らっきょうは土壌を選ばず、病害虫被害も受けにくい丈夫な野菜なので、初心者におすすめです。育成期間が長くかかりますが、連作も可能なんですよ。
今回は、らっきょうの栽培方法や収穫の仕方、らっきょうの品種や病気などについてご紹介していきます。
らっきょうについて
らっきょうは、中国原産のユリ科の多年草野菜です。別名、サトニラやオオニラとも呼ばれています。
らっきょうにはカリウムやアリシン、水溶性食物繊維のほか、ナイアシンやパルトテン酸などが豊富に含まれています。
特に、100gあたりの食物繊維の総量はゴボウの4倍で、さつまいもの5倍以上だと言われています。
カレーに添えられていることでお馴染みのらっきょうですが、薬味として生のまま食べたり、サラダにするのもおすすめです。
らっきょうの品種
国内で栽培されているらっきょうの品種は、それほど多くはありません。日本では以下の品種が主に栽培されています。
らくだ
最も一般的ならっきょうの品種で、日本各地で栽培されています。草丈(くさたけ)が長く伸び、粒が大きいのが特徴で、一度にたくさんの量を収穫することができます。
玉らっきょう(花らっきょう)
台湾からの輸入ものがほとんどで、原産国から加工されたものが日本で販売されています。草丈はそれほど成長はせず、球根部分はらっきょう特有の臭いもあまりしません。綺麗な花を咲かせるので、花らっきょうとも呼ばれています。
八房(やつぶさ)
重量が軽く“らくだ”と“玉らっきょう”の中間くらいの大きさです。収穫量は、やや少なめです。
エシャレット
若どりしたらっきょうはエシャレットと呼ばれ、玉ねぎの変種であるエシャロットのようにして食べることができます。「エシャロットって?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
エシャロットは日本ではあまり馴染みのない野菜ですが、フランス料理には欠かせない食材です。小さな玉ねぎのような見た目をしていますが、玉ねぎのように甘くもなく、臭いもきつくありません。
料理の味を引き立てる風味付けや、香り付けの香味野菜として使用されています。名前は似ていますが、エシャレットとエシャロットは全くの別物です。エシャレットは塩昆布とあえたり、味噌をつけて食べると美味しいですよ。
- エシャレット…若どりしたらっきょう
- エシャロット…ユリ科の玉ねぎの変種
島らっきょう
古くから沖縄で栽培されてきた伝統野菜。一般的ならっきょうよりも球根が小さく、強い香りとピリッとした辛みをもっているのが特徴。
プランターでもOK!栽培時期と栽培方法
らっきょうは種からではなく、種球(たねきゅう)という球根を、園芸店などで購入して植え付けます。
種球の植え付け時期は9月上旬~10月上旬となります。収穫時期は植え付けから約8~9か月後の、5月中旬~7月中旬です。らっきょうは土質を選ばないため、荒た土地でもよく育ちます。
しかし育成期間が長いため、栽培する際には場所を選んで植え付けましょう。露地栽培ができない場合は、プランター栽培も可能です。
種球を準備しよう
ホームセンターや園芸店で種球を購入します。種球はニンニクのように、小さな球根がいくつもついています。
この球根を1球ずつばらして、枯葉を取り除いておきましょう。これで種球の準備は完了です。
土作りと準備物について
プランター栽培の場合、プランターサイズは幅65cm×奥行き20cm×深さ20cm、容量15~20Lのプランターを使用しましょう。
土は市販の培養土を利用すると便利です。露地栽培で育成する場合は、球根を植える2週間前に苦土石灰をまいて、しっかりかき混ぜておきます。
この後、よほど荒れた土壌の菜園には元肥(植え付け前に与える肥料)をまいておきましょう。長年野菜を育てている場所に植えるなら、元肥は不要です。
栽培期間は約9ヶ月!さっそく種球を植え付けよう
菜園やプランターに10~15cmの株間をあけて、スコップで穴を掘ります。種球の尖った方を上にして、1ヶ所の穴に種球を2片ずつ押し込むように植えていきます。
2片ずつ植えると収穫量が増えるのでおすすめですよ。種球の上から約5~6cm土をかぶせ、仕上げにたっぷりと水を与えましょう。
