カモミールは、古くから薬草として使用されてきた伝統的な植物です。黄色い花芯に白い花びらがとても可愛らしく、リンゴのような爽やかな香りが特徴的です。
今回は初心者にもできる!カモミールの栽培方法や育て方のコツ、種類や収穫方法についてご紹介していきます。
カモミールについて
カモミールは、キク科ローマカミツレ属の植物で、和名はカミツレと言います。原産地はヨーロッパで、ドイツでは“お母さんのハーブ”として親しまれてきました。
イギリスでは、童話ピーターラビットのお話の中にも登場し、ロシアでは国花として用いられています。
生、または乾燥させた花からお茶を淹れ、ハーブティーを楽しむことができます。ハンカチなどの布製品の天然染料にも使用することもできますよ。
その他には入浴剤や石けんなどのスキンケア製品に使用したり、精油はアロマテラピー(心身の健康やリラクゼーション)にも用いられます。
カモミールの種類
カモミールと呼ばれる植物は複数ありますが、一般的に以下の2種類に分けることができます。
ジャーマンカモミール(ジャーマン種)
リンゴのような香りを持ち、古くから薬草として親しまれた品種です。枝分かれしながら約60cmの高さまで伸びていきます。
手で葉を揉むと甘い香りが楽しめるため、ハーブティーにするのがおすすめです。ジャーマンカモミールは一年草なので、梅雨前ごろには株が枯れて、栽培は終了します。
ジャーマンカモミールの園芸種:ダイヤーズカモミール・コシカギク・イエローカモミール・ゴールデンマーガレットetc
ローマンカモミール(ローマン種)
高さは約10cm、花をつけていない時は約30cmほどで、花期には約45cmに広がります。夏には、デイジーにそっくりの大きな花が見られますよ。
香りが良いためハーブティーに使用したいところですが、苦みが強くおすすめはできません。乾燥させて押し花やポプリにしたり、アロマオイルにして楽しむのが良いでしょう。
ローマンカモミールは多年草なので、複数年に渡って栽培を楽しめます。植え替えをしながら育てましょう。
ローマンカモミールの園芸種:ノンフラワーカモミール・ダブルフラワーカモミールetc
株間は?カモミールの栽培マニュアル~ジャーマン種~
ジャーマンカモミールもローマンカモミールも、苗から育てるのが簡単です。
ご家庭では苦みがないジャーマンカモミールの育成がおすすめなので、ここからはジャーマンカモミールの育成方法をご紹介します。
寒冷地…4月中旬~5月下旬の春植え
中間地…3月上旬~4月上旬の春植え・9月上旬~10月中旬の秋植え
暖地…2月下旬~3月下旬の春植え・9月中旬~10月下旬の秋植え
カモミールは、露地栽培もプランター栽培も可能です。日当たりと風通しの良い場所で育てましょう。
数株植え付ける際は、株間を30cmほどあけましょう。数列植え付ける場合は、列間を30~40cmとってください。
開花後は早めに収穫して陰干しします。カモミールは玉ねぎやキャベツとの相性が良く、コンパニオンプランツ(共栄作物)におすすめです。
カモミールの浸出液を苗木にシュッとスプレーすると、単黄色や赤色のカビの一種である立ち枯れ病を予防することもできます。
カモミールの土と準備物
プランターで育成する際は、直径20~30cm×深さ20~30cmの、容量15~20Lのものを準備します。この容器に1株植え付けると考えてください。
土は市販のハーブ用土か、野菜用培養土を利用すると簡単です。プランターの底に敷く鉢底石や鉢底ネットも準備しておきましょう。
露地栽培の場合は、水はけが良い場所に苗を植え付けます。苗植えの2週間前に、植え付け場所に深さ30cmほどの植え穴を掘り、土を掘り起こします。
掘り上げた土に対して、約3割の腐葉土(葉が腐敗してできた土)と、約1割の化成肥料(科学的方法で粒状に加工された肥料)を混ぜます。そこに50~100gの苦土石灰も混ぜて、土を2週間寝かせておきましょう。
苗を植え付けよう
プランターの場合
