サラダ、漬物、炒め物、煮物など、さまざまな調理に活用できるキャベツは、ビタミンやミネラルが豊富な野菜です。特にビタミンCの含有量は多く、葉っぱを生で2~3枚食べれば1日分のビタミンC量がとれるほどです!
そんなキャベツ栽培は意外に簡単で、ポイントを押さえれば初心者でも簡単に育てられます。
今回は初めての人でもチャレンジしやすいように、苗の購入からの育て方を中心に地域別栽培スケジュール、病害虫の対処方法などを詳しくご紹介します!
冬越しした春キャベツは栄養満点!収穫時期で異なるキャベツの特徴
幼い苗のキャベツは、暑さと寒さに耐える性質がありますが、その後の環境は15~20℃ほどの冷涼な気候を好みます。27℃以上になると、発育が遅れて病気にかかりやすくなるので、真夏の栽培は向いていません。
種まき時期は年3回。種まきから収穫までは、110日~140日ほどになります。
春に種まきして夏に収穫できるキャベツは、高冷地での栽培が向いています。水分が多くて緑が濃く鮮やかで、生で食べておいしいです。
比較的手がかからず、家庭菜園初心者におすすめなのが、夏に種まきをして晩秋に収穫できるキャベツです。寒玉とも呼ばれてるキャベツは球がギュッと引き締まって甘みがあり、水気が少ないので煮物や炒め物に向いています。
秋に種をまいて寒い冬越しをした春キャベツはみずみずしく、葉っぱが柔らかくて栄養満点。サラダや漬物に向いています。
栽培暦(植え付け~収穫)
苗の植え付けから収穫までの時期をご紹介します。地域別に植え付け時期が異なるので、こちらの日程を参考に土作りをスタートしましょう。
春の植え付け~夏収穫
冷涼地:4月下旬~5月下旬植え付け、7月下旬~8月下旬収穫
中間地:3月中に植え付け、6月上旬~7月中に収穫
暖地:3月中旬~3月下旬に植え付け、5月中旬~6月中に収穫
夏の植え付け~秋収穫
冷涼地:6月下旬~7月中に植え付け、9月上旬~10月中に収穫
中間地:7月下旬~9月上旬に植え付け、10月上旬~12月中に収穫
暖地:8月中旬~10月上旬に植え付け、11月上旬~翌年2月に収穫
秋まき~春収穫
冷涼地:11月上旬に植え付け、翌年5月~6月収穫
中間地:11月中旬に植え付け、翌年4月~5月に収穫
暖地:11月下旬に植え付け、翌年3月下旬~5月上旬に収穫
キャベツの苗の選び方
初心者はホームセンターや園芸店で下記のような元気な苗を購入し、そこから育てた方が大きなトラブルなく収穫できます。新鮮な苗を購入するには、多くの人が訪れるような大型店での購入がおすすめです。
- 本葉が5~6枚で葉っぱが元気なもの
- 虫くいや病気にかかっていないもの
- 根っこがビニールポットの底からはみ出していないもの
土作りと畝作り
土作り
キャベツは連作を嫌う野菜です。白菜、ブロッコリー、チンゲン菜などのアブラナ科野菜を1年以上育てていない場所を選んでください。
植え付け2週間前に、苦土石灰(くどせっかい)を120g/㎥入れてよく耕しましょう。深く耕して土をフカフカにすることで、水はけがよくなります。
さらに1週間前に、堆肥(たいひ)3kg/㎥を施してください。キャベツは栄養がある土で育てるほうが結球しやすく、おいしく収穫できます。
畝作り(うねづくり)
土壌の湿度が高いと根腐れを起こす恐れがあります。これを防ぐため、幅80~120cm、高さ10cmほどの畝を作り、水はけをよくしましょう。
植え付けの仕方
苗の本葉が4~5枚の頃に植え付けを行います。株と株の間は30~40cmが適当です。
キャベツは株どおしが助け合って生育が促進される「共生」を好む野菜です。そのため株と株の間が離れすぎると、生長や結球が遅れがちになります。
【植え付け手順】
- ビニールポットごとバケツにつけて吸水させておく
- 30~40cmごとに株を植える穴を掘る
- ポットから出した苗を、土が付いたまま植える
- 根鉢の表面が見えるていどに浅く植えて土を被せる
- 再度、水やりをする
- 害虫を避けたい場合は防虫ネットをかける
夏植えの場合、残暑が厳しい日中は避けて、早朝か地温が下がった夕方に植え付けしてください。
プランター栽培の植え付け
キャベツは葉っぱが大きく育つので、最低でも1株に対して30cm幅のプランターを用意してください。2株植えるなら60cm幅以上のものを使います。
【用意するもの】
- プランター
- キャベツの苗
- 野菜用培養土
- 鉢底石
【植え付け手順】
- 苗をビニールポットごとバケツにつけておく
- 水はけを良くするために、プランターに鉢底石を敷く
- 水やりスペースを3cmほど残し、野菜用培養土をプランターに入れる
- 植え付け穴を掘る
- 苗を土ごと植え付ける
- 根元に培養土を被せる
- 最後にもう一度水やりをして日当たりの良い場所に置く
追肥と水やり
