アイスプラントは、葉の表面にキラキラした雫のような粒が付いている野菜です。この粒は塩分の結晶を含んだ細胞(ブラッダー細胞)で、食べると軽い塩味がします。
最近はスーパーでもよく見かけるようになったアイスプラントですが、実は簡単に育成できるため、栽培初心者にもおすすめです。
今回は、アイスプラントの栽培や収穫の仕方、ペットボトルでの簡単水耕栽培などについてご紹介します。
アイスプラントについて
アイスプラントは南アフリカ原産の野菜で、軽い塩味がすることからソルトリーフやシオナ、ソルティーナとも呼ばれています。
口に入れると葉の表面についている雫のような粒がプチプチとはじけ、なんとも不思議な食感が楽しめます。
アイスプラントは塩分・カリウム・マグネシウムが豊富で、βカロテンはレタスの約3倍以上だとも言われています。
軽く水洗いをしサラダにして食べると、ほのかな塩味があるためドレッシング控えめでも美味しいですよ。
サラダ以外には、さっと茹でてマリネやお浸しにしたり、天ぷらにするのもおすすめです。鮮やかな緑色とシャクシャクとした歯ごたえは、生の状態と同様に楽しめます。
アイスプラントの栽培時期について
アイスプラントの栽培時期は、早春まき(2月~3月下旬)と、秋まき(9月~10月下旬)の年2回です。種が発芽する適温が20℃前後なので、種まきは暑さ寒さが過ぎてから行いましょう。
プランターでの栽培も可能で、苗を植えてから1ヶ月半ほどで収穫できますよ。アイスプラントは水耕栽培もでき、その場合は1年中収穫が可能になります。
アイスプラントの栽培方法や注意点
アイスプラントは屋外での露地栽培も可能ですが、プランター栽培の方が適しています。その理由は4つあります。特に①②には注意が必要ですね。
- アイスプラントは塩を吸収する性質のため、露地栽培の場合、工事地帯・跡地では土の中の重金属も合わせて吸収してしまう
- 水やりに塩水を使うため、他の野菜に影響が出てしまう
- 夏の高温時期や冬の低温時期に合わせて移動がしやすい
- アイスプラントは雨に弱い性質
アイスプラントは葉が円形に成長し、約50cmの大きさに広がっていきます。プランターのサイズは標準サイズ幅広タイプ(60~65cm)を利用すると良いでしょう。
アイスプラントは種からでも育成できますが、園芸店で苗を購入した方が簡単でおすすめです。
アイスプラントの種まきと間引き
ポリポット(塩化ビニール製の植木鉢)の中に培養土を入れ、種を3粒ほどまきます。アイスプラントの種はとても小さいので、種の上から薄めに土をかぶせてください。
培養土をふるいにかけても良いですよ。種まき後は、種が流れてしまわないように注意しながら、霧吹きなどを利用して優しく水を与えます。
日当たりが良く気温が高い場所に置き、水を切らさないように育成しましょう。間引きはアイスプラントの葉が重なるたびに行います。
間引いた苗はサラダなどにして美味しく頂きましょう。最終的に元気な苗を1本立ちにし、苗が10cmほどの大きさになったら植え付けが可能になります。
良い苗の選び方
初心者の場合、園芸店などで苗を購入した方が簡単ですし、確実に収穫ができますよ。苗を購入する場合は、以下の点に気を付けましょう。
- 本葉が4~5枚ついている
- 葉先がしっかりしている
- 枯れている部分がない
- 葉の緑色が濃い
- 葉のツヤが良い
アイスプラントの土作り
アイスプラントは通気性や保水性の良い土を好みます。プランターで育成する際は、市販の培養土を利用すると簡単です。
プランターの底に鉢底ネットを敷き、その上に鉢底石を入れましょう。どちらも園芸店で購入することができます。
鉢底石を入れることによって、水はけが良くなりますよ。プランターの8分目まで培養土を入れ込んだら、表面を平らにします。
菜園で栽培する場合、植え付けの2週間前に石灰をまいてよく混ぜておきます。植え付け1週間前には元肥(窒素・リン酸・カリを含む肥料)を入れて、しっかりとかき混ぜておきましょう。
アイスプラントの苗の植え付け
菜園やプランターに、ポリポットよりも少し大きめの穴をスコップで掘っておきます。そこにアイスプラントの苗を、根鉢を崩さないように注意しながら優しく入れてあげましょう。
アイスプラントの柔らかい葉を傷つけないように気を付けてくださいね。その後は周辺の土を寄せ、苗が揺れない程度に、指先や手のひらなどで軽く押さえます。
苗をいくつか植える場合は、株間は20~30cmはとってください。最後に、葉に泥がはねないよう、株の周りにそっと水をやりましょう。
アイスプラントの追肥
植え付け後、2週間に1度の割合で追肥を行いましょう。市販の化成肥料を10g程度、プランターや菜園の全体にまきます。
水やり代わりに、薄めた液肥を週に1回与えるのも良いでしょう。どちらもアイスプラントの養分吸収力を高めたり、活力を与えてくれます。
アイスプラントの水やり
アイスプラントは多湿を嫌う野菜なので、表面が乾いたら水をやるようにします。この時、アイスプラントの柔らかい葉に泥はねがかからないように注意してくださいね。
土が乾いた時、株の周りに優しくたっぷり水やりをすることがポイントです。また育成初期は水だけで構いませんが、アイスプラントは塩水を散布しないと持ち味である軽い塩味が付きません。
水やりに塩水をあげるなんて、とても面白いですよね。葉に厚みが出て、苗の高さが約20cmになった頃、2週間に1度の頻度で塩分1~2%(水1Lに対して塩大さじ1杯)の水を与えましょう。
