あのクレオパトラも食べていたというモロヘイヤは、緑黄色野菜の中でもトップクラスの栄養素を誇ります。葉野菜が乏しい夏に収穫ができ、独特のネバネバが癖になる美味しさですね。
日本で栽培されるようになってまだ40年足らずですが、病害虫に強く、簡単に増やせることから家庭菜園初心者にも人気の野菜です。
この記事ではモロヘイヤの栽培方法や育て方を手順に沿ってご紹介します。上手な増やし方や気がかりな毒性についてもまとめていますから、ぜひ栽培前の参考にしてください。
モロヘイヤの栽培時期
モロヘイヤは夏野菜です。春に種をまけば夏中収穫ができます。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
<種 | まき> | < | 収 | 穫 | > |
暑さや乾燥に強いため、真夏にはグングンと勢いよく育ちます。秋口までおよそ5カ月と収穫時期が長いのも嬉しいですね。
摘心や切り戻しなどで脇芽を増やせば想像以上の収穫量が見込めますよ。
モロヘイヤの栽培環境
真夏に生育期を迎えるモロヘイヤは日当たり・温度・土壌と3つの環境条件を満たせば、庭の菜園でもプランターでも栽培できます。
条件ごとに詳しくご紹介しましょう。
日当たり
モロヘイヤは日光を好みます。日当たりの良い菜園・ベランダはもちろん風通しを意識すれば室内でも栽培できますよ。
ただし真夏の直射日光は強すぎて萎えてしまうことも。半日陰でも十分育ちますから、猛暑の際は調節しましょう。
温度
生育温度は25~30℃です。発芽温度は25~35℃と高い温度を好みますから、気温が安定した時期に栽培をスタートさせましょう。
土壌
プランターで栽培する場合は野菜用の培養土を使いましょう。
菜園の場合は種まきの2週間前に苦土石灰(くどせっかい)を入れて耕します。1週間後に堆肥・元肥(有機肥料)を入れよく馴染ませましょう。
モロヘイヤは酸性の土壌を嫌うため、石灰でアルカリ性に傾けます。肥料も一緒に混ぜた方が手間はありませんが、石灰と肥料が合わさると化学反応が起きアンモニアガスが発生する可能性があります。時間差で馴染まるようにしましょう。
モロヘイヤの育て方
モロヘイヤには夏の暑さで疲れた体にピッタリの栄養素が多く含まれています。よく青汁などにも利用されていますね。
しっかり育てた分、自分の栄養にもなりますよ。モロヘイヤの育て方を順を追ってご紹介しましょう。
種まき
モロヘイヤの種まきは土に筋を作ってまく「すじまき」で行います。発芽温度は25~30℃ですから、遅霜などの影響がない頃を見計らいましょう。
パラパラと種をまいたら軽く土をかぶせ、その後たっぷり水を与えます。種まきから4~5日ほどで発芽しますよ。
種は一晩水に浸けておくと発芽しやすくなります。広い畑で栽培する場合はポット鉢を使い、一旦苗まで育ててから植替えても良いでしょう。
間引き
発芽後、双葉が出揃い始めたら密集している箇所を間引きます。さらに成長して本葉が4~5枚になった頃、株の間隔が20~30cm程度になるように間引きましょう。
水やり
晴れの日は毎日水やりをします。暑さと乾燥には強いですが、乾燥が過ぎると茎や葉が硬くなってしまいます。
プランターの場合は水が切れやすいですから、土が乾いているようならたっぷりと水をあげましょう。
摘心
草丈が30~40cmほどまで成長したら摘心をします。
下葉を3~4枚残して、中心の枝を摘み取ります。そうすると脇芽が増えてより多く収穫できるようになりますよ。
追肥
モロヘイヤは生育が盛んになる7~8月頃に追肥をします。20~25日間隔で有機肥料を与え株を大きくしましょう。
肥料は株元から少し離して与えると根が横に広がり株が充実します。
