家庭菜園・果物の栽培

【初心者】ブルーベリーの栽培・育て方のコツ(育てやすい品種など)

「ベリーの王様」とも呼ばれるブルーベリーは、日本でもよく親しまれている果実です。スーパーや百貨店で購入するとなかなか値段がはるものですが、実は家庭菜園向きの果樹というのはご存知ですか?

プランターでも育てることができ、害虫や病気に強く収穫量も多いので、初心者でも育てやすいと人気を集めています。また実を収穫するだけではなく、観葉植物としても楽しむことができますよ。

春に咲く釣鐘型の白い花や冬にかけて真っ赤に染まる葉など、四季折々さまざまな表情を見せてくれます。ここではブルーベリーの系統比較や栽培暦、基本の育て方を詳しく紹介したいと思います。

ブルーベリーの系統と種類について

ブルーベリーには100以上の品種があり、栽培用品種として「ハイブッシュ系」と「ラビットアイ系」の大きく2つの系統に分類されています。

ハイブッシュ系・ラビットアイ系を徹底比較

それぞれの特徴をまとめたので詳しく見ていきましょう。

ハイブッシュ系

栽培適正地 寒冷地・高冷地(北関東・東北地方・北海道)
土壌の酸性度 pH4.3~4.8
見た目の特徴 葉:つるつるとした楕円形 果実:大粒
品質に優れており、皮が薄く甘みと酸味のバランスが良い
収穫時期 6~8月
育てやすさ ★★☆ 乾燥や暑さに弱く、土壌の酸性調整が難しい
おすすめの品種 アーリーブルー・スパルタン・エリザベス

ラビットアイ系

栽培適正地 温暖地(関東・中部・関西・四国・九州)
土壌の酸性度 pH4.3~5.3
見た目の特徴 葉:細かいギザギザがある 果実:小粒で完熟前の実がウサギの目のように赤くなる
酸味が控えめで甘みが強く、やや皮や種のざらつきがある
収穫時期 7~9月
育てやすさ ★★★ 土壌を選ばず、樹勢は旺盛で生長が速いため初心者向き
おすすめの品種 ブライトウェル・ホームベル・ティフブルー

どちらも育て方に違いはありませんが、育てる地域の気候や土壌にあった系統・品種を選ぶことが大切です。

また長く収穫を楽しみたい場合は、同じ系統同士で2種類以上を栽培すると良いでしょう。品種を混ぜて植えることで、果実も大きくなり味も良くなりますよ。

特にラビットアイ系は自分自身の花粉では受粉が難しいため、2種類以上混ぜて植えることが大切です。ただし「ハイブッシュ系」と「ラビットアイ系」の間では受粉ができませんので、必ず同じ系統内で組み合わせましょう。

ブルーベリーの栽培カレンダー(栽培暦)

植え付けは寒さ厳しい時期を避けるため、関東地方以北であれば春植えを、関東地方以西の場合は秋植えを行います。栽培地によって植え付けに適した時期が異なるので注意しましょう。

関東地方以北(春植え)

  • 植付け:2~3月
  • 肥料:3月~6月/9~10月
  • 剪定:1~2月
  • 開花:4~5月
  • 収穫:6月~9月上旬

関東地方以西(秋植え)

  • 植付け:11~12月
  • 肥料:3月~6月/9~10月
  • 剪定:1~2月
  • 開花:4~5月
  • 収穫:6月~9月上旬

ブルーベリーの育て方①栽培に適した環境は?

日当たり

日光を好むので、日当たりの良い場所で育てるようにしましょう。半日陰でも枯れることなく栽培可能ですが、花や実のつき方が悪くなってしまいます。

なるべく日光を確保できる場所での管理をおすすめします。

土作り

ブルーベリー栽培には水もちの良い酸性の土が適しています。ピートモス4:鹿沼土3:腐葉土3の割合で混ぜた土が最適です。

上手にブルーベリーを育てる決め手は土の酸性度にあり、弱酸性や中性であればうまく育たず枯れてしまいます。酸度計を使って計測することが望ましいのですが、初心者にはブルーベリー用の培養土を利用がおすすめです。

あらかじめ酸性に調整されているので、初めてでも失敗なく育てることができますよ。

花ごころ ブルーベリーの土 12L

水やり

「ブルーベリーは水で育てる」といわれるほど、乾燥に弱く吸水力が多い果樹です。表面の土が乾いてきたら水やりを行いましょう。

鉢やプランター栽培の場合は、鉢底の穴から水が勢い良く流れ出すまでたっぷりと与えるのが基本です。

春・秋
数日に1回程度が目安となりますが、雨が続いた日は水やりを控えるなど状況に合わせて調整しましょう。


気温が高い日は、午前中や夕方の涼しい時間帯に2回行います。収穫期に水切れを起こすと実がシワシワになってしまうので、こまめにチェックしましょう。


冬場は休眠期にあたり水分の蒸発も少ないのですが、乾燥しやすい季節なので水切れには注意しましょう。土が白っぽくなってきたときは乾燥しているサインなので、しっかりと水を与えましょう。

ブルーベリーの育て方②よい苗木の選び方は?


