家庭菜園・野菜の栽培

【初心者】唐辛子の栽培・育て方のコツ(栽培品種・摘心・冬越し方法など)

赤に緑に黄色とカラフルな唐辛子は、ただ食べるだけでなく観賞用の品種まで存在します。

唐辛子はナス科の植物で、ピーマンやパプリカと同じ仲間になります。辛味が強い鷹の爪やハバネロなどが唐辛子として分類され、特有の辛さは刺激的で病みつきになりますね。

料理のアクセントや薬味としても欠かせない唐辛子は初心者でも簡単に栽培できます。早採りすれば青唐辛子として、完熟させれば鮮やかな彩りも添えてくれます。

この記事では家庭菜園で栽培できる様々な唐辛子と、その育て方をご紹介します。地植えはもちろん、プランターや鉢植えでも栽培できますから、お家の空きスペースで簡単に育てられますよ。

家庭菜園で栽培できる唐辛子の種類

唐辛子の栽培品種は辛さの程度や果実の色などから選べます。店頭ではあまり目にしない品種も種や苗として市販されていますから、いろいろな品種にチャレンジしてみましょう。

島唐辛子

沖縄原産で激辛タイプの島唐辛子。果実は一般的な唐辛子より小ぶりで成熟に合わせて緑→黄色→橙→赤と色が変わります。

泡盛に浸けて「コーレーグス」という調味料として使ったり、オリーブオイルに浸け込んだりして美味しくいただけます。

韓国唐辛子(青唐辛子)

日本の唐辛子よりも味わい深く辛味も強い韓国唐辛子は、大きく艶やかな実を結びます。日本でも栽培しやすく自家製のラー油などに活用できますよ。

万願寺唐辛子

万願寺唐辛子は京都発祥の京野菜です。肉厚で種もなく、辛味がないので様々な料理に活躍してくれます。

観賞用唐辛子

食用ではありませんが実の形や色が様々で、最近では葉まで特徴的な品種も増えています。コンパクトな鉢植えから、寄せ植えとしてガーデニングにも彩りを添えてくれます。

室内でも育つ!唐辛子の栽培方法

唐辛子の栽培は春から秋にかけて、地植えでも鉢植えでも育ちます。入手方法は種と苗の両方から選べますが、初心者には発芽にかかる手間や温度管理が難しいため苗を購入して植え付けるのがおすすめです。

種から育てる方法

種から育てるなら3~4月に種まきをします。発芽温度は25~30℃と高く15℃を下回る環境では正常に生育しません。

種まきは温度管理が行き届く育苗箱を使うか、ポット鉢に種をまき室内で発芽を促しましょう。

唐辛子の種は嫌光性(けんこうせい)種子のため外からの光が届かないよう、1cmほどの深さに埋めます。育苗箱やプランターの場合あらかじめすじを作りそこに種をまきく「すじまき」という手法を用い、すじの間隔は4~5cmほどあけて数列植えます。

鉢植えやポット鉢なら植え穴に2~3粒の種をまき、1番勢力のある芽だけを残して後は間引くと良いでしょう。

嫌光性種子とは

発芽に日光が必要なく、種に日が当たると発芽しにくい性質を持つ種です。嫌光性種子を正常に発芽させるためには、種をやや深めに埋める必要があります。

苗から育てる方法

苗の植え付け時期は5~7月、色艶の良い葉が8~10枚ほどあり茎が太く安定している苗を選びましょう。

成長すると大きく枝を伸ばしますから地植えする場合は株間を40~50cmあけ、鉢植えなら10号程度の大きめの鉢を用意します。

栽培キットもおすすめ

土と種がセットになって、キッチンでも簡単に育つ栽培キットもおすすめです。インテリアとしても楽しめますね。

唐辛子の栽培環境

唐辛子は熱帯アメリカが原産です。暑さには強いですが寒さに弱いのが特徴で、真夏に大きく成長します。

日当たり

唐辛子は日光を好みますから日当たりの良い場所で栽培しましょう。栽培適温は20~30℃です。

ただ真夏の強い直射日光を受け続けると、葉焼けしてしまう可能性があります。日照りが続くようなら、日除けなどの対策を施しましょう。

簡単に取り外しができる日除けネットがあると便利ですよ。

土作り

プランターや鉢で栽培するなら野菜用の培養土が便利です。

菜園などに地植えするなら、植え付けの2週間前に苦土石灰(くどせっかい)を混ぜ土質をアルカリ性に傾けます。その後、堆肥と化成肥料を混ぜよく耕しておきましょう。

幅70cm、高さ20cmほどの畝(うね)を作ります。

苦土石灰の必要性

雨が多い日本の土は酸性質が強く、野菜などが育ちにくい傾向にあります。苦土石灰はアルカリ性の肥料ですから、事前に土に馴染ませておくとアルカリ性を高め野菜の生育が良くなります。
堆肥や元肥となる化成肥料と一度に混ぜたいところですが、化学反応を起こす可能性があるため時間差で混ぜましょう。

