家庭菜園・果物の栽培

【初心者】まくわうりの栽培・育て方のコツ(種類や収穫時期など)

まくわうりは東洋系メロンの仲間です。ツルっとした滑らかな表面が特徴的で、みずみずしく爽やかな風味が楽しめます。

今回は、まくわうりの栽培方法や育て方のコツ、まくわうりの種類や収穫時期などについてご紹介していきます。

主な産地はや食べ方は?まくわうりについて

まくわうりは、ウリ科のツル性一年草です。南アジアが主な発祥地ではないかと言われています。

縄文時代の初期頃には既に日本でも食べられており、真桑村(現在の岐阜県本巣市)で多く栽培されていたため、その名をとってマクワ瓜と名付けられました。

日本での主な産地は岐阜県・滋賀県・愛知県などで、伝統野菜として扱われている所もあります。果菜の王様・プリンスメロンの交配にも使われていました。

まくわうりにはみかんと同じくらいのビタミンCが含まれており、カリウムやカルシウム、マグネシウムやナトリウムなど、多くの栄養素が含まれています。

熟したものをカットして生のまま食べたり、サラダや漬物にして楽しむことができます。スムージーやシャーベットにしていただくこともできますよ。

種類について

まくわうりの重さは約300g~1㎏ほどで、品種によって様々な形・色・模様があります。

黄金まくわ

果実の皮が濃い黄色、果実の色は白色、形は俵型のまくわうりです。古くからお盆のお供え物としてよく使用されてきました。

香りはあまり強くありませんが、果実はサッパリとした甘さで、ナシのようにシャクシャクと歯ごたえのある食感が楽しめます。

バナナ瓜

太田種苗から販売されている品種で、バナナのように皮も果肉も柔らかいのが特徴です。皮は薄い黄色で、やや細長い形をしており、皮ごと丸かじりできます。初心者でも簡単に栽培ができ、収穫量も期待できます。

なりくら

野球ボールくらいの大きさで、皮は薄い緑色をしています。完熟するとツルから自然にはずれるため、収穫時期が分かりやすいのも特徴です。

果汁が多く、メロンのような甘い香りが楽しめます。果肉は皮のギリギリの部分まで食べられます。

虎御前まくわ

滋賀県で古くから栽培されてきた品種で、地元では主に未熟なものを漬物にして食べられています。

まくわうりにしてはやや大きく、果実の重さは約1㎏ほどで、皮にはスイカのような緑色の条斑や凹凸も見られます。果肉は橙色に近い黄緑色で、栽培が簡単なのに品質が良く、収穫量も期待できます。

金太郎

生育が旺盛な品種で栽培も簡単です。皮が橙黄色で鮮やかな見た目をしており、中の果肉は白色。重さは約400gほどで、甘みも強く食感も良いのが特徴です。

銀泉まくわ

富山県の伝統野菜の一種で、一見黄色いカボチャのような見た目です。皮はレモン色で、中の果肉は白色、中心部分は十字に空洞になっています。重さは約400gほどで、適度な歯触りと甘さが楽しめます。

マクワウリの収穫時期は?栽培方法について

まくわうりは一般的なメロンに比べて、日長時間や気温などに影響を受けにくい野菜です。

菜園での露地栽培のほか、大型プランターや鉢を使ってのベランダ栽培も可能です。ツルが伸びていく植物なので、支柱や棚を作り育てましょう。

まくわうりは病害虫に弱く栽培管理が少々難しい性質があります。初心者は園芸店で販売されている接ぎ木苗を購入しての栽培がおすすめです。

苗は4月~6月上旬頃、気温が十分に上がってきてから植え付けを行いましょう。収穫は6月中旬~8月頃となります。

実付きを良くするため、摘心(茎や枝を途中で摘み取る作業)や、整枝(不要な枝を刈って形を整える作業)をしながら育てましょう。

ウリ科の植物は連作障害を受けやすいため、連作ができません。4~5年の期間をあけてください。

土作りと準備物

まくわうりは広く浅く根を張る植物なので、プランターで育てる場合は、表面積が広い長方形タイプの大型プランターを利用します。

排水性を良くするため容器の底に鉢底ネットを敷き、鉢底石を敷き詰めておきましょう。土は、市販の野菜用培養土を利用すると便利です。

露地栽培の場合は、植え付けの2週間前に苦土石灰・堆肥(有機物を微細物によって分解した肥料)・化成肥料(窒素・リン酸・カリウムが配合された肥料)をまいて、しっかりとかき混ぜておきましょう。

植え付け1週間前には、幅100cm×高さ10センチの畝(かまぼこ型に盛り上がった小山)を作っておきます。苗を植え付けた後に被せるホットキャップ(透明の被覆資材)も準備しておくと良いですね。

