自分達が食べる野菜を自分で作れたら安心と節約の一石二鳥になりますね。でもそれは農家だけの話しとあきらめていませんか?自宅に広い庭があるならまだしも、マンションなどの集合住宅に住んでいれば、何かを育てるという発想もあまりないかもしれません。
でも土と水、それに太陽光さえあればほんの少しの工夫で植物って育つんです。日当たりのいいベランダなら野菜が育つ条件を満たしていますよ。
この記事ではマンション住まいの方でもすぐに始められる家庭菜園の作り方と、実際どのくらいの節約になるかをわかりやすくご紹介します。最初にある程度の準備は必要ですが、野菜を育てる喜びや新鮮野菜がお得に味わえるなどメリットがいっぱいです。
マンション住まいでも大丈夫!自宅のベランダを活用して季節を感じる野菜を作ってみましょう。
これだけ節約できる!家庭菜園最大のメリット
どこかに畑を借りるほど本格的なものではなく、ほんの少し料理に使えるような野菜を自宅で作れたら嬉しいですよね。必要な時に欲しい分だけを摘み取って、無駄なく使いたいものです。
家庭菜園=節約といったイメージも大きいですね。実際家庭菜園を始めたきっかけが「節約のため」という方は多く、趣味と実益を兼ねているといったところでしょうか。では一体どのくらいの節約になるのか?そこが1番気になります。
家庭菜園でも人気のミニトマトを例にしてみましょう。
収穫量 およそ40~100個
スーパーで購入すると1パック20個ほどで200円前後といったところでしょう。うまくいけば数倍の収穫が見込めますから、家庭菜園だけで十分な量が作れます。
食費全体への影響は栽培する野菜やプランターの数にもよりますが、夏から秋の収穫期ともなれば数千円は確実に節約できるはずです。育てやすく収穫量が多いもの、または収穫後日持ちする野菜を選ぶのがポイントです。
ただ単純に苗を買って水さえあげれば実が成るものではありませんから、ある程度の初期投資と育てる手間は省けません。それでも洗濯物を干す以外活用していないベランダに、ミニ菜園があったら節約プラスアルファのメリットも生まれますよ。
- 節約・・・購入するよりも安く新鮮な野菜が手に入る
- 安心・安全・・・農薬などの心配がない
- 食育・・・育てていく過程が見れ、好き嫌いの軽減につながる
- 癒し効果・・・日々の成長を楽しめ窓辺に緑の彩りとなる
ベランダで野菜が育つ条件とは?
どんなベランダでも立派な野菜が育つという訳ではありません。実を付ける野菜やフルーツは特に置かれた環境がとても大切です。
ベランダで家庭菜園を成功させるなら以下の2点が必須です。
- 日当たり
- 風通し
まずは自宅のベランダをチェックしてみましょう。
日当たり
マンションでは部屋の位置によって日当たりも大きく違うでしょう。野菜を大きく美味しく育てるには日当たりが重要なポイントになります。
昼間できるだけ長く直射日光が当たり、広げた葉が光合成をすることで実にたっぷりと養分が行き渡ります。少しの段差によっても影日向ができますから、棚や台などを工夫して使ってみてもいいですね。
風通し
水やりと日当たりにばかり意識が集中してしまいがちですが、家庭菜園には風通しの良さも欠かせません。高温多湿な状態が続けば土にはコケやカビなどが発生してしまうことも。
自然な風が葉を軽く揺らし、根元付近の葉まで日光が届けられればその分栄養も行き届きますね。
プランター栽培の場合は苗を植える時に詰めすぎないように注意しましょう。
適度な風通しは大切ですが、必要以上の風はただ苗を傷めてしまう結果になりかねません。
置き場所を工夫し、鉢の転落にも十分な対策をしましょう。
ベランダで家庭菜園を始めるには
限られたスペースで家庭菜園を始めるには、いくつか用意するものが必要です。またベランダのスペースや洗濯物を干す時の導線なども考えて、スペースを確保しましょう。