唐辛子の育て方

暖かさが落ち着いた時期に日当たりの良いスペースが見つかったら、早速唐辛子の栽培を始めましょう。

手順に沿って育て方をご紹介します。

植え付け

ポット鉢よりも大きめの穴を掘り、根を崩さないようにして土に植えます。やや浅めに植えて周囲の土を株元に寄せましょう。

植え付けた後は水をたっぷり与えてください。

ナス科の植物は同じ場所で繰り返し栽培を続けると、生育不良や病気といった連作障害が発生します。
初めて野菜を育てる場所(土)なら問題ありませんが、ナス科の植物を収穫した後に続けて唐辛子を植えるのは避けましょう。

支柱立て

唐辛子の苗は茎が細いため、植え付けと同時に支柱を立てます。根を傷つけないように斜めに刺し、紐で8の字に結び固定します。

成長に合わせ長さや太さを変え、側枝が広がるなら本数を増やして対応しましょう。

水やり

唐辛子は土中の浅い位置に根を張るため乾燥には弱く、水が切れると苗を弱らせてしまいます。土が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう

地植えの場合はそれほど神経質にならなくても大丈夫ですが、風通しが良く乾燥しがちな土地では敷き藁をして保湿をすると安心です。

摘心・脇芽かき

1番最初の花(つぼみ)が付いたら、枝の先端から1節か2節目までカット(摘心)します。つぼみも摘み取ることでその後の花付きが良くなります。

摘心すると脇芽が伸びますが、勢いの良い2本だけを残しそれ以外はすべて摘み取りましょう。主枝と脇枝の3本仕立てで栽培します。

追肥

果実が付き始めたら生育を助け実に栄養が行き渡るように、収穫が終わるまで2週間に1度追肥を施します。化成肥料なら株元に10g程まけば十分です。

目安としては女性が軍手をはめて片手で目一杯に掴むとおよそ50gほどですから、1度で5株分に振り分けられると考えればわかりやすいですね。

鉢植えや観賞用唐辛子なら10日に1度水やりを兼ねて液体肥料を与えましょう。

収穫

種まきから4か月、苗なら植え付けからおよそ2か月、花が咲き始めて2週間もすると実が赤く色づき収穫時期を迎えます。唐辛子は枝が折れやすいため、ヘタの上をハサミで切って収穫しましょう。

フレッシュなまま食べることも出来ますが、風通しの良い日陰で乾燥させれば長期保存ができますよ。

唐辛子の冬越し

唐辛子は寒さに弱い性質のため1年草として知られていますが、元々は多年草で暖かい場所で栽培を続ければ冬越しも可能です。霜にあたればすぐに枯れてしまいますから、冬場は室内で育てましょう。

栽培温度(20~30℃)をキープするために、鉢やプランターを発泡スチロールなどで覆ったり、ビニールをかけ簡易的なビニールハウスを作ると温かさが保てます。収穫を終え本格的な冬を迎える前に、細い枝や葉は切り落として寒さに備えましょう。

冬越しした唐辛子は7~8月に一回り大きい鉢に植え替えます。冬を越した株はより強く大きく成長し、実もたくさん付けてくれますよ。

注意したい唐辛子の病気と害虫

唐辛子は暑い時期に長い期間栽培しますから、病気や害虫被害には注意が必要です。

かかりやすい病気

  • モザイク病
  • 青枯病

モザイク病は葉に斑点が現れたり縮れたりするなどの症状が見られ、放置すれば枯れてしまうこともあります。病気の葉を見つけたらすぐに摘み取り被害の拡大を防ぎましょう。

青枯病は多湿による細菌感染が原因です。昼間は葉が萎え、夜間に回復するといった症状を繰り返します。
水はけを良くし、発病した株は土ごと除去しましょう。同じ土地での連作を避けることも大切です。

つきやすい害虫

  • アブラムシ
  • カメムシ類
  • テントウムシダマシ

夏場に活発な活動をする虫が付きやすく、葉や茎に付いて養分を吸い取ります。見つけたらすぐに駆除しましょう。

唐辛子の栽培・育て方のまとめ

唐辛子は白く小さな花が咲き、実は緑から熟すほどに赤く色づきます。摘心後は脇芽が伸び葉や花芽がたくさん付きますから、余分な芽を摘みながら成長を楽しみましょう。

地植えの場合は水やりの手間はかかりませんが、その分病気や害虫に注意が必要です。鉢植えやプランターで栽培するなら連作障害の心配もなく、冬越しさせて強い株に育てても良いですね。

唐辛子はたくさん収穫してお酒やオイルに浸け込んだり、乾燥させて長期保存も可能ですから1年中楽しめます。

自分好みの唐辛子を自分の手で育ててみてはいかがでしょうか。