コロンとした形がかわいらしい芽キャベツは、煮込み料理やサラダなど幅広く使える便利な野菜です。そんな芽キャベツですがポイントさえ押さえれば、初心者の方でも簡単に栽培することができます。
プランターでも育てられるので、庭先やベランダなどちょっとしたスペースでも栽培可能です。収穫期間も長く、次々と膨らむ芽キャベツの収穫はとても楽しいですよ。
ここでは初めての方にも分かりやすいよう、育て方のコツや失敗しやすい事例と対策を詳しく解説します。農薬を使わない害虫対策も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
芽キャベツの基本情報と栽培カレンダー
基本情報
芽キャベツは、一本の太い茎の付け根にびっしりと芽球をつけて育ちます。春と秋の年2回栽培することができますが、春植えの場合は害虫が発生しやすくなるため、初めての方は秋植えがおすすめです。
芽キャベツは高温多湿を苦手とし、日当たりがよく冷涼な気候でよく育ちます。日光不足や風通しが悪くなると病気にかかりやすくなるため、栽培環境をチェックしておきましょう。
栽培カレンダー
春植え
種まき:4月下旬~6月上旬
植えつけ:5月月下旬~7月上旬
収穫:7月下旬~9月下旬
秋植え
種まき:7月下旬~9月中旬
植えつけ:8月下旬~10月中旬
収穫:11月上旬~2月下旬
芽キャベツの育て方
プランターの選び方
芽キャベツをプランターで育てる場合は、幅60cm以上・深さ30cm以上ある大型のプランターが適しています。
芽キャベツの株間は40cmほど必要なため、この場合は1つのプランターから2株育てることができます。幅60cm未満のプランターでは、栽培するのは1株だけにしておきましょう。
土作り
芽キャベツはpH6.0~6.5程度の中性土壌を好み、酸性にやや弱い性質があります。酸性に傾いている土壌では、植え付けの2週間前までに苦土石灰を混ぜ込んでおきましょう。
用土は赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1の割合で混ぜ、植え付け一週間前には化成肥料を追加しよく馴染ませて寝かせます。
初心者の方には用土のブレンドや酸性度の調整も難しく、必要とするものが多くなるため市販の野菜培養土を利用するのがおすすめです。
プランター栽培の場合は、排水性をよくするため鉢底石も用意しておきましょう。
種から育てる
種から育てる場合は、1ヶ月ほどポットで育ててから植えつけます。直接種をまくよりも管理がしやすく、種が雨で流れにくいというメリットがあります。
まず土を入れた3号サイズほどのポットに4~5粒種をまき、上から5mmほど土を被せます。発芽までは乾燥させないようたっぷりと水やりをし、風通しと日当たりの良い場所で管理します。
本葉が2~3枚の時期に、茎がしっかりとした丈夫な苗を1本だけ残して間引きます。本葉が5~6枚程度になったら、植え付け適期となります。
苗から育てる
芽キャベツの苗はホームセンターやネットでも販売されているので、苗を購入して育てることもできます。初めての方には育苗作業が難しく、手間もかかりますので苗から育てるほうがおすすめです。
苗を購入する際は、茎が濃い緑色をしていて、葉が痛んでいないものが良いでしょう。また病気や害虫被害にあっていないかもよく確認してください。
植えつけ
苗より少し大きめの穴を掘り、根鉢を崩さないようポットから取り出して浅めに植えつけます。複数株育てる場合は、株間は40cmほど空けて植えつけましょう。
その後周囲の用土を埋め戻し、株元を手で軽くおさえて土と密着させます。たっぷりと水を与えれば植え付けは完了です。
水やり
芽キャベツの水やりは、土の表面が乾燥したらしっかりと与えましょう。特に苗が根付くまでの1週間程度は、乾燥状態が続かないよう気をつけます。
回数を多くするよりも、一度に与える水の量を多くすることがポイントです。ただし過剰に与えすぎると、根腐れや病気発生の原因となりますので注意が必要です。
肥料・追肥
芽キャベツは収穫期間が長く続くため、途中で肥料切れを起こさないよう追肥が重要となります。苗を植えつけてから約3週間ほど経ち本葉が5~8枚程度になったら、株の周りに化成肥料10gをまいて周りの土と混ぜ合わせます。
