家庭菜園・ハーブの栽培

【初心者】タイムの育て方・栽培(種まき・株分け・剪定)

タイムは芳香を持つハーブの一種で、丈夫で育てやすいのが特徴です。肉や魚の臭み消しをはじめ様々な料理のレシピに使われています。

乾燥気味の環境を好み、病害虫の心配が少ないので初心者の方でも比較的挑戦しやすいのも高ポイント。

年間を通して栽培でき、開花期には可愛らしい花がお庭を彩ってくれますよ。そこで今回はタイムの育て方を詳しくご紹介していきます。

タイムの基本情報

タイムはシソ科イブキジャコウソウ属の植物で、およそ350種以上が存在しています。日本で一般的に流通しているのは「コモンタイム」という品種です

肉や魚介類などの臭み消しや香り付けをはじめ、スープやシチューなどの洋風料理のレシピに用いられます。

タイムの品種ごとの違いは?育て方は簡単?

タイムの品種に注目してみると、「コモンタイム」と「クリーピングタイム」に分類されます。

コモンタイムで「立性」の性質を持つため、上に伸びるのが特徴です。クリーピングタイムは「ほふく性」という性質を持つため、地を這うように育ちます。

クリーピングタイムは高さが出ず、土を覆ってくれるのでガーデニングに最適。グランドカバーなどに人気があります。料理用として使うことはありません。

クリーピングタイムの育て方

  1. 日当たりと水はけの良い場所に4月中旬~6月下旬(春まき)、または9月中旬~下旬(秋まき)に種をまく。
  2. 土が乾いたら水を与え、発芽するのを待ちます。
  3. 本葉が数枚育ってきたら、3~5月もしくは9~10月に植え付けましょう。
  4. 開花期は4月~6月です。梅雨に入る前に根本近くまで切り戻し、蒸れを防いでいきます。

クリーピングタイムは-10度ほどまで耐えますが、霜がひどい時は藁などでガードしてください。

コモンタイムはグランドカバーに使える?

コモンタイムは立性の性質を持つため、土を覆う目的よりも少し高さを出したい場合に適しています。

グランドカバーに使えないこともありませんが、高さを抑えて効率良く土を覆いたいのであれば、ほふく性のクリーピングタイムの方が見た目も良くておすすめです。

庭の構成を考えつつ、品種を選び分けてみてください。

クリーピングタイムの一種「レイタータイム」

クリーピングタイムの一種であるレイタータイムは、グランドカバー向けに改良されたタイムです。

葉が小さくきれいな緑色をしているので、芝生の代わりに大活躍。挿し木でもしっかり根付く強さも持つのでコスパも良いです。

お庭をきれいに保ちつつ、香りを楽しみたい方はぜひチェックしてみてください。

栽培カレンダー

タイムは耐寒性・耐暑性がある常緑性の植物です。多湿に注意し、栽培カレンダーに沿うことでスムーズに栽培できます。

種まき:4月中旬~6月下旬(春まき)、または9月中旬~下旬(秋まき)

植え付け:3月~6月、9月~11月(真夏と真冬を除く時期)

挿し木・株分け:植え付けの時期と同じ

開花:4~6月

収穫:年間を通して可能

タイム(ハーブ)の育て方

タイムの育て方を順番に見ていきましょう。

土づくりと肥料

タイムは水はけの良い石灰質の土を好み、酸性の土地を苦手とします。地植えの場合は苗を植え付ける1~2週間前に庭の土を掘り上げ、石灰を混ぜ込んで寝かせておきます。

鉢植えであれば市販のハーブ専用培養土を用意してください。赤玉土7:腐葉土3の割合で混ぜた土でも良いです。

肥料は植え付けの際に混ぜ込むので緩効性の肥料を準備してください。ハーブ専用培養土の場合は、肥料が配合されていれば省いても良いです。

種まき

タイムは4~5月頃の「春まき」と9~10月頃の「秋まき」が可能です。平鉢を用意してハーブ専用培養土を入れ、種をまきます。

種は極めて小さくサラサラとしています。風で飛ばないようにスプーンなどで少量ずつ土に落としていきましょう。

発芽をするには十分な光を当てる必要があるので、土をかぶせなくても良いです。種が動かないように気を付けながら、霧吹きでたっぷりと水を与えましょう。

間引き

発芽して本葉が3~4枚ほど育つ頃、種によって生育の差が出てきます。隣同士が触れ合わない間隔が望ましいので、比較して勢いが良いものをピックアップしていきましょう

その後、草丈が5cmを超えたら鉢や花壇に植え付けてください。

植え付け

種まきや挿し木から育てた苗が5cmほどに育ったら、植え付けの目安です。真夏と真冬を避ければ時期を問わずに植え付けできます。

地植えの場合は、15cmほど土を盛り上げ、高畝(たかうね)をつくります。そこに25cmほどの間隔をあけて植え付けましょう。その後、たっぷり水を与えます。

鉢植えの場合は鉢の底にネットを敷き、鉢底石の上に土を入れます。苗を植えてたっぷりと水を与えてください。

プランターに並べて植える場合は、間隔を10cm以上あけましょう。

タイムはプランター栽培も可能。育て方は?

