家庭菜園・果物の栽培

【初心者】小玉スイカの栽培・育て方(水やり・摘芯・空中栽培など)

夏の日差しをたっぷり浴びて育ったスイカは、ジューシーな果肉と爽やかな甘みが人気の果菜です。

育てるとなると難易度が高く広い畑が必要かと思われがちですが、小型種で実がつきやすい小玉スイカなら家庭菜園でも簡単に育てられますよ。

今回は小玉スイカの育て方や省スペースでも楽しめる空中栽培について、初心者の方にも分かりやすく紹介していきます。

小玉スイカの特徴と栽培暦

小玉スイカの特徴

小玉スイカは手のひらに収まるほどの大きさで、平均で重さ約2㎏前後、直径20cm程度です。

小型ではありますがスイカ独特のシャリ感もあり、甘みの強さは大玉スイカにもひけをとりません。皮が薄いのも特徴で、際まで赤い果肉を楽しめますよ。

ウリ科
生育適温 25~30℃
適正土壌酸度 5.5~6.5
栽培難易度 ★★★☆☆
連作障害 有り(5~6年は避ける)
特徴 高温と乾燥を好み、夏の日照りが続くほど実が甘くなる

収穫時期はいつ?小玉スイカの栽培暦

大玉スイカに比べ収穫までの期間はやや短く、植え付けから約90日前後受粉から約35~40日で収穫できます。

種まき時期:3月~4月
植え付け時期:4月~5月
開花時期:6月~7月
収穫時期:8月~9月

育てやすいオススメ品種


小玉スイカと一口に言っても、楕円型のものや果肉が濃い黄色をしたものなど、数多くの品種があります。その中から初心者にもおすすめの品種を紹介します。

紅こだま
小玉スイカの代表ともいえる品種です。平均13度を超える高い糖度と種の少なさが人気です。

紅しずく
赤肉で甘みが強く適度にシャリ感もある食味の良い品種です。小玉種の中でも実がなりやすく収穫量が多いのが特徴です。

ひとりじめ
小玉スイカの中でも小さい品種で、糖度も高くシャリ感は抜群です。比較的硬めで栽培中も裂果しにくい品種です。

小玉スイカの栽培環境

土作り

小玉スイカは酸性土壌を嫌います

雨が多い日本では酸性土壌に傾きやすいため、地植えの場合は栽培スペース全体に苦土石灰をまいておきましょう。植えつけの二週間前に緩効性の堆肥を混ぜ、しっかりと耕し水はけを良くします。

プランター栽培では、土も少量ですむので市販の野菜用培養土を使います。あらかじめ元肥も配合されているので失敗も少なく、個別に用意するよりも経済的です。

日当たり

小玉スイカは高温で強い光と乾燥を好むため、日当たりの良い場所が適しています。日光が不足すると、ひょろひょろと徒長してしまい花や実のつき方が悪くなります。

プランター・鉢の選び方

小玉スイカは根を深くはって生長するため、直径・深さともに30cm以上の容器を用意します。

プランターや植木鉢での栽培は、容器の中で湿気がこもりやすくなります。小玉スイカは多湿が苦手なため、底に排水用の穴があるものを選び水はけには気をつけましょう。

小玉スイカの栽培方法と育て方のコツ

苗から育てる

種からも育てられますが、発芽まで温度管理が難しく病害虫にも弱くなってしまいます。家庭菜園では苗を購入して育てる方が一般的です。

初心者には、丈夫で育てやすい接木苗がおすすめです。接木苗とは育てたい植物の茎を切り取り、病気に強い別品種の根に接ぎ合わせた苗のことです。

良い苗の選び方
  • 葉の色が濃くツヤがある
  • 葉から葉の間の節が詰まっていて、茎が太い
  • ポット底から白い根が出ており、根元を触ってもぐらつかない
  • 病害虫の被害がないもの

植え付け方

本葉が4~5枚になったら、栽培場所へ植えつけます。小玉スイカの根は弱いので、ポットから苗を取り出す際は水を与え湿らせてから行いましょう

深く植えると生育が悪くなるので浅植えにし、接ぎ木部分が埋まらないように注意してください。植え付けから2週間は、活着をよくするため水をたっぷり与え乾燥させないようにします。

