家庭菜園・果物の栽培

【初心者】みかんの栽培・育て方のコツ(剪定・摘果・病害虫対策など)

甘酸っぱい味わいと食べやすさが魅力のみかんは、家庭栽培でも人気の果樹です。病害虫に強く植木鉢でも育てられるので、栽培初心者でも気軽にチャレンジできます。

この記事ではみかんの栽培方法や育て方のコツについて、初めての方にも分かりやすく紹介していきます。

みかん栽培の一年


みかんの木は常緑性なので、ツヤのある濃い緑色の葉を一年中楽しめます。初夏に白い花を咲かせ、収穫時期には橙色の果実がたわわに実るので、シンボルツリーにもおすすめです。

植え付け・植え替え:3月~4月
開花:5月
収穫:9月~12月
追肥(庭植え):3月・6月・9月
追肥(鉢植え):3月・6月・9月・11月
剪定:2月~3月

みかん栽培の適地


みかんの生育適温は15~18℃と温暖な気候を好みます。比較的寒さに弱く5℃以下になると枯れてしまいます

関東以北での栽培は耐寒性のある品種を選び、冬は室内で管理できるよう鉢植えで育てましょう。

品種の選び方

みかんの品種は収穫時期によって、極早生、早生、中生、晩生に分けられます。いずれも1本で実がなりますので、他の品種を一緒に植える必要はありません。

初心者には実がつきやすい極早生・早生種がおすすめです。耐寒性もあり冬が来る前に収穫できるので、寒冷地での栽培に適しています。

おすすめ品種
  • エヌワン・・・酸味が少なくさっぱりした味わいで、育てやすい。
  • 宮川早生・・・甘みが強くジューシーさが特徴で、実つきが良い。
  • 日南1号・・・酸味と甘みのバランスが良く、樹勢が強い品種。

みかんの栽培方法

地植え

地植えは根を広く伸ばせるので、元気に大きく生長します。毎年安定した収穫量が見込め、水やりや追肥の回数は少なくて済みますので手間がかかりません。

栽培場所には、日当たりが良く風が直接吹きつけない場所が適しています。土は水はけと水もちが良い土であれば土質はあまり選びません。

ご自分でブレンドされる場合は、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で混ぜあわせた土を使います。

鉢植え

鉢植えならベランダでも育てられるので、マンション住まいでも挑戦できます。収穫量こそ劣りますが、地植えよりも1~2年早く収穫できますよ。

枝や葉の生長も抑えられるため、日々の手入れもしやすくなりますね。鉢植えだと必要な土の量は限られていますので、市販されているみかん栽培用の培養土を利用しましょう。

植木鉢は8~10号(直径24~30cm)が適しています。鉢植えでは通気性を保つため、1~2年に1回植え替えが必要になります。

時期は植え付けと同じく春先に行い、根鉢を崩さず一回り大きい鉢へ植え替えましょう。

みかんの育て方

苗木から育てる

棒苗と呼ばれる一年生苗から育てる場合は、しっかりと木を生長させることが優先されるため、収穫は3年目以降となります。

早く収穫したい方はプロがある程度育てた大苗を選ぶと良いでしょう。育てやすく初心者の方にもおすすめなのですが、大きく生長している分コンパクトに仕立てるのは難しいので注意してください。

種から育てるのは難しい?

種から育てることはおすすめしません。発芽までの管理が非常に難しく、運よく育てられたとしても実がつくまで10年以上かかるとも言われています。

また種をとった品種と同じ味にはならないことから、苗木や接ぎ木で育てるのが一般的です。

植え付け(間隔の取り方)

地植え

  1. 栽培場所に直径・深さともに約50cmほどの植え穴を掘ります。
  2. 半分の高さまで土を戻し、中心に苗木の根が広がるように置きます。
  3. 土と根の間に隙間ができないよう、残りの土をしっかり入れ込みます。
  4. 約1~2mほどの支柱を立て、麻ひもでゆるく結びつけて苗を固定します。
  5. ゆっくりと水がしみこむよう十分な量を注ぎ込みます。

複数の苗木を栽培する場合は、最低4mは離して植えつけましょう。

鉢植え

  1. 鉢底石を敷き、鉢から1/3ほどの高さまで土を入れます。
  2. 苗木の根を広げながら鉢の中心に置きます。
  3. 鉢の縁から3cmほど下まで土を入れ、根つきが良くなるよう割り箸でつつき馴染ませます。
  4. 土が流れ出ないよう、回数を分けてたっぷりと水やりをします。

