パイナップルは代表的なトロピカルフルーツの1つとして親しまれ、スーパーでも1年を通して購入できる果物です。
一見栽培が難しそうですが、実はどこでも栽培することができ、観葉植物としてもピッタリですよ。
今回はパイナップルの栽培方法や、水栽培での根出しのコツ、剪定のやり方などについてご紹介します。
パイナップルについて
パイナップルは熱帯アメリカ原産、パイナップル科アナナス属の果物です。松ぼっくり(パイン)のような見た目と、林檎(アップル)のような甘い香りがすることから、パイナップルと名付けられたそうです。
海外ではコスタリカ・ブラジル・フィリピンなどで生産され、日本では沖縄県が主な生産地です。
パイナップルにはマンガンやカリウム、ビタミンB1や食物繊維が多く含まれています。またタンパク質分解酵素のブロメラインが含まれているため、お肉を柔らかくする効果があります。
パイナップルは食べるだけでなく観賞植物としても栽培されたり、ミニパインという品種はフラワーアレンジメントに使用されます。
日本中どこでも栽培できる?パイナップルの栽培方法
パイナップルは中間地~暖地の比較的暖かい地域で栽培が可能です。沖縄県や九州南部など比較的暖かい地域は地植えでも大丈夫ですが、関東では一般的に鉢植え栽培が主流となります。
北海道や東北などの冷涼地では、温度が足りないために難しいとされています。
市販の苗や、スーパーで購入したパイナップルのクラウン(果実の上にある葉の部分)から栽培することができます。
ちなみに種からの栽培は、大きくなるのに年月がかかりすぎるため(うまく育っても約5年)あまりおすすめできません。
パイナップルは高温多湿を好むため、日当たりと風通しの良い場所で育てましょう。真夏の強い日差しには気を付けてくださいね。育成温度は20~30度と高めのため、冬は室内に入れてあげましょう。
パイナップルの栽培時期
苗の植え付けに適した時期は5~6月です。スーパーなどで購入したパイナップルのクラウンから栽培する場合は、5~9月頃の植え付けがおすすめです。
パイナップルは収穫までに時間がかかる果物なので、苗やクラウンから栽培すると2~3年かかります。インテリアにするなどし、気長に栽培を楽しみましょう。
パイナップルの土や容器
パイナップルは排水性が良い酸性の土を好みます。用土は市販の鹿沼土7:腐葉土3の割合の配合土が良いでしょう。
- 鹿沼土(かつぬまつち)…火山灰が風化した軽石。丸みを帯びた黄色の大粒が特徴。
- 腐葉土(ふようど)…落ち葉が腐敗してできた土。
容器は1株に1鉢を利用すると管理がしやすいです。鉢は4~5号鉢を活用します。スナックパインなど小型のパイナップルを植える場合は、3.5号鉢が良いでしょう。
鉢の中に水が溜まってしまわないよう、底に穴が開いた鉢を利用します。鉢底穴がスリット状になっている、スリット鉢がおすすめです。
パイナップル栽培~苗篇~
園芸店で販売されている苗は、ビニール製のポットに入っています。ポットより2回りほど大きい鉢を選んで、根鉢を崩さないように気を付けながら苗を植えこみましょう。
『パイナップルの土や容器』で紹介した土をスコップなどで鉢の8分目まで入れ、手のひらで軽く押さえます。
パイナップル栽培~スーパーのクラウン篇~
まずはパイナップルの表面や鋭いクラウンで怪我をしてしまわないよう、作業前に厚手の手袋をはめましょう。
スーパーで購入したパイナップルのクラウンを使う際は、よく熟した果実を使ってください。熟したパイナップルの方がクラウンを抜き取りやすいですよ。
また、育てていくことを考えてなるべく綺麗で活気ある葉の果実を選んでくださいね。片手で果実、もう片方の手でクラウン部分を持ち、回転させて(雑巾搾りをするようなイメージで)クラウンを取り外します。
取り外したクラウンの底部分に生えている葉を10枚ほど綺麗に剥がし取りましょう。挿し根が完成したら、風通しの良い場所に3日間置いて底部分を乾燥させます。
用土を入れた鉢の中に、クラウンの底部分が軽く埋まるくらいまで入れ込みます。もしクラウンのカサが揺れてしまうようでしたら、支柱や麻紐などを使って固定してください。
パイナップル栽培~水耕根出し編~
クラウンを熟した果実から取り外した後、1週間ほど日陰にて根元を乾かします。乾いた根元を水の入ったコップにつけて、水変えしながら育成すると約1ヶ月で根が出ます。
