夏の日差しをたっぷり浴びて育ったししとうは、栄養満点でしゃきしゃきとした歯ごたえと香りがクセになる野菜です。
家庭菜園でも育てやすい野菜で、夏の暑さや病害虫にも強いので初心者でも失敗せずに栽培できます。なんといっても収穫量の多さが魅力で、上手に育てれば1株から50個以上も収穫が見込めますよ。
ここではししとうの基本的な育て方から、起こりやすい失敗と対策について紹介します。辛さを抑える育て方のコツもまとめているのでぜひ参考にしてくださいね。
ししとうの基本情報と栽培カレンダー
ししとうの生育適温は22~30度と暑さに強く、病気や害虫被害が少ないのが特徴です。植え付けから約2ヶ月で収穫でき、収穫量も多いので家庭菜園にはもってこいの野菜です。
- 植え付け時期:4下旬~5月
- 開花期:5月下旬~9月下旬
- 収穫期:6~10月
プランターでもできる!ししとうの育て方
土作り
家庭菜園初心者やプランター栽培の場合は、ホームセンターなどで販売されている野菜の培養土を利用するのが良いでしょう。
一般的な培養土に比べ保水性や排水性に優れていて、根が張りやすいので元気良く育ってくれます。
ご自分でブレンドする場合は赤玉土6:腐葉土3:バーミキュライト1の割合で混ぜ、苦土石灰10gと化学肥料を10~30gほどをよく馴染ませておきましょう。
苗から育てる
ししとうは種から育てることもできますが、高温性のため育苗には入念な温度と湿度管理が必要です。
家庭菜園では1~2株で十分な収穫量が見込めるので、市販されている苗を購入したほうが発芽の失敗も無く簡単です。
良い苗の条件をまとめたので、購入の際の目安にしてください。一番花がついていると植え付けに適した状態のため、すぐにししとう栽培を始められますね。
- 色艶がよい本葉が7~10枚ほどついている
- 茎が太くしっかりとしている
- 一番花がついている
植え付け方
ししとうは寒さに弱いため、十分に暖かくなった4月中旬~5月下旬ごろに行いましょう。よく晴れた日の午前中に行うと根が土に定着しやすくなります。
植え付け方法は、育てたい場所にポットよりも一回り大きい植え穴を作り、取り出した苗が傷まないよう優しく植えつけます。苗は浅植えにし、株元に土を軽くよせて固定しましょう。
最後にたっぷりと水を与えれば植え付けは完了です。
支柱たて
ししとうは茎が細く風で倒れやすいため、支柱による支えが必要です。苗の植付けと同時に、長さ1m程度の支柱を1本垂直に立てましょう。
支柱と茎を麻紐で軽く8の字に結び、その結び目が支柱側になるよう注意しましょう。こうすることできつく結んでも苗が傷みません。
支柱や麻紐は100円ショップでも手軽に購入できます。
水やり
ししとうは乾燥に弱く水分が不足すると辛味がでてしまうので、毎日の水やりが欠かせません。
土の表面が乾いた時にたっぷりと水やりをします。地植えに比べプランター栽培は乾燥しやすいため、土の状態をよく観察するようにしましょう。
ししとうには、水やりの回数を増やすよりも一度に与える量を多くするのが効果的ですが、夏の暑い時期は朝と夕方に2回水やりをしてください。
肥料
ししとうは収穫期間も長く、途中で肥料切れを起こすと辛くなってしまうので、定期的に追肥を行いましょう。一番最初の実がついた頃を目安に、一回目の追肥を施します。
以降は週に1回薄めの液体肥料を与えるか、緩効性化成肥料を1ヶ月に1回株の根元にまきます。肥料切れになると花が咲く前に枯れてしまうので様子をみながら調節してください。
プランターで育てる場合は液体肥料を水にまぜて与えれば、水やりも兼ねているので手間がかかりませんね。
芽かき
一番花が付いたところから下に出るわき芽は、全て小さいうちに取り除きます。これを芽かきといい、害虫や病気の予防のために行います。
またわき芽をそのままにしておくとわき芽の成長に栄養分が使われてしまい、収穫にも影響が出るため2本以上伸ばさないようにしましょう。
剪定
茂りすぎた葉や枯れた葉は病気や害虫の原因となるため、適度に剪定し風通しを良くします。
またししとうは栽培期間が長いため、休みなしに実らせてしまうと収穫量が減少してしまいます。暑さが厳しくなってくる7月下旬~8月上旬ごろに「更新剪定」をしてみましょう。
