オリーブの木は平和と繁栄の象徴とされ、最近は日本でも多くの品種を購入できるようになりました。見た目の美しさだけではなく、実や葉を様々な用途に使います。
今回は初心者でも簡単にできる、オリーブの栽培方法やオリーブの種類、剪定の仕方などについてご紹介します。
オリーブについて
オリーブは地中海沿岸地域原産の常緑樹です。インテリアとしても大人気で、一年中美しい緑色の葉が楽しめます。
オリーブの実は果肉を絞ってオリーブオイルにするのがおすすめです。ビタミンEやオレイン酸など、良質の栄養素が豊富に含まれています。
熱を加えても栄養素が壊れにくいので、炒め物や揚げ物にも最適です。実を塩漬けにしたり、葉を乾燥させてお茶としても楽しめます。
食品以外はオイルを美容化粧品にしたり、葉や枝をクラフトにしたりと、様々な形で利用できます。
オリーブの種類
オリーブの品種は世界中で千種を超えるとも言われています。日本で栽培されている主な品種はこちらです。
アルベキーナ
スペイン原産種で、果実は平均1.5gと小型。小さい果実が鈴なりにつき、緑の濃い小さな葉を元気いっぱいに付ける。
オイルを含んでいる量が多く、味は柔らかく繊細。フルーティーな甘い香りが特徴の高品質オイル。
ルッカ
イタリア原産種で、果実は平均2gと中型。原産地不明だがアメリカから導入され、寒さや病気に強く成長も早い。
四方八方に枝や葉を茂らせ、葉がねじれるなど少々曲者。果実はリンゴのようにフルーティーなオイルを豊富に含んでいる。
ネバディロブランコ
スペイン原産種で、果実は平均2~2.5gと中型。樹の皮や葉が黄緑色で美しく、観賞用として多く栽培されている。葉の数が多く、枝が密集するためトピアリーや生垣に向いている品種。
花粉が多いので、他の品種の受粉木に最適。実は縦長の形状で、すっきりとした味わいのオイルが楽しめる。
ミッション
アメリカ原産種で、果実は平均2.5~3gの中型。木がまっすぐ伸びるため管理しやすく、狭い場所でも栽培が可能。
寒さに強く、葉の裏の銀白色が濃く美しい。果実は先が少々とがった形をしており、少し辛みのあるオイルが豊富に採れる。
マンザニロ
スペイン原産種で果実は平均3~3.5gの中大型。果実加工用品種で、世界で最も多く栽培されている。
環境適応性があり、丸く柔らかい果実を多くつける。果実は塩漬けやオイル漬けにすると良い。
アザパ
チリ原産種で、果実は平均4.5~5gと大型。枝は大きくしだれたり、交差したりと自由に育つ傾向がある。丈夫で初心者にも育てやすい。果実は塩漬けやオイル漬けがおすすめ。
オリーブの栽培カレンダー
オリーブは日光が大好きで、温暖な気候を好みます。日当たりと風通しの良い場所で育てると、育成が良好になります。
夏は直射日光を避け、午前中の涼しい時間帯に2~3時間ほど日光に当ててください。寒い地域で栽培する場合は鉢植えにし、冬は霜に当たらない場所や室内に移動するなど工夫しましょう。
地植え栽培より鉢植えの方が若い樹齢で実を結びます。年中植え付けや植え替えが可能ですが、最も適した時期は3月中旬~5月中旬です。
剪定最適期は1~3月頃で、収穫時期は9~12月になります。オリーブは種から栽培もできますが、苗木を購入すると手早く簡単ですよ。
良い苗木の選び方
以下の点に気を付けて苗木を選びましょう。
- 枝が太くしっかりとしている
- 葉の色が濃くツヤがある
- 節間のバランスが良い
- 病害虫がついた跡がない
- ポットを触ると根鉢がよく張っている
オリーブの土の作り方
初心者はオリーブ専用の土を利用すると簡単で経済的です。自分で配合する場合、市販の硬質赤玉土・葉が腐敗してできた腐葉土・樹皮を発酵させたバーク堆肥・軽石・小粒の砂を混ぜて作ります。土壌に石灰を混ぜるのも効果的です。
オリーブの木の植え替え【鉢植え篇】
苗木を購入したらすぐに植え替えを行います。オリーブには美しいデザインの鉢や、実用性を重視するなら硬質ポリ素材のスリット鉢がおすすめです。鉢のサイズは苗木より一回り大きい物を選びましょう。
もともとオリーブが植えられていた鉢から苗木を取り出し、根の周りの土をもみほぐします。少々力を使いますので、フォークや割りばしを使用しても構いません。