まずは必要な道具をご紹介します。
- プランター
- 培養土(園芸用・野菜用)
- 鉢底石
- スコップ
- ジョウロ(またはホース)
- 種や苗
ベランダにオススメのプランター
プランターは育てるものによって大きさや深さを決めます。そうなるとベランダの家庭菜園スペースと、育てたい野菜やフルーツとの折り合いを付けなくてはいけませんね。
素材選びの基準は通気性と耐久性。日照時間や環境条件によってプランターを動かす必要があるとしたら、重さも重要になります。
素材別プランターの特徴
ひとくちにプランターと言っても、プラスチック製だけでなく陶器やブリキ、木製とそれぞれの趣味に合うものから選べます。素材別の特徴をまとめてみましょう。
プラスチック製 | 軽くて安価、デザインも豊富に揃っています。 水を通さない素材のため頻繁な水やりには注意が必要です。 |
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陶器製 | 程良い重さがありナチュラルな風合いが人気です。 粘土から作る焼き物は目に見えない小さな穴が無数に開いているため、通気性に優れています。 ただし表面に上薬を使っているものは水も空気も通しません。 厚みが薄いものはちょっとした衝撃で割れてしまうので注意しましょう。 |
ブリキ製 | 軽くて耐久性も良く、空き缶をリメイクすれば自分でも作れます。 排水用に底穴を開ける必要があり、熱伝導率が高い素材のため、外気温に左右されやすい点には注意が必要です。 |
木製 | 天然素材のため通気性・排水性に優れています。耐久性は他の素材には劣りますがナチュラルな見た目と実用性は高いと言えます。 |
リビングや寝室から臨むベランダなら、プランターを部屋のインテリアと合わせると部屋を実際よりも広く見せる効果が得られます。
初心者には扱いやすいプラスチック製がおすすめですが、おしゃれさも追及したいなら破損するリスクはあっても素焼きの陶器製などが育てやすいでしょう。
木製を使いたい場合、コストはかかりますがプラスチック製プランターに木製のプランターカバーを併用すれば苗にもプランターにも優しく使用できますよ。
省スペースで実用的な袋栽培もおすすめ
プランターの代用として今注目されているのが「袋栽培」です。初めて家庭菜園を始める場合はプランターを買うにも大きさ・素材選びに時間がかかります。何より狭いベランダを効率的に使うなら、コンパクトさは譲れない方も多いでしょう。
そんな時は手軽で使い勝手の良い袋栽培から始めてみるのがおすすめです。
培養土の入っていた袋や相応の大きさの袋をプランター代わりにして種や苗を育てる栽培方法です。わざわざプランターを購入する必要がなく、不要になったら処分も簡単。栽培できる野菜も多く、トマトやナス、地中に育つじゃがいもやサツマイモ、大根まで栽培ができます。野菜別に適した土をパックした「袋栽培キット」も市販されています。
土の選び方
野菜が栄養を吸収するために土は欠かせません。どんな土で育つかが味や成長の決め手になります。
とはいえ数種類の土を掛け合わせてオリジナルを作るのはプロの技。初心者であればホームセンターなどで野菜用の培養土が市販されていますから、そちらを利用しましょう。どれを選べば良いのか迷う場合は、店員さんにアドバイスをもらうと栽培のヒントまで貰えますよ。
家庭菜園のモチベーションが上がる道具類
家庭菜園を始めるにあたって、初めて揃える道具もあるでしょう。これから育てる野菜の収穫をイメージしながら買い物をするのって楽しいですよね。
単なる道具でもお気に入りが見つかると断然モチベーションも上がります。作業効率もあがる道具類をご紹介しましょう。
スコップ
