病気

ベト病ってどんな病気?症状や対策について

淡い黄色をした斑点が葉にできる「ベト病」。症状が進行すると色が黄色から褐色に変化し、葉の裏にカビが発生するようになります。

ベト病はネギやタマネギ、キャベツやハクサイなど、多くの野菜に感染し、低温で多湿になると発生しやすくなります。繁殖力が高く、発生すると、急速に植物全体に広がってしまいます。

この記事では、そんなベト病についてご紹介。基本的な情報や、どんな植物がかかりやすいか。また、対処法や予防法について詳しく解説していきます。

ベト病の基本情報

ベト病は「露菌病」と呼ばれることもあり、低温で湿度が高いと発生しやすくなるカビの一種です。多湿で雨が降るとべとつき、その時期に発生しやすくなることから「ベト病」と名付けられたという説があります。

ベト病になりやすい植物

ベト病の原因となる菌はPeronosporaceae科の植物に多く含まれています。Peronosporaceae科の植物は下記のとおりです。

  • ブドウ
  • きゅうり
  • すいか
  • メロン
  • ホウレン草
  • たまねぎ
  • 大根
  • キャベツ
  • 大豆
  • レタス
  • バジル

上記の植物を家庭で栽培される際は、低温や雨が続く時は注意し、特に梅雨の時期はベト病にならないよう、細心の注意を払うようにしましょう。

ベト病が発生しやすい時期について

ベト病は梅雨の時期はもちろんのこと、単に湿度が高い環境下でも発生しやすくなります。そのため、梅雨が明けても、多湿になる夏は引き続き注意が必要です。

ベト病の症状について

淡い黄色で、境界がはっきりしない斑点が現れるのがベト病の初期症状です。症状が悪化すると、色が黄色から褐色に変化します。

更に症状がひどくなると、葉っぱそのものが黄色く変化し、破れや落葉が起こります。植物全体に蔓延すれば、たちまち枯れてしまいます。

ベト病はうどんこ病と似ていますが、葉の裏側にできることや、病斑がステンドグラス状になるなどの違いがあります。

ベト病の対策方法

ベト病はさまざまな植物に発生します。この項目では、とくにベト病になりやすい植物をご紹介し、植物ごとの対策方法について解説します。

ぶどうベト病

ぶどうは、開花期にあたる6月や低温で連続した雨が続きやすい9~10月にベト病にかかりやすくなります。

品種によって耐病性に大きな違いがあり、アメリカ発祥のものは強く、巨峰は中間、ヨーロッパ発祥のものや雑種は弱いという特徴があります。

対策としては、感染源となる落ち葉をこまめに処理することや、ボルドー液の散布を徹底することが挙げられます。

たまねぎベト病

たまねぎは、土壌中の卵胞子によってベト病に感染します。9月の降水量によって影響を受けることが多く、特に降水日数が連続して15日を超える場合は注意が必要です。

ベト病が発生したことのない土に苗床をつくる、水はけをよくする、晴れ間を見計らって保護剤であるマンゼブやシアゾファミド剤を散布するなどの方法で予防できます。

バラベト病

4~6月、9~11月に多く発生し、特に多湿で気温が低く、昼夜の寒暖差が激しいと注意が必要です。

対策としては風通しを良くすること、サンボルドーやマンネブなどの薬剤を3日間隔で散布すること、病気の葉を見つけたら取り除き、落葉も処理することが挙げられます。

ねぎベト病

ねぎベト病は他の植物と違って斑点が発生せず、全身感染が起こるので注意が必要です。草丈が低くなり、色が白色から黄色に変わります。

水はけが悪いところや、風通しの悪いところ、肥料が多い苗床ではベト病に感染しやすくなるので、環境や肥料の量には気をつけましょう。

水はけを良くして風通しを良くすることや、ベト病が発生したことのない土に苗床をつくること、消毒済みの種子を使用することで予防できます。

バジルベト病

葉そのものが黄色くなったり、葉の裏側に黒や灰色のかびが発生したりすることが主な特徴で、「メボウキベト病」とも呼ばれます。

