家庭菜園・野菜の栽培

【初心者】わさびの栽培・育て方(追肥・摘花・病害虫対策など)

日本食に欠かせない調味料のひとつであるわさび。主にお寿司やお刺身の薬味として用いられ、ツンと鼻に抜ける風味が和食らしさを感じさせてくれます。

わさびはチューブ状の容器に入ったものを購入するのが一般的ですが、実は自宅で栽培することが可能。取れたての新鮮な風味を楽しむなら自分で育てるのが一番です。

この記事では、わさびの栽培方法について詳しく解説します。

わさびの特徴と栽培スケジュール

それではわさびの特徴や栽培スケジュールを見ていきましょう。

わさびの特徴

北は北海道から南は九州まで山野に自生しており、日本人は古くからわさびを採取して使用していました。

主にお寿司やお刺身で用いられ、旨味を引き出すアクセントとして楽しまれるのが一般的です。殺菌力が強く、生魚の腐敗を防ぐ目的で使用されることもあります。

科名属名 アブラナ科ワサビ属
草丈・樹高 ~100cm
耐寒性/耐暑性 やや強い/弱い
開花時期 4~6月
特性 30℃以下で、強い日差しを避けた排水性に優れる環境を好む

収穫時期はいつ?わさびの栽培スケジュール

わさびはアブラナ科で、根の部分を収穫するには1年目の秋に苗を植えて3年目の初夏に収穫するという長いサイクルが必要な多年草です。

わさびには土で育てる栽培方法と、水中で育てる栽培方法があります。土で育てたわさびを畑(陸)わさび水で育てたわさびを沢わさびと呼んで区別します。

わさびの育て方①畑(陸)わさび

畑わさびはその名の通り、畑の土で育てるわさびを指します。沢わさびが水を大量に使うのに対して、畑わさびはそこまで水の量を必要としません。

温度や日差しなど、栽培するにあたっての条件は設けられているものの、水わさびに比べると育てやすく、主に畑やハウスで栽培されています。

なお、広大な土地は必要なく、自宅のプランターでも栽培可能です。

プランターの選び方

わさびを植える際、その間隔は25㎝~30㎝が理想とされています。そのため、複数のわさびを植える場合は、直径が60㎝以上のプランターを用意すると良いでしょう。

土づくり

底に鉢底石を敷き、土は野菜用の培養土を使いましょう。自作する場合は赤玉土を6、腐葉土を3、緩効性肥料を1の割合で混ぜてものを使います。

また、水はけを良くするために川砂を混ぜても大丈夫です。

種まき

わさびの種は冷気に当てなければ発芽しない性質を持っています。そのため春に種をまく場合は冷蔵庫で休眠打破をする必要があります。

わさびの種を冷蔵庫で1日水に浸け、白い芽が出たら清潔な土に芽を上にし、1か所に3~4粒種を撒きます。この時芽が出ないようであれば、再度冷蔵庫に入れましょう。

芽がしっかりと伸びてくるまで土の表面を乾燥させないように新聞紙などで保護し、芽が伸びてきたら新聞紙を外して光に当てましょう。

休眠打破とは

いったん休眠に入った花芽を目覚めさせること

植えつけ

わさびの植え付け時期は9~10月です。25~30cm以上の感覚を空けて、頭に少し土が被るぐらいの深さに植えたら、水をやりましょう。

わさびは直射日光や気温が30℃を超える場所が苦手なので、日陰になっていて木漏れ日が覗く涼しい場所に置くと良いでしょう。

水やり

わさびは半水生植物であるため、頻繁に水遣やりをする必要があります。水が足りなくなり、乾燥してしまうと途端に弱ってしまいます。

かと言って、あげ過ぎてしまうと病気や根腐れの原因になります。

そのため土の表面を目安にし、表面が乾いたら水やりをすると良いでしょう。

温度管理

わさびは暑さに弱い植物なので、夏場の温度管理には特に注意が必要です。プランターをできるだけ風通りの良い場所に移動し、遮光を心掛けましょう。

また、冬には保温や霜の予防が必要になるので、ビニールシートや寒冷紗を使用しましょう。ベランダに置けるサイズのビニールハウスも売っています。

追肥

肥料は春と秋の生育が旺盛な時期に二週間に一度のペースで行います。窒素成分が少なめのものを使用しましょう。

また、肥料を与える際には、水やりの水で流されないように目の細かいネットなどに入れておくことがポイントです。

摘花

わさびは3~5月の間に白い花を咲かせます。花が咲くと、その分の栄養が花に分配されるので、わさびの味や風味を楽しみたい方は蕾をつけた時点で摘んでしまいましょう。

なお、蕾はてんぷらにして楽しむことができます。

収穫

