大豆は栄養価が高く、昔から五穀の一種として大事にされ、様々な場面で使用されてきました。大豆を若どりした枝豆や、お正月に食べる黒豆も大豆の仲間です。
今回は、初心者でもできる!大豆の栽培方法や育て方のコツ、大豆の肥料や摘心などについてご紹介していきます。
大豆について
大豆は中国が原産の、マメ科ダイズ属に属する一年草です。「豆の中でも一番=大いなる豆」ということから、大豆という名前が付いたとされています。
大豆は、お節料理に入っている黒豆をはじめ、節分の際にまく魔除けの意味合いがある煎った豆など、昔から大切にされてきました。
「畑の肉」と呼ばれるほど大変栄養価が高く、良質なタンパク質やカルシウム、リンや鉄分などが豊富に含まれています。大豆イソフラボンの存在も話題になっていますね。
大豆は、豆腐や油揚げ、味噌や醤油や納豆などの発酵食品のほか、豆乳や湯葉やきな粉など、様々な食べ物の原料となっています。
気候は?北海道でも栽培できる?大豆栽培マニュアル
大豆は温暖な気候を好む植物です。日当たりや風通しの良い場所で育てると、育成が良好になりますよ。
種まきの適期は5~6月で、苗植えの適期は6月~7月です。鳥類被害や霜害に遭わないように気を付けて、種まきや植え付けを行いましょう。
収穫適期は10~12月頃になります。サヤが枯れてはじける前の未熟な大豆を若どりすると、枝豆になります。
枝豆は種まき後から約90日で収穫でき、大豆は約130日ほどで収穫できます。大豆は比較的栽培が簡単な植物ですが、耐寒性や耐熱性はありません。
北海道でも栽培は可能ですが、種袋に表示されている栽培方法をよく確認してください。大豆は露地栽培でも、鉢植え・プランター栽培でも育成が可能です。
土壌は特に選びませんが、保湿性と水はけに優れた土壌だと良いですね。大豆は連作障害を起こしやすいため、同じ菜園で栽培する際には2~3年は期間をあけてください。
大豆の種類
大豆には国産のものだけでも約300種類以上の品種があります。種類によって草丈や開花時期も異なります。大豆の種類は大まかに4種に分けることができます。
- 黄大豆…品種も生産量も多く、最も一般的な大豆です。
黄大豆の中粒種は豆腐や味噌、納豆など様々な加工品が作られています。
- 青大豆…きな粉や煮豆に使用されている、皮が緑色の大豆です。
- 黒大豆…お節料理ではお馴染みの黒大豆。
近頃は煮豆の他、納豆や豆腐に使用されることも。
- その他の大豆…赤大豆・茶大豆のほか、青大豆の表面の一部分が黒くなっている鞍掛(くらかけ)豆などがあります。
あまりスーパーでは見かけることが少ない、珍しい大豆です。
草丈や開花時期について
大豆は種類によって開花時期や草丈が異なります。例えば黄大豆ですと、開花時期は6~8月頃に紫や白色の花を咲かせます。草丈は約60~80cmです。
黒大豆の開花時期は7~8月で、薄いピンクの花を咲かせます。草丈は約90~110cmと黄大豆に比べて大きいですね。
大豆の土作りと準備物
プランター栽培の場合は、幅70cm×奥行き30cm×深さ30cm、容量35~40Lのプランターを選びましょう。
この大きさの容器に約20cmの間隔をあけて、2株植え付けると考えてください。土は、市販の野菜用培養土を利用すると簡単です。
容器の底に敷く鉢底ネットや、鉢底石も準備しておきましょう。露地栽培の場合は日当たりや風通し、土の水はけが良い場所を選びましょう。
大豆は弱アルカリ性の土壌でよく育ちます。植え付けの3週間前に、土壌に苦土石灰をまいてしっかりとかき混ぜておきます。
土壌改良効果がある完熟牛ふん堆肥と、施してすぐ効果が現れる暖効性化成肥料を、植え付けの2週間前に土壌に混ぜ込んでおきましょう。
土壌の水はけが心配される場合は、土に川砂(粘土質が落ちてサラサラの状態になった砂)を混ぜておくと良いですよ。
種まき・植え付け方法
種から育てる事も可能ですが、初心者は苗から植え付けた方が手軽でおすすめです。鳥に食べられてしまう鳥害も防ぐことができますよ。
種まき
発芽適温は15~25℃なので、5~6月の温かい時期に植えましょう。育苗ポットを準備して、その中に小粒の赤玉土か野菜用培養土を入れます。
指の第一関節が埋まるくらいの植え穴を、3ヶ所あけましょう。穴の中に種を1粒ずつ入れて、上から土を被せたら水やりをして管理します。
管理中は鳥害を防ぐため、100均などで手に入る通気性の良いプラスチックかごにポットを入れ、上から防虫ネットをかけておくと安心です。
