チンゲン菜はビタミン類やミネラルが豊富な中国野菜です。炒めても、蒸しても肉厚の食感がおいしく、歯触りがクセになる人も多いのではないでしょうか。
そんなチンゲン菜は種まきから約1ヵ月半という短い期間で収穫できるため、家庭栽培ビギナーにピッタリの野菜です。
今回はチンゲン菜の特徴や栽培手順、育て方のポイントをわかりやすくご紹介するのでぜひチャレンジしてみてください。
チンゲン菜の特徴と栽培時期
チンゲン菜は、日本で最も普及している中国野菜のひとつです。白菜と同じアブラナ科の仲間で、株元がぷっくりと膨らんでいるのが特徴。
日なたを好み、5~30℃と幅の広い範囲で育ちますが、生育に一番適した温度は15~20℃の涼しい気候です。
真夏の高温期になると、生長が滞りやすくなるので春か秋に種をまくのがおすすめです。
初心者でも育てやすい種まきと収穫時期は下記の通りです。
- 春まき⇒4月中旬~5月中旬 / 収穫⇒5月下旬~7月下旬
- 秋まき⇒9月上旬~10月中旬 / 収穫⇒10月中旬~12月初旬
栄養たっぷりの土作りをしよう
チンゲン菜は短期間で収穫するため、追肥を行う機会があまりありません。そのため種をまく前に、栄養たっぷりの土作りをすることが大切です。
土作りは、種をまく2週間前からはじめましょう!まず苦土石灰(くどせっかい)を1㎥あたり100~150g散布してよく耕してください。
野菜は中性からアルカリ性の土壌を好みます。日本の土壌は酸性になりやすいため、アルカリ性の苦土石灰をまいて酸度を中和します。
さらに、種まきの1週間前に堆肥(たいひ)と化成肥料をまいて再度耕します。堆肥は1㎥あたり2kg、化成肥料は100gを目安に施してください。
最後に、水はけを良くするために畝(うね)を作りましょう。1条(1列)栽培なら幅30~40cm、2条(2列)栽培なら幅60~80cm、畝の高さは10cm位が適当です。
畝と畝の間は20cmは確保してください。
種まきの方法
直まきが基本
チンゲン菜は、1本のラインに沿って種をまく「条(すじ)まき」という方法で、畑に直接種まきをするのが基本です。
畝に2条まきをするときは、条と条の間を30cmあけてください。
【手順】
- 支柱や割り箸などで深さ1cmの溝を作る
- その溝にチンゲン菜の種を1~2cm間隔でまく
- 土をパラパラと被せるせるていど覆土する
- 手で軽く押さえて種を落ち着かせる
- 種が流れないように、ジョロで優しく水やりする
チンゲン菜の種は、土で完全に覆ってしまうと発芽率が下がります。ほんの少し土を被せる程度で構いません。
発芽するまでは、土が乾かないようにこまめにたっぷり水をあげましょう。
早春まきはトンネルやハウス栽培で!
まだ寒い時期に種をまく早春まきの場合、一定期間低温にさらされて花芽が形成されてとう立ちしやすくなります。
とう立ちを避けるには、ハウス栽培やトンネルで畝を覆って温度管理をする必要があります。
とう立ちとは?