わさびの根や葉の部分を収穫する時期は3~9月ごろです。根の部分を収穫する場合は3年ほど栽培し、しっかり肥大させてから収穫するようにしましょう。

注意したい害虫・病気対策

わさびを栽培するにあたっては、害虫や病気に注意しなければなりません。場合によっては抜かなければならないこともあるので、この項目で押さえておきましょう。

アオムシ

わさびはアブラナ科なので、アオムシの好物です。アオムシは主に春に発生して葉を食べてしまうので、見つけ次第駆除しましょう。

駆除の方法としては、霧吹きで牛乳を吹きかける方法や木酢液を使うやり方があります。アナログな方法として、手で取ったりガムテープを使ったりするのも良いでしょう。

早期に発見できるかが鍵となるので、毎日の観察を怠らないことが大切です。

軟腐病

軟腐病とは高温多湿な時期に掛かりやすい病気のことです。土に近い茎部分から根にかけて腐ったようにしなびていき、特有の臭いも発生します。

軟腐病になってしまうと治療するのが非常に難しく、他の株への影響も考えられるため、症状が現れた株は抜いてしまいましょう。

軟腐病は傷口から侵入する細菌であるため、予防するためには、傷を作る原因であるアオムシをきちんと駆除することが大切です。また、傷を傷めないよう、追肥のやり過ぎにも気を付けましょう。

わさびの育て方②沢わさび

沢わさびの栽培には、水槽やペットボトルなどの容器が必要です。水が溜められるタイプのモノであればプランターでも大丈夫です。

川砂を容器の底に敷き、根茎が隠れるまで土を被せます。水は土の表面から2cmほどの高さまで張るようにしましょう。

収穫時期や注意点など、基本的なことは畑わさびと一緒ですので、ここでは、沢わさびを栽培するにあたって注意すべきなことをご紹介します。

ペットボトルは清潔さを保つようにする

ペットボトルをきれいにしておかないと、雑菌などが繁殖する恐れがあるので、念入りに洗いましょう。きれいな水が循環するように酸素供給器を準備するとなお良しです。

なお、水耕栽培をする際、固形肥料は水を濁すので避けましょう。

栽培のポイント・注意点

大切なのは、日照条件・水温・室温管理です。

わさびは薄日があたる環境が望ましいため、日照条件が悪い場合はLEDライトなどを用いましょう。また、水温と室温は上がりすぎないように温度計で管理してください。

わさびの栽培が難しく感じるなら栽培キットがおすすめ

自分でプランターや土、肥料を準備するのが難しいという方には栽培キットの利用がおすすめです。栽培キットであれば土や容器、わさびの苗や肥料が全て同梱されており、栽培自体も説明書に書いてある通りに行えば大丈夫です。

キットには土耕栽培用のモノはもちろん、わさび専用ではありませんが水耕栽培キットのモノもあります。すぐに栽培に取りかかることができるのがメリットです。

また、買いすぎた土や肥料を余らせてしまうことが無いのも利点のひとつと言えます。

収穫したわさびを食べよう

わさびは根や茎、葉や蕾に至るまで、ほぼすべての部位を食べることができます。葉や茎はお浸しにしたり、掻き揚げにしたりとさまざまな楽しみ方ができます。蕾は先ほど少し触れましたが、てんぷらにすると美味しく楽しむことが可能です。

根の部分はしっかりと洗って泥を落とし、ひげ根を処理したらすり下ろしましょう。お寿司やお刺身の薬味として使用したりステーキソースに混ぜたりと、アクセントとして楽しむことができます。

わさび栽培のまとめ

いかがでしょうか。

わさびの栽培は注意することが多く、根の部分は収穫まで3年と長いスパンが長いため、一見難しそうですが、押さえることをきちんと押さえておけば誰でも行うことができます。

何より、収穫したての風味豊かなわさびを楽しみたいなら自分で育てるのが一番。栽培キッが販売されているので、栽培自体が初めてという方でも簡単に取りかかれます。

ぜひご家庭でわさびを栽培し、その風味を楽しんでみてください。

この記事のおさらいポイント
  • わさびは強い日差しを避けた排水性に優れる環境を好む
  • わさびの栽培ではみずやりや温度管理が重要
  • 追肥は春と秋に行い、窒素成分が少ないものを使用する
  • 花が咲くと栄養分が分散されるので、蕾の段階で摘んでおく
  • アオムシは見つけ次第駆除すること
  • 軟腐病はかかると抜くしかないため、予防することが大事
  • わさびの栽培はポイントを押さえておけば問題ない
  • どうしても難しい方には栽培キットの使用がおすすめ