家庭菜園・野菜の栽培

【初心者】ブロッコリーの栽培・育て方のコツ(倒れる・虫など失敗しないために)

普段私たちが口にしているブロッコリーは、頂花蕾(ちょうからい)という花の蕾が大きくなった部分です。

ビタミンC、葉酸、鉄分、食物繊維が豊富で、さまざまな料理に活用できるブロッコリーは、一見大きく育てるのが難しそうですが、害虫の予防や追肥にさえ注意すれば誰でも簡単に栽培することができます。

今回は特に初心者向けとして、苗の植え付けから収穫までの栽培手順とコツ、プランターでの育て方、害虫対策などをわかりやすくご案内します。ぜひ栽培する時の参考にしてください!

ブロッコリーの特徴


ブロッコリーの栽培を成功させるには、ブロッコリーの特徴を知っておくことが大切です。アブラナ科に属するブロッコリーは、日当たりと風通しが良い場所を好みます。

これらの条件がそろわない場所では、病気になりやすく、生育不足になる可能性が高くなります。

苗の段階では25℃程度の温度に耐えられますが、蕾が大きくなるには15~20℃前後の涼しい環境が必要なので春栽培と秋栽培が一般的です。

ただ、ブロッコリーやキャベツなどの葉野菜は低温にさらされることで、一層甘みが増しておいしくなります。

初めてブロッコリーを育てるなら、だんぜん秋栽培がおすすめ!

【栽培の目安】

  • 種まきに最も適した時期:7月上旬から8月中旬
  • 苗の植え付けに適した時期:8月中旬~9月上旬
  • 苗の植え付けからの栽培期間:70日~90日(品種によって異なる)

初心者は種まきからより苗の購入がおすすめ


家庭菜園の経験があまりない人や、プランター栽培の人、10株以下の植え付けを予定の人は、苗を購入することをおすすめします。

ブロッコリーの種は一袋500円前後です。そして苗はホームセンターや園芸店で60円~100円程度で販売されています。

もし10株購入する場合は種の価格より高くなりますが、種まきから苗になるまでの手間や時間を省けること、そして未使用の種を無駄にしない、というメリットがあります。

【良い苗の見分け方】
冬収穫のブロッコリーの苗は、8月中旬ごろから園芸店に並びます。選ぶときは本葉が5~6枚ある苗を選びましょう。良い苗の選び方は次の通りです。

  • 葉っぱの色が濃くて厚みがあるもの
  • 茎の太くて新芽に勢いがあるもの
  • 虫食いがされていないもの
  • 新しい苗が入荷しやすい大きな園芸店での購入がおすすめ

土作り~畝作り


菜園に苗を植え替える前に、土作りをして土壌の環境を整えておきましょう。ブロッコリーは弱酸性から中性の土を好みます。

まず、植え付け予定日の2週間前に苦土石灰(くどせっかい)を100g/㎡をまいてよく耕します。

その1週間後に堆肥(たいひ)2kg/㎡、化成肥料100g/㎡をよく混ぜ込んで栄養分豊かな土にしてあげましょう。

次に、水はけをよくするために畝(うね)を作ります。幅は約50~60cm、高さ15~20cmに土を盛り上げてください。

苗の植え付け


苗植えは本葉5~6枚、8月下旬~9月中旬が適期です。地植えの場合は、45cmほど間隔を空けて苗を植え付けていきます。

  1. 約45cm間隔で植え穴を掘る
  2. 植え穴に水がひたひたになるまでたっぷり注ぐ
  3. 水がひいたら苗を土ごと穴に入れる
  4. 苗の根元を軽く押さえて再度水やりをする

プランター栽培の場合


ブロッコリーはプランター栽培をすることも可能です。プランター栽培は、時期や天候によってブロッコリーが過ごしやすい場所へ移動できるメリットがありますよ。
【用意するもの】

  • プランター:幅60cm・高さ25cm・25L以上の大型プランターがおすすめ
  • 鉢底石:軽石など
  • 野菜用培養土
  • その他:シャベル・手袋など

【苗の植え方】

  1. プランターの底に鉢底石を敷く
  2. プランターの縁から3cm下まで培養土を入れる
  3. 最低30cm離して植え穴をあけて水を注ぐ
  4. 水が引いたらポリポットの苗を土ごと植える
  5. 根元に土を被せて軽く押さえる
  6. プランター底から水が滴るまで再度水やりをする

ブロッコリーは根を張る植物なので、深めで容量がある大型プランターがおすすめです。幅60cmで2株を植え付けることができます。

排水環境を良くするために、プランターの底が見えなくなるくらい鉢底石を敷いてください。

水やりについて


植え付けたばかりの苗は、土になじむまで少し時間がかかります。この時期に土が乾燥すると根が張らなくなるので、植え付け後1週間は、朝と晩、2回の水やりを涼しい時間にあげましょう。

植え付けを1週間過ぎて、根がなじんできたら水やりペースを1日1回にしてもかまいません。ブロッコリーは湿度に強くないので、根腐れを起こさないよう過剰な水やりは避けて下さい。

基本的には、土の表面が乾いてきたら水をあげるというペースで行います。

肥料と土寄せの適期は?


