家庭菜園・野菜の栽培

【初心者】ケールの栽培・育て方のコツ(品種や病害虫など)

スムージーや青汁の材料として有名なケールは栄養価が高く、アメリカでは“Queen of Greens(青菜の女王)”と呼ばれ、スーパーフードとして注目を集めています。

今回は、青汁で知られる健康野菜・ケールの栽培方法や育て方のコツ、ケールの品種や病害虫などについてご紹介します。

ケールについて

ケールは南ヨーロッパ地中海沿岸が原産のアブラナ科の葉野菜です。ケールの和名は羽衣甘藍(はごろもかんらん)と言い、甘藍はキャベツの別名です。すなわち、ケールは結球しないキャベツの仲間なのです。

ケールはβカロチンやミネラル、ビタミンCなどが豊富に含まれており、青汁のCMで「あ~まずい~!」というフレーズも話題になりました。

ケールを青汁に使用する際は、リンゴやバナナなどの果物や、牛乳やハチミツを入れると飲みやすくなりますよ。

ケールの種類

日本では、ケールは青汁やスムージーに使用することで有名ですね。しかし、近頃はサラダなど生で食べても美味しい品種も生産されています。

煮込み料理や炒め物、パスタの材料に利用するなど、ケールには様々な調理方法があるのです。

コラード系ケール

一般的なケールはこのタイプで、葉の形が楕円形をしており、ブロッコリーの葉を少し丸くしたような見た目をしています。付け根近くの両側に大きな切れ込みがあり、青汁にするのに向いています。

ポルトガルケール

ブラジル原産種で、種まきから2年後の草丈(伸びた高さ)は50cm以上にもなります。葉は厚く幅が広く、苦みが少ないため青汁やスムージーに向いています。

カーリーケール/カーリーノケール

カーリーケールは葉に切り込みが入り、葉の縁がパセリの葉のように細かく縮れたケールのことです。カーリーノケールはトキタ種苗が販売している品種です。

ロッソ(紫)や、ヴェルデ(緑)があり、生食でもケール特有の苦みやえぐみがありません。葉が柔らかいので、サラダにするのに向いています。

サンバカーニバル

増田採種場が開発したオリジナル品種のサラダケールで、茎が細く長く、葉が柔らかいのが特徴です。生で食べるのはもちろん、お浸しや炒め物、加熱してスープやソテーでも美味しく食べられます。

カーボロネロ

イタリア・トスカーナ地方原産の葉キャベツの一種(ケールの仲間)です。日本では「黒キャベツ」とも呼ばれていますが、葉の色は濃い緑色です。

葉は細い縦長で、葉の中心に太い葉脈があります。葉の表面は細かく縮れており、葉の縁が裏側に丸まっています。パスタや煮込み料理にするのがおすすめです。(煮込むと色が出ます)

ゴズィラーナ(カーボロリーフグリーン)

ケールにカーボロネロを交配してつくられた品種で、カーボロネロより葉が幅広く丸く、少々柔らかいのが特徴です。

葉の中心の葉脈が少なく、葉の裏の色が濃いため、ちりめんキャベツによく似ています。ケール独特の癖はほとんど感じられないので、炒め物やロールキャベツに向いています。

夏も冬もどんとこい!ケールの栽培方法マニュアル

ケールは育成旺盛で、暑さや寒さにも強い野菜です。キャベツの仲間としては育てやすいので、初心者にもおすすめです。育成温度は15~20℃のため、日当たりが良い場所や風通しの良い場所で育てましょう

菜園などでの露地栽培はもちろん、プランター(鉢)栽培や室内での栽培も可能です。ケールの種まき・苗植え・収穫は、栽培地域によって異なりますので、以下を参考にしてください。

寒冷地の場合

  • 種まき…4月上旬~7月上旬
  • 苗の植え付け…5月中旬~8月中旬
  • 収穫…7月上旬~11月上旬

中間地の場合

  • 種まき…2月上旬~3月中旬 または 7月上旬~8月中旬
  • 苗の植え付け…3月中旬~4月中旬 または 8月中旬~9月中旬
  • 収穫…5月上旬~9月上旬 または 10月上旬~1月下旬

暖地の場合

  • 種まき…2月上旬~3月上旬 または 7月中旬~8月下旬
  • 苗の植え付け…3月上旬~4月中旬 または 8月中旬~9月下旬
  • 収穫…5月上旬~7月上旬 または 10月中旬~2月上旬