水やり

果実が肥大する春から夏は、水切れを起こさないよう注意しましょう。反対に実が熟し始める秋は少し乾燥気味に管理することで、色づきも良くなり甘い果実が育ちます

地植えでは基本的に水やりは不要ですが、夏の日照りが続いた場合は水を与えてください。鉢植えでは土の表面が乾いたら、底から水が流れ出るほどたっぷりと水やりをします。

追肥

みかんの木は、春・夏・秋と年3回ほど追肥します。鉢植えだと水やりの度に肥料成分が流れ出てしまうため、収穫直後の11月にも同じ肥料を与えましょう。

季節ごとの肥料の役割

春肥(3月)・・・花芽や新梢を充実させます。
夏肥(6月)・・・枝や葉の生育維持や果実の生長を促します。
秋肥(9月)・・・花芽形成に必要な養分を蓄え、冬に備えて耐寒性を高めます。

おすすめの肥料は?

みかんの木には、有機肥料や化成肥料が効果的です。有機肥料は油粕やカキの殻など有機物を原料とした肥料で、ゆっくりと効き目が現れ長持ちします。

化成肥料は植物三大栄養素である窒素・リン酸・カリウムのうち二つ以上の無機物を含むもので、即効性は高いのですが持続性は低いのが特徴です。

どちらにすれば良いか迷う場合は、みかん栽培に特化した専用の肥料を施すと良いでしょう。

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剪定

みかんの木は放任していると、枝や葉が混みあい果実が実らなくなります。日当たりや風通しも悪くなり病害虫の発生にも繋がるため、木が休眠時期にあたる2~3月に剪定を行いましょう

初心者の方には剪定すべき枝の見分け方が難しいかもしれませんが、基本的には生育不良の枝を根元から切り落とせば大丈夫です。枯れている、病害虫の被害を受けている、ひょろひょろと伸びた徒長枝を剪定してください。

ただし剪定しすぎると花芽のついた枝まで切り落としてしまい、収穫量が激減してしまいます。一度に切り落とす量は全体の1割程度に留めましょう。

摘果


一本の枝にたくさんの実がつくと、木への負担が大きくなり翌年から実つきが悪くなってしまいます。少しもったいない気もしますが幼果のうちに摘み取ってしまい、成熟する果実の数を制限しましょう。

この作業を摘果といい収穫量を安定させるだけでなく、残した果実が甘く大きくなる効果もあります。摘果は地植えなら葉25枚に1個、鉢植えなら一枝に1~2個ほどを目安に行いましょう。

収穫

収穫時期は品種によって異なりますが、果実全体が緑色からオレンジ色に変化したころが摘み取るタイミングです。手で強くひっぱると木を痛めてしまうので、ハサミを使って収穫しましょう。

遅くまで果実を実らせておくと花芽のつきが悪くなるので、年内から正月すぎまでには収穫を終えるようにしてください。

消毒は必要?みかん栽培の病害虫対策


みかんは、病害虫を発生させない栽培環境を保つことが重要となります。大規模栽培の農家では消毒によって防除しますが、目が届きやすい家庭栽培の場合は消毒は不要です。

適切な剪定で日当たりや風通しを確保し、日ごろからこまめな観察で病害虫の早期発見を心がけてください。

みかん栽培で注意したい病気や害虫について、特徴や対策をチェックしていきましょう。

害虫

アブラムシ 枝や葉から栄養を吸い取って木を弱らせます。アブラムシに直接水や牛乳をスプレーで噴射します。
ハモグリガ 葉にもぐりこんで内側から食害します。葉の表面が白く絵を描いたようになるので、すぐに摘み取ります。
アオムシ アゲハ蝶の幼虫で、あっという間に葉を食べつくしてしまいます。見つけ次第駆除しましょう。

病気

カイヨウ病 病原細菌が傷口や気孔から感染し、葉や果実の表面に褐色のコルク化した病班が現れます。梅雨時期や台風襲来後に発生しやすいため、雨よけや風よけ対策をしましょう。
すす病 枝や葉がすすをかぶったように、真っ黒になる病気です。アブラムシやカイガラムシなどが起因する病気のため、害虫対策が根本的な対処法です。
黒点病 梅雨や秋雨時期に感染しやすく、葉や果実に黒い病班が現われます。枯れ枝や剪定した枝を放置しておくと伝染源になるため、適切に処分します。

みかん栽培のまとめ


果樹は栽培が難しい印象がありますが、みかんなら苗一本で意外と簡単に栽培できます。

秋から冬にかけては乾燥気味に育て、摘果で実の数を制限することが甘いみかんを収穫するポイントですよ。

ぜひみなさんもご自宅で甘くて美味しいみかんを育ててみてください。