プランターの底に鉢底ネットを敷き、鉢底石を敷き詰めます。プランターの中にハーブ用土か野菜用培養土を、8分目の高さまで入れましょう。
苗が入っているポリポットと同じ大きさの穴をプランターの中心部に掘り、優しく苗を植え付けます。植え付けたらたっぷりと水やりをしてください。
露地栽培の場合
土作りを済ませた菜園に、30cmの間隔をあけて、ポリポットと同じ大きさの植え穴を掘ります。
植え穴に、ジョウロで水を注いでから苗を植え付けます。植え付けが終わったら、再びたっぷりと水を与えましょう。
栽培管理について
水やり
カモミールは乾燥に強い植物です。プランター栽培の場合は、土が乾いたらたっぷりと水をやるようにします。
容器の底から水が流れ出るくらいがポイントです。露地栽培の場合は、植え付け時の水やりのみでOKです。その後の水やりは不要になります。
追肥
プランター栽培の場合は、1ヶ月に1回、株元に化成肥料を10g追肥します。露地栽培の場合は、植え付けから1ヶ月後に化成肥料を30gほどまいて、株元に土寄せをしてあげましょう。
切り戻し
カモミールは湿気に弱いため、通気性良く育てましょう。カモミールの脇芽の成長を促したり、花芽を増やすためにも、切り戻しを行います。
葉っぱ同士が重なり、茎が混雑している部分は、園芸ばさみなどで茎や葉を切り取ってあげてください。
カモミールを収穫しよう
寒冷地の場合6月下旬~8月中旬、中間地の場合は3月下旬~7月上旬、暖地の場合は3月下旬~6月下旬で収穫が可能になります。
カモミールの花は次々に開花しますので、花の中心部である花芯(黄色い部分)が盛り上がってこないうちに、花首から摘み取って収穫しましょう。とり遅れると香りが落ちてしまいますよ。
摘みとった花は洗ってザルなどに広げて、カラカラに乾燥させてください。ジャーマン種は一年草のため、株が枯れたら栽培は終了します。
カモミールの病害虫
カモミールにはアブラムシがつくことがあります。綿棒でなぞって潰すか、飲み終わった牛乳パックに水を入れて、スプレーで噴射すると効果的です。
牛乳スプレーはそのまま放置すると悪臭が漂ってしまうため、牛乳の膜が張り、乾燥したら水で流しましょう。
素朴な疑問Q&A
花が咲かないのですが
日当たりの良い場所に植えましたか?カモミール栽培には日当たりが大切です。(直射日光はNG!)花芽を増やすために、葉や茎が混みあっている場所は切り戻しを行ってあげましょう。
種から育てたいのですが、発芽するまでどれくらいかかりますか
種まきから約2週間で発芽します。カモミールは発芽に光が必要な植物なので、種まき後はふるいなどを使用して、ごく薄めに土をかぶせてください。
カモミールが育たないのですが
土の水はけは良いですか?通気性や保水性の悪い土で育てると、根の働きは弱まります。根の働きが弱ってしまうと、植物は元気に育たなくなりますよ。土作りの章を参考にし、もう一度植え付けを行ってみましょう。
オレンジカモミールの育て方を教えてください
オレンジカモミールは多年草(数年に渡り栽培可能)なので、ローマン種と同じ栽培方法ですね。
種まきは一般的に3~6月頃に行います。お住まいの地域によって多少時期が異なりますので、種袋を確認すると良いですね。
植え付け方はジャーマン種と一緒ですが、ローマン種は植え付けを行った翌年以降に植え替えが必要です。
半年~1年に1回、株より一回り大きな鉢に植え替えましょう。日当たりが良く、風通しの良い場所で育てましょう。
夏の暑い時期に、朝のみ日が当たる場所や直射日光が当たらない場所だと、なお良いですね。
蒸れに注意し、切り戻しを行いながら育てます。染料に使用したり、ドライフラワーのアレンジメントにして楽しみましょう。
カモミール栽培のまとめ
カモミールの栽培方法や育て方のコツ、種類や収穫方法についてご紹介しましたが、皆さんいかがでしたか?
日当たりと風通しの良い場所で育て、プランター栽培は土が乾燥したら水をやることがポイントでした。
収穫は、花芯が盛り上がる前に行いましょう。可愛くて香りの良いカモミールを、ぜひご家庭でも栽培してみてくださいね。