追肥の時期と方法
1回目の追肥は葉が7~8枚になった頃(植え付けから約2週間後)に行います。株元の土と化成肥料70g/㎥を軽く混ぜてください。
2回目の追肥も1回目と同様に行います。中心部の葉が立って結球しはじめる頃にあげてください。この頃には葉っぱも茎も大きくなっているので、根元に土寄せをして株を安定させます。
水やりのタイミング
キャベツは土壌の湿気が多すぎても、少なすぎても上手に育ちません。土の表面が乾いていたら水をあげるというペースが適当です。
暑い時間帯に水をあげると根が傷むので、水やりは朝か夕方、涼しい時間帯に行いましょう。
収穫のタイミング
大きくなってきたキャベツの球を、手で押さえて固く締まっていたら収穫です。たとえ球が小さくても、固くなっていたらそれ以上は大きくならないので収穫してください。
収穫の方法は、大きく開いている外側の葉っぱを広げて球を少し傾けます。開いたスペースに包丁やナイフをあてて切り落としましょう。
収穫が遅れると、葉っぱが固くなり味が落ちたり、球が割れることがあります。せっかく育てたキャベツをおいしく食べるためにも、毎日観察して収穫を逃さないようにしましょう。
キャベツ栽培の大敵!病害虫の対策
キャベツがかかりやすい病気
軟腐病は暗褐色の斑点が発生して悪臭を放つ病気。水はけが悪かったり、悪天候の後に発生しやすく、一度病気になると薬剤でのみ治療が可能です。
また、葉っぱが黄色っぽく変色するベト病も多くみられる病気です。アブラナ科の野菜を連作した畑で栽培したり、水はけが悪い場所で発生します。
予防策としては、連作は避けて水はけのよい畝栽培を行うことです。土壌の湿度を一定に保つために、マルチシートを敷くのも一つの方法です。
キャベツにつきやすい害虫
春や秋に育てるキャベツは害虫がつきやすいのが難点です。柔らかい葉を食べるアオムシ、ナメクジ、ヨトウムシ、そして茎を食べる芯食いムシに要注意!
植え付け後に防虫ネットを張るのが一番の予防策ですが、もともと土に潜んでいるヨトウムシには対応できません。
水やりのときに葉っぱの間をチェックして、見つけ次第、ピンセットや割り箸で駆除するようにしましょう。野菜用の虫駆除薬剤を使ってもO.Kです。
キャベツの種類
キャベツの歴史は古代ローマ時代までさかのぼります。歴史が長いだけに、さまざまな改良がされて多くの品種が存在します。
こちらでは、育てやすい品種、ちょっと変わったキャベツなどを幾つかご紹介しましょう。
四季獲りキャベツ
定番キャベツの代表格で、耐寒性が強く、低い気温でも結球しやすいのが特徴。苗の植え付け後は80日~90日で収穫ができ、1.5~1.8kgまで育ちます。
腐敗や球が裂けにくく育てやすいので、初心者におすすめの品種です。
紫キャベツ
赤キャベツとも呼ばれています。この特徴的な色の元は、ポリフェノールの一種「アントシアニン」という色素です。葉っぱや軸の内側は白いので、切り口の色のコントラストが鮮やかでサラダやマリネにおすすめ。
アントシアニンは抗酸化作用があり、体のサビを取り除く成分です。美容と健康によいので、苗を買ってぜひ育ててみましょう。
とんがりキャベツ
タケノコのように先がとんがっているキャベツです。1kgほどの小型サイズなので、プランター栽培に最適です。植え付け後、約50日という短期間で収穫できるキャベツ。
よくある疑問&質問
キャベツを育てるときに聞かれる疑問や質問をまとめました。
キャベツが巻かないのはなぜ?
キャベツが結球しない理由は幾つかあります。育てる時は、下記の点に気をつけましょう。
- 植え付け時期が遅い⇒栽培暦を参考に、適期に植え付けをしよう
- 肥料不足⇒土作りの時に肥料を施し、追肥も最低2回行う
- 日照不足⇒キャベツ栽培は太陽の光が不可欠。日当たりの良い場所で育てよう
- 水やり⇒適度に水をあげる。多湿・乾燥のしすぎに注意
球が割れる
キャベツは内側から外側に生長します。収穫が遅れると、内側から外側に向かう圧力に耐えられなくなって球が裂けることがあります。
球が割れると空気に触れて酸化するため、腐りやすくなり味も落ちます。収穫時期を逃さないようにしましょう。
失敗しないキャベツ栽培<まとめ>
ビタミンが豊富で食物繊維を多く含むキャベツは、美容と健康のためにも毎日摂りたい野菜です。そんなキャベツを家庭で育て、家族みんなでおいしくいただきましょう!
自分で育てたキャベツは、スーパーで買ったものとひと味もふた味も違うはずです。ぜひポイントを押さえ、楽しく栽培してください。
- 日当たりを好み、適応な正育成温度は20℃以下
- 植え付け前に栄養満点な土作りをしよう
- 苗と苗の間は30~40cm
- 害虫は早めに駆除!
- 追肥は最低2回、忘れずに与える
- 2度目の追肥時に土寄せしよう
- 収穫時期を逃さない