収穫直前(株の直径が約50cmになる前)に水やりの量を控えめにすると、ブラッダー細胞と呼ばれる葉のプチプチがはっきりと出てきます。
アイスプラントの葉の塩分濃度を変えたい場合は、直接葉を食べてみて、水に溶かす塩の量を調節しましょう。
アイスプラントの収穫
日当たりの良い場所に植えると、苗を植え付けて約1ヶ月ほどで収穫が可能になります。株の直径が50cmくらいになったら、脇芽をちぎって収穫しましょう。
こうすることで、アイスプラントの株から次々に新しい脇芽が生えてきます。収穫をより長く楽しむことができますね。
アイスプラントは株の中心から放射線状に新しい葉が伸びてくるので、葉が若いうちにどんどん摘んでいってください。葉をそのままにしておくと成長が進み、食感と味が落ちてしまいます。
アイスプラントの花
アイスプラントは繊細で美しい花を咲かせます。この花が咲き始めたら、収穫が終わる合図となります。
アイスプラントをペットボトル鉢で水耕栽培しよう
アイスプラントは水耕栽培用の器具セットを購入しなくても、ペットボトルで簡単に水耕栽培することができます。
ペットボトル水耕栽培に必要な準備物はこちらです。
- アイスプラントの種適量
- 1.5~2Lペットボトル
- キッチンスポンジ
- カッターナイフ
- バット
- ピンセット
- 水耕栽培用土ハイドロボール
- 水耕栽培用の液肥
ペットボトル鉢の作り方
栽培に使用するペットボトル鉢は、事前に準備をしておくと安心ですね。ペットボトルをカットして重ねるだけで完成してしまうので、とても簡単ですよ。
カッターナイフを使用しますので、怪我をしないように注意してくださいね!作り方は以下の通りです。
- 1.5~2Lのペットボトルを準備する
- ペットボトルの上から3分の1の部分をカッターでカットする
- カットしたペットボトルの上部(飲み口のある方)を逆さにし、切り離した下の部分にはめ込む
- 藻などの発生を防ぐため、容器の下部分にぐるっと一周アルミホイルをまいておく
水耕栽培の手順
水耕栽培の手順はこちらです。ペットボトル鉢に苗を植え付けた後は、窓際などの日光がよく当たる場所で育成してくださいね。
ペットボトルの上部(飲み口がある方)をA、下部分をBとしています。
-
- スポンジをカッターで6等分にカットする
- スポンジの上面の中心に、カッターで十字の切込みを入れる
- 切込みを入れた面を上にして、水の入ったバットに並べる
- ピンセットを使い、種を切込み部分に植える
- 蛍光灯の光を利用して、バットの水を入れ替えながら育成し発芽させる
- 約30日もすれば苗の本葉が2~3枚に揃い、スポンジから太い根が出てくるので、このタイミングで移植が可能になる
- Aの飲み口部分から根が出るように、Aに水耕栽培用のハイドロボールを入れ、苗を安定させる(ハイドロボールの入れすぎに注意)
- Bに、根が浸かるくらいの水耕栽培用液肥と水を入れる
- 根が水(液肥入り)に浸かっているか様子を見ながら育成する
- 植え付けから約40日経ったら海水程度の濃度の塩水を与える
- 植え付けから約50日で収穫が可能になる
アイスプラントを挿し芽で増やす方法
アイスプラントは、挿し芽を使って簡単に増やすことができます。まずは、アイスプラントの脇芽の先端をナイフやカミソリで10cmほど丁寧に切りとりましょう。
この時、刃物は清潔なものを使用してくださいね。カットした挿し芽は、市販の植物活力剤を入れた水に1時間ほど浸してから水揚げをします。
その後は培養土を入れた鉢か、ペットボトルなどを使って水耕栽培します。数日間、明るく風通しの良い場所で管理すると根が育ってきますよ。
根が生えたら“アイスプラントの苗の植え付け”と同様の方法で植え付けを行いましょう。食べた後の茎を利用しても増やせるので、手軽に行えますね。
素朴な疑問Q&A
アイスプラントに害虫は付きますか
アイスプラントにはヨトウムシやネキリムシ、コガネムシなどの害虫が付くことがあります。苗を植えるとすぐに卵を産み付けられる可能性もあるので、園芸店で販売されている防虫ネットを被せておくと安心です。
葉が枯れてしまいました
多湿や暑さが関係しています。アイスプラントは5~25℃の環境を好み、日中の温度が30℃を超えると下の葉が枯れてきてしまいます。真夏の育成は少々厳しいですが、できるだけ風通しの良い日陰で育成をしましょう。
連作はできますか
アイスプラントは連作障害がほとんどありません。しかし同じ場所で栽培する際でも、土作りをきちんと行った方が育成が良好です。
保存方法を教えてください
アイスプラントは乾燥に弱い野菜です。まず湿らせたキッチンペーパーに包んみ、ラップをします。その後キッチンポリ袋に入れて、冷蔵庫(野菜室)にて保存しましょう。
約5日は保存が可能ですが、だんだんと食感が損なわれてしまうので、早めに食べることをおすすめします。
アイスプラント栽培のまとめ
アイスプラントの栽培や収穫の仕方、ペットボトルでの簡単な水耕栽培の方法についてご紹介しましたが、皆さんいかがでしたか?
アイスプラントは、高温多湿に気を付けながら栽培すること。水に加える塩の量を調節すること。収穫前に水やりを控えることで、自分好みのアイスプラントが収穫できることが分かりました。
プチプチとした不思議な触感と軽い塩味が楽しめるアイスプラントを、ぜひご家庭で栽培してみてくださいね。