一般的に3月下旬~7月上旬で、収穫時期は5月中旬~8月下旬になります。
秋まきの場合ですと、一般的には8月中旬~10月中旬に種をまき、9月下旬~12月上旬に収穫となります。
三つ葉は湿度の高い場所や半日陰でもスクスクと育つため、マンションのベランダや日当たりの悪い場所でも育成が可能です。
室内でスポンジを使っての水耕栽培もできますよ。生命力が強いので、栽培初心者におすすめの野菜です。
三つ葉の栽培方法(プランター・土使用)
土作り(ph)とプランターの用意
三つ葉の土壌酸度はph6.0~6.5です。種まきの2週間前に菜園に石灰をまき、スコップなどでよくかき混ぜておきましょう。
1週間前に元肥(窒素・リン酸・カリを含んだ肥料)を加えて、空気を入れるように混ぜ込みます。
プランターで育成する場合は、小型サイズ(45cm程度)の物を利用しましょう。少数の株を育てるのであれば、10号サイズ以上の植木鉢を使用してもOKです。
市販の培養土を準備し、種まきの2週間前にプランターの8分目まで入れておくと良いでしょう。
種の下準備
三つ葉は種の皮が硬いため、発芽率があまり良くありません。そのため、水を入れた小皿に一晩ほど種をつけておくと、発芽率が上がります。
三つ葉の植え付け時期になると、園芸店などに幼い苗が販売されるので、少数株を育てたい人・初心者の人には苗の購入をおすすめします。
※苗から育てる方は『苗の植え方』からご覧ください。
種まき
指や支柱などを使って、種をまく溝を引きましょう。その溝に、1cmの間隔をあけて種をまいていきます。もしも2列育てる場合は、列と列の間を15~20cm以上確保してください。
種をまく間隔が狭くなってしまうと、成長中に苗同士の根が絡まってしまい、間引きの際に一緒に抜けてしまうので、注意しましょう。
また、三つ葉の種は光がないと発芽しないため、種の上にかぶせる土は薄くすることがポイントです。指で土をつまんでそっとかけるか、ふるいを使用して薄めに土をかぶせてあげましょう。
土をかけた後は、種が表面に出てくることを防ぐため、手のひらで優しく抑えてください。木の板を使って種と土を密着させても構いません。
その後はジョーロのハス口を上にして優しく丁寧に水やりします。水の勢いで種が土から出てこないように気を付けてください。
三つ葉は、種まきから約10日~2週間くらいで発芽します。水やりが少ないと、育成にばらつきが出てしまいます。発芽するまでは土が乾燥しないように気を付け、水を切らさないようにしましょう。
苗の植え方
園芸店で苗を購入した際には、こちらからご覧ください。菜園またはプランターの土に、苗が入っていたポリポットより、少し大きめの穴をあけておきましょう。
そこへ、ポリポットから外した根と土を崩さないよう気を付けながら、穴の中に優しく入れ込みましょう。苗を入れた後は、周辺の土を株元に寄せて、手のひらで押さえて根と土を密着させます。
植え付けた苗が倒れないよう注意しながら、ジョーロのハス口を上に向けて優しく水やりをしましょう。
苗が根付くまでは少々日にちがかかります。土の乾燥が見られたら、その都度たっぷりと水やりを行ってください。
数株植え付ける場合、苗と苗との間隔は5~6cmほどとりましょう。列と列の間隔は約30cmとりましょう。
間引き
間引きは、種まきから育成した場合のみ合計2回行います。1回目は発芽してから3~4週間後です。
双葉が開いたら、苗と苗の間隔が約3cmになるように間引きます。間引いた場所は穴が開いてしまうので、指で土寄せを行いましょう。
2回目は三つ葉の本葉が3枚ほど揃ったところで、間引きましょう。苗と苗との間隔が5~6cmになるようにします。この時も間引いた場所に穴が開いてしまうため、指で土寄せをしてください。
三つ葉は苗をやや密にした方が茎が柔らかくなるため、特に混雑が気になる箇所しか間引きを行わなくて大丈夫です。
水やり(乾燥と水はけ)
三つ葉は、土が乾くと育成が悪くなる野菜です。プランター栽培の場合は土の表面が乾燥しやすいので、特に気温が上がる夏以降には土の表面が乾燥しないように、たっぷりと水やりをしてください。
露地栽培の場合も日照りが続き、土の乾燥が気になった場合は水やりを行います。乾燥を防ぐため、寒冷紗をかけたり、ワラを敷いておくのもおすすめですよ。
三つ葉は乾燥を嫌いますが、土の水はけが悪いと根腐れを起こしたり育成が悪くなります。土作りをきちんと行い、土の乾燥が見られた場合にのみ水やりをしましょう。
追肥
本葉が2~3枚になった(2回目の間引きを行った)後から2週間に1度のペースで、株の周辺に化成肥料をまいて追肥します。水やりと追肥を兼ねて、1週間おきに液肥を与えるのも効果的です。
摘花と収穫
早春に種まきをすると気温の変化により花が咲き、トウ立ちをすることがあります。トウ立ちをすると茎も葉も硬くなるため、早めにトウを摘み取り摘花しましょう。
