清々しく爽やかな強い芳香が特徴的なローズマリーは、料理はもちろん、クラフトの材料にも利用されています。
丈夫な性質のため、初心者にもおすすめのハーブです。今回はローズマリーの栽培方法や育て方のコツ、種類や剪定などについてご紹介していきます。
ローズマリーについて
ローズマリーは地中海沿岸地方原産の、シソ科マンネンロウ科に属する植物です。一年中緑色の葉が茂り、木の背丈が低い常緑低木(じょうりょくていぼく)なので、年中フレッシュな葉を摘み取ることが可能です。
地面を這うように成長していく種類もあるため、雑草対策に使用されることもあります。生垣にするとオシャレな外観になりますよ。
ローズマリーの栽培方法
初心者には手軽な苗植えがおすすめです。植え付けは春、または秋に行います。露地栽培や鉢植えでも育成可能です。
ローズマリーは日光を好み、多湿を嫌います。日当たりが良好な場所や風通しが良い場所で、乾燥気味に育てましょう。
露地栽培の場合は斜面に植え付けたり、周囲の地表面より高く植え付けるとよく生育します。
ローズマリーは耐寒性(露地栽培でも十分冬越しできる性質)がありますが、‐5℃以下の寒冷地で冬越しする場合は鉢植えにし、軒下などに移動してあげましょう。
霜にあたると簡単に枯れてしまいますよ。
ローズマリーの種類・成長タイプ
ローズマリーは成長タイプが3つに分けられます。初心者の場合は栽培スペースをとらない立性タイプがおすすめです。
植え付けたい場所・成長していく姿などをイメージしながら、お好みのローズマリーを選んでくださいね。
- 立性…枝が上方向に成長していくタイプ。大きいもので、高さ2mに及ぶことも。
- ほふく性…高さ30cmと低木で、地面を這うように成長していきます。
- 半ほふく性…立性とほふく性を混ぜたようなタイプで、上にも横にも広がり成長していきます。
ローズマリー/マンネンロウ【立性】
最も一般的、原種のローズマリーです。高さも広がりも約1mほどで、春先~初夏まで淡い青色の小さな花が咲きます。料理・観賞用など、幅広く利用可能です。
トスカナブルーローズマリー【立性】
イタリアのトスカーナ地方で発見された品種で、比較的成長や収穫後の生育も早く、お料理におすすめです。
秋~春に薄紫色の可愛らしい花を咲かせ、形よく成長するため、生垣に植え付けるのも良いですね。
アープローズマリー【立性】
可愛らしいブルーの花を咲かせる、耐寒性の強い品種です。マイナス20℃まで耐えられると言われているため、寒冷地での栽培におすすめです。
ローズマリーカプリ【半ほふく性】
高さ約1mまで広がる半ほふく性なので、1年中ガーデンで緑を保つ低木に最適です。葉をつぶすととても良い香りがするため、乾燥させてポプリを作るのもおすすめです。
プロストラータスブルー【ほふく性】
耐寒性や耐暑性に優れた品種です。草丈が20~60cmの低木なので、玄関アプローチや庭の前方、石垣周辺の植え付けがおすすめ。
土の配合と準備物
鉢植えの場合、直径30cmの10号鉢を準備しましょう。プランターを利用する場合は、直径20~30cm×深さ20~30cm、容量15~20Lのものを準備します。
上記の容器に1株と考えてください。土はハーブ用の土か、野菜用培養土を利用しましょう。容器内部の底に敷く鉢底ネットと鉢底石も準備しておきましょう。
露地栽培の場合は、日当たりと風通しが良い場所や、あまり加湿でない場所に植え付けます。斜面や、囲の地表面より高い位置に植え付けると育成が良くなります。
あらかじめ腐葉土(葉が腐敗してできた土)や、堆肥(土壌改良資材)をまいて、スコップなどでしっかりと混ぜ込んでおきましょう。水はけが悪い場合は、市販の川砂を利用してもOKです。
苗の植え付けと摘心
草丈が10cm程度の苗を植え付けましょう。
鉢植えの場合
容器の底に鉢底ネットを入れ、鉢底石を敷き詰めておきます。ハーブ用の土か培養土を入れた容器に、ポリポットから取り出した苗を植え付けます。
植え付け後は、たっぷりと水やりをしましょう。植え付けの3週間後に、株元に化成肥料(科学的工程で粒状に加工した肥料)をまきましょう。
植え付けの1か月後、立性の品種は枝数を増やすため、主枝の先端をハサミで切りとって摘心してください。