根の先がバラバラになるくらいまでほぐしましょう。準備した鉢の底に鉢底ネットを敷いて、用土を鉢の3分の1まで入れます。排水性や保湿性に優れた土を使えば、鉢底石は必要ありません。
鉢に苗木を入れて、根の周りに土を足します。途中で両手を縦に入れ、隙間にもしっかりと土を足しましょう。
鉢の8分目まで用土を入れたら、仕上げに手で軽く土を押さえておきます。最後に鉢の底から流れ出るまで、たっぷりと水を与えましょう。
オリーブの木の植え替え【地植え篇】
植えたオリーブの高さが約5mの大きさになることを想定し、植える場所を決めましょう。日当たりや水はけのよい場所であるとなお良いです。
植える場所の半径約1mに『オリーブの土の作り方』で配合した土をまきます。そこにオリーブが入っていた鉢より一回り大きい穴を掘り、オリーブの根を入れ込みます。
オリーブの姿勢を決めながら配合土を戻して、苗木の周りの土を手で軽く押さえ付けてください。木の周りに水鉢を作り(クレーターの中に木があるとイメージ)、水が広範囲に流れ出ないようにします。
たっぷりと水やりをし、水が引いた後に根が見えた場合は、配合土を足してあげてください。
室内でのオリーブの育て方
オリーブ育成には日当たりがとても大事なので、窓際の明るい場所に置き、カーテン越しに日光を浴びせます。週に1度はベランダでたっぷりと日光浴させましょう。
室内でオリーブを育てているとホコリが付着しやすいので、定期的に木をシャワーで洗ってあげましょう。
オリーブの水やり
オリーブは水やりが少ないと育成が悪くなりますので、鉢植えの場合は特に水切れに注意してください。
鉢の土表面が乾い時、底から水が流れ出るまで水を与えます。冬~春にかけての結実期は水やりを忘れないようにしましょう。
地植えの場合、土の中に含まれている水分や雨の影響がありますので、特に水やりの必要はありません。植え付け時にしっかり水やりできていれば大丈夫。
しかし夏頃に新芽の先が垂れていたら、株元に水がたまるくらい水をやりましょう。室内栽培の水やりは、冬は1週間に1回、夏は2~3日に1回が目安です。
オリーブの追肥
オリーブは追肥をしないと実が付かないどころか葉の色が薄くなったり、木が弱くなります。鉢植えの場合、効果が持続するオリーブ専用置き肥を利用すると簡単です。
置き肥がない場合は、園芸店で販売されている有機質肥料や暖効性化成肥料を活用しましょう。追肥は年に3回です。
1回目は開花前の2~3月、2回目は花が散った後の6月頃、3回目は果実を収穫した後の10月頃です。地植えの場合は、有機石灰や苦土石灰をまくのが効果的です。
オリーブの剪定
定期的な剪定は枝や葉、実の育成に繋がります。まずは植え替え時に剪定を行います。
以下のような枝は思い切ってカットしましょう。
- 内側に生えている
- 下向きに生えている
- 枯れている
- 交差している
- 平行に生えている
- 同じところから多く出ている
大きな剪定は1~3月に行い、その後も様子を見ながらこまめに剪定します。風通しを良くすることも大事ですが、果実がつく枝をきちんと残しておきましょう。
オリーブの実を収穫しよう
9~12月に果実を収穫します。緑の果実は塩漬けに。濃い赤紫の完熟した果実はオイルに最適です。人差し指と中指で果実を1粒挟み、手のひらで包みます。
手のひらで果実をひねるように下に引っ張りもぎ取ります。何粒もいっぺんに取らないこと、また、果実を地面に落とさないよう注意しましょう。
素朴な疑問Q&A
オリーブの実を沢山つける方法を教えてください
ポイントは3つあります。1つは、2品種を近くに置いて育てることです。オリーブは受粉しにくい性質なので、開花時期が同じ2種を栽培すると実付きが良くなります。
2つ目は、新しく伸びた枝を剪定で刈り込まないこと。枝をバッサリ刈り込むと、果実をつける枝がなくなります。3つ目は、開花時(5~6月下旬)に雨に当てないことです。
雨で花が落ちると花粉が飛ばず、受粉ができません。鉢植えの場合、軒下に移動するなどし、花を濡らさないよう注意しましょう。
オリーブ栽培のまとめ
初心者でも簡単にできる、オリーブの栽培方法などについてご紹介しました。ご家庭に合った品種をチョイスして、オリーブの栽培をぜひ楽しんでみてくださいね。