にんにくは秋に植え付けてから栽培に半年以上かかり、収穫まで時間がかかりますがポイントさえ押さえれば簡単に育てることができます。
秋に植え、冬のあいだはほとんどほったらかしでも5月頃には立派なにんにくとして収穫でき、食卓のあらゆる料理に使えるので便利です。
さらに保存性に優れているので大量に植えても消費に困ることがありません。とても家庭菜園向きの野菜です。
にんにくの栽培方法
種の植える時期
にんにくは種子ではなく鱗片を種球として植えます。普段食べている食用のにんにくでも種球にできるので、手軽に栽培することができます。
ホームセンター売られている種球は病気になりにくいように消毒されていますので、初心者の場合はそちらを購入することをおすすめします。
種球の値段は品種によってさまざまで、中国産の安いにんにくなら1kg1000円程度、高級ブランドにんにくなら1kg4000円程度とかなり差があります。
収穫したにんにくを湿気から守るなどしてきちんと保存すると種球にすることもできます。
9月頃から植え付け始め、遅くても10月中旬までには植えつけましょう。あまり遅くなると生育がよくありません。
枝豆栽培はプランターでも簡単
にんにくは場所を取らない野菜なので、初心者でも簡単に標準のプランター(横幅60~65cm)栽培できます。
種の植え付け方
外側の皮をむき一片ずつていねいに分球します。皮がついたままだと発芽に時間がかかり腐ってしまうことがあります。内側の薄い皮は向かなくても大丈夫です。
種球と種球の間を10cmほどあけて、芽が出る方(とがってる方)を上にして3cmくらい押しこんで植えます。土をかぶせたら、プランターの下から水が流れ出すくらいたっぷり水をあげましょう。
土に植える場合は穴あきマルチ栽培をした方が雑草を抜く手間が省けるので便利です。
マルチ栽培とは?
野菜の生育している畝の上などをポリフィルムやビニルフィルムなどで覆って栽培する方法です。これをすることにより、地温が高まり、雑草の発生を抑えたり、また蒸発が抑えられるので水やりを少なくできる効果があります。
初めから穴があいているタイプと自分であけるタイプがあります。
水やりのポイント
植えつけ直後から発芽するまでは必ず水やりをしましょう。
露地で栽培する場合、発芽後は自然任せで大丈夫です。
プランターで栽培する場合は露地栽培と違い、用土が乾きやすいです。3月以降は気温も上がり乾燥しやすくなるので、用土が乾いたらプランターの下から水が流れ出してくるくらいたっぷりあげます。
栽培中のポイントは芽かきと追肥
草丈10~15cmの頃に1株から2芽以上出ていたら株元を押さえて芽が1本になるように芽かき(=不必要な芽を摘み取ること)をします。
追肥をするのは植え付け1ヶ月後と、冬を越した後にします。
ホームセンターなどでにんにく用の化成肥料が売っているのでそれを施すか、有機栽培ならぼかし肥または鶏糞を株元にまきます。
いちごとの相性がばつぐん
ユリ科のにんにくは立ち枯れ病などの病害菌をおさえる微生物が共生しているのでコンパニオンプランツで他の野菜と混植するのがおすすめです。とくに相性が良いのはいちごです。
栽培の時期的にもちょうど良く、いちごの害虫を寄せ付けない効果もあるので一緒に育ててみるのをおすすめします。
土で混植する場合はいちご4株に、にんにく1株といったちょうどさいころの《5》の目(真ん中がにんにく)の形のように植えます。
プランターで混植する場合はいちご、にんにく、いちご・・・と交互に植える形にします。
収穫の時期と方法
にんにくの収穫の前ににんにくの芽が収穫できます。
上の写真の右手前のにんにくの葉の間から茎のようなものが伸びていますが、それがにんにくの芽です。
国産のにんにくの芽は市場にほとんど出回らないのでとても貴重です。炒めものにするととても美味しいですよ。
にんにくの収穫時期はゴールデンウィークを過ぎたあたりから、梅雨に入るまでです。
にんにくの葉が半分以上枯れたら収穫の合図です。湿気があると腐りやすくなるので晴れの日が続いて用土が乾燥している日に収穫しましょう。収穫前はみずやりをストップしておきます。
収穫方法は株の根元を持ち引き抜きます。日の当らない風通しのいいところで数日乾燥させ、収穫完了です。
そのまま長期保存する場合は束ねて雨が当らない軒下などに吊るして貯蔵します。
収穫後ビニール袋に入れたままにしておくとすぐにカビがはえるので注意!