ベランダ用なら小さめのものが使いやすいでしょう。サビが植物に触れると悪影響になりますから、サビにくいものがおすすめです。安価でもいろいろな種類がありますから、好みのものがきっとみつかりますよ。
ジョウロ
100円ショップでも手軽に購入できますが、探してみると素材や形も様々。水の注ぎ口がシャワータイプになっている方が、プランターに均一に水やりができますよ。ずっと使うものであり、ベランダに置いておくものですから、景観に合う物を選ぶのがおすすめです。
剪定ハサミ
不要な枝を切り落とす際や作物の収穫をする際にも使います。手に負担が少なく安全に使える設計になっていますから1つは持っておきたいですね。価格はピンキリですが平均的なもので十分でしょう。
ガーデニンググローブ
家事の合間にお世話をする事になる家庭菜園。土を素手で触ることに不安を感じる場合はグローブを使いましょう。ガーデニング用におしゃれなものも揃っていますよ。
いつから始める?【季節別】おすすめ野菜
種から発芽させて育てるもの、苗を植え付けて栽培するものなどプランターで育てる野菜は数多くあります。始める時期によって育てる野菜も違いますから、年間通して何が作れるのかチェックしてみましょう。
春【3~6月頃】
- オクラ【種まき:5月中旬~9月】ハイビスカスのような花も楽しめます。
- 枝豆【種まき:4月中旬~7月】子供も大人も大好きな枝豆。家族で収穫できますね。
- バジル【種まき:4月下旬~6月】苗でも販売されています。料理の彩りに重宝します。
- トマト【植え付け:4月下中旬~7月】実が緑から赤く熟していく過程が楽しめます。
- きゅうり【植え付け:5月初旬~7月】長さ20cm前後が食べ頃。瑞々しさを楽しみましょう。
- ナス【種まき:5月中旬~6月】ぷっくり実ったナスは秋口まで収穫できます。
夏【7~9月頃】
- ニラ【植え付け:3月中旬~11月】丈夫で次々と葉が伸びていきます。
- 白菜【種まき:8月下旬~11月】次第に葉が丸まり結球していきます。収穫でずっしりとした重さが体験できますよ。
- 長ネギ【植え付け:7月中旬~翌3月】煮物・炒め物、薬味にも使いやすい食材です。
秋【9~11月頃】
- 小松菜【種まき:9月中旬~10月】年間通して栽培ができます。1ヶ月程度と短い期間で収穫できるのも魅力。
- はつか大根【種まき:9月中旬~11月】その名の通り20日ほどで収穫できます。
- ほうれん草【種まき:9月中旬~11月】栄養豊富なほうれん草もベランダで作れます。
冬【12~2月頃】
- ルッコラ【種まき:9月~12月】寒さに強く霜にあてないように注意すれば簡単に育てられます。
- そらまめ【植え付け:11月~12月】多湿を嫌う性質のため、乾燥した冬場に成長します。収穫時に春も感じられますね。
初心者向NO,1はトマト!育てやすい野菜ランキング
初めてベランダで野菜を育てるなら、収穫まで簡単に出来るものからチャレンジしたいですね。ベランダ家庭菜園に適した初心者向けの野菜をランキングにしてみましょう。
1位 トマト(ミニトマト)
幼稚園や小学校でも教材として栽培されるほど、初心者でも簡単に始められます。もぎたてを生で食べられるのも嬉しいですね。日光を好み排水良く育てるのがポイントです。
2位 キュウリ
病気になりにくく成長が早いので初心者向けです。成長途中でツルを支える支柱を用意し、実の重みで茎が折れないように対策をしましょう。
3位 ナス
こちらも夏野菜の定番ですね。次から次へと実をつけ収穫時期も秋口までと長く楽しめます。
4位 ほうれん草
葉野菜は成長が早く、中でもほうれん草は春と秋の2回植えられます。寒さに強く丈夫なので育てやすく、プランターでも十分な大きさまで成長します。
5位 ピーマン
ピーマンも苗で購入して植え付ければ初心者でも簡単に栽培できます。1本単位で販売されていますから、他の苗と合わせて育ててみるのも良いでしょう。
