ラディッシュは「二十日大根」の別名を持つ大根の仲間です。白やグリーンの野菜が多い中、赤くてコロっとしたビジュアルは料理のアクセントになりますね。
その小ささ故に栽培スペースもとりませんから、ベランダや室内で手軽に育てられます。丸くなった実だけでなく、葉まで美味しく食べられますから捨てるところはありませんよ。
この記事ではラディッシュの育て方をわかりやすくご紹介します。初心者がつまづきやすい失敗例も挙げていますから、是非参考にしてください。
初心者でも育てやすい理由
二十日大根という名前の由来は種まきから20日程度で収穫できるからです。実際にはもう少し長く30~40日ほどかかりますが、それでも短期間で収穫できるのは魅力ですね。
真夏と真冬を避ければ1年中栽培可能で、病気や害虫にも強いですから初心者でも簡単に育てられます。庭が無くてもプランターや鉢を使って栽培できますから、ベランダや室内のちょっとしたスペースで楽しめますよ。
牛乳パックでも栽培できる
牛乳パック栽培という言葉をご存知でしょうか?わざわざプランターを用意しなくても、飲み終わった牛乳パックで代用できるんです。
よく洗った牛乳パックの注ぎ口をテープなどでしっかり塞ぎ、側面を切り抜きます。排水用の穴を開け、土を入れれば立派なミニプランターの完成です。
食べることが目的というより、育てる過程を楽しむのにピッタリですね。お子さんと一緒に手軽に食育が楽しめますよ。
栽培キットもおすすめ
種はもちろん、プランターや土がセットになっている栽培キットも便利です。窓辺のグリーンとしても楽しめますね。
ラディッシュの栽培時期
ラディッシュは種まきから栽培がスタートします。初心者なら春か秋に種まきをするのがおすすめです。
春なら4~5月に種をまき、収穫は5~6月。3月に種をまいても問題ありませんが、気温が低いと収穫まで時間が掛かるかもしれません。
秋なら9~10月頃が良いでしょう。寒さには弱いですから、本格的な冬を前に収穫します。
ラディッシュの栽培環境
ラディッシュは日光を好み多湿を嫌います。日当たりと風通しの良い場所を確保しましょう。
生育温度は15~20℃です。人にとって過ごしやすい温度がラディッシュの生育にも適しています。
菜園やベランダでも栽培できますが、室内でもしっかり育ちます。成長の様子が間近で見れる分、管理も行き届きますね。
ラディッシュの株はそれほど大きくなりませんから、プランターで育てる場合は一般的な大きさのもので問題ありません。20cm×40cmの小型プランターなら20個ほどの収穫が見込めますよ。
ちょっと大きめの植木鉢でも十分栽培できます。
室内で栽培する時の注意点
室内で栽培する場合は日当たりはもちろん、通気に配慮しましょう。日中はベランダなどに出しておくのもおすすめです。
乾燥には強いですがエアコンなどの風が当たる場所では苗が弱ってしまいます。自然に近い状態で育ててあげましょう。
ラディッシュの育て方
ラディッシュはサラダはもちろん、茹でても焼いてもおいしくいただけるのが嬉しいですね。
ラディッシュの育て方を手順に沿ってご紹介しましょう。
土作り
プランターで栽培するなら市販の野菜用培養土を使いましょう。
畑で栽培する場合は、種まきの2週間前に苦土石灰(くどせっかい)を土に混ぜよく耕します。野菜の多くは酸性の土壌を嫌うため、石灰でアルカリ性に傾け発育の良い土質にしておきます。
1週間後、堆肥や元肥(有機肥料)を土にまき、よく馴染ませましょう。
種まき
ラディッシュの種は「すじまき」でまきます。
土に棒やスコップの先端で筋(まき溝)を入れ、1~2cm間隔で種をまきます。軽く土を被せたらたっぷり水をあげましょう。
畑の場合は前もって幅30~40cm高さ10cmの畝(うね)を作っておきます。まき溝の間隔を10~15cmほどあけてバランス良くまきましょう。
プランターでも2列は植えられますね。
発芽日数
初めての植物を育てる時、一番緊張するのが発芽の有無ですね。
ラディッシュの発芽日数は2~5日です。可愛らしい双葉が芽吹きますよ。
気温が暖かく安定していれば2日で芽が出ることも。早い段階で発芽してくれるので、モチベーションを維持したまま収穫に向かいます。
水やり
発芽するまでは乾燥させないように注意が必要です。気温が上がり始める午前中にたっぷり水やりをしましょう。
発芽後は土が乾いたタイミングでたっぷり水を与えます。乾燥気味で育てると実が固くなり、水分が多いと株が大きく育たない可能性があります。
間引き(間引き菜を食べる方法)
ラディッシュは収穫までに2回間引きをします。
1回目は発芽が揃った頃。混みあっているところや明らかに成長が遅い芽、弱っている芽を間引きます。
2回目は本葉が3~4枚になった頃、1回目と同様に間引きながら株の間隔を4~5cmにします。間引いた後は株元が緩むため土を寄せて整えましょう。
間引き菜の食べ方
間引き菜を捨ててしまっては勿体ないですよ。柔らかいので生でも美味しくいただけます。
1回目の間引き菜はカイワレ大根と同じようにして食べます。2回目の間引き菜もサラダや塩もみにしてみましょう。
追肥
短期間で収穫できるため基本的には元肥のみで栽培します。ただし株の生育状態が悪い場合は速効性のある化成肥料や液肥を適量与えましょう。
不必要に追肥してもアブラムシが寄り付いてしまいますから注意が必要です。
収穫方法
直径が2~4cmほどになれば収穫できます。成長してくると土から根元部分が浮き始めますから、抜かなくても大体の成長度合いは分かるでしょう。
株元の葉をまとめて持ち、付け根からゆっくり引き抜きます。虫がついている可能性もありますから、収穫したら流水でしっかり洗いましょう。
ラディッシュは連作できる?
