お水を適切にあげているのに植物に元気がない、茎やはっぱを触るとぷにぷにしていて、いつもと感触が違う。育てている植物が、このような状態に陥っている方はいらっしゃらないでしょうか。
そのような症状は、根腐れが原因かもしれません。根腐れとは、植物の根が腐った状態のことを指します。先端から徐々に腐っていき、放置すると幹が元から腐って枯れてしまいます。
この記事では、そんな根腐れについてご紹介していきます。基本的な情報や、なりやすい植物、予防法についても解説しますので、どうぞ最後までお読みください。
根腐れの症状について
まずは、根腐れが発生すると、どのような症状が現れるのかを確認しましょう。
根腐れを起こすと葉っぱが変色する
根腐れが発生した際、一番わかりやすく変化が起こるのが葉の部分です。根腐れが起こると葉っぱが黄色若しくは茶色く変色し、症状が進行すると枯れ落ちてしまいます。
秋~冬にかけての変色は色素の関係なので、そこまで訝しむ必要はありませんが、成長期や春~夏にこのような変化が見られた場合は要注意です。
根腐れが起きていないか、特に葉の部分は注視しておきましょう。
その他の症状について
その他には、下記のような症状が見られます。
- 水をあげた後、土の乾燥や染み込みが遅くなる
- 株の元気がなくなる
- 根が黒くなる
- 葉や茎、幹を触るとぷにぷにしている
- 土から腐ったような臭いがする
- 表面に白いカビが生える
植物は根から酸素や水分、養分を吸い上げますが、根腐れが発生してしまうと根からの酸素供給がなくなり、酸欠状態になるので、元気がなくなるなどの症状が現れます。
根腐れの原因はなに?
根腐れは、酸素が不足すると起こってしまいます。その原因は多岐に渡るので、この項目では、どのような原因があるのかを見ていきましょう。
水やりの回数が多い
水やりの回数が多いと土が乾きにくい状況が続き、土の中や植物に酸素が行き渡らなくなります。頻度には注意を払うようにしましょう。
水をあげないと枯れてしまうのではないかと不安になってしまいますが、土が乾いたらあげるぐらいの頻度で、植物は十分に育ちます。
土の表面を確認し、カラカラになっていたら水をあげるようにしましょう。
水はけが悪い
水はけの悪い土には空気や水分が通れるようなスキマがあまり空いておらず、水やりをしても全体に行き届かず一か所に溜まってしまいます。
特に保水性の高い粘土質の土だと、古い水がいつまでも残ってしまい、その分酸素が植物や土に行き届かなくなってしまいます。
肥料焼け
肥料やけとは、肥料を与えすぎることで根から水分が押し出されてしまい、結果として植物全体にダメージを与えてしまうことを指します。
肥料は植物を生育するうえで欠かせないもののひとつですが、何物も与えすぎは良くありません。用法・容量を守り、正しく使用しましょう。
嫌気性菌が増殖する
嫌気性菌とは、生育に酸素を必要としない細菌のことを指します。酸素が少ない環境下を好んで増殖し、根を侵食します。
また、汚染された土を使っていても増殖するので、注意が必要です。
根腐れに注意が必要な植物について
家庭菜園で育てる可能性のある植物のうち、根腐れについて注視しておく必要があるモノがいくつかあります。この項目ではその中から2つの植物をご紹介します。
庭木における根腐れの症状
庭木の場合、実際に掘り起こしてみて初めて根腐れだったと確認できることがほとんどですが、幹や枝を触ったとき、通常時よりも柔らかくなっていないかどうかで判別できることもあります。
根腐れではないかと感じたら、まずは触診をしてみましょう。
植え付けの際に根が切れることがある
植物がしっかりと根を張ることで、土と根が一体化して塊状になります。これを「根鉢」と呼びますが、植え付けの際、ぶつけたり揺すったりすることで根が切れることがあります。
先述のとおり、植物は根から酸素や水分、養分を吸収します。そのため、根が切れてしまうと、その分吸収する酸素の量も少なくなってしまいます。
植え付けの際は、細心の注意を払い、根に傷が付かないようにしましょう。
トマトにおける根腐れ
トマトの原産地は南米ペルーのアンデス高地で、栄養が少なく乾燥している地域です。そのため、頻繁に水を与えなくても生育し、逆に水を与えすぎると、すぐに根腐れを起こしてしまいます。
トマトが根腐れを起こすと、全体が緩やかに萎れながら黄色く変色し、進行すると褐色に変化して枯れてしまいます。水をあげすぎないようにしましょう。
根腐れの防止法・予防法
ここまでは、根腐れの症状や原因について触れてきました。次に、根腐れの防止方法についてご紹介します。
植物が好む環境を調べておく
育てる植物はどこが原産で、どんな環境下で誕生したのかを調べておくことで、根腐れを防ぐことができます。
先述のトマトが水をあまり必要としないように、植物によって水がどれだけ生育に影響を及ぼすのかが異なります。
繰り返しになりますが、根腐れの原因のひとつに水のあげすぎがあります。水をこまめにあげないといけないのか、そこまで与えない方が良いのかを知っておきましょう。
ふかふかの新しい土を使う
水はけの悪い土に植えられていると、古い水がいつまでも留まってしまい、その分土の中や植物に酸素が行き渡らなくなります。ふかふかの新しい土を使いましょう。
根腐れ防止剤を使用する
根腐れ防止材は、珪酸塩白土やゼオライトを主成分としており、土に混ぜると通気性を確保し、肥料やけをコントロールしてくれます。
こちらもホームセンターで誰でも簡単に手に入れることができます。「ミリオン」や「ハイフレッシュ」という名で売られていることが多いです。
根腐れしてしまったら?対処法はこちら
次に、根腐れしてしまった後の対策方法をご紹介します。
根を整理するように切る
腐っている根がある場合は、はさみなどで切り落としましょう。上の葉とのバランスを見ながら整え、新しく植えなおしましょう。
メネデールを使用する
メデネールとはサプリメントの一種で、発根を促し生育をサポートします。肥料にも農薬にも分類されず、あらゆる場面で活躍します。
植え替えの際に根腐れを起こした根を切りそろえ、植えなおしたら水で薄めたメネデールを全体に行き渡るように与えます。
メネデールはホームセンターで売られており、購入にあたり特別な資格もいらないので、誰でも簡単に手に入れることができます。
根腐れしない植物はある?
残念ながら、2019年6月現在では根腐れしない植物はありません。土に根をはり、水で育つ植物には等しく根腐れを起こす可能性があります。
しかし、上記の予防策や対策法を行うことで、根腐れが起きないようにすることは十分に可能です。仮に発生してしまっても、初期の段階であれば持ち直させることもできます。
根腐れのまとめ
いかがでしょうか。
根腐れを起こしてしまうと、どれだけ水をあげても植物が元気にならないため、不安に駆られて、もどかしい気持ちになってしまいます。
しかし、水のあげすぎ、水はけの悪い土を使用しているなど、原因がはっきりしている分、予防や対策は講じやすく、そこまで怖い症状ではありません。
この記事を参考に、根腐れの予防や対策をおこないましょう。
- 根腐れを起こすと葉っぱが黄色くなる、元気がなくなるなどの症状が現れる
- 根腐れは水のあげ過ぎが大きな原因である
- 根を整理し、根腐れ防止剤を使用することで根腐れは防げる
- 原因がはっきりしているので、根腐れの予防はそこまで難しくない