高温期になると根が腐りやすくなったり雑菌が発生しやすくなるため、根が出た後も水替えを忘れないようにしましょう。根が生えそろってきたら菜園や鉢植えに植え替えます。
パイナップルの水やり
苗を植え付けた直後はたっぷり水をやりますが、そこから1ヶ月間はやや乾燥気味に育てます。
それ以降の春から秋にかけては、土の表面が乾いたら鉢の底から流れ出るほどたっぷり水を与えます。
パイナップルの実が付いてからは特に水分を必要としますので、土表面の乾燥には十分気をつけてください。
冬は室内に入れ、土表面を多少乾かし気味に管理します。エアコンなど暖房器具での乾燥を防ぐため、葉っぱに霧吹きをして湿度を保ちます。
パイナップルの病害虫
パイナップルは丈夫な果物なので比較的病気に強いのですが、まれにカイガラムシやハダニが発生します。
ハダニは、定期的に霧吹きなどで葉に水をスプレーすることで予防できます。カイガラムシは見つけたらすぐにはがして駆除しましょう。
専用の薬剤を散布するのも効果的です。カイガラムシは室内でも乾燥が原因で発生することがあるので、注意してください。
パイナップルの剪定
長く育成していると、クラウンの下の方から生えている葉が枯れてきます。枯れた葉をそのままにしておくと株の周りが蒸れ、病害虫が発生する原因となります。
パイナップルの葉は鋭く作業中に刺さると痛いので、軍手をはめて枯れた葉をこまめに取り除きましょう。病害虫を防いで育成も良好になるほか、見た目もスッキリします。
パイナップルの追肥
パイナップル育成期である5~9月には、1ヶ月半~2ヶ月に1回のペースで追肥をします。効果がじっくり発現してくる緩効性化成肥料(リン酸が多めの物)や、有機肥料(油粕と骨粉を混ぜた物)が良いでしょう。
市販のパイナップル専用肥料を活用しても良いですね。土だけではなく、定期的にクラウンの葉の部分にも薄めた液肥を散布するのも効果的です。
冬はパイナップルの育成が遅くなりますので、あまり肥料を与えないようにしてくださいね。
パイナップルを収穫しよう
苗を育てて2~3年経つとパイナップルの果実が実ります。8~9月頃が収穫の適期です。
- 果実の約5割が黄色く色づいてきた
- 香りが強くなってきた
- 果実が柔らかくなってきた
これらの条件を満たしていれば食べごろですので、果実のすぐ下の茎をナイフで切りとって収穫しましょう。
よく熟れていない果実を収穫して食べてしまうと、パイナップルの持つタンパク質分解酵素が原因で、口内が荒れてしまうので注意してください。
パイナップルは収穫後にそのまま置いておいても、甘みが増すことはありません。日持ちもしないため、収穫後は早めに食べましょう。
素朴な疑問Q&A
花は摘み取ったほうが良いですか
花は摘み取らず、そのまま咲かせてください。パイナップルの場合、クラウンの中心から生えた紫色の花が後の果実となります。パイナップルの果実周辺のボツボツとした模様は、つぼみの後です。
パイナップルは植え替えが必要ですか
育成していると株が大きくなり、鉢が窮屈になってしまうので1~2年に一度のペースで植え替えをします。植え替えの適期は5月~6月です。
苗が枯れました。原因は何でしょうか
寒さが原因かもしれませんね。冬は室内栽培にし、冷える窓際育成もやめましょう。
クラウンから子株が生えてきたのですが
果実を収穫した後、株元付近から子株が生えてきます。パイナップルは一度果実を収穫すると、再び成長し実をつけることはありません。
子株の葉が5~6枚ほどになったら親株から外し取り、別の鉢に移植してあげましょう。そうするとどんどん増やすことができますし、クラウン挿しよりも少し早めに果実を収穫することができます。
クラウンを果実から取り外す際、ナイフを使っても良いですか
ナイフなどの刃物を使って外しても良いのですが、その場合クラウンと共に果実もついてきてしまいますよね。
植え付けるクラウンに果実が少しでもついているとクラウンが腐り、株全体が傷んでしまいます。手によってのもぎ取りがおすすめです。
パイナップル栽培のまとめ
パイナップルの栽培方法や、水栽培での根出しのコツ、剪定のやり方などについてご紹介しましたが皆さんいかがでしたか?
水を毎日変えながら、枯れた葉を綺麗に刈り取ってあげることが大切でしたね。またパイナップルは日本全国で栽培が可能ですが、収穫までに3~5年の歳月がかかることも分かりました。
パイナップルは観葉植物としても楽しめるので、綺麗な花や美味しい果実が実ることを想像しながら、気長に栽培を楽しんでいきましょう。