良い苗の選び方と植え付け方法

初心者の方・少ない株数を育てたい方は、苗からの栽培がおすすめです。苗を購入する際は、以下の点に気を付けて選びましょう。

良い苗の選び方
  • 本葉が4~5枚揃っている
  • 葉の茎が濃い緑色
  • 害虫などの食害がない

天気が良く温かい日に植え付けを行います。土の表面に、苗が入っていたポリポットより少し大きめの穴を掘ります。

根鉢を崩さないようポリポットから優しく苗を取り出し、子葉(種から芽が出て最初に出る二枚の葉)が土に埋まらない程度に浅く植え付けます

まくわうりの根は非常にデリケートなので、植え付け時に根を傷をつけると育成が悪くなってしまうので気を付けましょう。

数株苗を植え付ける際は、70cm以上の株間をとります。プランターの場合は60cmプランターに1株、鉢植えの場合は10号植木鉢に1株が目安です。

苗の植え付け後は、たっぷりと水をやります。害虫防除・まくわうりの育成を良好にするため、苗にホットキャップを被せておきましょう。

追肥について

プランターや鉢植え栽培の場合の追肥は計2回です。1回目は実が付いた時で、2回目は実が肥大し始めた時です。

苗の植え付け時に施した化成肥料を株元に約10gまき、スコップで軽く土と混ぜ合わせて馴染ませてあげましょう。

露地栽培の場合は、苗を植え付けてから約30日後に化成肥料を施します。化成肥料と併用して、窒素分の多いナタネかすや魚かすを与えても構いません。

まくわうりの追肥は、植え付け初期~実が付くまでが肝心です。必要以上に肥料を与えると葉ばかりが繁り、果実の品質が損なわれてしまいます。

水やりについて

苗を植え付けた後は、たっぷりと水をあげます。土に根付く約1週間の間は、しっかりと水をやるようにしてください

その後は、土の表面が乾いた時に水やりをすればOKです。収穫の約10日前(実が付いたのを確認してから約30~40日)は、水やりを控えた方が果実の糖度が増しますよ。

空中栽培もOK!支柱について

プランターや鉢植え栽培の場合、苗植え付け後の早い段階で支柱を立てます。あさがおの栽培でもよく見られる、数本の支柱に輪がついた、あんどん仕立てが良いですね。

露地栽培の場合は葡萄や梨の栽培でも使われる、棚栽培をしてみましょう。棚とは竹や木などを網の目のように組んで、枝やツルなどを添わせるものです。空中栽培も可能なので、高さ2m×横3~4mほどで組んでみましょう。

摘心と整枝

まくわうりは子ヅルと孫ヅルに花が多く咲きます。果実をたくさん収穫するには、親ヅルや子ヅルを整枝し、孫ヅルの育成を促すことがポイントです。

  • 本葉が5~6枚になった時、親ヅルの本葉を数えて7枚目のすぐ下を指でつまんで摘心する
  • プランターや鉢植え栽培は2本、露地栽培では4本の育成の良い子ヅルを残す
  • 本葉が12~16枚になったら先端を指でつまんで摘心し、孫ヅルの生育を促す
  • 孫ヅルに実が付いたら、実がついた先の葉を2枚残して残りの葉は指でつまんで摘心する
  • 実がついた後、脇芽が伸びてくるので、随時摘心を行うと良い

収穫をしよう

収穫適期は6月~8月頃です。花が咲いてから約40~45日が経過したら収穫が可能になります。

花が付いた日をカレンダーにメモしておくと確実で良いですよ。収穫する際は、果実から伸びている茎を清潔なハサミで切りとってください。

まくわうりは収穫適期の直前になると、一気に糖度が上がります。収穫適期の10日前には水やりを控え、やや乾燥気味に育成しましょう。

適期に収穫した果実は、1週間ほど置いておくと更に糖度が増して果肉も柔らかくなりますよ。

病害虫について

まくわうりは高温多湿な気候が続くと、うどんこ病やべと病、つる割れ病になることがあります。

これらはカビの病害なので、専用の薬剤を散布したり、雨水の泥はねを防ぐためマルチ(ビニールシート)を敷いて育成すると良いですよ。

また、まくわうりはウリハムシやハダニ、タバココナジラミやダンゴムシに食害されることもあります。食害された葉はすぐに除去し、害虫は潰しておきましょう。

株元にシルバーマルチを敷いたり、実の下にワラを敷いておくと効果的です。また、葉や茎の間の風通しを良好にするため、周辺の雑草を取り除いておいたり、摘心・整枝を行っておくことも大事です。

素朴な疑問Q&A

色がまだらな果実になりました

まくわうりは地面を這うように成長するため、日の当たり方により果実の色がまだらになることがあります。

その場合は、地面に面していた部分をお日様の方に回転させ、優しく位置を変えてあげましょう。

こうすることで色や形が整いますが、勢いよく回転させると収穫前にヘタがとれてしまいますので、注意してください。

果実が大きくなりません

ベランダ栽培などで、昆虫の飛来が少ないのかもしれません。まくわうりは受粉しないと果実が大きくなりませんので、この場合は人工授粉を行ってみましょう。

まずは晴天の早朝(朝9時まで)に、雄花(黄色い花のガクの下に膨らみがないもの)を摘み取ります。続いて雄花を開いて、内部の雄しべを切りとります。

この雄しべを、雌花(黄色い花のガクの下に膨らみがあるもの)の柱頭にこすりつけましょう。

糖度が高い、食べ頃のまくわうりの見分け方は

完熟している果実は、ツルと繋がっている先端部分に輪状のヒビ割れができます。糖度が高く、最高に美味しいですよ。

まくわうり栽培のまとめ

まくわうりの栽培方法や育て方のコツ、まくわうりの種類や収穫時期などについてご紹介していきましたが、いかがでしたか。

まくわうりは苗を購入し、決まった回数の追肥や、花が付いたタイミングをメモしながら育成することが大事でした。収穫前はやや乾燥気味に育てて、糖度の高い美味しいまくわうりを収穫しましょう。