にんにく栽培におけるワンポイントアドバイス
連作障害は?
にんにくはあまり連作障害がでにくい野菜です。
数年の連作は大丈夫と言われているのであまり気にしなくても大丈夫です。
下のリンクで、にんにく栽培のプロの意見を紹介します。
Qにんにくは連作できますか。に対するプロの回答
にんにく栽培は日当たりがとても重要
日当たりの悪い場所で育てると、株がひょろひょろと軟弱になり病気にかかりやすくなります。
湿気にも弱いのでじめじめしないような日当たりのいいところで育てましょう。
にんにくが枯れる原因
にんにくが枯れる原因は3つあります。
肥料切れ
にんにくは秋に植え付けて収穫が翌年の初夏と栽培期間がとても長いです。なので、スタミナ不足で枯れることがあります。
元肥と追肥を2回することを忘れないでおきましょう。
生理的な現象
にんにくの葉が枯れるのは生理現象でもあります。
見極めるポイントは、12~2月の寒い時期に寒さや霜にあたったり、5月以降に収穫が近づいてきたときです。
これらの理由で色が悪くなったり枯れた場合は、特に心配する必要はありません。
病気によるもの
病気が原因で枯れることもよくあります。
下記でにんにく栽培でかかりやすい病気を詳しくまとめてみました。
にんにく栽培の病気や害虫
かかりやすい病気と対策
にんにくがかかりやすい病気は主に3つあります。
ひとつは「さび病」というものです。葉の表面に黒、褐色、白などの斑点ができ、症状が進むと全体に斑点が広がっていきます。カビの一種である菌が感染し起こる病気です。
水はけの悪い土で育てていたり、混み合っていて風通しが悪かったりすると感染するので、水はけと風通しを良くして予防しましょう。
もしも感染してしまった場合、初期段階であれば斑点のある葉のみ切って処分します。症状が進んでいるのであれば株ごと引き抜き処分します。
2つめは「春腐病(はるぐさりびょう)」です。
種子をまいてすぐ感染した場合は、葉が2~3枚くらいの頃から出始め、葉の先が細くなります。
症状が進むと葉の根元が腐ったようになり、引っ張ると簡単に切れてしまいます。さらに症状が進むと、株元や種球までやわからかく、腐ってしまいます。
薬剤を使って防除するのが一番ですが、有機栽培もしくは薬剤を使いたくない場合は水はけを良くすること、肥料をあげすぎないことを守ります。
春腐病は感染した株があると被害がすぐに広がります。発見次第すぐに発症した株を引きぬいて処分しましょう。
3つめは「葉枯れ病」です。
葉の先端が枯れたようになったり、斑点が出たりします。
葉枯病の原因となる菌は、高温多湿の環境を好み感乾燥が苦手です。水はけを良くし、ほどよく乾燥させることで感染を予防しましょう。
つきやすい害虫と対策
にんにく栽培でよく見る害虫はアブラムシです。アブラムシは繁殖力が強いので対策せずにそのままにしておくと大変なことになります。
アブラムシ用の薬剤を使って対策するか、有機栽培もしくは薬剤を使いたくない場合は手でつぶしたり、粘着テープにくっつけていく方法で駆除します。
にんにくの品種
- 福地ホワイト六片
国産にんにくの中でも最も有名です。ひと粒が大きくて、外皮が雪のよう
に白くて見栄えがよいのが特徴です。高級ブランドにんにくとしても知られ、1kg3000円前後で販売されていたりします。
- 島にんにく
沖縄で古くから栽培されている品種です。粒は小さいですが、辛みと匂いが強く病みつきになる味です。
もうひとつ、にんにくとは違うのですが、ジャンボにんにくというものがあります。外見上極めてにんにくに類似していますが、リーキ(外見は太いネギのような植物、西洋ネギとも呼ばれています)の仲間とされています。手のひらに収まらないくらいとても大きいです。
にんにく栽培のまとめ
最後に、にんにくの栽培で重要な点をまとめてみました。
✔9月頃~10月中旬までに植え付ける
✔にんにくはとても湿気に弱い
✔水はけの良い土で育てることが大切
以上の3点はにんにくの栽培にとても重要なことなので必ず頭に入れておきましょう。
収穫後の生にんにくは水分が多く、乾燥したにんにくと比べると旨みや香りが違います。家庭菜園ならではの特別なにんにくを味わってみてくださいね!