もし葉に丸みが無くなっていたり、茎が赤みを帯びていたら肥料切れのサインです。即効性のある化成肥料か液体肥料で対処しましょう。
収穫
草丈が50cmを超えるようになれば十分に収穫できます。葉先15~20cmくらいの柔らかい部分を摘み取りましょう。
放っておくと3m程まで伸びますから、70~80cm程度で留まるよう収穫を続けます。
収穫をしても脇芽が次々と伸びていきますが、9月頃から徐々に葉や茎が硬くなり始めます。こまめに収穫して美味しくいただきましょう。
花芽が出来ると新芽の成長は止まります。モロヘイヤの種には毒性もありますから、花の開花を確認したら収穫をしない方が安心です。
生育途中に収穫(摘心)のタイミングを逃し、味が落ちたと感じる場合は低い位置で切り戻しをしましょう。生育期ならすぐに柔らかい葉が育ちます。
【簡単】挿し木で増やす方法
モロヘイヤは挿し木で簡単に増やすことができます。
栽培中の茎の硬い部分やスーパーで買ってきたものでも問題有りません。葉や茎の柔らかい部分は料理に使い、残った茎部分が10Cm程度もあれば十分でしょう。
コップ状の容器に茎を入れ、半分浸かるくらいに水を入れたら1週間ほど待ちます。次第に新芽が出て葉が茂り始めますよ。
水は時々取り換える程度でお世話も簡単です。根が確認できたらプランターに植え替えましょう。
花が咲くまでたくさん収穫できます。
モロヘイヤ栽培の注意点
モロヘイヤの栽培には注意しなければならない点があります。それは種とさや部分の毒性。
自宅で育てたものに毒性があるなんて怖い気もしますが、ポイントさえ押さえれば不安は解消されます。詳しくご紹介しましょう。
種・さやには毒がある
モロヘイヤは花芽が出来たら収穫が終わりのサインです。黄色の小さな花が咲き、その後種を育てるさやが膨らみ始めます。
毒性が確認されているのはそのさやと種。さや付近の茎にも注意しましょう。
特に完熟した種には強い毒性があり、誤って食べた家畜が死亡するといった事件もありました。
万一手が触れてしまった場合はよく手洗いをし、粘膜に触れないように注意しましょう。来年用に種を採取した場合も、ペットや小さなお子さんが誤飲しないように取り扱いには十分注意が必要です。
モロヘイヤの病気・害虫
モロヘイヤは生命力の強い野菜ですが、環境や管理状態によって病気になることもあります。また夏場はどうしても害虫が寄り付きやすいですね。
注意したい病気はうどんこ病・灰色かび病などで、どちらもカビの繁殖が原因です。
葉が密集し風通しが悪くなるとかかりやすくなりますから、こまめな収穫が予防になります。白色や灰色のカビをみつけたら葉ごと取り除いて対処しましょう。
つきやすい虫はハダニ・コガネムシ・イモムシ類です。やはり葉が生い茂っていると住み家にされてしまいます。
見つけたらすぐに駆除をして被害を最小限に抑えましょう。お酢を水で50~100倍に薄めてスプレーすると防虫剤代わりとして使えますよ。
おすすめのコンパニオンプランツ
コンパニオンプランツとは、お互いの成長に良い影響を与え合う2種類以上の植物のことです。病気や害虫対策として、あえて傍に植え共栄させます。
モロヘイヤのコンパニオンプランツとしておすすめなのは「マリーゴールド」です。
マリーゴールドは「植物のお医者さん」と呼ばれ、葉や根から出る成分で虫を寄せ付けません。ただ傍に植えるだけで生育に良い効果があるなんて心強いですね。
モロヘイヤの栽培・育て方のまとめ
夏でも病害虫に強く、大きく成長してくれるモロヘイヤは初心者でも収穫の喜びがたっぷり味わえます。
花が咲いたら葉も茎も硬くなりますから、収穫は終わりにしましょう。注意すべきは収穫後の種とさやですね。
種は取り扱いに注意して採取すれば、来春にまた植えることが出来ます。栄養満点のモロヘイヤを毎年自分で作ってみてはいかがでしょうか?