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家庭菜園の虫除けスプレーの作り方(簡単)

家庭菜園は育てる楽しみと収穫する楽しみがあり、季節ごとにいろいろな野菜が作れます。大きな庭がなくてもプランターで簡単に栽培できるのも人気の理由ですね。

でも植物を育てているとどうしても避けられないのが「害虫」の存在。家庭菜園初心者の方は知識はあっても実際に虫を目にするとギョっとしてしまうかもしれません。

覚悟は出来ていても実際に自分が育てた野菜につくとなると、その対策に戸惑ってしまうのではないでしょうか?

この記事では家庭菜園の虫除け対策と、農薬を使わない天然成分で出来る虫除けスプレーの作り方をご紹介します。

「家庭菜園で安全な野菜を作りたい」「小さな子やペットがいるので農薬は避けたい」という方は是非参考にしてみてください。

家庭菜園・プランターの防虫対策法

家庭菜園の虫除けには大きく分けて3つの対策法があります。

  • 防虫剤(虫除けスプレー)
  • 防虫ネット
  • コンパニオンプランツの活用

どれも野菜や葉に虫がつく前に対処するのがポイントです。人や植物に害なく虫を寄せ付けませんから、安心して使えますね。

虫除けスプレーは成長とともに数回吹きかけて使います。防虫ネットは苗の段階から、コンパニオンプランツも植えつけの時に意識しておくと虫対策になりますよ。

コンパニオンプランツとは?

コンパニオンプランツとは、互いに良い影響を与え成長を助け合う2種類以上の植物のことです。違う植物を隣り合わせて育てることで、病気や害虫予防などといった相乗効果が得られます。

家庭菜園におすすめの防虫剤とは?

「虫が食べるほどおいしい」とは言っても、やはり虫食い跡のある野菜を食べるのは抵抗がありますね。防虫剤ならサッとスプレーするだけで対策になりますから手軽です。

ただ問題は使われている成分。ケミカルなものは家の庭やベランダに持ち込みたくはありませんから、安全なものを選びたいですね。

目指すは無農薬。安心なオーガニック野菜を作りましょう。まずは農薬を使う危険性を確認し、家庭菜園用に簡単に作れる防虫スプレーをご紹介します。

農薬の危険性

農薬は農作物を守るための薬です。でも病気や害虫から助けてくれる反面、化学物質による影響は心配です。

それでも日本で認可されている農薬は環境や人体への影響が確認された安全なもの。正しく使えば何も問題はありません

とはいえ家庭菜園であれば出来る限り安全性を確保したいですから、無農薬へのこだわりも強くなるでしょう。

虫や病気に負けない強い作物を作るのが理想ですが、いざという時にピンポイントで使うのも得策です。

  • 農林水産省登録番号を確認し認可を受けた安全なものを購入する
  • 近所や風向きに配慮して使用する
  • 使用前にラベルを確認し正しく使う
  • 使用方法を守らなければ健康被害の可能性がある
  • マスク着用の必要がある農薬はしっかり防護し誤って吸い込まないようにする
  • 使い切れない場合は保管方法・処分方法を確認して対処する
農林水産省登録番号とは

「農薬取締法」に基づき国産・輸入問わず、日本で販売される全ての農薬が対象となり、厳しい検査に合格したものにだけ与えられます。つまりこの番号が表記されているものは安全性が確認されたという証です。農薬の毒性、土や作物への残留性も細かくチェックされていますから、安全性の判断基準となります。

木酢液は失効農薬

園芸店でもよく見られ、防虫に効果があることで知られる木酢液(もくさくえき)。実は木酢液は“失効農薬”だということをご存知ですか?

失効農薬とは、販売の減少や新しい農薬の開発によって登録が失効した農薬のことです。

木酢液の製造方法や使用する樹木の種類によっては、入の粘膜を刺激するホルムアルデヒドなど、人体に何らかの影響を及ぼす有害物質が含まれている場合もあります

安全性の保証も特にされていないため、木酢液を使用しての防虫スプレー作りはあまりおすすめはできません。

家庭菜園向け虫除けスプレーは手作りできる

農薬に抵抗がある方は天然成分で虫除けをしましょう。無農薬の防虫剤もホームセンターなどで市販されていますが、使い続ければ結構なコスト負担になります。

安心・安全な虫除けスプレーは家にあるもので手作りできます。万一口に触れたとしても全く心配のない成分ですから、小さなお子様やペットがいるご家庭には持ってこいですよ。