タイムはプランター栽培も可能です。プランターであれば夏の直射日光や急激な冬の寒さがあっても軒下や室内に入れられるメリットがあります。

プランターの場合は20cm~30cm程度のお好みのプランターを用意してください。

プランターでの育て方

  1. プランターの底に赤玉土7:腐葉土3もしくはハーブ専用培養土を入れる
  2. 10cm程度の間隔をあけて苗を植え付ける
  3. 土が乾いたらたっぷり水を与える
  4. 日当たりの良い場所に置き、真夏の直射日光や冬に霜があたる場合は軒下などに移動する

株分けや挿し木で増やそう

タイムをよりスムーズに育て始めるには、株分けや挿し木がおすすめです。真夏と真冬以外であればいつでもできるので、ぜひ挑戦してみてください。

株分けは、春先や秋に行います。株を掘り、手かはさみで分けましょう。

株が小さいと弱りやすいので、しっかり育った株から分けるのがおすすめです。これから育て始めるのであれば、タイムを育てている方に分けてもらうのも良いですね。

挿し木については根を出す必要があるので、手順に沿って試してみてください。

挿し木の手順

  1. 春か秋に木のように固くなっていない枝を10cmほどカットする
  2. 下の方に付いた葉を取り除き、吸水面積を広げるために切り口は斜めにカットしておく
  3. 1~2時間ほど水に浸けておき、もう一度切り口を斜めにカットしてバーミキュライトに挿す
  4. 水を切らさないようにし、カーテン越しの光が入る場所で管理する
  5. 根が出て本葉が数枚育った後は、培養土を入れた鉢やプランター、庭に植え付けましょう

日当たり

タイムは日当たりと風通しが良い場所を好む植物です。日陰でも栽培できますが、日当たりが良い方が葉の色が良好で元気に育ちます。

真夏の直射日光や長く雨が続く梅雨には、鉢植えであれば軒下に移動します。地植えであれば藁などでガードしておくと安心です。

水やり

タイムは乾燥した環境を好みます。露地植えでしっかり根付いている場合は水やりの必要はありません。

鉢植えの場合は、土の表面が完全に乾いてからたっぷり水を与えます。鉢底から流れ出るくらい水やりをし、鉢皿の中に水をためないようにしてください。

過湿によって株が弱ってしまう性質があるので、土が乾き切る前の水やりは禁物。水の与え過ぎに注意する必要があります。

土の乾き具合が良く分からない方には、土の中に少し指を入れたり、鉢を持ってみて土の重さで判断する方法がおすすめです。

追肥

タイムは肥料をそれほど必要としないので、控えめを心掛けます。与えすぎると香りが弱くなるので注意しましょう。

生育が良くない時は、3~7月、9~11月の真夏を避けた期間に薄めた液体肥料もしくは緩効性の固形肥料を与えます。

剪定

タイムは生長するごとに株がこんもりと茂ります。風通しが良い環境を好むので、株の中が蒸れないように対策をする必要があります。

具体的には、梅雨が来る前に全体の3分の1ほどに短く仕立てましょう。同じく冬の前にも刈り込んでおくと芽が綺麗に揃いますよ。

植え替え

鉢に対して株が大きく育ち、葉の色が黄色に枯れてきた時や根が鉢底から出てきた場合は植え替えをする必要があります。

3~4月もしくは9~10月にひと回り大きな鉢に植え替えましょう。なお、植え替えの際に株分けすることで複数に増やすことが可能です。

収穫

タイムは年間を通して収穫ができます。丈が10cmを超えたら、葉を数枚残して茎をカットしましょう。

ただし、冬期は株が弱りやすいので、やや控えめの収穫を心掛けてください。

タイムは水耕栽培もできる!

タイムは水耕栽培も可能です。室内でも土を持ち込まずに栽培できます。

水耕栽培の手順

  1. 苗の土を優しく取り除き、水耕栽培用の苗を準備
  2. 空のぺットボトルを3分の1の所で切り、飲み口が上の状態で重ねる
  3. 土台のペットボトルに溶液を3分の2ほど入れ、飲み口からフェルトを垂らして底につけます
  4. ハイドロボールを入れて①の苗を植え付けてましょう

タイムを地植えする際の注意点

地植えで育てる際の注意点は以下の通りです。

  • 料理用に使うのか、グランドカバーにしたいのかを考えて植える品種を選ぶ
  • 地植えはプランターと異なり簡単に移動ができないので、過度の暑さや寒さは藁などでガードする
  • 冬にたくさん収穫するなどの負担を掛けないようにする
  • 株が茂ってきたら剪定を施すなど蒸れなどのトラブルを取り除く

丈夫さが魅力ではありますが、地植えの場合は過ごしやすい環境を整えることが大切です。

病気・害虫の対策

タイムは害虫が付きにく、病気の心配も極めて少ない植物です。ハーブ初心者の方には嬉しいですね。

タイム栽培のまとめ

タイムの栽培についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。タイムは年間を通して収穫ができる丈夫なハーブです。

香り高く、食材の臭い消しや料理に使えるのはもちろん、乾燥させて保存することも可能です。鉢やプランター、露地栽培ができるタイムをぜひ育ててみてくださいね。