初心者でも育てやすいフルーツランキング
野菜だけでなくフルーツだってベランダで育てられます。スーパーで購入すればそれなりのお値段はしますし、何より新鮮なものを口に出来るのは嬉しいですね。
1位 ブルーベリー
スズランのような小さな可愛い花を咲かせ、やがてたくさんの実がなります。品種も多く、お住まいの地域の気候に合うものを選べばベランダでも問題なく育ちます。そのままでもジャムやスイーツにしても楽しめますね。
2位 イチジク
イチジクも家庭菜園向けのフルーツです。スーパーなどではあまり取り扱われていませんから、自宅で栽培できるのは嬉しいですね。熟した実は雨に弱いため、収穫のタイミングは逃さないようにしましょう。
3位 イチゴ
冬から春先にかけて出回るイチゴも自分で作るとまた格別でしょう。寒い冬を超す必要はありますが、苗で購入して植え付ければ比較的簡単に栽培できますよ。霜対策と追肥がポイントです。
ベランダ家庭菜園を始める際の注意点
マンションのベランダは「共有スペース」になります。室内と違いある程度の配慮が必要ですから、家庭菜園を始める際にもいくつかの注意点があります。
知らずに恥をかかないようにしっかりチェックしておきましょう。
ベランダの防水
マンションのベランダは大抵の場合、防水処理が完全ではありません。まずはマンション入居時の規約を確認してみましょう。ベランダでの水まきが禁止されていれば、一度にたくさんの水をまくと階下に漏水してしまう可能性があります。
水やり後はしっかり排水溝に水を流し、階下だけでなく両隣にも水が掛からないよう配慮しましょう。
避難通路の確保
前述したようにベランダは共有スペースですから、万一の時には避難通路として住人が使用します。家庭菜園に慣れてくると作物をどんどん増やしたくなりますが、避難通路の確保は忘れないようにしましょう。
日々の世話
野菜は手をかければ必ず実るとは言い切れません。毎日のお世話の手を抜けば、それはしっかり反映されてしまいます。
ベランダで栽培する場合は長雨や強風の際にプランターを移動をさせたり、害虫対策をしたりと常に目をかける必要があります。手を尽くし愛情を持って育てていきましょう。
育てた野菜を害虫から守る対策法
家庭菜園を始めて憂鬱のタネとなるのが害虫の存在です。庭や畑と違い地面から離れたベランダであっても、害虫の被害は絶えません。
高層階であってもそれは避けられず、寄り付いた虫は天敵がいないのをいい事にどんどん増えてしまいます。葉野菜ならアオムシ、夏野菜にはテントウ虫やカメムシ、アブラムシならどんな作物にでも住み着くでしょう。
害虫の予防法と対策法をご紹介します。
- 強く丈夫な苗を選ぶ
- 肥料はあげ過ぎない
- 水はけと風通しに配慮する
- 枯れ葉はこまめに取り除く
- 防虫ネットをかける
- 割り箸などを使って直接獲って駆除する
- 水圧で洗い流す
- 粘着テープで絡めとる
- 防虫スプレーや農薬を使用する
害虫は早期発見が大切です。もし葉に穴が開いていたり、糞を見つけたらまず虫がいると思って間違いありません。周囲をよく観察してみましょう。
節約できる!ベランダ家庭菜園のまとめ
季節ごとにベランダで野菜を育てると、新鮮野菜の味がわかるようになりますね。まずはワンシーズン収穫まで成功すれば自信がつくのではないでしょうか?
最初にプランターや土・苗、道具類を揃えるとなると、初期費用がかかります。「自分で作るより買う方が安く済んだ」と後悔する方のほとんどは1~2回の栽培であきらめているようです。繰り返し野菜を作り、元を取ってプラスに反転させましょう。
そのためにもベランダ家庭菜園は生育環境を整え、日々のお世話を続ける必要があります。よく観察をして害虫に警戒しながら成長を楽しみましょう。
まずは初心者にも簡単な野菜からチャレンジして、レベルアップしていけるといいですね。