地植えの場合
スコップでポリポットと同じくらいの大きさの植え穴を掘ります。ポットから優しく苗を取り出して植え付けましょう。
植え付け後は水やりを行います。植え付けの1か月後、立性の品種は鉢植え栽培と同じように、主枝の先端をハサミで切りとって摘心しましょう。
栽培管理方法
追肥
ローズマリーはあまり肥料を必要としない植物です。追肥する場合は、苗の定植時に効果が持続する化成肥料をまいておきます。
成長が気になる場合は、春と秋頃に10日に1回のペースで液肥を与えてあげると良いでしょう。
頻繁に追肥するとローズマリーの根が肥料やけを起こすことがありますので、注意してくださいね。
水やり
ローズマリーは多湿を嫌います。鉢植えの場合は土が乾燥しやすいため、土表面が乾燥していたらジョウロのハス口を下向きにし、株元に優しくたっぷりと水やりをします。
ローズマリーの葉に水をかけてしまうと水の雫がレンズのようになり、日光で葉が焼けてしまいます。
また、鉢の底に受け皿を置いている場合、受け皿に水をそのままにしておくと根腐れを起こしてしまいます。
必ず受け皿にたまった水は捨てるようにしてください。露地栽培の場合、水やりはほぼ不要です。
剪定
ローズマリーは、株の老化や木質化(組織が堅くなること)を防ぐため、剪定を行います。
花が枯れてから半月~1ヶ月の間に、花が枯れた部分+約2cmくらいの枝先を、剪定ばさみでカットしましょう。
株元に枯れ落ちた花や葉が溜まっていたら、取り除いておくと良いですね。その後の育成に影響が出ますので、株元付近を大胆にカットしたり、剪定をし過ぎないように注意してください。
収穫しよう
苗の側枝(主枝から出る脇根)が伸び、高さが30cmになれば、いつでも収穫が可能です。枝先から10~15cmの部分を園芸用ハサミなどを使って、切りとりましょう。
その後の育成について
株が大きくなり根が詰まってきたら、2~3年に一回は植え替えをしましょう。株より一回り大きな鉢と、新しい培養土で育成してください。
植え替えの適期は3~5月または10~11月頃が良いですね。夏や冬など、株が過ごしにくい時期には植え替えを行わないようにしましょう。
ローズマリーの使い方
ローズマリーのスッキリとした香りは、お肉の臭み消しに使えるので、肉料理の香りづけにも使用すると良いですよ。
ジャガイモと一緒にオーブンで焼く“ローズマリーポテト”も有名です。またローズマリーの枝先を収穫し、ポットの中に入れてお湯を注げば、ローズマリーティーを楽しめます。
クラフトでは、葉を乾燥させてアロマワックスバー(クローゼットやドアノブに吊るす、火を使わないアロマキャンドル)にしたり、リースにするのも良いですね。お友達へのプレゼントに、枝先を付けて渡すのもオシャレで素敵ですよ。
素朴な疑問Q&A
病害虫はつきますか
病害虫はほとんどつきませんが、手入れをせずに育成すると、うどんこ病にかかることがあります。
枯れた花を取り去ったり、定期的に剪定を行って風通しを良くして、うどんこ病を予防しましょう。
カイガラムシがつくこともありますので、剪定時にチェックを行い、見つけ次第歯ブラシなどを使って取り除きましょう。
しおれる原因は
原因は湿度にあると思います。水やりを適切に行いましたか?定期的な剪定は行いましたか?
湿度の高い環境では、ローズマリーは元気よく育ちません。梅雨時期など雨が頻繁に降る時期は、鉢植えの場合は軒下などに移動させましょう。
株が枯れた…復活方法は?
植え替えや、栽培環境などに問題があったようです。枯れ木部分の再生は望めません。ローズマリーは乾燥気味の環境で育成し、夏や冬に大胆な植え替えはしないようにしましょう。
水耕栽培はできますか
水と市販の植物活力剤を入れたコップに、枝先をカットした挿し穂をつけて管理しましょう。1ヶ月ほどで根が出てきますので、菜園や鉢に植え替えて育成しましょう。
栽培のまとめ
ローズマリーは日当たりや風通しの良い場所で、加湿気味にならないよう気を付けながら栽培することがポイントでした。
収穫を兼ねた剪定を行い、枝の風通しを良くしてあげましょう。何にでも万能なローズマリーを、ぜひご家庭でも栽培してみてくださいね。