ケールの種まき

ケールの種まきは育苗ポット(ポリエチレン製の小さな植木鉢型の容器)にて行いましょう。まずは市販の培養土などの種まき用土を、ポットの8分目まで入れます。

指やペットボトルの蓋などを利用して土にまき穴をあけて、4~5粒ほど種をまきましょう。種をまいたら土をかぶせ、手で軽く押さえつけます。

その後たっぷりと水を与え、発芽するまでは土が乾かないように管理します。苗が発芽したら、ポットの苗が3本になるよう、育成の悪い物は抜き取ってください。

ケールの本葉が2~3本になったら、育成の良い苗を1本だけ残し、残りは間引きましょう。本葉が5~6枚になったら、菜園や鉢、プランターに植え替えることができますよ。

準備物と土作り

鉢栽培の場合は、9~10号鉢を準備します。プランター栽培の場合は、60cm程度の物を準備しましょう。9~10号鉢で1株、60cmのプランターで2~3株育成できます。

土は、市販の培養土を利用すると簡単です。菜園で育てる場合は、植え付けの2週間前には菜園に苦土石灰を入れてしっかり混ぜておきましょう。

1週間前には完熟堆肥(素材の有機物がしっかり分解発酵した堆肥)と、有機配合肥料(窒素・リン酸・カリウムがバランスよく配合された長期間効果がある肥料)を混ぜ、菜園に施します。

また害虫被害を防ぐため、植え付けの直後から防虫ネットをした方が安心ですので、準備しておきましょう。

苗の植え付け

苗の本葉が5~6枚になったところで植え付けを行います。菜園やプランターに約50cmほど間隔をあけ、苗を植え付ける植え穴をあけましょう。

手の平に水を伝わせながら、植穴にジョーロで水を注ぎます。穴の水が引いたらポットからそっと苗を取り出し、植え穴に苗を植え付けます。苗にたっぷりと水を与えたら、植え付けは完了です。仕上げに防虫ネットをかけましょう。

追肥について

植え付けの2週間後から2週間に1回の割合で、化成肥料(短期間で土に栄養分を補う肥料)をまきます。良質なケール(葉)を収穫するには、株が疲れないように定期的に追肥をすることがポイントです。

追肥をしたら、化成肥料と株の脇の土をスコップやクワなどでしっかりと混ぜて、軽く耕しながら株元に土寄せをしてあげてください。

水やりについて

苗を植え付けた後には、たっぷりと水を与えます。プランター栽培の場合は、土の表面が乾いたら水をたっぷりあげてください。露地栽培の場合、地中に含んでいる水分があるため、水やりをする必要はありません。

ケールを収穫しよう

ケールの収穫は、苗植え後の約50~60日後くらいが収穫の適期です。一般的なケールの場合、葉の長さが30~40cm程度になったら収穫が可能です。

ケールの葉が完全に開き、葉の緑が濃くなっていたら栄養価がピークに達している証です。株の下の方に生えている葉っぱから順番に、清潔なハサミか手で折って収穫しましょう。

1回の収穫量は3~4枚が目安です。一度にたくさんの量を収穫すると、株が弱ってしまうので注意してくださいね。

収穫の間も2週間に1回は追肥を行い、株を疲れさせないようにすると、その後も何度も収穫できますよ。

ケールの病害虫

アブラナ科であるケールには、アブラムシやコナガ、アオムシがつくことがあります。予防として、苗植え後に防虫ネットをかけることをおすすめします

ネットをしない場合は、こまめに様子を確認して見つけ次第駆除しましょう。また連作をすると、根こぶ病や萎黄病(いおうびょう)が発生します。

根こぶ病はカビの仲間で、アブラナ科野菜の根をコブのように変形させ、水の吸収を阻止します。萎黄病は、植物の葉が黄白色になる病害です。同じ場所でのケールの栽培は2、3年は避けてください

素朴な疑問Q&A

室内でも育てられますか

室内でも育成は可能です。ケール専用の水耕栽培機器も販売されています。

苗を買う時は、どのような点に気を付けたら良いですか

気を付ける点は4つです。以下の条件を満たしているものを選びましょう。

  • 本葉が5~8枚揃っている
  • 葉の色が濃い
  • 苗に双葉がついている
  • 節と節の間が詰まっている

ケール栽培のまとめ

今回はケールの栽培方法や育て方のコツ、品種や病害虫などについてご紹介しました。ケールは植え付け直後から防虫ネットをすること。

苗を植え付けた2週間後から2週間に1回のペースで(収穫の間も)、追肥を行うことが重要なポイントでした。肥料切れに気を付けながら、健康野菜であるケールの栽培をぜひ楽しんでみてくださいね。