ブルーベリー栽培は苗木から育てるのが一般的ですが、この苗木選びが今後のブルーベリー栽培を左右します。良い苗木の特徴をまとめたので購入の際に参考にしてみてください。

  • 根元付近から太い枝が多く出ていて勢いがある
  • 芽と芽の間隔がつまっている
  • 病害虫の被害をうけていない

先述した栽培地に適した系統の品種かどうか、同系統内で2品種以上を組み合わせることも大切なポイントですね。

加えて1~2年目までの苗木だと、木を弱らせないよう実が付くはずの花芽を摘みとる必要があります。すぐに収穫を楽しみたい方は「3年生苗」を選びましょう。

ブルーベリーの育て方③植え付けから収穫まで

植え付け方

植え付けは芽や根の生長が止まっている冬の休眠期に行います。ただし植付け後に土が凍ってしまうと根が傷つき最悪枯れてしまうため、1~2月の極寒期は避けるようにしましょう。

  1. ポットから苗を取り出します
  2. 巻きついている根や鉢を軽くほぐします
  3. 植え付け場所に穴をあけ、株が風で倒れないようしっかりと植え込みます
  4. たっぷりと水をやりましょう

肥料

培養土にはじめから含まれている元肥だけでは木が大きくなりにくいので、生長する時期にあわせて追肥を行いましょう。

ブルーベリーは新芽が芽吹く3月ごろから梅雨明けまでと、紅葉が始まる前の9~10月ごろに木の生長が旺盛になります。この2度の期間に数回ほど追肥を行うのが最適です。

剪定

ベストタイミングは休眠期である12~2月です。枯れた枝や30cm以上の長く伸びすぎた枝を切り取りとり、細い枝にたくさんの花芽が付いている場合は、先端から全体の長さ1/3ほど切り詰めて花芽を減らします。

剪定はコンパクトに育てるためだけでなく、病害虫の被害を予防するためにも必要不可欠な工程です。さらに枝が若返るので、果実がたくさん実るメリットもありますよ。

人工受粉

ミツバチが訪れにくいベランダや都市部の住宅地では、人工受粉で確実に受粉させましょう。やり方は簡単で、開花し始めたら綿棒や筆の先に花粉をつけ別品種のめしべにつけるだけです。

きちんと受粉できたものは、花びらの部分が落ちた後「がく」が上を向きます。

収穫

果実全体が濃い青紫に色づいてきたころから完熟までは4~6日かかります。収穫後に甘さが増すことはないので、できるだけ枝についた状態で熟してから収穫しましょう。

ブルーベリー栽培の注意点!野鳥被害


病気や害虫に強いブルーベリーですが、収穫期は野鳥に狙われやすいので注意しましょう。完熟前に食べられてしまうことも良くありますので、家庭菜園といえどしっかりと対策が必要です。

もっともポピュラーな野鳥対策が、防鳥ネットをはることです。株全体を覆うようにネットをかけるだけなので、初めての方でも簡単にできます。

地植えよりプランター・コンテナ栽培や鉢植えがオススメ!


家庭菜園で育てる場合は、地植えよりも鉢やプランターで育てるほうがおすすめです。日当たりの良い場所に動かすこともできますし、株をコンパクトに育てられるので手入れがしやすい等、たくさんのメリットがあります。

ブルーベリー栽培におすすめなのがスリット鉢です。スリット鉢とは底穴がスリット状にあいており根に酸素がいきわたりやすい構造のため、鉢の中で根がまわることがない優れものです。

効率的に根が張り巡らされるので、ブルーベリー栽培に重要な排水性を良くし鉢の中の温度対策にもなります。最初は7号サイズからはじめ、木の生長に応じて鉢も大きくしていきましょう。

ブルーベリー栽培まとめ


ブルーベリーは病害虫に強く、無農薬栽培も可能なので果皮ごと食べられる果実です。自分で育てた安心・安全なブルーベリーを収穫する喜びはひとしおですね。

収穫したてのフレッシュな甘酸っぱさはもちろんのこと、ジャムや手作りスイーツにもアレンジできますよ。みなさんもぜひブルーベリー栽培にチャレンジしてみてください!