ブロッコリー栽培を成功させるポイントは、花蕾が形成される前にどれだけ株を大きくするかにかかっています。肥料を適切に与えることは、株の生長に関わる重要ポイントなので、肥料は忘れず、次の手順で行ってください。

1回目の追肥はブロッコリーの本葉が10枚になったら与えます。液体肥料の場合は、水で500倍に薄めて水やりの代わりにあげます。

化成肥料の場合は、一株あたり8g程度、根元の土と少し混ぜ合わせるようにして与えましょう。この頃は葉っぱの大きさに比べて茎が細いので、株が倒れないように土寄せも一緒に行ってください。

2回目の追肥は花蕾がつきはじめる頃に同じ手順で行います。その後は液体肥料は1週間おきに、化成肥料は2~3週間おきに与えて下さい。

冬の収穫はタイミングが大事


植え付けから70日~90日、引き締まったグリーンの花蕾が12~15cmの大きさに育ったら収穫です。株ごと抜かずに、蕾から10cmくらい下をナイフや包丁で斜めに切り落とします。

収穫が遅れると蕾の間隔が開いて形が崩れたり、花が咲いてしまうのでタイミングを逃さないようによく観察してくださいね。

頂花蕾(ちょうからい)は1株に一つしか収穫できませんが、株をこのまま植えた状態で追肥してあげると、左右に新しい茎と側花蕾(そくからい)が出てきます。3~4cm位になったら収穫して食卓に並べましょう。

失敗しないワンポイントアドバイス

倒れる時の対策

植え付け直後は、根が安定しないため風が強いと倒れる心配があります。不安な人は植え付け時に60cmくらいの支柱を根元に立てて、支柱と茎をひもでゆるく8の字に結んであげましょう。

害虫対策

ブロッコリーは、アオムシ、コナガ(蛾の幼虫)、ナメクジ、アブラムシなどの害虫がつきやすい野菜です。

アオムシやコナガは比較的見つけやすいので、発見したら割り箸などを使って取り除きましょう。ナメクジは雨が降った後に見つけやすいでしょう。

地植えの場合は、これらの虫が嫌う春菊やレタスをコンパニオンプランツとして近くで栽培すると、害虫を寄せつけない効果があります。

コンパニオンプランツとは?
違う種類の野菜を一緒に栽培することで、病害虫を抑えたり、生長を助ける組み合わせの良い「共生植物」のことです。

アブラナ科のブロッコリーの場合は、キク科の独特の香りが害虫を予防してくれます。

アブラムシの場合は、数が多いので薬剤の散布がおすすめです。殺虫剤を使うのが嫌な人は、予防策としてアブラムシや害虫が苦手とする木酢液(もくさくえき)や竹酢液(ちくさくえき)を500倍に薄めて散布する方法もあります。

苗の周りに防虫ネットを張っておくのも効果的ですよ。

木酢液・竹酢液とは?
木炭や竹炭を焼く際に出る水蒸気を冷やしてできる酸性の液体です。殺虫や殺菌効果があるので、まな板や生ごみにスプレーで殺菌したり、ペットのお風呂に使うとノミ取り効果が期待できます。

また土壌改良にも使えます。用途によって薄める水の量が異なるので、説明書を読んで確認してください。

家庭栽培で人気上昇中のブロッコリーの仲間


一般的なブロッコリーの栽培をご紹介してきましたが、最近ではスティックブロッコリーやすずなりブロッコリーと呼ばれる品種の栽培も人気です。興味のある人はぜひ育ててみてください。

スティックブロッコリー

スティックセニョール、茎ブロッコリーとも呼ばれいます。ブロッコリーと中国野菜の介藍(かいらん)を掛け合わせた野菜です。

花蕾が小さくて茎の長くアスパラガスのように茎も一緒に食べれるのが特徴。ブロッコリーより耐暑性があるので、いつでも種をまいて栽培できて長期間の収穫も可能な野菜です。

すずなりブロッコリー

正式にはアレッタという野菜で、ブロッコリーとケールを掛け合わせたものです。平成23年に品種登録されたばかりの新種で、秋に植えて翌年の春に収穫できます。

文字通り、花蕾がすずなりにつき、花蕾、茎、葉っぱ、全て食べれます。ブロッコリーより味が濃厚で、少し甘いのが特徴です。

失敗しないブロッコリー栽培のポイント<まとめ>


ブロッコリーは、茹でると鮮やかなグリーンになって料理に彩りを添えるだけでなく、栄養素が豊富なヘルシー野菜です。今回ご紹介した通り、栽培するのに難しい野菜ではないので、コツを押さえてぜひ家庭で栽培してみて下さい。

最後にブロッコリーの茎を太く丈夫に育てるポイントをおさらいしましょう。

  • 初心者の人は苗を購入して秋植えしよう
  • ブロッコリーは15~20℃の涼しい環境を好む
  • 植え付けする時は適度に間隔を離す
  • 追肥を忘れないようにしよう
  • 収穫のタイミングを逃さない!
  • 害虫を見つけたら早めに駆除しよう