ラディッシュは連作できません。連作しても生育不良や病害虫の被害にあうリスクが高まります。
1~2年は間隔をあけて栽培しましょう。
注意したい病害虫
病害虫には強いラディッシュですが、栽培環境や間違ったお世話によって病気になることもあります。かかりやすい病気とつきやすい虫をチェックしておきましょう。
ラディッシュがかかりやすい病気
- 白さび病・・・葉や茎に白くぷっくりとした斑点が現れます。
- 立枯病(たちがれびょう)・・・株元の茎や根が弱り枯れてしまいます。
- 軟腐病(なんぷびょう)・・・細菌が原因で腐り悪臭を放ちます。
カビを始めとする細菌が原因で発生する病気が多く、水はけの悪さや間引き不足による蒸れなどが発端となります。病気を見つけたら株ごと抜き取り、早めに対処しましょう。
ラディッシュにつきやすい虫
- アオムシ・・・主にモンシロチョウの幼虫が葉を食べます。
- アブラムシ・・・葉裏について養分を吸い取ります。
- ダイコンハムシ・・・1cmに満たない黒く小さな虫が葉を食べます。
外で栽培する場合、完全に虫を防ぐのは難しいですが株のそばに雑草が生えていたり、近くに水たまりがあると虫が寄り付きやすくなります。
通気性を良くすれば虫も居心地が悪く、ついた虫も見つけやすくなりますね。害虫対策は見つけたらすぐに駆除するのが鉄則です。
繰り返し虫がつくなら安全性の高い防虫剤を使っても良いでしょう。
ラディッシュ栽培の失敗例
簡単に栽培できると思っていたら芽が出なかったり、大きくならなかったりと思うように栽培できず戸惑うこともあるかもしれません。
失敗するにも理由があります。失敗例を参考にして対処法を確認しましょう。
なかなか芽が出ない
考えられる理由は2つあります。
- 水の与え方
- 土の状態
種まき後は十分な水分が必要です。土が乾いてしまうと発芽が遅れてしまいますから毎日しっかり水やりをしましょう。
またラディッシュの種は小さく軽いですから、勢いよく水を与えると外に流出してしまう可能性があります。発芽するまでは土の近くから丁寧に水をあげましょう。
土を使い回している場合は中に虫がいる可能性もあります。虫が種を食べてしまったために発芽しないこともありますから、土の管理にも注意が必要ですね。
実がつかない・大きくならない
収穫予定日が過ぎても株元に実ができなかったり、赤い実は出来始めても一向に大きくならない場合は、栽培途中の「間引き」が足りなかったのかもしれません。
栄養が分散され、隣合う株との間隔が狭いために大きくなれなかったのでしょう。
またラディッシュのように地中深くまで根を張らない野菜は、土の表面に根を伸ばす場合があります。そうなると栄養不足になり実が育ちません。
表面に出てしまった根に被せるように土を盛る「増し土」をして対処しましょう。プランターに十分な土があれば、根や実を傷つけないようにそっと奥に押し込んでも問題ありません。
収穫時に割れている
収穫した作物が割れている現象を「裂根(れつこん)」と言います。ラディッシュに限らず大根やにんじんといった根菜類に見られます。
原因は収穫の遅れ。収穫が遅れてしまうと実が割れてしまったり、割れなかったとしても実がスカスカになってしまいます。
収穫時期になると実が太り、株が少し浮き上がりますからそのサインを見逃さないようにしましょう。
ラディッシュの栽培・育て方のまとめ
ラディッシュは栽培期間も短くお世話も簡単ですから初心者でも育てやすい野菜です。
栽培のポイントは水やりと間引きでしょう。発芽するまでは乾燥させないように水を与え、その後の間引きが株の成長を左右します。
収穫後の実だけでなく、葉はもちろん間引き菜まで美味しくいただけますから家庭菜園の醍醐味が味わえますよ。