更新剪定をすることで新しい枝が伸び、10月下旬ごろまで長く収穫を楽しむことができます。方法は簡単で、株の内側の混みあった枝をハサミで切り取るだけです。
せっかく実ったししとうを枝ごと切るのはもったいない気もしますが、小さいししとうは辛味がなく、葉も美味しく食べることができるんですよ。佃煮や炒め物などアレンジもできます。
収穫
ししとうは開花から約2週間後、実の大きさが7cm程度になったら収穫のタイミングです。強くひっぱると株が弱ってしまうので、へたの部分からハサミで切り取りましょう。
次から次へと実がつくので、株を疲れさせないように早採りを心がけてください。
ししとう栽培の病気や害虫対策
ししとうは栽培期間が長く、夏場はどうしても病気や害虫被害を受けやすくなります。早期発見と対策で被害を最小限に抑えることが重要です。
ウリ科やナス科の連作を避け、葉や茎を剪定し風通しを良くしましょう。カビが原因で発生する病気が多いので、土の中で湿気がこもらないよう排水性にも注意が必要です。
病害虫の被害にあった箇所は取り除き、必要であれば野菜栽培用の薬を散布します。
かかりやすい病気
青枯病:日中は株の上部が萎れ、夜間や曇天時には回復することを繰り返します。最終的には葉は青々としたまま枯れてしまいます。
モザイク病:葉や茎に淡い黄色の病斑が現れ、株全体にモザイク状に広がっていく病気です。アブラムシが媒介し発生することが多いです。
つきやすい害虫
アブラムシ:細菌を運んでくるので、見つけ次第駆除しましょう。新芽や葉の裏につきやすいので、注意して観察してください。
ハダニ:気温が高い時期に発生しやすく、葉の裏から養分を吸いとります。葉に白い斑点が現れ、そのまま放置すると生長不良を引き起こす原因となります。
ししとう栽培のQ&A
摘心は必要?
摘心とは茎の先端など生長点を摘み取り、丈が伸びすぎないようにし横に増やす目的で行います。ししとうの場合は、摘心をしなくても次々に分岐していくので必要ありません。
越冬できる?
ししとうは多年草のため、温度管理をうまく行えば越冬することも可能です。
最低温度が10度を下回ると枯れてしまうため、温度と日当たりが確保できる室内で管理しましょう。加えてししとうは連作を嫌うため、新しい用土への植え替えが必要となります。
連作障害
同じ場所で同じ科の野菜を繰り返し栽培すると土壌の養分が偏るため、病気にかかりやすくなります。これを連作障害といい、特に家庭菜園では栽培スペースも限られているため陥りやすいトラブルです。
ししとうが赤くなるのはなぜ?食べられる?
ししとうが赤くなるのは成熟した証拠で、緑色のししとうに比べるとやや皮がかたくなりますが、美味しく食べることができます。
赤い色を生かして料理の彩りとしても使えますね。
ししとうが辛い!辛さを抑えるコツは?
ししとうが辛くなるのは、株に何らかのストレスがかかったことが原因です。ストレスのかかる要因はいくつかあるのでチェックしてみましょう。
栽培環境が高温
唐辛子の仲間であるししとうは辛味の遺伝子を持っており、気温25度以上になると辛味成分が増える性質があります。
ししとうの生育適温は25~30度のため、ある程度の辛味が残るのはやむを得ないでしょう。
水の不足
ししとうが辛くなる一番の原因ともいえるのが、水不足による乾燥です。カラカラに乾いた土では、ししとうもストレスを受けて辛さが増してしまいます。
こまめな水やりを心がけ、真夏は朝と夕方に2回行いましょう。
肥料過多・不足
水分同様、肥料切れを起こすと辛味成分が増してしまうため、定期的に追肥をしましょう。
ただし過剰に与えすぎると、根腐れを起こす可能性もあるため注意してください。
長期栽培による辛味成分の蓄積
生育日数が長ければ長くなるほど、辛味成分が蓄積され辛さが増します。早採りを心がけ、収穫忘れがないようにしましょう。
ししとう栽培まとめ
ししとう栽培は特別難しい技術も不要なので、家庭菜園の第一歩としても最適な野菜です。生育旺盛で長期間収穫が楽しめるのも嬉しいポイントですね。
今年の夏は栄養満点のししとう栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?