落葉が見られるようになると急速に蔓延し、一気に立ち枯れしてしまうので、症状が現れ始めたら早めに対処することが大事です。

密植を避けること、水はけや風通し、採光を良くすること、ランマンフロアブルやレー
バスフロアブルなどを散布することで予防できます。

トマトベト病

露地栽培の場合は梅雨時と秋雨時に、施設栽培の場合は、風通しや水はけが悪いと発生しやすくなります。

主に葉や茎、果実に現れることが多く、葉に発生する場合は表面に緑や褐色の斑点が見られ、その裏に白色のカビが発生するという特徴を持ちます。

予防策としては、水はけや風通しを良くすること、ランマンフロアブルやドーシャスフロアブルを散布することが挙げられます。

白菜ベト病

結球を始める10~11月の発生が多く、感染すると黄緑色の病斑が現れ、その裏側に霜状のカビが発生するという特徴があります。

10~11月の気温が平年よりも低い場合や、雨が多い場合、日照りが少ない場合は特に注意が必要です。

白菜は品種によって耐性の違いがあるものの、水はけを良くする、密植を避けて風通しを良くする、エトフィンフロアブルなどの防除薬剤を散布するなどで予防できます。

メロンベト病

初めは黄色く、丸い形をした病斑が現れ始め、症状が悪化すると色が黄色から緑に、形が円から多角形に変化し、裏面にすす状のカビができるのが主な特徴です。

メロンの最も一般的な病気のひとつで、雨の日が続いたり、多湿な日が続いたりすると発生しやすくなります。

風通しや水はけを良くすること、肥料切れにならないようにすること、アリエッティやオーソサイドなどの防除薬剤を散布することなどで予防できます。

連作を避けられない場合は土壌を改良する

ベト病の予防のひとつに、同じ土地や苗床で繰り返し栽培をおこなわないことがあります。特にベト病になったことのある土地で連作するのは避けたいところです。

しかし、連作を避けられない場合も多々あります、その場合は、土壌を改良することで、ベト病を防ぐことが可能です。

土壌改良用の資材がホームセンターで売られており、使用済み培土の活力向上や、病害菌や蔓延防止作用もあるので、チェックしておきましょう。

薬剤はどこで手に入れる?

ここまで、各植物のベト病の特徴や予防策についてご紹介しましたが、予防のための薬剤はどこで手に入れればよいのでしょうか。

防除薬剤はホームセンターで手に入れられるほか、近年では防除薬剤を専門に扱う通販サイトも増えてきており、そこでも購入が可能です。

ベト病予防のためにも、ぜひ購入しておきましょう。

酢でベト病の薬を自作する

薬剤に抵抗のある方は、酢を使ってベト病の薬を自作することもできます。方法はとても簡単で、30倍~50倍に水で薄めるだけです。

発生初期に効果があり、発生していない段階で吹きかけることで予防にも効果が期待できます。ただし、臭いがキツいので、周囲への配慮が必要です。

また、初期症状には効果があるものの、ある程度症状が悪化すると薬剤に頼らざるを得ません。

ベト病は初心者の方にはなかなか見つけにくい病気です。そのため、薬剤に抵抗がある方も初めてのうちは薬剤を使用し、慣れてきたら自作したモノを使用するようにしましょう。

ベト病についてのまとめ

いかがでしょうか。

ベト病は低温多湿を好み、特に梅雨の時期には注意が必要です。水はけや風通しを良くすることはもちろん、苗床をつくる土地にも気を配る必要があります。

一見、予防が難しそうに見えますが、ポイントを押さえて気を付ければ防げる病気でもあります。

この記事を参考に、ベト病の予防や対策をおこないましょう。

この記事のおさらいポイント
  • 原因となる菌はPeronosporaceae科の植物に多く含まれる
  • 植物によって、ベト病の特徴や対策法が異なる
  • なるべく連作を避けることが大事
  • 連作を避けられない場合は、土壌改良でベト病を防ぐ
  • 予防用の薬剤はホームセンターで手に入る
  • 薬剤は酢で自作できるものの、初心者は注意が必要