軟らかいものはみそ汁などに入れて頂くこともできます。草丈が30~40cmになったら株の根元を3cmほど残し、ハサミでカットして収穫しましょう。
長期収穫ができるようカットした後に追肥を行うと、再び新芽が出てくるので2~3回は収穫が楽しめます。
窒素・リン酸・カリを含んだ市販の化成肥料をまいておくだけで大丈夫です。
三つ葉を室内で育てよう!水耕栽培する方法
スポンジとペットボトルを使うと、室内でも簡単に三つ葉を栽培することができます。キッチン栽培すると、すぐにお料理に使えて便利ですね。
準備するもの
- 台所用のスポンジ
- 500mlペットボトル
- 100円均一などで販売しているカゴ付きタッパー
- カッターナイフ
ペットボトル植木鉢の作り方
苗が育った後はペットボトル容器にて育成します。ペットボトル容器は事前に工作をし、準備しておくと便利です。
ペットボトルの上から3分の1の部分を、カッターでカットします。カットした上の部分(飲み口が付いている方)を逆さにひっくり返し、ペットボトルの底部分にかぶせます。
藻などの発生を防ぐため、ペットボトル側面にアルミホイルを巻き付けておきましょう。これで容器の完成です。
スポンジと水でキッチンで栽培する手順
キッチン栽培の手順を箇条書きにしています。
ペットボトル容器の上部(飲み口が付いた部分を逆さにしたもの)をA。下部分(コップのような物だと想像してください)をBとしています。
- ①台所用スポンジを用意し、1.5~3cm角の立方体にカットする
②立方体の中心にカッターで十字の切込みを入れておく
③スポンジに水を染みこませる
④カゴ付きタッパーを重ね、カゴの中にカットしたスポンジを並べる
⑤スポンジに入れておいた十字の切込みに、種を2~3粒入れる
⑥タッパーに水を入れる
⑦タッパーに蓋をして、発芽するまで明るい日陰にて育成する
(毎日水替えをしましょう)
⑧本葉が2~3枚になったら、育成の悪い苗を間引く
⑨本葉が4~5枚になったら、スポンジ苗をタッパーからAに移し変える
⑩Bに水を入れておく
三つ葉の根をAの飲み口部分から、Bに通し、根が水に浸かるようにしておく
⑪その後も、根が水に浸かるよう管理し、Bの中の水に液肥を混ぜて成長を促す
⑫三つ葉の茎が10~15cmになったらハサミで刈り取って収穫する
⑬収穫後も管理し続けると新しい茎が生え、再び収穫が楽しめる
スーパーの三つ葉の根っこから再生栽培するには
スーパーで購入した三つ葉の根っこからでも栽培が可能です。まずは根から約3~4cm上の茎の部分をナイフなどでカットし、水を入れたコップに1日浸けて吸水させておきます。
その後、野菜用培養土を入れた鉢や菜園、ペットボトルの上部をカットしたものに苗を植え付けます。
土の表面が乾いたら水やりをして管理すると、約1週間ほどで新葉が生えてきて再生しますよ。
三つ葉に関わる病害虫対策
病気
三つ葉は葉の裏にカビが生える、べと病にかかることがあります。べと病はカビ(糸状菌)による病害で、6~7月の春頃から9~10月の秋頃の低温多湿時期に多く発生します。
土壌の窒素分が多くても不足しても発生しやすくなるため、肥料などは適切に与えるようにします。
また、三つ葉の苗と苗の間隔を約5~6cmあけて風通しを良くし、密接して植えないようにしましょう。
害虫
三つ葉には、アブラムシやハスモンヨトウがつくことがあります。アブラムシは土壌の窒素分が多いと発生しやすくなるため、過剰な肥料散布は控えましょう。
株間の風通しを良くすることも重要です。ハスモンヨトウは日中は日陰や地中に潜んでいます。
株の周りを少し掘り返すと幼虫が出てきますので、見つけ次第靴の裏で踏みつぶしておきましょう。
素朴な疑問Q&A
失敗?トウ立ちしてきました
春まきの場合、気温の変化によりトウ立ちする(つぼみが出る)ことがあります。トウ立ちすると葉が硬くなって味も落ちてしまいます。
早めにトウを摘み取って新芽の発生を促すようにします。三つ葉の苗を密気味にし、直射日光をさえぎるようにして育成させましょう。
三つ葉の増やし方は?
三つ葉は地植えすると花が咲いて種が飛び、簡単に雑草化してどんどん生えますよ。
保存方法は?
新聞紙などに包み、冷蔵庫に入れておけば3~4日は持ちます。冷凍庫なら1~2ヶ月は保存が可能です。
三つ葉を冬越しさせる方法は?
三つ葉は耐寒性が強いので、そのまま放置していても冬越しします。収穫時に根から3~4cm上の部分をカットしたら、切り口の部分に土をかけないようにしておきましょう。春になるとカットした部分から新しい芽が育ちますよ。
まとめ
初心者でもできる、三つ葉栽培のコツやキッチン栽培の方法についてご紹介していきましたが、皆さんいかがでしたか?
三つ葉は簡単に栽培できるうえ、お料理に彩りを添える栄養豊富な野菜だということが分かりました。皆さんもぜひ、三つ葉の栽培をご家庭で楽しんでみてくださいね。