花の芽がついた茎が伸びてくることです。種を残すための生殖生長がはじまってしまうと、葉野菜の多くは葉っぱが固くなり味が落ちます。
とう立ちの原因は幾つかありますが、チンゲン菜の場合は、栽培初期の段階で低温にさらされるととう立ちしやすくなります。
成長過程の管理
間引きは3回<間引いた株は移植栽培が可能>
間引きとは、混みあっている株から生育の悪いものを抜く作業のことです。間引きすることで、風通しと日差しが確保できて、元気な株がより育ちやすくなります。
肉厚のチンゲン菜を育てたいのなら、最終的に株間が最低15cmあくように間引きをしましょう。
1回目
種まきから3~4日すると発芽します。10日ほど経って、双葉がそろって開いてきた頃に1回目の間引きを行います。芽と芽の間が3cmになるように間引いてください。
2回目
本葉が3~4枚になったら株間が5cmになるように間引きます。葉っぱの形が悪いものや、病害虫の被害にあっている株を間引いて元気な株を残しましょう。
この時に、株元に土寄せて株が倒れにくいようにしてください。
3回目
最後の間引きは、本葉が6~7枚の時に行いましょう。株間が最低15cmになるように間引いて、尻と呼ばれる葉の付け根部分を太らせます。
2回目以降に間引いた株は、別の土壌やプランターなどに移して育てることもできます。その際は、根っこを痛めずに丁寧抜いて移植してあげましょう。
追肥について
チンゲン菜は栽培期間が短いので、基本的に追肥の必要はありません。
生長が遅いのでは?と気になる人は、500倍に薄めた液体肥料を水やりのかわりに1~2度あげてもいいでしょう。
水やりのタイミング
水やりは、土が乾いたらあげるという頻度で行いましょう。春と秋は朝1回、夏は夕方たっぷりあげてください。
収穫は草丈15~20cmが目安
種まきから55日前後、丈が15~20cmくらいになって尻が太ってきたら収穫です。葉っぱが柔らかくてフレッシュなうちに収穫するのがポイント。
収穫が遅れると、葉っぱが筋張ってくるのでタイミングを逃さないようによく観察してください。収穫方法は、根元から上に引き抜き根っこをハサミで切り落とします。
病害虫の予防と対処法
害虫
アブラナ科のチンゲン菜につきやすい害虫は、アブラムシ、アオムシ、コナガなどです。一番の予防策は、発芽した後に防虫ネットやトンネルで覆うことです。
また、アオムシやコナガはキク科の野菜の匂いが苦手です。春菊やレタスなどを近くに植えると、害虫がつくのを防ぐ効果があります。
早めに発見すれば、大きな被害になることはありません。水やり時などに葉っぱの裏面までチェックして、見つけたら直ぐにピンセットや割り箸で駆除しましょう。
病気
チンゲン菜の栽培で気をつける病気は、根元に近い葉っぱが腐敗する軟腐病、葉っぱに白い斑点ができる白さび病です。
両方ともカビが原因で、高温多湿になると発生しやすくなります。
予防法は、日当たりの良い場所で育て、株間の風通しをよくすることです。もし発病した場合は、その葉っぱを切り取って捨ててください。
また同じ場所で、チンゲン菜、キャベツ、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜を連作すると、根こぶ病という土壌ウイルス性の病気にかかりやすくなります。連作は避けましょう。
こんなチンゲン菜も
ミニチンゲン菜
手のひらにのるほどのミニサイズのチンゲン菜。種をまいてから1ヵ月足らずで収穫できるのが魅力です。
ミニチンゲン菜の間引きは2回だけで、株間を5cmほどとればO.K。コンパクトなので、プランター栽培にも向いています。
チンゲン菜栽培キット
コスパが良いとは言えませんが、インテリア感覚で室内栽培を楽しめるキットです。種、培養土など全てセットになっているので、お手入れは窓際に置いて水やりするだけです。
家庭菜園に興味があっても忙しくでできない人、庭やベランダに十分なスペースがない人、お部屋に癒し空間を求めたい人に向いています。
気になる疑問&質問
チンゲン菜を育てるときによくある疑問や質問にお応えします。
連作障害はある?
連作障害はあります。チンゲンサイと同じアブラナ科の野菜を、同じ場所で続けて栽培しないようにしてください。最低1年間はあけましょう。
連作をすると、土壌中の病原菌による根こぶ病にかかりやすくなります。この病原菌は、一度発病すると長期間土壌に生存し続けるために、同じ場所での栽培が困難になってしまいます。
種を採取できる?
収穫しなかったチンゲン菜は、黄色いかわいらしい花を咲かせます。そのまま放っておくと、莢(さや)の中に種ができるので採取が可能です。
採取した種は、紙袋に包んでから缶などの密閉容器に入れて冷暗所で保管しましょう。乾燥剤を一緒に入れてもO.Kです。
失敗しないチンゲン菜栽培<まとめ>
プックリとしたお尻がユーモラスなチンゲン菜は、ポイントを押さえれば簡単に栽培できます。
ミニチンゲン菜であれば、さらに期間も短く、ベランダでプランター栽培ができるので、まずはそこからチャレンジしてもいいでしょう。
育て方のポイントをまとめました。これらを参考に、自宅で獲れたフレッシュチンゲン菜料理を食卓に並べましょう!
- 初心者は春と秋の種まきがおすすめ
- 同じ土壌でアブラナ科の連作をしないこと!
- 追肥をしないつもりで、土づくりをしっかり行う
- 発芽まではたっぷり水をあげよう
- 間引きは3回、株間を最低15cmあける
- 種まきから40日経過したら収穫のタイミングをチェック!