パッションフルーツは濃厚な香りと、種を包んだ半ゼリー状の果実と果汁が甘酸っぱい爽やかな果実です。個性的な花を咲かせ、夏の日差しを遮るグリーンカーテンにもすることができますよ。
今回はパッションフルーツの栽培方法や育て方のコツ、肥料や越冬(えっとう)などについてご紹介します。
パッションフルーツについて
パッションフルーツはツル性の多年草で、ブラジル原産の果物です。時計の文字盤を思わせるような花が咲くため、日本ではクダモノトケイとも呼ばれています。
パッションフルーツは球形をしており、カットしてみると中には種を包んだゼリー状の果実と果汁、食べられる種が入っています。
パッションフルーツはβカロテンやカリウム、ナイアシンや葉酸、ビタミンCなど豊富な栄養素が含まれています。
パッションフルーツの種類
パッションフルーツは果実が紫色の紫色種と、果実が黄色の黄色種があります。近頃では紫色種と黄色種を掛け合わせた品種も流通しています。
紫色種
果実の皮が濃い紫色をしており、耐寒性がある品種です。日本では、このタイプが一番多く流通しています。完熟すると香りが強くなり、甘酸っぱい果汁を多く含んでいるのが特徴です。
黄色種
果実の皮が黄色のパッションフルーツで、耐暑性が強く熱帯地域で主に栽培されています。香りも良く果実は大きいですが、酸味が強い品種です。
露地栽培やプランターもOK!パッションフルーツ栽培方法
日本でのパッションフルーツの主な原産地は、亜熱帯地方である沖縄県や鹿児島県の奄美諸島などです。
日当たりの良い場所を好むため、日光が不足すると収穫量が減ったり、果実が小さくなってしまいます。
パッションフルーツの育成には、温暖な気候の地域が向いています。パッションフルーツの苗植え時期は4月~6月下旬の春頃です。
園芸店やホームセンターで苗を購入する際には、株元がしっかりしていて太いものを選びましょう。
ちなみに、パッションフルーツは種からでも育てることはできますが、苗にするまでかなり時間がかかるため、あまりおすすめしません。
果実収穫期は6月~8月となります。露地栽培はもちろん、プランターや植木鉢でも栽培することができますよ。夏のグリーンカーテンにもおすすめです。
準備物と土作り
パッションフルーツの根は浅いのですが、根が多く張りやすいのが特徴です。鉢で育成する場合は、直径30cm以上のものを選びます。
プランターで育成する際は60型プランターに1株と考えてください。底の部分には鉢底ネットを敷き、水はけをよくするために鉢底石を入れておきましょう。
土は、パッションフルーツ専用の培養土を利用すると簡単で便利です。手に入りにくい場合は、市販の培養土に腐葉土(樹木の葉や枝が長い年月をかけて土状になったもの)を少々混ぜたものを使いましょう。
露地栽培の場合は、まず日当たりと水はけが良い場所を選びます。植え付けの前にシャベルなどで菜園を深く掘り上げ、腐葉土を入れてよくかき混ぜます。
ここに、赤玉土(保水性・排水性・保肥性に優れた土)を全体の2割ほど追加し、元肥(油粕がおすすめ)も混ぜておきましょう。元肥を与えすぎると葉ばかりが繁って実付きが悪くなってしまうため、気を付けましょう。
苗の植え方
土作りが完了したら、4~6月頃に苗を植え付けます。土の表面に、苗が植わっているポリポット(軟質プラスチック性のビニール鉢)と同じくらいの穴をスコップで掘りましょう。
パッションフルーツの苗を、根鉢を崩さないように気を付けながら優しくポリポットから取り出します。
植穴を深く掘って苗を植えてしまうと、地中の中で根腐れを起こしてしまう可能性がありますので、根が少し露出するように植え付けます。
植え付けが終わったら、苗のそばに支柱を立てます。ビニール紐や麻紐などで苗と支柱を結び付け、苗が倒れてしまわないように固定してあげましょう。
水やりについて
基本的には、土の表面が乾いたら水をやるようにします。特に、鉢植え・プランターの場合は土が乾燥しやすいので、たっぷりと水を与えるようにしましょう。
鉢底から水が流れ出るくらいの量が目安です。果実がなっている期間も水やりは十分に与えるようにしますが、加湿にならないよう気を付けましょう。冬場は、数週間に1度の水やりで構いません。
