家庭菜園・野菜の栽培

【初心者】落花生の栽培・育て方のコツ(プランター栽培・土寄せなど)

落花生はタンパク質やビタミンが豊富で、良質な脂肪を多く含んでいます。掘りたての美味しさは、家庭菜園でなければ味わうことはできません。

今回は、落花生の育て方やプランターでの栽培方法、土寄せの仕方などについてご紹介していきます。

落花生について

落花生はブラジル原産のマメ科の植物です。落花生の他に、ピーナッツやナンキンマメ、ジーマミーなどと呼ばれています。

漢字で“落花生”と書くように、開花後の枯れた花の付け根から子房柄(しぼうへい)と呼ばれるツルが地面に向かって伸び、地中にサヤを作る様子に由来しています。

落花生の子実(粒)にはオレイン酸を含んだ脂肪やタンパク質、ビタミンB1やビタミンE、ミネラル類が豊富に含まれています。

収穫した落花生は茹でる炒るのほか、油で揚げて練り味噌で和えてピーナッツ味噌にしたり、バターを絡めるバターピーナッツや料理のトッピングにしたりと、様々な食べ方で楽しめます。

落花生の性質

落花生には、2通りの性質があります。1つは“匍匐性(ほふくせい)”と言い、落花生の側面が地面をはうタイプです。

もう1つは“立ち性”と言って、落花生の側面が比較的自立し、地面をはわずに立ち上がるタイプです。

プランターでも可能?落花生の栽培方法と栽培暦

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
<種 撒> = = = <収 穫>

落花生は4~5月頃に種まきをし、10~11月中旬頃が収穫時期となります。日当たりが良く温かい場所を好み、15~20度の気温でよく育ちます。

また、落花生は栽培期間が長く、背丈も低い植物です。菜園で育てる場合は、他の野菜の陰にならないような場所を選びましょう。深底タイプのプランターを利用すれば、プランター栽培も可能ですよ。

落花生の種まき準備

落花生の種はサヤから取り出した豆を使います。サヤを指で挟んで先端を割り、茶色い薄皮が付いたままの種を取り出します。

種は布袋に入れて、水を入れたコップに一晩漬けておきましょう。こうすることで発芽率が良くなりますよ。

落花生の土作り

落花生は水はけのよい土を好みます。プランター栽培の場合は市販の培養土を利用すると簡単です。菜園での露地栽培の場合は、植え付けの2週間前に苦土石灰をまいてかき混ぜます。

植え付け1週間前には、元肥として市販の化成肥料(窒素・リン酸・カリが含まれたもの)を混ぜて、再度よくかき混ぜておきましょう。

ここでポイントですが、初めに肥料を与えすぎると葉ばかりが繁ってしまうので気を付けてください

マメ科の植物の根には、空気中の窒素分を固定する菌が共生しています。そのため、自ら栄養分を作り出すことができるのです。

落花生の種のまき方

雨の直後は種が腐りやすくなってしまうので、種まきは晴れた日に行います。菜園やプランターに直径約5cm、深さ2~3cmの穴を掘ります。

1つの穴に3粒種をまき、約2cm土をかぶせて手のひらで軽く押さえつけて鎮圧します。複数の株を育てたい場合、地面をはう匍匐(ほふく)性は、種と種の間隔を25cmほどとってください。

自立して育つ立ち性は、約30cmの間隔をとりましょう。種を植えた後は、ジョーロでたっぷり水をあげましょう。(5~6日ほどで発芽します)

また、落花生はカラスやハトなどの鳥類被害に遭いやすいです。水やりが終わったら、鳥に食べられてしまわないよう寒冷紗(薄く硬めに織り込まれた布)や、市販の鳥よけネットを被せておくと安心です。

落花生の間引き

本葉が1~2枚に揃ったら、育ちの悪い苗を1本間引き、苗を2本立ちにします。本葉が3~4枚になったら、育成の良い苗を1本立ちにします。

落花生の追肥

落花生の側面の枝が伸びてきたら、草木を燃やしてできた草木灰(そうもくはい)など、カリ分の多い肥料を与え、土に混ぜておきます。

落花生の土寄せ

落花生は早朝に花を咲かせ、1週間ほどで子房柄(しぼうへい)というツルが伸びて土にささります。

土にささった子房柄の先が膨らんでサヤができるのですが、花の位置から地面が遠かったり、土が硬いと子房柄がしっかりと土に入れません。

すなわち、落花生のサヤ(子実)がつかなくなってしまいます。サヤの育成を助けるため、落花生の育成には必ず根元にたっぷりと土寄せを行ってください

土寄せは計2回行います。まずは、花が咲き始めた時に1回目の土寄せを行いましょう。子房柄が土に入りやすいよう、株の周りに雑草などがあった場合は取り除いておきましょう