種は5~10日ほどで発芽します。子葉(双葉)が生え、次に生えてくる初生葉(しょせいよう)が出たら苗を2本立ちにし、育成の悪い苗1本を間引きます。
初生葉の次に生えてくる本葉が1~2枚そろったら、プランターや菜園に植え替えてください。
苗の植え付け
種まきして育てた苗や、園芸店などで購入した苗を準備します。苗を購入する際には、葉の色が濃く茎が太いものや、葉が枯れていないものを選びましょう。
土の表面に、ポリポットと同じ大きさの植え穴を掘ります。ここにポリポットから取り出した苗を、根鉢を崩さないよう気を付けながら、優しく入れ込みます。
苗の株元に土を寄せたら、水をたっぷりと与えてください。露地栽培の場合、数株植え付ける際は、苗と苗の間隔を20~30cmほどとってください。プランターの場合は“大豆の土作りと準備物”の章を参考にしてくださいね。
大豆栽培の管理方法
水やり
プランター栽培の場合は、土が乾燥していたら水をたっぷりやるようにします。水やりのし過ぎは根腐れを起こしてしまうため、注意しましょう。
露地栽培の場合は地中の水分があるため、基本的には水やりは必要ありません。しかし晴れの日が続き、土がカラカラに乾燥しまった際には、たっぷりと水やりを行いましょう。
肥料
大豆を始め、マメ科野菜の芽には根瘤菌(こんりゅうきん)という菌が寄生しています。根瘤菌はマメ科野菜から養分をもらう代わりに、空気中の窒素を取り込んで、野菜に供給してくれます。
そのため、肥料は基本的に、種まき・苗植え時に施しておいたら大丈夫です。肥料を与えすぎてしまうと実がつかず、葉ばかりが生い茂ってしまうため気を付けましょう。
株の様子を見て、追肥する場合は、開花時期である6~8月に化成肥料を1株1つまみ与えます。化成肥料の代わりに草木灰(落ち葉や枯葉を燃やして作る灰)をまいても良いですよ。
土寄せ
大豆は根が浅いため、株が倒れやすい植物です。本葉が1枚出た頃と、本葉が3枚出た頃に、スコップなどを使って株元に土寄せをします。定期的に土寄せをして、株を安定させてあげましょう。
摘心
本葉が5枚ほど生えそろったら、茎の先端(最上部)をハサミなどで切りとりましょう。こうすることで脇芽の成長が促され、分枝にサヤが付きやすくなりますよ。
大豆を収穫しよう
枝豆として収穫する場合
品種によって異なりますが、枝豆として食べる際は、約90~100日ほどで収穫します。サヤが膨らんで中の豆が柔らかいうちに、サヤを収穫するか、株ごと引き抜きましょう。
大豆として収穫する場合
種まきから約130日後の10~11月頃が収穫の適期です。収穫のサインは以下の通りです。
- 枯葉が落ちてきた
- 大豆の茎が黄色→薄茶色く変色した
- サヤを軽く振ると、カラカラと中の大豆が揺れる音がする
株が枯れてくると水やりの必要がなさそうに見えますが、土が乾燥していたらきちんと水やりを行ってください。
収穫する時は株ごと引き抜くか、株の根元で刈り取ります。収穫した株は網袋などに入れ、雨の当たらない風通しの良い場所で乾燥させましょう。
素朴な疑問Q&A
病害虫はつきますか
大豆はカメムシやアブラムシがつくことがあります。実が育つ時期にカメムシがつくと、サヤが落ちたり、実が太らなくなります。
見つけ次第ガムテープで張り付けて駆除したり、株を防虫ネットで覆いましょう。アブラムシが付くと、葉に濃淡のモザイク模様ができるモザイク病を発症することがあります。
アブラムシを発見したら綿棒などでこすって退治したり、株に防虫ネットをかけておきましょう。大量発生した場合は専用殺虫剤を使用してもOKです。
栽培に失敗しました
日当たりや水やり、肥料や害虫など、様々な問題が挙げられます。栽培環境を見直してみることをおすすめします。
葉が繁りすぎてしまいました
肥料をあげすぎていませんか?マメ科植物には根瘤菌が存在しているため、肥料(特に窒素分)は控えめにして育てます。
葉が茂りすぎてしまった時の対策として、もう追肥はしないこと、水やりを少し控えるようにしてください。
家庭での大豆栽培・まとめ
大豆の栽培方法や育て方のコツ、大豆の肥料や摘心などについてご紹介しましたが、皆さんいかがでしたか?
大豆は日当たり・風通し・水はけの良い場所で、肥料を少なめにして育てることがポイントでした。
定期的に土寄せを行い、摘心をして育てましょう。栄養豊富な大豆を、ぜひご家庭でも栽培してみてくださいね。