- 種球の先端が少し見える程度に浅く植え付けると…
分球の数が増えて小粒のらっきょうがたくさん収穫できる
- 種球を深く植え付けると…
分球が少ない大粒のらっきょうが収穫できる
種球が発芽して成長すると、ネギのような見た目のヒョロリとした葉が伸びてきます。らっきょうは生育期間が8~9ヶ月と長いので、雑草はこまめに抜き取ってください。
土寄せについて
育成が盛んになる3~4月頃、らっきょうの株元に土寄せをしてあげましょう。イメージとしては、こんもりとした山の中心に株がある…という感じにしてください。
水やりについて
植え付け後には、たっぷりと水を与えます。また、育成中に土の乾燥が気になったら、多めに水をあげましょう。
特にプランター栽培は土が乾燥しやすいため、プランターの底から水が流れ出るほどしっかりと与えてください。菜園などの露地栽培の場合は、乾燥した日が続いた時にあげると良いでしょう。
追肥について
らっきょうは肥料をよく吸収する野菜です。植え付けから1ヶ月経った頃に1回目の追肥をし、その後は2月頃から月に1回の割合で追肥します。
バランスのとれた市販の粒状肥料を株の周りにまいて、土と軽く混ぜ、株の周りに寄せてあげましょう。
水やりを兼ねて、規定量に薄めた液肥を与えても良いですよ。追肥をすると雑草が生えやすくなりますので、こまめに草を抜き取りましょう。
らっきょうを収穫しよう
植え付けた翌年の3月下旬~4月上旬(球が太り始める頃)には、若どりのエシャレットの収穫ができます。葉ごと、手で引き抜きましょう。
6月下旬~7月上旬頃に株が枯れてきたら、らっきょうを本格的に収穫できます。株が完全に枯れる前に収穫をするのがポイントです。手で土をほぐしてから、葉をつかんで手で引き抜いてください。
らっきょうの保存方法
収穫後は生のまますぐに頂いたり、漬物にするのがベストです。生のまま食べれるように保存したいなら、らっきょうが乾燥しないようポリ袋などに入れ、冷蔵庫にて保存しましょう。
来年用の種球にしたい場合はネット袋などに入れて、風通しの良い日陰に吊るして保存しておきましょう。
らっきょうの病気と害虫
らっきょうは丈夫な野菜ですが、5月頃にカビの一種であるサビ病(空気・水伝染性の病害)になることがあります。
サビ病にかかると葉の表面に黒・褐色・淡黄色の房状の紋が現れ、苗が育たなくなってしまいます。サビ病特有の紋を見つけたら、すぐに葉を摘み取って取り除いておきましょう。
肥料の与えすぎ、または肥料切れが関係していることが多いので、肥料の量をきちんと守ることがポイントです。
また、らっきょうはアブラムシに食害されることがあります。アブラムシを発見したら、綿棒を使って駆除しましょう。
飲み切った牛乳パックに水を入れ、霧吹きで吹きかけても良いですね。自然の力を借りるなら、テントウムシを一匹株の周りに連れて来るのもOKです。
素朴な疑問Q&A
花はそのままにしていても大丈夫ですか
らっきょうは、秋に紫色の美しい花を咲かせます。そのままにしておいても育成に問題はありませんので、大丈夫です。
形の悪いものができました
土寄せがしっかりできていなかったからだと思います。きちんと株に土を寄せてあげないと、丸型や細長い形のらっきょうになってしまいます。
また種球が土から大幅に出ていると、日光に当たり、青球という色の悪いらっきょうができてしまいますよ。植え付けから翌年の3~4月頃に、きちんと土寄せしてあげてくださいね。
球根が傷んで枯れてしまいました
この場合は、育成環境に問題がありそうです。らっきょうは丈夫な野菜で荒れた土地でも元気に育ちますが、多湿の土壌が苦手です。
土作りの章を参考にしてください。また土が乾いたら水をやるようにして、水はけの良い育成環境を心がけましょう。
らっきょう栽培のまとめ
らっきょうの栽培方法や収穫の仕方、らっきょうの品種や病気についてご紹介しましたが、皆さんいかがでしたか。
らっきょうは1ヶ所に2片ずつ植え付けること。雑草をこまめに抜き取り、土寄せをしながら育てることがポイントでした。
食物繊維が豊富で家庭菜園初心者にも育てやすいらっきょうを、ぜひご家庭でも栽培してみてくださいね。