2回目の土寄せは、1回目の土寄せから15~20日間過ぎたところで行います。この時はすでに子房柄がたくさん土に潜っている状態ですので、株の上から土をかけてあげましょう。

収穫に影響するのは2回目の土寄せですので、柔らかい土をまんべんなくしっかりと集めるのがポイントです。株の周辺に雑草がないか、再度チェックしましょう。

落花生の病害虫について

落花生は鳥類被害に遭いやすい野菜ですが、発生しやすい病害虫もあります。

落花生の病気

落花生は、葉が黄色くなり枯れていく褐斑病(かっぱんびょう)や白絹病(しらきぬびょう)、かさぶたのような病斑ができる、そうか病になることがあります。

いずれも発見次第すぐに取り除き、菜園の外で除去しましょう。専用の病薬剤を使用するのも効果的です。

落花生の害虫

落花生は、地中に住む幼虫に食害されます。主にコガネムシ類の幼虫や、夜に活動するヨトウムシなどです。どちらも見つけ次第、手で捕まえて駆除します。(ヨトウムシの場合は、根本周辺の土を掘り返すと出てきます)

菜園に肥料をまく際に、幼虫がいないかチェックするようにしましょう。また、幼虫のふんや食い跡がないかも併せて確認してください。

落花生の収穫

落花生は10~11月に収穫をします。落花生の下葉が黄色く枯れ始めたら収穫のサイン。まずは軍手を付けて、子房柄の先をさぐり、少しサヤを掘り出してみましょう。

サヤの膨らみや、はっきりとした網目模様が確認できたら、スコップを使って株全体を持ち上げるように収穫します。掘りたての落花生を水で洗ってすぐに塩ゆでにすれば、ゆで落花生を味わうことができますよ。

落花生は収穫が遅れてしまうとサヤの付け根が傷んでしまいます。収穫時に傷んだサヤが土の中に残ってしまう可能性があるので、採り遅れないよう注意しましょう。

落花生の保存方法

収穫後の落花生は土を払い落とし、サヤの付いた方を上に向け、10日間天日干しをします。畑で干す場合は鳥類被害を防ぐため、網の細かいネットなどを被せておくと安心ですよ。

10日間天日干しにした後は、サヤを収穫して水洗いします。サヤはザルなどに入れて再び天日干しにして乾燥させると、長期保存も可能になります。

【番外編】落花生栽培に相性の良い野菜は?(コンパニオンプランツ)

落花生は根粒菌(こんりゅうきん)と呼ばれる土壌微生物を根につけています。根粒菌は、空気中の窒素分を固定し、リン酸分などの養分を吸収しやすくしてくれる働きをもっています。

そのため、落花生は害虫被害を防ぐコンパニオンプランツとしての利用がおすすめです。特におすすめの野菜は、長期に渡って養分を必要とするナス・ピーマン・トマトです。

素朴な疑問Q&A

実の入っていないサヤが目立ちます

土に石灰分が少ない状態です。最初の土作りをしっかりとやりましょう。追肥の草木灰や、花が咲き始めたころに石灰を水に溶かして与えるのも効果的です。

連作はできますか

落花生の場合、連作障害がでますので3年間は連作ができません。

落花生に摘心は必要ですか

落花生は育成中、9節目を摘心をするという情報もあるようです。しかし初心者の場合、9節目の判別も付けにくく骨の折れる作業となります。

収穫量が明らかに違ったりすることはないので、必ずしも摘心を行う必要はありません。きちんと土寄せをして育成すれば大丈夫です。

種を取っておくにはどうしたらいいですか

収穫した落花生の子実はサヤから出さずに殻ごと保存しましょう。殻から子実を出してしまうと、発芽率は落ちてしまうので気を付けてください。

落花生栽培のまとめ

落花生の育て方や、プランターでの栽培方法、土寄せのやり方などについてご紹介していきましたが、皆さんいかがでしたか?

採れたての落花生の美味しさは、家庭菜園でしか味わうことができません。ぜひ皆さんもご家庭で落花生の栽培を楽しんでみてくださいね。