地植え


ポットより一回り大きい植え穴を作り、たっぷりと水やりをします。水が引いたらポットから苗を取り出し、やさしく植え付けましょう。

植え付け後は苗の周りに溝を作り、水が溜まるようにします。こうすることで根まで十分に水が行き渡るようになります。

プランター栽培

プランターの底が隠れるほどに鉢底石を敷き詰め、その上から野菜用培養土を縁から2cmほど下まで入れます。

プランター中央に根鉢が入るほどの植え穴を掘り、苗を植えつけます。植え付け後は水をたっぷりと与えてください。

水やり

水分豊富な小玉スイカですが、土の表面が乾いたら水やりをする程度で十分です。水やりを多くしすぎると実の味が落ち、裂果することもあります。

特に収穫時期の1週間~10日前からは、水やりは控えめに育てましょう。収穫前に水分を減らすことで、実の甘さが増していきます。

肥料・追肥

ピンポン玉ほどの大きさの実がついた頃に追肥を行いましょう。

株元に近い位置に肥料を施すと株を弱らせてしまうため、株の周辺に化成肥料を大さじ1杯程度まきます。以降は2週間に1回のタイミングで行いますが、必ず小玉スイカの状態を観察してから与えましょう。

肥料過多になると、葉ばかりが茂り実がつかなくなる「つるボケ」を起こしてしまいます。葉の色が黄色くなっている、苗に元気がないようであれば、即効性のある液体肥料がおすすめです。

摘芯

つるの先端を摘み取ることを摘芯といい、収穫量を増やすための大切な作業です。本葉が5~7枚に育ったころに、主茎である親づるの先端を清潔なハサミで切り取ります。

こうすることで親づるの生長が抑制され、つけ根から子づるが伸びるようになります。子づるは親づるよりも雌花ができやすいので、より受粉機会が増やせますよ。

誘引・整枝

小玉スイカは生育旺盛で、気温が高くなるにつれぐんぐんとつるを伸ばしていきます。

子づるの中から茎が太くて草勢が良いものを3~4本程度選び、他は切り取ってしまいましょう。子つるから出る孫つるはよほど葉が茂りすぎていない限り、放任で問題ありません。

プランター栽培では、支柱を立てつる同士が重ならないよう誘引します。地植えなら四方につるを伸ばし、風で動かないようUピンで固定しましょう。

人工受粉


虫まかせでも自然に受粉しますが、家庭菜園では人工受粉をしたほうがより確実に収穫できます。花粉の活動力が高い、よく晴れた日の朝9時ごろまでに行いましょう

やり方は簡単で、その日に開いた雄花の花びらを摘み取り雄しべだけの状態にし、雌花の中心に優しく擦り付けるだけです。雄花と雌花の見分け方ですが、花の下にふくらみがある方が雌花です。

受粉できたら、人工受粉した日付をラベルに貼っておきます。小玉スイカは収穫時期を見極めるのが難しく、受粉日から経過した日数を目安に収穫するためです。

収穫までの日数は品種によってバラバラなので、苗を購入した際に付いているラベルなどをチェックしてくださいね。

摘果

小玉スイカは1本のつるに対して、実は1個が基本です。1本のつるに複数の実がつきますが、形の良いものを1個だけ残し他の実は摘み取りましょう。

これを摘果といい、1個の実に栄養分が集中するので糖度の高い小玉スイカを収穫できます。

収穫

人工受粉から約30~40日ほどたった頃、収穫時期を迎えます。実についている巻きひげが茶色がかって枯れはじめ、実をたたくとボンボンと低い音がしたら収穫しましょう。

小玉スイカは収穫した時点で生長が止まってしまうので、追熟することはありません。収穫後は早めに食べましょう。

ベランダでも栽培できる!小玉スイカの空中栽培


小玉スイカは小型とはいえ、地面を這わせていくとある程度の栽培面積が必要になります。

プランターで育てる場合は、省スペースでできる空中栽培にチャレンジしてみましょう。立体的に栽培すると風通しや日当たりも良くなるので、病気予防にもなりますね。

水やりや摘芯など基本的な育て方は変らず、違いは支柱につるを誘引し上へ育てていくだけです。実が重くなるとつるへの負担が大きくなるので、こぶしほどの大きさになったらネットや網袋で吊り下げます

空中栽培用の支柱は苗の植え付けと同時に立てておきましょう。つるが伸びてからでは支柱をしっかりと組み立てられず、倒れやすくなるので注意してください。

 

小玉スイカ栽培のまとめ


栽培が難しいとされるスイカでも、小玉スイカなら初めての方でも収穫まで楽しめます。

生長にあわせた作業や手入れが必要ですが、重さ数㎏にまで育った小玉スイカを収穫する感動は大きいですよ。ぜひみなさんも今年の夏は小玉スイカの栽培に挑戦してみてください。