材料となるのは「」「唐辛子」「ニンニク」それに「ハーブ」。

私達にはお馴染みのものでも虫にとっては近づきたくない成分。キッチンにあるものを使って上手に虫除けをしましょう。

手作り!天然成分の虫除けスプレーの作り方


料理のスパイスや調味料として常備していることの多い食材の虫除け効果を確認してみましょう。


酢には抗菌・殺菌作用があります。防虫効果のみならず、病原菌対策としても効果的ですから、家庭菜園にも使いやすいでしょう。ただしお酢をかけ過ぎるのは逆効果となり、植物を傷めてしまいますから注意しましょう。

唐辛子
唐辛子は昔から防虫対策として重宝されてきました。身近なところでは米びつや衣装ケースなどにも使えます。唐辛子に含まれる成分は水には溶けにくく、アルコールや油に溶けやすい性質があり、抽出された成分には抗菌効果もあります。

ニンニク
ニンニクは土の中でも根から殺虫成分が出ているほどで、その実や皮をすりつぶせば殺虫剤が作れます。ニンニクの実を1片植物のそばに置くだけでも病原菌対策や防虫対策になります。

ハーブ
私達にはリラックス出来る心地よい香りでも、虫には忌避効果があります。家庭菜園の虫除けだけでなく、自分の肌を守るためにも使えます。エッセンススプレーを作っても良いですし、虫を寄せ付けたくない場所に直接植えても効果があります

酢・唐辛子・ニンニクで作る虫除けスプレー

簡単にできる、手作り虫除けスプレーの作り方をご紹介します。

用意するもの
  • 酢(米酢)・・・・・500ml
  • 唐辛子(鷹の爪)・・・10本程度
  • ニンニク・・・・・1~3片
  • 深めの蓋付き容器
  • スプレー容器

作り方はこれらの材料を合わせるだけ。唐辛子はヘタと種を取り除き、ニンニクは皮をむいて包丁で押しつぶすと高い防虫成分が抽出されます。約1ヶ月ほど常温で寝かせてから使いましょう。

使用する際はスプレー容器に移し替えますが、必ず水で3~10倍に薄めます原液のままでは成分が強過ぎるため、植物自体を傷めてしまいます。葉の表面だけでなく、虫がつきやすい裏側や土にもスプレーしましょう。

ベランダOK!ハーブで作る虫除けスプレー

ハーブを使って虫除けスプレーを作る場合は、水を入れた鍋でハーブを適量煮出せば完成します。面倒ならハーブを乾燥させたポプリをネット状の袋に入れて置いておくだけでも効果があります。

食品にもある虫除け効果

牛乳も虫除けに有効

「乾燥すると収縮する」という牛乳の膜が持つ性質を利用して、アブラムシを窒息死させるという駆除方法です。

飲み終わった牛乳パックに水を注いだら、霧吹き容器に入れ替えて植物全体に吹きかけましょう。

ただ牛乳水は吹きかけたまましておくと独特の悪臭を放つため、牛乳膜が張り、乾燥したら水で優しく洗い流しましょう。よく晴れた日の午前中や、風通しが良い場所でスプレーすると良いですね。

コーヒーにも虫除け効果がある

カフェイン成分を嫌う害虫もいるため、コーヒーも虫除けの効果が期待できます。ドリップ後のコーヒーの残りかすを乾燥させ、菜園やプランターの土にまきましょう。

ポイントは根の近くにまかないことと、少量にしておくことです。コーヒーの持つポリフェノールには、植物の成長を抑制させてしまう効果があるため気を付けましょう。

虫除けネットの選び方と使い方

まだ虫がつかない内に虫除けネットで防護するのも対策のひとつです。植物自体の力でしっかりと成長させることができ、太陽光や風も通すので便利ですね。ネットを購入する場合は、避けたい害虫に見合う適切なものを購入しましょう。

虫除けネットの選び方

ポイントは目合い(網目の細かさ)です。避けたい虫のサイズよりも小さい目のものを選びましょう。

アオムシやヨウトムシ類なら1.0mm、アブラムシなら0.8mmと、育てている野菜につきやすい虫に合わせてサイズを選びましょう

虫除けネットの使い方

広い畑の畝(うね)に沿って虫除けネットを張るのは大変ですが、家庭菜園であれば範囲が限られる分扱いやすいでしょう。

庭に直接張ったりプランターに隙間なく覆ったり、家庭菜園用にコンパクトなものがたくさん市販されています。

庭での使用法
庭の菜園に虫除けネットを張る場合は、支柱をアーチ状に挿してその上にネットを被せます。裾部分にはしっかりと土を乗せ、隙間を作らないようにしましょう。さらにネットの上から支柱を数本挿して押さえます。ネットと支柱を固定する固定具(パッカー)を使えば少々の風でも飛ばされることはありません。

