家庭菜園・果物の栽培

【初心者】メロンの栽培・育て方のコツ(支柱・肥料・水やりなど)

濃厚な香りと甘くて柔らかい果実のメロンは、幅広い年代に愛されているフルーツです。

メロンは病気になりやすく、品種によっては手間暇がかかることから市場価格も高めです。

メロンを育てるのは決して簡単ではありませんが、ポイントを押さえてていねいに栽培すれば、家庭栽培ビギナーの人でもおいしいメロンが収穫できます。

今回は苗を購入してからの育て方を中心に、わかりやすくご案内します。家族みんなが喜ぶ自家製メロンを、食卓に並べましょう。

メロンの特徴と栽培時期

ハウス栽培向きのマスクメロン、初心者向きのプリンスメロン

メロンは太陽の日差しと乾燥を好むため、日当たりが良く水はけのよい環境が必要です。姿や形、果肉の色が異なるさまざまな品種があり、外見上の特徴だと「ネット種」と「ノーネット種」に分かれます。

ネット種とは、マスクメロンとも呼ばれるアールスメロン、アンデスメロンのように、皮に白い筋があるものを言い、ノーネット種は、プリンスメロンのように筋がないもののことです。

高級品種が多いネット種メロンは病気に弱く、温度管理も難しいためプロが行うハウス栽培に向いています。初心者であれば、ノーネット種系を選んだ方がいいでしょう

どちらの種類を選ぶにしても、家庭栽培ビギナーの人はホームセンターや園芸店で苗を購入して、植え付けからスタートすることをおすすめします。

栽培時期


生育に適した温度は、18~28度。本葉が3~4枚の苗を、4月中旬から5月下旬頃に植え付けを行います。

花が咲いて授粉に成功したら、45~55日後に収穫できます。収穫時期は6月~7月下旬頃です。

メロン栽培に適した土作り

土壌作り

土作りは植え付け予定日の2週間前から始めましょう。まずは、苦土石灰(くどせっかい)100~150g/㎥を畑や菜園にまいてよく耕します。

アルカリ性の苦土石灰をまくことで、酸性ぎみの土壌を、メロン作りに適した中性に近づけます。

その1週間後に堆肥(たいひ)2~3kg/㎥と、化成肥料100g/㎥を施して再度耕しましょう。よく耕すことでふかふかの土壌になり、水はけがよくなります。

畝~マルチシート、トンネル


水はけをよくするために畝(うね)を作ります。幅80~100cm、高さ10cmくらいが理想的です。

気候による土壌変化を少なくするため、マルチシートを敷くことをおすすめします。

さらに、防寒対策と雨による多湿を避けるため、トンネルを作ってあげましょう。

家庭菜園や畑への植え付け「露地(ろじ)栽培」


ホームセンターや園芸店で、本葉3~4枚の元気な苗を購入しておきます。

植え付け時期は、4月~5月にかけて、地温が16度くらいの時期に行います。植え付け当日は、根付けをよくするために、天気の良い午前中に行ってください。

まず植え付け場所に穴を掘ります。複数の株を植える場合は、株間の間隔を最低60cmはあけてください。

根が傷まないように、ビニールポットから苗を丁寧に取り出し、植え付け穴に入れます。メロンの根は、浅く伸びて酸素を要求するタイプです。

株元が周りの地面より少しだけ高くなるように、浅めに植えます。

植え付けしたら、水をたっぷりあげてください。夜間の冷え込みが心配な時は、ホットキャップをかぶせて苗を保温してください。

プランターに植え付ける場合「支柱立て」


日当たりの良いベランダであれば、プランターでのメロン栽培が可能です。つるが長く伸びるため、大型プランターを用意しましょう。

支柱を立てて立体栽培をするのであれば、直径30cmていどの鉢でもO.Kです。つるが伸びてきたら随時支柱へ誘導してあげます。

【用意するもの】

  • プランター:深さ25cm以上、幅60cm以上大型タイプ
  • 鉢(立体栽培):直径30cm(10号鉢)以上
  • 鉢底石
  • 野菜用培養土
  • 支柱

【植え付け方法】

  1. 水はけをよくするために、プランター or 鉢に鉢底石を敷く
  2. 縁から2cm下まで培養土を入れる
  3. 植え付ける穴を掘る
  4. ビニールポットから苗を出して、植え付け穴に入れる
  5. 安定させたら、鉢底から水が滴るまで水をあげる
  6. 空中栽培をする場合は、支柱を立てる

摘芯(てきしん)


メロンのつるは放っておくと四方八方へ伸び続けます。生長し続ける茎やつるを摘み取る摘芯を行うことで、養分の配分をコントロールして実を大きくすることです。

根元から伸びる茎を「親づる」、親づるの付け根から伸びるものを「子づる」、さらに子づるから伸びるものを「孫づる」と呼びます。メロンの場合、子づる2本に4つの実がなるように摘芯するのが一般的です。

