家庭菜園初心者で、野菜の栽培が難しいと思っている人は、多いのではないでしょうか。誰もが知識や経験がないうちは不安になるものです。
しかし、やってみると意外と簡単にできる野菜もありますし、何より自分で育てた野菜は本当に美味しく感じます。今回は、初心者でも簡単に失敗せず栽培できる野菜を紹介します。
それは、スーパーマーケットで定番野菜のさつまいもです。このさつまいもは、救荒作物として採用され飢饉を救ってきたことでも有名です。食糧難の戦時中にもよく食べられていました。
救荒作物というだけあって暑さ寒さや乾燥に強く、やせた土地でも栽培可能なうえ、さらに病害虫の被害も少ないのため、初心者でも失敗せずに簡単に栽培できるのでおすすめです。
①さつまいもの栽培方法
さつまいもの植え付け時期は、5月のゴールデンウイーク明けて中旬くらいから、6月中旬の天気が良く暖かい時期が適しています。
土づくり
適切な時期に植え付けが開始できるように、まず畑の土づくりから開始しましょう。ゴールデンウィーク中には終えておくようにするのが目安です。
土づくりに体力が必要ですので、ゴールデンウィークの連休中にのんびりやる計画を立てておくと楽に作業ができます。必要な買い物もその連休中にしっかりしておきましょう。
①植え付け2週間前に石灰100g/㎡を散布してよく耕しておきます。
②1週間後に畝幅60~80cmとして堆肥500g/㎡、化成肥料20g/㎡を混ぜてよく耕します。
③高さ30cmの高めの畝を作り水はけを良くしておきます。さつまいもは水はけの良い場所を好むので、畝を高くしてください。
窒素肥料を効かせすぎると「つるぼけ」になるので、あれば窒素の少ないサツマイモ専用の化成肥料があればベターです。
※「つるぼけ」とは、葉や茎が大きくなるばかりで肝心の芋が太らなくなってしまうことです。立派なさつまいもを収穫するためにも、「つるぼけ」を防いでください。
苗の植え付け方
苗は植え付ける前日に種苗店から購入しておきます。イモは節から出る根が肥大したものなので株と株の間隔は30cm程度にして3~4節以上を土の中へ差し込んでおきます。
植え付け後すぐは倒れてしまっていますが、しっかり根が張ってくると元気に起き上がってくるので大丈夫です。
だいたい植え付けてから1週間ほどで発根してきますが、晴れ続きで土が乾いた日が続いている場合は、水をかけて活着を助けてあげると良いでしょう。
除草のポイント
苗の生育途中で雑草が生えてきます。サツマイモのつるが畑一面を覆うようになるまで、こまめに除草をしましょう。
その際、多少はつるが切れることがあってもさつまいもは丈夫なので気にしなくても大丈夫です。切れたとしても、すぐまた伸びてきてくれます。
さつまいものつるが畑一面を覆ってくると、草が生える余地がなくなってきます。そうなるまでは、しっかりと除草をしてあげてください。
水やりは控えめに
さつまいもは、水をやりすぎると弱ります。逆に乾燥には強いので、元気そうなら水はあげなくても大丈夫です。くれぐれも、やりすぎないように気を付けてください。
植物の栽培には水やりが大事なイメージを持たれる方が多いですが、さつまいもの場合には過度の水やりはマイナスになってしまうのです。
収穫の時期とポイント
植え付けから約150日後に収穫を行います。10月~11月上旬の霜が降りないうちに行いましょう。
まず、畑に伸びたつるを刈り取ってから、スコップで土を掘り、つるの根元を持ち引き抜きます。この時、イモを傷付けないように広めに土を掘っておくのがコツです。
②さつまいも栽培のワンポイントアドバイス
連作障害について
野菜によっては、同じ場所で続けて栽培できないものがあります。初心者の方が難しく感じる点かもしれません。
しかし、さつまいもに関しては、連作障害がありませんので安心して栽培をしてください。この点からも初心者向けの野菜といえます。
よりおいしくするひと手間
掘ったサツマイモの泥を落として、3~4日ほど天日に当てると甘みが増して一層おいしく食べられます。
取れたてもおいしいですが、ひと手間加えて味を比べてみるのも楽しいものです。たくさん取れたら、取れたてと天日に当てたものを食べ比べてみましょう。
少量であればプランター栽培や袋栽培も可能
深さが40センチ程度ある深めのプランターや、袋があればさつまいも栽培は可能です。ただし、袋を使用する場合は、しっかりと水が抜けるように穴をあける様にしてください。
種芋からも栽培できるやり方もある
種芋から栽培も可能ですが、ポイントが2点あります。
・まず、植え付け時期が5月中旬~6月中旬なので、それより1か月前から発芽準備をすることです。苗を育てる期間があるのでその点を、十分注意しておきましょう。
・発芽温度が30℃程度なので、発砲スチロールやビニール袋に培養土を入れ、暖かい日向などに置いておきます。
そして、芽が出てきたら25~30cmになるまで育てます。植え付けの前には、しっかりさつまいもから切り離します。
さつまいも栽培で失敗しない為には、追肥をしない
最初の土作りのところで説明しましたが、さつまいもは、窒素肥料が効きすぎるとつるぼけになります。
つるぼけとは、つるや葉っぱが元気よく広がるが、イモが太らない状態です。これを防ぐためには、基本的に肥料をあげないようにしてください。
ただし、葉の色が淡いような場合には化成肥料20g/㎡程度を施しましょう。肥料をあげると良いイメージですが、裏目に出ることがあるので注意が必要です。
もし、葉の色が淡いか悩んだ場合は肥料をあげない方を選択すると良いでしょう。それくらいさつまいもは生命力の強い野菜になります。
慣れてきたら色んな種類を栽培してみよう
さつまいも栽培は、栽培しやすい野菜なので種類が変わっても栽培方法は同じで大丈夫です。
種類は、イモのが早く太り味が良いベニアズマや、高系14号、ベニコマチがおすすめになります。ほかには、オレンジ色のベニハヤト、紫色のアヤムラサキも人気です。
スーパーでは手に入りにくい品種を栽培し、味比べができるのも家庭菜園をやる魅力になります。珍しい芋が手に入ったら、栽培して楽しむことも可能になります。
さつまいも栽培のまとめ
さつまいもは、水はけがよく日当たりが良い場所であれば元気に育ちます。畑一面を元気につる葉が覆うので成長すると除草の必要性も低くなります。
手があまりかからない上、病気害虫にも強く失敗が少ない作物です。水やりも神経質になることがないので、手間もかかりません。
初心者にこそ、おすすめの野菜になります。チャレンジするには打って付けの野菜なので、是非栽培してみてください。
手始めにさつまいもから始めて、自信がついたら色々な野菜に挑戦してみるのも良いでしょう。