株が生長するにつれ倒れやすくなるため、追肥とあわせて土寄せを行い株を安定させましょう。以降の追肥は約1ヶ月おきに同量の追肥と土寄せをします。
肥料をまく位置は苗が小さいうちは株元に与え、大きくなってからは株元から少し離してまき、根が傷まないよう注意します。
害虫対策
芽キャベツは、アオムシやアブラムシなど害虫被害にあいやすい野菜です。対策を怠るとあっという間に葉が穴だらけになるまで食べつくされてしまいます。
最も簡単な害虫対策は、植え付け直後から防虫ネットを被せることです。このとき隙間から害虫が入れないようぴったりと覆うことが大切です。
ただし土の中からも害虫は発生するため、こまめに苗の状態をチェックし見つけたらすぐに駆除します。虫が苦手な方や農薬を使うことに抵抗がある方は、ご自宅にあるものでできる防虫スプレーで撃退しましょう。
特にアブラムシに有効なのが牛乳スプレーです。牛乳が乾燥したとき固まる性質を活かし、アブラムシを窒息死・圧死させます。
方法は簡単で牛乳をスプレー容器に入れ、アブラムシや株全体に噴きかけるだけです。牛乳が乾燥したら水で洗い流しましょう。
葉かき・下芽かき
葉かき
芽キャベツ栽培では葉かきという葉を摘み取る作業を行います。日当たりと風通しを良くすることで、わき芽が大きくなる環境を整える効果があります。
10月頃になるとわき芽が結球しはじめるので、頂点から10枚ほど葉を残しその他の葉は全て切り落としましょう。一度に葉を切り取ってしまうと株やわき芽の生長が悪くなるため、少しずつ行います。
芽キャベツは下部から結球していくので、生長にあわせて下から順に切り取りましょう。また、葉を根元ぎりぎりで切り取るとわき芽を傷めてしまうため、葉柄を少し残して切ることが重要です。
下芽かき
下芽かきとは、株元から10節目程度にある形の悪い芽を摘み取る作業のことです。葉かきと同じ頃に行いましょう。小さいうちに摘み取ってることで、他の芽に養分がまわるようにします。
収穫
芽キャベツは品種や植えつけ時期にもよりますが、10月下旬ごろから収穫できるようになります。芽球がピンポン球ほどの大きさになり、硬くしまってきたら手で摘み取って収穫します。
収穫時期が遅れると芽球が開いてしまうので、収穫適期を逃さないようにしましょう。半分ほど収穫を終えた後も追肥を行えば、2月ぐらいまで収穫を楽しむことができます。
芽キャベツの花・種
秋植えの場合は、春ごろアブラナ科特有の可愛らしい黄色の花を咲かせます。
花が枯れた後には種ができますが、野菜の種は一代限りのものが多いため採取した種からの栽培は難しいようです。
芽キャベツ栽培の失敗例と対策
わき芽が大きくならない・育たない
植え付け時期がずれていた
芽キャベツは夏の暑さに弱いため、苗の植えつけは8月下旬~9月上旬に行いましょう。ただし植え付け時期が遅れると、生長すべき時期に気温が下がってしまいます。
これでは初期生育がうまくいかず、わき芽もつきにくくなります。植えつけ時期は必ず守りましょう。
葉かきをしていない
不要な葉が茂っている状態では、わき芽も大きくなりません。葉の付け根部分にわき芽が見え始めたら、必ず葉かきを行いましょう。
葉が変色してきた・枯れてきた
これらの症状は病気が原因と考えられます。芽キャベツのかかりやすい病気として、菌核病・ベト病・苗立枯病などがありますが、その多くはカビが原因で起こります。
病気の発生を防ぐためには多湿環境にならないよう注意しましょう。水はけの良い土壌で育て、生育中は日当たりと風通しを良くする事が大切です。
芽キャベツの水耕栽培
芽キャベツは水耕栽培でも育てることができます。栽培過程で土を使わないため、ベランダでの栽培にぴったりですね。
基本の育て方は同じですが、水耕栽培では根から酸素を取り込む仕組みが必要です。
道具はペットボトルなど身近な生活用品を使って自作する方法もありますが、便利な水耕栽培キットもおすすめです。
芽キャベツ栽培のまとめ
芽キャベツは、葉かきや追肥といったお手入れを欠かさなければ、初心者でも1株から50個以上収穫できます。
スーパーでもあまり見かけない芽キャベツを、ご自宅で育てるのも家庭菜園の醍醐味ですね。みなさんもぜひ芽キャベツ栽培にチャレンジしてみてください。