肥料(追肥)について
パッションフルーツの苗を植え付けた後、春~秋の成長期に追肥をします。化成肥料を株元にまいておきましょう。
化成肥料は、窒素・リン酸・カリウムがバランスよく含まれたものか、リン酸が多めのものの、どちらを選んでも大丈夫です。
摘心について
パッションフルーツは育成中に摘心を行います。摘心とは、ツルの先端をハサミでカットしていくことです。
パッションフルーツでグリーンカーテンを…と考えている場合は、特に摘心が必要になります。
摘心をすると、脇芽(葉や茎の付け根から出る芽・枝)が増え、ツルを増やすことができます。伸びすぎたツルや枝はカットしましょう。
ツルは横、または下の方向に伸ばして誘引してあげると花芽が付きやすくなりますよ。強めの摘心・剪定は、果実を収穫した後に行いましょう。
挿し木の方法
パッションフルーツの株を増やす方法として、挿し木があります。4~9月頃、パッションフルーツの枝を2~3節ずつ剪定ばさみなどでカットします。
その後、バーミキュライト(土壌改良用土)や、小粒の赤玉土を入れた用土に差し込んであげましょう。
パッションフルーツを収穫しよう
収穫の適期は6月~8月頃です(うまくいけば11月頃まで収穫が可能)。果実が色付き始め、実の表面にシワができていれば取り頃です。
簡単に手でもぎ取ることができますし、万が一実が落下してしまっても、拾って食べることができます。
収穫してすぐにいただくと少々酸っぱいこともありますので、数日置いておき更に追熟させると甘さが増しますよ。
上手く育てることができれば1つの株で30~50個の収穫が楽しめます。たくさん採れた場合はジャムやジュースにしていただくと良いですよ。
パッションフルーツの植え替え方法
パッションフルーツを同じ鉢で育て続けると、根詰まりを起こしてしまいます。根詰まりすると鉢の中が根っこでパンパンになり、それ以上成長ができなくなります。
以下の症状がみられた場合は、一回り大きな容器への植え替えを行ってください。植え替えの際は容器だけではなく、用土も新しく準備してあげましょう。
- 鉢やプランターの底から根がはみ出している
- 新芽が小さい
- 株の下の部分の葉が黄色くなっている
素朴な疑問Q&A
寒い地域でも育成はできますか
関東や東北などで栽培するには少々困難かもしれませんが、不可能ではありません。寒い地域では品種選びと、冬越しに工夫をしましょう。
まず、品種は耐寒性のある紫色種にします。冬はパッションフルーツを鉢植え栽培にし、室内で育成しましょう。
地植えでの失敗しない冬越し(越冬)方法を教えてください
パッションフルーツは温暖な気候を好むため、冬場は苗を鉢などに植え替えしてあげましょう。植え替え後は室内にて育成すれば、問題なく冬を越すことができますよ。
実がならないのですが…
人工授粉を行ってみましょう。花が咲いた際に、雄しべ(花から放射線状に5つ出ている部分の1つ)をピンセットで引っ張って取ります。
この雄しべを、雌しべ(花の中心から伸びている3つの触角の様な部分)にこすりつけましょう。
開花後の1~2時間後に行うと更に効果的ですよ。なるべく天気の良い日に行ってくださいね。
パッションフルーツの種まき方法を教えてください
4~5月の春頃に、土作りで紹介した土に種をまき、発芽するまで水を切らさないように管理します。
土の表面が乾燥する前(白っぽくなる前)に水をやりましょう。発芽するまでは時間がかかるため、気長に成長を待ってください。
害虫はつきますか
パッションフルーツは病害虫が発生しにくい植物です。しかし、風通しが悪いとカイガラムシが発生することがあります。
カイガラムシは室内栽培でも発生し、株の栄養を吸い取ってしまいます。傷んだ枝はこまめに取り除き、清潔な状態を保つように心がけてください。
パッションフルーツ栽培まとめ
パッションフルーツの栽培方法や育て方のコツ、肥料や越冬などについてご紹介しました。冬越しする場合は鉢などに植え替え、温かい室内にて育成すること。
追肥や摘心をしながら育てることが分かりました。グリーンカーテンにもなる美味しいパッションフルーツを、ぜひご家庭でも栽培してみたくださいね。