プランターでの使用法
プランターの場合も庭での使用法と基本的には変わりありません。あらかじめ支柱とネットがセットになっていたり、コンパクトサイズに合わせてただ被せるだけの袋状のネットも市販されています。すそ部分にはゴムや紐などが通してあるので、初心者でも取り付けが簡単です。

コンパニオンプランツとしておすすめの植物(花・ハーブ)

ローズマリー

ローズマリーはツンとくる刺激的な芳香を持っています。料理はもちろん、クラフトやアロマテラピーでも大人気です。野菜のそばに植えると青虫からの食害を防ぐことができます。

ミント

ミントはスッと清涼感のある香りが特徴的で、ハーブティーや料理など様々な用途に使用できます。

ミントには、アブラナ科であるキャベツやブロッコリーを好む蛾やモンシロチョウなどを予防する効果があります。ハエや蚊、ノミなどを避ける働きも持っています。

マリーゴールド

マリーゴールドは黄・赤・オレンジ・白など、鮮やかでボリュームのある花を長期間咲かせてくれます。葉の部分に独特な香りがあるため、虫を寄せ付けない効果があります。

根の部分は土の中にいるセンチュウ(肉眼での確認が不可能なサイズの吸汁性害虫)を避ける働きを持っています。

バジル

フレッシュな葉は、パスタやピザなどのイタリア料理に欠かせません。バジルにはトマトやキュウリなどのアブラムシ駆除や、青虫の予防に効果があります。

ハッカ

全体に芳香を持っているハッカの葉には、爽快な香味のメントールが多く含まれています。蚊やカメムシ、ゴキブリなどがこの香りを嫌います。

ニーム

近年注目されている薬木のニームは、インドやバングラディシュなど南アジアに生育する熱帯常緑樹です。

ニームにはアザディラクチンという成分があり、クモやアリ、ムカデなどの不快害虫を寄せ付けにくくする効果があります。

【野菜別】コンパニオンプランツとの相性・病害虫の種類

トマト×バジル

トマトにつきやすいアブラムシやアオムシを予防する効果があり、トマトの甘みを更に高めてくれる効果があります。

キュウリ×ラディッシュ

キュウリにつくウリハムシは、ラディッシュの香りを嫌う性質があります。根を浅く張るキュウリの乾燥防止に、ラディッシュが役立ちます。

ナス×パセリ

セリ科の植物であるパセリの独特の香りは、ナスにつく害虫を防ぐことができます。

パセリは余分な水分を吸収する働きがあるため、ナスの株元に植えると、水分の吸収量を安定させてくれる働きがあります。

ゴーヤ×ニラ

ゴーヤとネギを隣同士で育成すると、互いの根が活性化され育成が良好になります。土中の微生物が老廃物を分解し合うため、うどん粉病などの病気にもなりにくいです。

ホウレンソウ×ネギ

ホウレンソウとネギはお互いに害虫を遠ざける効果があります。ネギの根に共生している菌がアブラムシやハスモンヨトウなどの病害を防いでくれます。

イチゴ×ニンニク

ニンニクが持つ、香り成分のアリシンには強い抗菌作用があり、イチゴにつくアブラムシなどの害虫も忌避できます。

また、ニンニクの根の周りには抗生物質を出す微生物がいるため、炭疽病や萎黄病などのイチゴの病害も防ぐことができます。

ブロッコリー×カモミール

カモミールは虫を集め、他の野菜や植物への被害を抑えてくれる働きがあります。

ブロッコリーにはアブラムシがつきやすいのですが、カモミールがアブラムシの天敵であるテントウムシを引き付けて、食害被害を防いでくれます。

害虫駆除につながる家庭菜園のお手入れ方法

野菜が育ちやすく虫が嫌う環境を作ることも忘れてはいけません。虫の住み家を作らないように、菜園の雑草はこまめに取り除き風通しを良くしておきましょう。同じ理由で苗を密集させて植えるのもおすすめできません。

また同じ種類の野菜ばかり植えるのではなく、ハーブやコンパニオンプランツを上手に取り入れるとグッと育てやすくなります。植物には共生する力がありますから、色々な種類を楽しんで育ててみましょう。

家庭菜園の虫除け対策のまとめ

家庭菜園の虫除け対策は人と環境に優しいものがベストですね。ネットを使っても良いですし、万一口に入っても安心な虫除けスプレーなら家にある食材で簡単に作れます。

植物が育つ環境であれば虫はどこからともなくやって来ます。気付いた時には手遅れだったと後悔しないように、虫除けスプレーを定期的に使って対策しましょう。

何より大切なのは日頃の観察。雑草をこまめに取り除き、家庭菜園に根付く野菜の状態をしっかり把握しておくことが虫の被害を避ける重要な仕事です。