まず、本葉4~5枚になったら親づるの先端を摘芯して、子づるの生長を促します。

次に、6月に入ったら生育の良い2本を残して、それ以外の子づるを摘み取ってください。

さらに、子づるから出た本葉が20~25枚前後になったら子づるの先端を摘心します。この頃に、次に説明する人工授粉を行います。

人工授粉~摘果

人工授粉

人工授粉とは、ミツバチなどの自然授粉に頼らず、人の手で受粉させる行為を言います。人工授粉させることで、着果(ちゃっか)させたい場所に実をつける確率を高めます。

メロンの花は、花の下がプックリと丸みをおびた雌花(めばな)と、ふくらんでいない雄花(おばな)の2種類が別々に咲きます。

人工授粉は、雌花のめしべの先に、摘み取った雄花の花粉を付けて行います。確実に授粉を成功させるポイントは、天候の良い日に、花がひらく早朝から午前9時までの間に行うことです。

2本残した子づるの本葉、11~15節目の間に授粉をしてください。この部分に着いたメロンの実が一番おいしいと言われています。

授粉した日付のラベルを、雌花の近くに張り付けておくと収穫時期の目安になります。

摘果(てきか)

摘果とは、不要な果実を摘み取って良質の実を残す作業のことです。着果した実をすべて大きくしようとすると、養分が分散されて実が大きく、おいしくなりません。

授粉後1週間から10日後、ピンポン玉より少し大きくなった頃に、不要な実を摘果します。糖分が多い実が収穫できる11~15節目の実は残してください。

2本の子づるに2個づつ、1株で最高4個まで残します。大きく育てる実は、藁などを下に敷いて、ときどき向きを変えてあげましょう(玉直し)。

肥料の追加や水やり

追肥のタイミング

露地栽培の場合は、最初に着果した実がピンポン玉ほどになったら化学肥料を10gほど与えます。

その後は、実の生長状況を見ながら2週間~3週間ごとに与えてください。

プランター栽培は、水やり時に肥料が流れ出てしまうため、植え付け2週間後に一度化成肥料を10g/株与えてください。その後は露地栽培と同様です。

水やりは抑え気味に

露地栽培の場合、苗を植えた直後はたっぷり水やりをしますが、その後は乾燥ぎみに育てます。基本は降雨で育てますが、つるや葉が萎れてきたら水をあげてください。

ひとつ目の着果が確認できたら、1日2回の水やりに切り替えます。そして収穫予定の10日ほど前になったら、また水やりを控えます。水をあげないことで、果肉の糖度が増します。

プランター栽培の場合も同様に乾燥気味に育ててください。土の表面が乾いてきたら水やりをしましょう。

水やりをするときのポイントは、葉や実にかからないように株の根元にあげましょう。

収穫のタイミング


メロンの収穫時期は種類によって異なります。購入した苗に栽培スケジュールのラベルが付属していることが多いので、捨てずに取っておきましょう。

一般的には、ネット種は授粉後55日前後ノーネット種は45~50日後です。メロンは熟すると、ヘタの付け根にリング状の亀裂が入ります。それを収穫の目安にしてもO.Kです。

ネット種メロンをおいしく食べるには、収穫後1週間くらい追熟期間が必要です。この間に、果肉が柔らかく甘みが増します。

病害虫


メロンは病気にかかりやすく、虫がつきやすいので、他の野菜以上に注意が必要です。

かかりやすい病気と対策

多湿によるカビが原因のうどんこ病、ベト病、急性萎凋(いちょう)症などがあります。また、土壌の菌が根から侵入することで発生するつる割病もよく見られます

メロンと同じウリ科植物を続けて栽培すると(連作)、つる割病が発生することが多いので、同じ場所での連作は避けて2~3年の期間をあけてください。

またメロンが嫌いな多湿を避けるためにも、日当たり、風通し、畝栽培、トンネル栽培、の条件を満たすようにしましょう。

害虫予防と対策

メロンにつきやすい害虫は、アブラムシ、ウリハムシです。アブラムシは柔らかい葉っぱやつるに、ウリハムシは幼虫が根を食い荒らします。

どちらも早いうちに駆除すれば、大きな被害にならないので、葉っぱの裏や株元などをよく観察して見つけたら取り除きましょう。

手間をかけておいしく育てよう!栽培方法のポイント


メロン栽培は多少手間がかかりますが、土作りからトンネル作りなどの作業、そして摘芯、摘果などの基本を押さえれば、難しいテクニックは特に必要ありません。

時間をかけて自家製のおいしい果実を味わいましょう。最後に育て方のポイントをまとめました。

メロンの育て方 まとめ
  • 土作りは2週間前からスタート
  • 排水性を高めるための畝、降雨から守るトンネルを作ること
  • メロンは乾燥気味に育てよう
  • 摘芯は数回に分けて行う
  • メロンの実は1株に最高4つまで、それ以外は摘果する
  • 収穫時期を逃さない